クルヌギアスと霊使とウィンは互いに向き合っている。
これから始まるのは
「おいおい…。」
だが、初戦が女神とはなんとも運がない。
そもそもの話、精霊ならデュエルしろよとは思うが、今の女神に言ったところで無駄であることは明白だった。
つまり「戦わなければ生き残れない」という状況なのだ。
「…まさか、病み上がりで殺し合う事になるなんてな…」
霊使はぐっと手を握りしめる。対話は可能。だが、
だったら力づくで止めるしかない。
病院から退院して、また入院するかもしれない。
それに、今回は精霊を相手取るのだ。
外道のように完全にボコボコにすれば終わりという単純な話ではない。
意地と意地の張り合い。言ってしまえばどちらが先に折れるか、もしくは死ぬかである。
「…最後に一つだけ聞きたい。クルヌギアス、あんた一体誰に
「答える必要はない。貴様はどうせ否定するからな。」
そういうと、クルヌギアスは闇を「呼んだ」。
その闇は槍を形作ると霊使に向かって飛んでいく。
「もうどてっ腹を貫かれるのはごめん被るね!」
霊使は、一撃一撃をしっかり見極め、避け、クルヌギアスとの距離を詰める。
だが、当然クルヌギアスはそれを良しとはしない。
一度闇で防壁を作り、霊使から距離を取る。
「…ウィン!今だ!」
「分かってる!」
だが、クルヌギアスはウィンの存在を忘れていた。
背後から音もなく近づいたウィンの豪風がクルヌギアスにクリーンヒット。
クルヌギアスは驚いた顔をしながら吹っ飛んでいった。
「…ほう、やるじゃないか。この妾に土を付けるとは。」
「そんな軽口を叩けるなら余裕じゃないかな!?」
「はっ!それはそうだな!」
クルヌギアスの一挙動一挙動に質量感を伴った闇が追従してくる。
右フック、左ストレート、ハイキック、ローキック。
全ての打撃に追従してくる闇も捌き切らなければ待つのは死だ。
「全く…まだ、
「悪いが、妾が貴様たちに合わせる道理など無いのでな。…滅ぼす相手と同じ土俵に立つものがどこに居る。我が望みは、かつて、妾を襲った理不尽な蹂躙。その、再演だ。…演者は貴様等だがな。」
「なんで、そんな事を…!」
「…そうだな。一つ昔話をしようか。」
クルヌギアスは事も無げに言っているが、それは彼女にとっては悲しい過去だった。
「…かつては妾も人の子を愛し、導く一介の神だった…!」
「何だって!?」
ぽつりぽつりとここに至るまでの経緯を話し出すクルヌギアス。
しかし、その攻撃の手は緩めない。
むしろ、最後まで聞かせるかと言わんばかりに攻撃の手は加速する。
「しかし、ある日、突然、愛する民を皆殺しにされた…!この星を産んだ神に気紛れで絶滅させられたのだ!」
「…!」
どんどん苛烈になっていく攻撃を捌きながらも霊使達はクルヌギアスの話に耳を傾けた。
クルヌギアスの復讐―――その根底にあるのは自分を慕ってくれた者への愛情だ。
しかし、その愛情は反転し、この世界への憎悪に変わってしまった。
しかも、愛する者をただの気まぐれで滅ぼされ、自身も閉ざされた世界へと堕とされたのだ。
その憎悪は並大抵のものではない。
「…クルヌギアス。お前は…!」
「会話している暇があるのか?…ふっ!」
一際強烈な打撃が霊使を襲う。
明らかに重量感が変わったその一撃に目を見張る。
「そうだな…。確かに会話してくれそうにもないな…!なら、後は――――」
「何?」
「全力、だな。」
霊使は初めて全力を出す。
それは「決闘者」としての本気ではなく、「霊使い」としての全力だ。
「行くぜ…皆!」
瞬間、一気に6人増える。
それぞれが霊使いと契約した精霊達だ。
「全く…。ようやく出番か…!」
そうヒータはぼやくも、しっかりと得物を構えてクルヌギアスを睨んで居る。
アウスもエリアもダルクも戦う気は満々であった。
ライナは何かを試しているようであったが。
一方、マスカレーナは一人だけガラが悪くなっていた。
「やるぞコラァ!」
「いや、台無しィ!」
叫びながら全力で威嚇するマスカレーナの姿はこの媒体において唯一の冷涼材だったのかもしれない。
全員が覚悟を決める中ただ一人、雰囲気をぶち壊すほどの陽気な声がした。
「―――ライナ、すっごく言わなきゃいけないことがあるんだけど…」
そう、ライナだ。
ライナは困ったような顔をして頬を搔いていた。
一体何をやらかしたのだろうか。
そんな事を考えていると、衝撃の真実がライナの口から飛び出した。
