地面が揺れる。
空気が震える。
街は崩壊する。
今、霊使達の住む町ではスーパーロボット大戦が繰り広げられていた。
熊の意匠を持つ機械と機械の体をもつ竜が互いに激突して、町に破壊をもたらしてしまっているのだ。
彼等の名前はセプテン=トリオンと、メテオニス。
彼らは遥か彼方の銀河から命を預けるに値する己のマスターを探しにこの星にやって来た。
やって来たのだが―――。
「貴様ァ!一人で!先に!抜け駆けしおって!」
「私に!嫉妬!しているのか!?この!駄熊が!」
「何を言うか!この!駄トカゲ!」
「私はトカゲではない!」
誰も人が居ない旧市街において余りにも程度の低い喧嘩を壮大なスケールで行っているのだ。
その光景を目の前で見せつけられたメテオニスのマスター―――流星はどうしたらこのような程度の低い喧嘩が行えるのか、頭を抱えていた。
「そもそも!貴様が!抜け駆けするのが悪いだろう!」
「貴様は私が!マスターと!契約するのが!悪いというのか!」
「あーもう滅茶苦茶だよー…。」
最早原型を留めぬ程にボロボロに破壊された旧市街地を眺め、ため息を吐いた。
そもそもこの二人がこのように下らない喧嘩を行っているのには何やら深い理由があるらしい。
「はぁ…まさかねぇ…俺が原因だなんて信じられないなぁ…わけが分からない。」
(…そうだな。一応私と共に過去の原因を探ってみるか。)
そうして、二人は、二人の過去を振り返り始めた。
―――もちろん戦闘は行いながら、であるが。
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昔、メテオニスとセプテン=トリオンは同じ星で暮らしていた。
メテオニス率いるドライトロンと、セプテン=トリオン率いるベアルクティはこの次元から遥か彼方の次元の地球に相当する星に共生していたのだ。
特に互いの部族のリーダーであった二人は互いに互いを認めていて、切磋琢磨して、互いに磨き合ってきた。
だが、一足先にメテオニスはその星から旅立つこととなったのだ。
そしてやってきた別れの日―――
「…さらばだ。友よ。」
「…、ああ。」
それ以上の言葉を交わす必要はない。
だが。
セプテン=トリオンは別れ際にこう言ったのだ。
「必ずお前に追いつく。…どちらが上かはその時決闘で決めよう。」
「…分かった。」
そして、メテオニスは宇宙へと飛び出し、遠い次元のこの星―――地球へと流星となってたどり着いた。
最初に目に入ったのは何処か鬱屈を抱えたような、すごいものを見た好奇心のような、そんな奇妙な感情のこもった視線がメテオニス達ドライトロンに注がれる。
流石に歯の妖精だったり、近くにある車をスキャンして変形するんじゃないかとかそんな興味が入り混じった視線になった時はさしものメテオニス達もほんの少しばかり引いていたが。
余りにも好奇の目線に晒されたせいか、なんというか物凄く居心地が悪くなったドライトロンたち。
なんとはなしに空を飛んで逃走を図る。
が。
その前にメテオニス達に興味津々な視線を送る者が立ちはだかった。
そう。
その少年こそ、後にメテオニス達のマスターとなる者―――龍牙流星その人だったのである。
「ねー、僕は流星っていうんだ?君たちはお星さまなのー?」
まだ幼い、流星と名乗った少年は幼子特有の警戒心の無さとコミュ力の高さで、ドライトロンたちに友愛のこもった視線を送る。
その視線が妙にくすぐったくて、ふいに目を逸らすとそのまま飛び去ってしまった。
「あー…行っちゃった。」
その様子を呆けた様子で眺め続けた流星。
意外と再会するときは近いという事をこの二人はまだ知る由は無い。
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そんな二人の出会いから早数日。
流星は一人寂しく川の土手を歩いていた。
河川敷では同じクラスの生徒たちが決闘に興じているが、今、流星の手元には戦えるデッキが無い。
儀式召喚を愛用していた流星は調子に乗ってクラスのガキ大将をボコボコにしてしまったのだ。
そもそもの話、小学生のデッキはほとんどが【グッドスタッフ】と呼ばれる強いカードの寄せ集めだ。
その中で偶々流星は【デミスルイン】を作り上げてしまった。
デミスとルインの豪快な能力によってどんどん敵を消し飛ばしていく【デミスルイン】にコンボも何もあったもんではない【グッドスタッフ】が勝てるわけなく。
同級生どころか同じ小学校内では流星に勝てる決闘者など存在するはずが無かった。
だが、クラスのガキ大将はそれを快く思わなかったのか、兄に協力を仰いだ。
そして、流星はクラスのガキ大将の兄が使うデッキ―――通称【八咫ロック】にボコボコにされ、その挙句にデッキを奪われてしまった。
この世界にも余りにも強すぎるカード群を規制するルールはあるもののそれはあくまで公式の決闘のみ。
つまるところ流星は嵌められたのだ。
そしてそのままガキ大将に【デミスルイン】は奪われてしまい、以降はそのガキ大将が扱うデッキとなった。
