『…どうです?創星神様をよびだすための
『ええ。雇いの怪盗である程度は集められました。…彼女らはよくやってくれましたよ。おかげでそのほかの触媒を"保護"の名目の下に集める事が出来ました。』
そう二人の男はほくそ笑む。
一人は深い皴を眉間に湛えた老人、もう一人は引き締まった体をした中年の男だ。
「創星神」の復活のために協力している二人は、誰が聞いているか分からないとして筆談で会話を交わしていた。
『全く…貴方の権力はとんでもないものですな…。』
『あくまでも行政上の立場や国とのパイプを上手いこと使ってるだけですから。それにボロがでれば処分は免れませんしね。』
『…この秘密を知る者は多くは無いでしょうな。…まさか貴方が裏で一連の騒動の糸を引いてるとは思いますまい。』
『…さて、ね。』
二人の計画は順調に進んでいた。
だが、どうにもこうにもここで詰まってしまっている。
創星神の遺したものを集めそれを触媒にして再び創星神を顕現させるには巫女の力が必要だ。その巫女も永い間神官を排出し続けるガスタの巫女である必要があるのだ。巫女についてもおおよその目星はついているが、未だ確証が得られないといった状況だ。
『…あの愚息が斯様な働きをしてくれるとは思いもしませんでしたよ。』
『愚息…ああ、霊使君ですか。』
『まさかあやつが連れていた女が巫女と同等の存在であるとはな…。それがもっと早く分かっていたなら奴を四道に縛り続けたままにしていたのだが。おまけに今代のガスタの巫女も確認できた。…しかもこの二人は姉妹だという。…これで計画の成功率も上がった訳です…。』
そう書くと老人はくつくつと笑う。
その笑いは余りにも汚く、下卑たものであった。
『貴方の事だ…。霊使君の精霊が巫女たる力に目覚めるまで泳がせていたんでしょう…?―――
そう書くと男はライターを用いて紙を燃やした。
この話は誰にもばれてはいけないのだ。
そして、確実に筆談を行った紙の処分を確認すると老人―――安雁は一枚のカードを取り出した。
そこから新しい紙を引っ張り出すと、これからやるべきことを書き連ねていく。
『これから我らが行うのは創星神様の配下であり、"影"である"
『影の人形?』
『ええ。創星神様の意思で動く生きた人形。それがシャドール。この世界で作るなら原材料は生きた精霊となりますな。』
『つまり―――我々がすべきことはガスタの巫女かその妹の持つ力で創星神様の復活を行うということですね。』
『うむ。後は儀式に使った方をそのままシャドール化すればいいでしょう。』
こうして誰にも気づかれる事無く邪悪はその牙を研ぐ。
今を生きる若者たちにもその牙は容赦なく向けられるのだ。
それがこの世に蔓延る邪悪というものだから。
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「いやー。ごめんねー。お父さん急に用事が入ったいうからさー。」
「俺としてはなんで奈楽が俺んちに来たのかを小一時間問い詰めたいところだけどな。」
星神奈楽は今、霊使の家に遊びに来ていた。
というのも父の旧友が家に遊びに来るらしく、色々と込み入った話をするらしい。
聞かれてマズイというわけでもないが、少しばかり黒い話をするそうだ。
癒着でも何でもない黒い話と聞いて真っ先に思い浮かんだのは創星神の事なのだろうか。
いや、さすがにないだろう。
そう奈楽は考えて、その思考を切り捨てた。
「…で?なんで俺ん
「…色々とアドバイスを貰おうと思って…?」
てへへと笑う奈楽。
「…奈楽…お前…そんな顔できたんだな…。」
「…そりゃ、感情の一つ位あるからねぇ。…機械じゃあるまいし?」
そういうと、頬を赤く染めた奈楽は恥ずかしそうに頬を掻いた。
なんというか、今の奈楽はこの前の奈楽よりもずっと強くなっている気がする。
「…そうだ。どうせだし、決闘やろうよ!」
「望むところだ!…でもちょっと待って。今、煮っころがしを作ってるから。」
「何故に煮っころがし…?」
その疑問は些か当然の物だったと思う。
何故、霊使が煮っころがしを作っているのか。
それは霊使いにも分からないのだから。
そして、手早くジャガイモの煮っころがしを完成させた霊使は奈楽の対面に座りデッキを取り出した。
「おまたせ。…じゃあ、決闘しようか。」
「うん。強くなった蟲惑魔の力を見せてあげるよ!」
「…強くなったのは俺もなんだぜ?…じゃあやるか!」
そして少年たちは無邪気に決闘を始める。
二人にとっては決闘こそがもう一つの言語で、思いの伝え方であるからだ。
「ふふっ…じゃあ僕のターンだね。僕は、カードを一枚伏せて"ジーナ"をジーナ自身の効果で特殊召喚しようかな…」
そして奈楽と霊使は互いに満足するまで決闘を行い続けたのだった。
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「あー勝てなかったかー…」
「この俺に破壊で対抗しようなど十年早いんじゃないか?」
結論から言うと最後の一回で完全にフレシア達の心が折れた。