「…彼女、ライナの光霊術で簡単に捉えられちゃった…。」
「…はぁ!?」
世界を賭けた戦いは余りにもあっけなく、拍子抜けな結果で終わったのである。
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「ふぐっ…ぬおぉぉおお…!」
「うーん、逃げるのは無理じゃないかなー?」
ライナの霊術の餌食となったクルヌギアスは憤怒の表情でライナを見つめていた。
流石の霊使もこれは、と思ってしまう。
長い時間をかけてようやく閉ざされた世界から脱出したというのに、何故かライナの霊術の餌食となり動きを完全に統制されてしまった。
流石にかわいそうすぎである。
「…ちゃんとあったことをライナ達に話してくれないかなー?あなたはその…この星を産んだ神に復讐を望んでるんだよね?それはなんで?」
明らかに語勢が強くなっているライナ。
彼女の平和を好み、争い事は嫌う性格からか、クルヌギアスの事は認めていないようではあった。
ただ、少なくとも話は聞こうとするあたり、まだ理性的な部分もあったのだろうが。
「…だから言っただろう。妾が愛するものを皆殺しにされたと。」
「…本当にそれだけなの?あなたは…悲しい生き方を選んだんだね。」
「貴様には分からないだろう?復讐したいという思いは。」
「分かるよ。」
そういうと、ライナは自分の手についている枷を見せた。
「それは…!?」
霊使は二人の事をウィン達から聞いていたから知っていた。
それでもライナの手についている枷は見るたびに痛ましさを思い起こさせてしまう。
しかし、クルヌギアスはライナの事を知らないのか押し黙ってしまう。
「…ライナもね、コレを付けられて、ダルクと一緒に閉じ込められたとき、なんで、って思ったもん。」
「…ライナ、その話は…。」
「…大丈夫だよ、マスター。復讐なんて、させちゃいけないから。だから、ライナは、話さなきゃいけないんだ。」
そして、ライナは己の過去をゆっくりと話し始めた。
精霊界で、自らの身に起きたことを全て洗いざらい話した。
そのうえでライナはこういう。
「復讐が悪い、なんていえないよ。だって、ライナだって道を間違えそうになったから。でも、世界に対する復讐なんて、絶対に碌なことが起きないからダメ。」
その言葉には妙な説得力があった。
だが、それでは、クルヌギアスの気は収まらない。
「なら、妾はどうすれば良かったのだ…?」
「…それは、あなたが考えることだと思うよ?」
ライナは敢えて、ここでクルヌギアスを突き放す。
その答えだけは彼女自身が出さなければならないものだからだ。
「妾は…妾を慕ってくれた者達の仇を斃す。―――その後は、まだ考えん。」
「…差し支えないならさ、その…あなたを堕としたっていう神の名前を教えてもらってもいいかな?」
「創星神…だ。」
彼女はその神の名を呟く。
「創星神…の片割れだ。」
「…創星神…!」
自分達を襲ったあの男はキスキル達に「しくじった」と言った。
ならば、キスキル達が何を盗んでいたのか、把握していたはずだ。
創星神話に関係ある遺物は、あの男たちの手に渡ったはずだ。
おそらくは、あの男たちとともに創星神は自分たちの前に立ちふさがるのだろう。
「…おそらく、だが。俺たちは創星神と戦う事になる。着いてくるか?」
「…なるほど、そういうことなら。…協力はしてやる。」
なんとか、世界滅亡の危機は免れたようだ。
クルヌギアスと契約を交わし、後四体。
少なくともこれから先はガチの殺し合いがないことを祈るばかりである。
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「あら?…既に空になってるわね…この祠。」
「…じゃあ、新しい獲物ってやつ?」
「ええ。メデュサ。ザラキエルにも伝えて頂戴。」
「はーい」
無邪気に駆けていく少女を尻目に女は大きくいきを吐いた。
その視線は地面の、タイヤ痕に向けられている。
「…どうやってここまで来たかは知らないけれど…。」
女は唇が張り裂けるかのような獰猛な笑みを浮かべる。
その瞳には狩るべき獲物の姿が見えていた。
「…ここまでされたら、やるしかないじゃない…?ねえ、霊使?」
え?【イビルツイン】に新規出るんですか!?やったー!
ウルトラレアじゃないですか!やだー!
水樹君のデッキ強化
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