「…あーあ…取られちゃったなぁ。」
自分が必死の思いで組み上げたデッキを誰かに取られることがここまで悔しいとは思っても居なかった。
だが、何よりも悔しいのは相手の禁止カードや制限カードを詰め込んだだけのようなデッキに惨敗を喫してしまった事だった。
今の流星には儀式召喚しか考えられない。
だが、肝心の儀式モンスターが"虚竜魔王アモルファクター
一言で言えば、儀式召喚を行おうにもできない。そんな状態だった。
かと言って今更別の召喚法に切り替えるなんてことは儀式に対する裏切りだと思っていた流星。
なんとはなしに以前遭遇した機龍達を探してみることにした。
なんか行ける気がする。
流星はひそかにそう思っていた。
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落ち着ける場所を探して空を飛ぶメテオニスは夜空を見上げる視線に気が付いていた。
そう。
その視線の主はあの時の少年だった。
何故分かるのだろうか。
天性の勘か何かを備えているとしか思えない。
とうとう根負けしたメテオニスはかの視線の持ち主である少年の下へと向かう。
「…あ。」
「…以前ほどの元気はないようだな。」
「…開口一番にそれを言うんだね…。ただ、僕が弱くてデッキが奪われただけだよ…。」
少年は沈んだ声を絞り出した。
ただただ自分が弱かったからだ、と。
話を聞くに、少年はどうやら相手のデッキを舐めて負け、そのままデッキを奪われてしまったらしい。
それを聞き、メテオニスは何とも複雑そうな顔をして考え込んでいる少年の頬をそっと撫でた。
「…なら、私が力を貸してやろうか…?」
「え…?」
少年の瞳に光が灯る。
そして、少年は顔を上げるととてもいい笑顔で、こう言ってきたのだ。
「本当にッ!?」
「ああ。私に二言は無い。」
そういうと、メテオニスは少年に―――流星にそっと手を差し出す。
不思議そうにその手を眺めていた流星であったが、ふとその手を取る。
この時点で二人は主人と精霊という関係になったのだ。
その後は【デミスルイン】を用いるガキ大将と、その兄をドライトロンの圧倒的パワーで消し炭にして誇りを取り戻し、なんやかんやあって最高の信頼できるパートナー同士になったというわけだ。
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こうやってメテオニスと念話を通して、過去を振り返ってみたがどうにもこうにも理由が思い浮かばない。
そもそもの話、ベアルクティとドライトロンは―――今、目の前で争っている二人は元居た星でも仲が良かったはずだ。それなのに、何故、こんなにも喧嘩しているのか―――。
「貴様ぁ!私が!いない間に!よくも!信頼できるパートナーなど!作りおって!」
そう、セプテン=トリオンは叫ぶ。
「…貴様…!?もしかして…!嫉妬しているのではなかろうな!?」
「その通りだッ!」
「認めちゃったよこの人ォ!?」
原因はまさかのただの嫉妬だった。
なんと目の前のベアルクティ―――セプテン=トリオンは自分たちが居ない間に自分というマスターと契約していたことに嫉妬していたらしい。
だからといって嫉妬心でここまでなるか…?と流星は思ったがこれくらいが日常の喧嘩らしい。
どうやら彼らの日常は自分たち人間にとっては非常識なことばかりらしい。
もちろん、そんな非常識に巻き込まれてはたまらない存在だっているだろう。
例えば――――
「あぁもう!せっかくの拠点が台無しになったじゃない!」
例えば、彼女たちみたいにせっかくの拠点を台無しにされた者達とかである。
「いや、どういうことなの…?」
最早訳が分からない。
とりあえず、メテオニス達に声を掛けて撤退を図ろうとしたのだが。
「アンタ達も同罪!まとめてしばいたげるわ!」
この理不尽である。
いや、彼女たちからしたらいきなり拠点を破壊されたのだからこれを理不尽というのもまた違うのだろうか。
何はともあれ、ドライトロンVSベアルクティVS二人組という三つ巴の戦いが幕を開けようとしていた。
はい。カオス回に突入します。
今回は流星君とメテオニスの過去回です。
登場人物紹介
・龍牙流星
使用デッキは【デミスルイン】→【ドライトロン】。
儀式ジャンキー。最近アモルファクターPを使って、ガチロックを仕掛けるデッキを開発した。相手は死ぬ。
・メテオニス
地球の人たちに某TFと間違えられた。
ダークサイドムーンっておもしろいよね。
・セプテン=トリオン
嫉妬。
・二人組
拠点をぶっ壊された。「ゆ゛る゛さ゛ん゛!」
次回はまた二週間後くらいになります。
水樹君のデッキ強化
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ネクロス
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リチュア