というか奈楽の心も折れた。
霊使に先攻を取られた結果"I:Pマスカレーナ"と"
より具体的に言うならば自分のターンに召喚したはずのフレシアを"マスカレーナ"の効果と"クルヌギアス"の効果で
おまけに残ったクルヌギアスは効果で破壊されず、憑依連携でウィンまで復活して改めて召喚しても"大霊術―「一輪」"で能力を無効にされるのだ。
むしろここまで強烈なロックを掛けられて心が折れない方がおかしい。
「というか俺のデッキと奈楽の蟲惑魔は相性最悪だろ…。」
「確かに…ね…」
なんかどんどん萎びていく奈楽。
心なしか、生態がどんどん蟲惑魔寄りになっていっている気がする。
「おーい、萎びてるけど大丈夫かー?」
「大丈夫だよー。あとフレシア力持って行き過ぎ―…」
「…だって…」
だが、奈楽以上に萎びている存在が居た。
フレシアである。
連敗が予想以上に堪えたのか頭部のラフレシアが干からびていた。
そっちが本体だったのか。
まさに今明かされた衝撃の真実である。
「…一応言っときますけど…頭の花は……タンクなんですよ…?本体じゃ…ありませんからね…?」
「…なん…だと…?」
どのみち衝撃の真実だった。
「…それにしても…。」
「んぁ?どうした?」
「大所帯になったよね霊使君のとこはさ。もとから四人も女の子の精霊を連れてる時点で僕と同類だとは思ってたけどさ。ほら、君は"霊使い"達のマスターだろ?」
「…?何が言いたい?」
霊使は奈楽が何を言わんとしてるかさっぱり分からなかった。
「いや、新しく加入した子も女の子だったじゃん?ハーレムでも作るのかなーって」
「よし、殴ろう」
霊使はそんなことをあっけからんと言ってのける奈楽にほんの少しだけ殺意が湧いた。
確かに奈楽の言う通り、霊使が今まで契約を交わしてきた精霊はほとんどが少女だった。
だが、唯一の少年であるダルクと共に割と肩身の狭い思いをしてきたものである。
だいたい洗濯するときは誰が誰の物かごちゃごちゃにならないように女物は女物で、男物は男物でまとめて洗っているのだがそもそもの量が違う。
おまけに女子たちでまとまって話し始めるとその場にいては邪魔な男たちはさっさと退散させられるのである。
つまるところハーレムなんて望むやつらの気持ちが霊使には分からないのだ。
(…まあ、もっともな理由は
だが、今の霊使は良くも悪くもウィン一筋だ。
だからこそハーレムなど望むべくもないのだ。
たった一人でも自身が心の底から愛せる存在を得たが故に。
故に少年は最も強く最も弱いのだ。
「…まぁ、もし。ウィンが、皆が狙われたんなら―――そいつにゃ俺の持てる全てで地獄にでも行ってもらうかな。」
「霊使君。顔、顔!」
「…あれが般若というものなのですね…。」
元々笑顔は攻撃云々だったか。
取り敢えず霊使の前ではウィンに絶対に手を出さない様にしようと改めて固く誓った奈楽であった。
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『そういえば。』
同時刻。
安雁は帰り際にふと思い出したように紙に書いた。
『シャドール化に失敗した物の魂がこの辺りをうろついているそうですぞ?』
『既にシャドール化は試していたのですね?』
『うんむ…芳しい結果とは言えませんがな。』
二人はその後二、三言葉を交わすとそのまま別れた。
帰り際、安雁は神を引っ張り出したカードとはまた別のカードに向かって一枚の紙を放る。
その紙はカードに呑みかまれると同時に返答が書かれた紙を持ってきた。
それは四道が何かしらの連絡を行うために用いるもの。
(…霊使よ。貴様のような弱者に生き残る術はないぞ。)
安雁は心の中でほくそ笑む。
そんなとき不意に風に吹かれ、一枚の紙が舞った。
「ぬぅ…。」
その紙はひらひらと舞い、空の彼方へと消えた。
が、別にばれても大したことではないと割り切り、家への帰路を急いだ。
―――「四遊霊使を
その紙は誰にも届くことなく、ゆっくりとドブ川へと落ちていく。
いつだって、新たな始まりは唐突に訪れるものなのだから。
「…霊使君が狙われる…?」
ドブ川に沈む前にその紙の存在を認知したものが一人。
星神奈楽。
これから始まるのは霊使の命を懸けた―――闇のゲーム。
星神奈楽もまた、四道と霊使の因縁に巻き込まれることとなるのであった
登場人物紹介
・四道安雁
外道。吐き気を催す邪悪。
徹底的なまでの決闘主義者。
・???
霊使達が住む町の重要な地位にいる人物。
・霊使・奈楽
二人で決闘しまくった。
やっぱディープ・リンク・マインドには驚いたらしい。
そろそろ本編も50話なんですが…ストーリーは未だ中盤位ですかね。
…あとまた主人公君には試練が降りかかります。霊使はもう泣いてもいいと思う
水樹君のデッキ強化
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ネクロス
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リチュア