「全員まとめてしばいたげるわ!」
「…サニー。落ち着いて下さい。…気持ちは分かりますが。」
廃ビルの屋上―――流星がぼうっとスーパーロボット大戦を眺めている最中にその二人はやってきた。
そしてそう言うや否やセプテン=トリオンを蹴り飛ばしたのだ。
「!?」
「…アイエエエ!?」
その闖入者は一撃で遥か彼方までセプテン=トリオンを蹴っ飛ばすと、追い打ちを掛けるようにセプテン=トリオンの行く先へと先回り。
そのまま天へと蹴り上げる。
「…もう駄目だぁ…おしまいだぁ…。」
「ええい!なんなのだあの二人は!?」
重量に換算すれば数百トンはくだらないであろうセプテン=トリオンを蹴り飛ばしたことから少なくとも精霊の類であることは分かる。
おまけに相当に場数を踏んでいることは容易に想像できる。
場数を踏んでいなければあんな動きは出来はしない。
おまけに彼女たちは「拠点」を壊されたと言っていた。
そして「まとめてしばく」とも。
「メテオニス!逃げ―――!」
「アンタがこの竜のマスターかぁぁああぁぁぁ!」
つまり、それはその殺気がこっちに向くわけで。
「…ちょッ!ええ!?ウソでしょ!?」
「嘘じゃないわよ!天!誅!」
気づけば流星は全力でその場を撤退していた。
が、相手は精霊。しかもメテオニスとタメを張るセプテン=トリオンを一撃で葬るような手練れ。
いくら化け物じみた身体能力をもつ流星でも流石に徒手空拳で勝てるような相手ではないのは明白だった。
というか捕まったら嫌な予感しかしない。
「…こうなったら!」
流星は覚悟を決めると追ってくる二人に対して、奥ゆかしい和の心の一つである土下座を披露した。
その土下座は余りにも美しく流麗で、あらゆるものの思考を一瞬止める。
しかし、あらゆる動きが静止したその中で流星は土下座の姿勢を取り続けた。
その所作には隠し切れないほどの気品が溢れている。
その背中は月明かりに照らされ、宝石の如く輝いていた。
「…なっ…?」
その行為は今しがた戻ってきたセプテン=トリオンの目にも入った。
そう。
二人組も、メテオニスも、セプテン=トリオンもその行為がどういう意味をもつかだなんて分かりきっている。
その行為の意味の持つところは―――謝罪だ。
しかも最も屈辱的な意味合いをもつのがこの土下座という姿勢なのだ。
セプテン=トリオンはその行為が自分たちが起こした戦闘のせいであるという事を悟っていた。
もちろん、二人には土下座をした流星をボコボコにするという選択肢だってあったはずだ。
そもそもそう簡単に頭を下げるなとも説教できたはずだ。
それなのに、彼の放つ無意識の「凄み」によって彼に手出しすることそのものが行ってはならない行為である気がしたのだ。
それほどまでに流星の土下座は美しく、綺麗だった。
「…はぁ、まぁいいわ。一応言い分だけは聞いてあげる。」
その凄みの圧にとうとう根負けしたのか一応、彼女の怒りはある程度沈んだようであった。
どのみち納得させなければ命の一つもないのだ。
「えーと…俺の精霊にあそこにいるベアルクティが喧嘩を吹っ掛けてきて…。」
「何?じゃあ、アンタ達は応戦してただけ?」
「うん。…そうなる、ね。止められなかった俺も悪いんだけどさ。」
そう言うと頭をポリポリとかきながら上体を起こす流星。
なんか上手いこと嵌められた気がするセプテン=トリオンは納得がいかないようであった。
だがいくらおかしいと思ってももう遅い。
完全に流星の言葉に乗せられた二人はセプテン=トリオンに凄まじい視線を向けた。
ついさっき一通りボコボコにしたはずなのに苛立ちは収まっていないように見える。
「…歯ァ食いしばれ!この駄熊ァ!」
ちんまい方がそんな大声をあげた瞬間。
セプテン=トリオンは本日二度目の紐無し逆バンジーを味わうことになる。
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サニーとルーナはこの先どうしようかと考えていた。
別によく考えてみればどんな手段を使ってもキスキル達を越えると言ったが流石にあの方法では越えられる気がしない。
あの時の自分達は相当焦っていたのだと気づかされてしまった。
だがもうそれは終わったことだ。
過去の事をうだうだ考えたところでキスキル達を越えることなんて出来ないのだ。
「…でもどうしよう…越える手段がさっぱり思い付かないわ…!」
「それはサニーのおつむが残念だからじゃない?」
「ルーナ?それ私の事を馬鹿にしているでしょ!?」
「だって馬鹿みたいにアバター盛ってるじゃん。」
「成長したらああなるのよ!」
「成長期終わっているのに?」
「まだ!終わってないわよ!」
今のサニーとルーナは怪盗団のトップと部下ではなく、ただの友人同士だ。だからルーナの物言いは容赦なくサニーの心にダメージを与える。
気の置けない関係である二人は互いの事を理解しながらも互いを煽り倒すのだ。
―――まあ、スタイルの話になると大体ルーナの独壇場となるのだが。
そんな日常を過ごしていると途端に地面が揺れた。
「ッ!?」
