「相棒」   作:ダンちゃん1号

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冥神の復讐 その①

その日、空が曇り始めた。

マスカレーナからもたらされた情報は確かに正しかった。

 

『異世界の住人がやってくるよ。』

 

彼女がどこでこの情報を仕入れたのかは知らない。

だが、確かに圧を感じるのだ。

 

「たしかにとびきり強い奴とは条件付けたけどさ…!」

 

霊使は目の前にいる存在にデュエルディスクを向ける。

確かに目の前の存在は強力だ。神に等しい力を持っているのだ。

 

「さあ、我が復讐のための贄と成れ…!」

「さてと…いっちょ契約(キャプチャ)始めますか…!」

 

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「…え?」

「だから異世界の住人がやってくるって言ってるの!」

「…なに!?異世界とは精霊界の事ではないのか!?」

 

霊使は専属情報屋(せいれい)となったマスカレーナからもたらされた情報に小首を傾げた。

霊使にとっての異世界はドレミコード達の拠点があり、ウィン達の故郷でもある精霊界の事を指すからだ。

だから、霊使は精霊界以外の異世界があるなんて夢にも思っていない。

 

「遠い昔に精霊界で横暴の限りを尽くした女神が居て、で、"閉ざされた世界"っていう世界に追放されたらしいんだ。だから、彼女と会うときは気を付けて。多分彼女はこの世界ごと精霊界を滅ぼすつもりだから。」

 

そういうとマスカレーナはガレージに引っ込んだ。

 

「その場所まで案内したげる。さあ、乗って。」

 

暫くすると彼女はサイドカーを着けたバイクを引っ張ってきた。

そういうと、彼女はバイクに跨ってヘルメットを装着。

そして、バイザーを降ろすと、エンジンを全開にした。

 

「さあ、しっかり捕まっててね!――――行くよ!」

「ちょっ…おま…ライダースーツ着…!」

 

しかしもう遅い。

彼女はアクセルを全開にするとエンジン音を響かせて激走を開始した。

 

「爆走バイクゥゥゥ!?」

「イッヤホォォォオォォォォウ!」

 

霊使の悲鳴を置いていくような速さでバイクは走る。

マスカレーナはドライバーズハイになっているのか霊使達の事は全く気にしてないようだった。むしろ、これくらい当然だろ?と言わんばかりにさらに速度を上げていく。

 

「法定速度違反なんだよぉぉぉぉぉぉぉぉ!」

 

霊使の悲鳴は風に流れて消えていった。

 

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目的地に着いたとき、霊使とウィンは既に満身創痍であった。

それもそのはずで一般道を時速100キロオーバーで駆け抜けていくサイドカーに振り落とされぬように掴まっていたからだ。これに関してはどうあってもマスカレーナを擁護できない。後でしっかりと説教しなければならないだろう。しかし、そんなことはどうでも良かった。とある山の登山口にてマスカレーナはそのバイクを止めた。

 

「…こっちだよ。」

「…ん。分かった。」

 

マスカレーナに導かれて霊使は歩を進める。

気づけばそこは鬱蒼とした森の中だった。しかし、マスカレーナはまだ歩み続ける。

そうして、しばらく歩むと一つの祠が現れた。

余りにも簡素で祠とも呼べないようなそれは、中にある石像でなんとか祠であり続けられていた。

 

「ここは…」

「ここは『楔の祠』って言われてるんだ。女神を冥界に繋ぎ止めておくための楔。それがここ。本来はこっちにあっちゃいけないんだ。」

 

マスカレーナは祠に手を置こうとする

しかし、その手は祠には届かず空中で静止した。

 

「でね、日に日にこの祠を覆う結界が小さくなってるんだ。つい一月前は誰もここに入ることなんて無かったのに。誰かが意図的にそうしてるとしか思えない。」

「……つまり、悪意ある誰かが女神の力を狙っていると?」

「そうなるね。」

 

ウィンの質問に肯定するマスカレーナ。

しかし、とマスカレーナは続ける。

 

「分かってるとは思うけど、相手は神だ。そう易々と力なんて貸してくれないと思うけどね。」

「…そりゃ、そうだな。」

「というかその女神の逆鱗に触れたら確実に世界は終了するね。」

「なんかこの世界爆弾多くない?」

 

霊使がそう突っ込むのも無理はない。

キスキル達を雇っていた連中といい、この女神といいこの世界には起爆即滅亡の爆弾が多すぎるのだ。

 

「まあ、そうだね…」

 

ウィンもどこか物憂げにつぶやく。

ウィンも霊使も余りにもそういうことに相対しすぎている。

 

「…まだ、今日は…!?」

 

瞬間、祠からどす黒い瘴気が溢れ出してきた。

 

「え…?そんな!一旦逃げるよ二人とも!」

「いや!ここで語り合う!」

 

どす黒い瘴気はあっという間に空を覆い、辺りに闇が落ちた。

かつての女神がいま、昏い世界から復讐の狼煙をあげる。

 

「…さあ、我が復讐の贄と成れ…!」

 

瞬間―――世界が揺れた。

 

「これが…女神。」

「うん。…さぁ後は頼んだよ。ご主人サマ。」

 

それだけ告げるとマスカレーナはふっと消える。

残されたのはウィンと霊使。そして、女神のみ。

三人の間に沈黙が流れる。

 

「…あんたが堕とされたっていう女神か?…俺にはそうは見えないが。」

 

霊使は取り敢えず対話を試みることにした。

もちろん、会話だけで済むなんて一言も思っていないが。

 

「…貴様は(わたし)と対話を試みようというのか。」

「まあな。さすがにいきなり襲い掛かるなんて野暮な事はしないさ。」

 

その女神は取り敢えずの会話には応対してくれた。

この調子で…なんて甘えた事は言わない。

 

「…何をしにこの世界に?」

「無論我が身を閉ざされた世界に堕とした神とその庇護下の人間どもを始末し、その者らの魂を閉ざされた世界へと貶めるためだ。これは我が本懐。何人たりとも邪魔などさせぬ。故に貴様等もここで死んでもらう。」

「……端から殺意マシマシじゃないか…!」

「もちろんだ。あの神の庇護下にいる人間は全て殺さなければならぬ。」

 

そういうと、女神はゆっくりと霊使に手を向けた。

 

「我が真名はクルヌギアス。この名を以て貴様の魂を―――」

「断る。」

 

二人の間に火花が舞う。

 

「ほう?神に逆らうか。…ならば、良いだろう。貴様の身も心も全てを我が物にしてやろうではないか。」

「いいぜ、やろうか。」

 

ゆっくりと霊使とウィンはクルヌギアスに杖を向けた。

 

「行くか、ウィン。」

「うん。私達の未来を得るために…!」

 

そして、世界を賭けた戦いが幕を開ける―――。





天極輝艦・熊斗竜巧

いや、くっつくんかーい!?

水樹君のデッキ強化

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