それと同時に聞こえ始める破壊音。
何か嫌な予感を覚えたサニーとルーナは急いで拠点としている廃ビルの地下室から脱出。
その直後に
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!?」
「悲鳴が汚いわよ、サニー…。気持ちはわかるけれども…ね。」
地下暮らしでこそあったが今までの拠点が結構お気に入りだったサニーは拠点が破壊されてしまったことに汚い高音で悲鳴をあげた。
それでもまだ地下室は無事だと思おうとしていた。
が、ここで追い討ちをかけるように機械の竜が天井を踏み抜き、完全に拠点が瓦礫の底に埋まってしまったのだ。
「……ルーナ。近くにマスターが居るわ。あの機械をどちらか黙らせてからシバきに行くわよ。」
「もちろん。…行きましょう、サニー。」
そして、「怪盗」として動き出したサニーとルーナはとりあえず視界に入ったセプテン=トリオンに
その人物はビルの屋上に居るようで、数十発くらいの拳骨と少しの嫌味を言ってやろうとその者の下へと向かった。
その人物は自分達を認めると機械の竜を伴い逃げ出そうとして―――逃げられないと悟ったのか綺麗な土下座を披露。その姿に毒気を抜かれたサニーとルーナは互いに顔を見合わせると「まあ、言い訳くらいは聞いてやろう」という考えにはなった。
そして、話を聞いた二人がとった行動。
それはセプテン=トリオン
そもそもセプテン=トリオンが暴れなければ自分たちの拠点がボロボロにされることは無かった。
とりあえず、直接の原因となったセプテン=トリオンのせいにしとけば何も問題は無いのだ。それこそ今までの鬱憤を晴らすためのサンドバッグにしても、だ。
流石にそこまではひどくないがもう一度蹴っ飛ばすくらいならいいだろう。
そういう考えでサニーは再びセプテン=トリオンを全力で蹴っ飛ばしたのだ。
「たーまやー」
そう呟いたのは誰だったか。
そして空には季節外れの
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旧市街地方面で起きた爆発。それは霊使や克喜、奈楽達の目にも入っていた。
もちろん咲姫や結にもその爆発は届いていたのだ。
これを緊急事態だと判断した者たちは急いで旧市街地に向かう。
もちろん一番最初に旧市街地にたどり着いたのは霊使一行だった。
空から「イヤッッホォォォオオォオウ!」なんて言いながら降りてきた霊使には流石に白い目が向けられることなったが。
続いて結とキスキル達が、その後に咲姫とクーリアたちが、最後にフレシアの蔦に乗り合わせて克喜と奈落、そしてウィッチクラフトと蟲惑魔達がやってきた。
「で?どういうことか説明してもらえるかい?二人とも」
キスキル達は呆れたような視線をサニーとルーナに向ける。
「こっちに来てから拠点を構えたのよ。そしたらそこで伸びてる駄熊のせいで拠点が破壊されたのよ。だからむしゃくしゃしてやった。反省も後悔もしていないわ!」
「…あー。それは…なんだ。怪盗という生業やらせてもらってる身から言わせてもらうとあっちで伸びてるのが
が、その視線は一瞬で同情の物に変わった。
キスキル達もなんやかんやで彼女達の事は手の付けられない後輩ではなく、一人の―――一組のライバルとして認めていたのだ。なんなら他人を罠にかけたり、トリックで惑わせたりと言った点では自分達よりも上だ。
しかし、そんな彼女達の仕込んだ道具も、今までの成果も全てがれきの底に埋まったのだ。
それは一組の怪盗が廃業せざるを得ない―――生業を奪われたのと同義なのだ。
「で、どうする?―――行くとこないなら家来る?」
そんな申し出をしたのは結だ。
キスキル達との因縁なんぞ知らない結はサニーとルーナに手を差し伸べる。
久しぶりの善意に心を動かされたサニーとルーナはその申し出を受けることにした。
「…なら、お願いしようかしら。」
「そうですね。…お願いします、マスター。」
そう言って二人は優しく微笑んだ。
一方、今しがたボコボコにされたセプテン=トリオンはというと、記憶がないと言い始めたのだ。
「何をバカな…。」
メテオニスは何を言っているのかわからなかった。
嫉妬で襲い掛かってきたのは誰だったか。
が、当の本人には当時の記憶は全くなさそうだったのだ。
「どれ、メモリーでも…」
だが
だが。
記憶領域に本当ににその記録が残ってなかったのだ。
「私は一体…?」
「…宇宙嵐にでもやられて回路が一時的なバグを起こしたのだろう…。」
「そうか…迷惑をかけたな、メテオニス…。」
そうして、とりあえずは解決を見たこの事件。
しかしながら、旧市街は完全に廃墟になってしまったのである―――。
VSダークライ
登場人物紹介
・サニーとルーナ
結たちに合流
・メテオニス
バグってたらしい。
今回はギャグ回なのであまり細かいことは気にしないでください。
取り敢えずギャグ担当の扱いが分かってきたかと思います。
水樹君のデッキ強化
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