「相棒」   作:ダンちゃん1号

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新たな力

「やってみせろよ、ウィン!」

「なんとでもなるはずだ!」

「使い魔の同時使役だって!?」

 

なんだかかぼちゃマスクが踊っていそうなこの状況。

ウィンは霊使を救うために自身の力を見つめなおしていた。

そんな折にウィンダールから提案されたのが「使い魔の同時使役」というものだった。

 

確かに今までに何度か同時使役を試したことがある。

だがそのほとんど全てはうまく行かずに使い魔たちに多大な負担をかけてしまうだけだった。

どうしたら上手くいくのか考えても全く答えが見つからない。

ほぼ机上の空論と言っても差し支えないものだったろう。

 

「ウィン。お前は―――新たな使い魔を連れているだろう。…そして、恐らくだが使い魔の同時使役は出来ていないのだろう?」

「まぁ、ね。」

 

ウィンダールには何かこの状況を脱するための策がウィンダールにあるのか、と思ってしまう。

頭の何処かでは同時使役を行った事が無いウィンダールのアドバイスに期待していない自分も居た。

 

「ふむ…ウィンはどういう形で使い魔たちに力のパスを繋げてる?」

「大体50:50くらいだけど…。」

「…なるほどな。なら、そこから少しずつ力のパスの配分を変えてみたらどうだ?」

 

思い返せばずっと同じ配分にこだわり過ぎていた気がする。

確かにそれぞれが求める配分は違うのだ。

そんな簡単な事にも気づけなかったのか・

どうやらこういうことは誰かに見てもらった方が良かったのかもしれない。

そして、この制御がうまく行ったのなら新たな力が生まれる―――かもしれない。

 

二つの事を思いながらゆっくりと力の配分を変えていく。

安定する配分を探して―――

 

(見つけた…!)

 

割と早く見つけることができた。

この配分さえ覚える事が出来れば少しは使い魔たちの負担も減るというものだ。

 

それと同時にウィンの中には何か新しい力の息吹が吹き荒れ始めた。

その力の行き先にウィンは心当たりがある。

 

(…あー…なるほど。あのカードは使い魔の同時使役が必要だったか…。)

 

ウィンは霊使と過ごした中のとある一日を思い返していた。

 

 

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それは霊使とウィンが出会ってから数週間後の事だった。

 

「…反応しない?」

「ああ。なんというか未だ"未完成"みたいな感じがするんだよなこのカード。」

 

霊使はウィンに一枚のカードを見せていた。

そのカードは色が抜けていて明らかに使える状態ではなかったのだが。

それでも問題は以前はそのカードに色がついていたという事だろう。

 

絵柄とかはしかと判別できるのに白と黒のみのモノトーンとなったカード。

少なくともカード名称は辛うじて読み取れるし、幸いな事に霊使はこのカードの名称を知っていた。

 

「たしかこのカード…"風霊媒師ウィン"だったはずだ。でもなんで使えないんだろ。」

「分からない。…でも前までは色が抜け落ちて無かったんだよね?」

「ああ。それは確かだ。」

 

そのことは霊使もしっかりと覚えている。

少なくとも霊使がこの霊使いのデッキを拾った時は確かに色がついていた。

デュエルディスクに反応したかどうかはともかく、今のような状態ではなかったのは確かだ。

だからこのカードの精霊でもあるウィンに聞いてみたのだが芳しい答えは得られなかった。

 

「…どうすればいいんだろ、これ。」

「まぁ、今の霊使のデッキにはシナジー少ないし投入しなくてもいいんじゃない?」

「ウィンはそれでいいのか?」

「大丈夫、問題ないよ。」

 

結局その後も霊媒師の謎は分からず―――。

気づけばウィンも霊使もすっかりその事を忘れてしまっていたのだった。

 

 

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「―――いやーまさか今になって霊媒師としての力を自覚するとは。」

 

まさかあの時出なかった答えがこんな簡単に出るとは思ってもいなかった。

だがよくよく考えればそもそも使い魔の同時使役を試したきっかけも霊媒師の存在が頭によぎったから―――だった気がするがよくわからない。

 

「…はぁ。」

 

相も変わらず自分の半身が無くなってしまったかのような感覚は残っている。

それでも、多少の無茶は押し通さなければ。

霊使を救いたいという願いが今もウィンを蝕んでいる。

 

(もっと早くに気づけていたら…)

 

そんな事をふと、考えてしまった。

もしもっと早くにこの力の使い方にたどり着けていたら。

もし、もっと早くにウィンダールに教えを受けていたのなら。

そもそも、もし自分がガスタから出奔しなければ。

 

(違う、そうじゃないでしょ!)

 

最近どうしても考え方が後ろむきになってしまっている。

霊使がいなくなってからというもの、あまり楽観的な考えはしなくなった。

それが精神的負担から来るものなのかははっきりとしないが。

ただ、少なくとも今のウィンと過去のウィンは明らかに違う。

 

ガスタの里にてウィンは一人牙を研ぐ。

ウィンの中にたまるどす黒い感情に蓋をしながら、ウィンは霊使の救出を待った。

 

 

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「…やべぇよ…。」

 

霊使が見つかるまで再び休校となった学校。

最近、霊使を含め行方不明者が続発しているらしい。

そのせいかどうかは知らないが無事、テストも延期となり。

そして、今、克喜はただ一人、路地裏に居た。

 

目の前には雨に濡れる霊使。

その目は半分意識があるようで、それでもないようなよく分からないものだった。

だがこのタイミングで会うとは互いに運の無い。

すくなくともここで克喜が勝てば霊使を縛るなりなんなりして、拘束してしまえばいい。

だが、生憎、縛るための物は何も用意してないし、そもそも親友を縛る気にもなれない。

 

「なんでお前がここに居る…?」

「なんで、ですか…。…なんででしょうね。」

 

本人にも分からない。

それなのに、彼はこの路地裏に居た。

話を聞く限りではこの路地裏で霊使ろウィン達は出会ったらしい。

 

「私の中の誰かの記憶が、この景色を映し出していたので。」

「それは―――」

 

四遊霊使の記憶が四道霊使の行動に影響を与えているのだろうか。

それは本人にしか分からない事だろう。

だが、もしかしたら。

霊使の記憶が残っている以上、今の自分たちが知っている霊使の人格もどこかに眠っているはずだ。

 

「…ここで決着をつけてもいいんですが、生憎今、デッキを持ち合わせてないのですよ。」

 

そうぼやく彼は二、三歩ほど克喜に歩み寄る。

手を伸ばせば届きそうな、それでいて届かない絶妙な距離。

 

「そうですね…では私から一つ提案を。―――今週末はお暇でしょうか?」

 

その提案は、今の克喜達にとって渡りに船な内容だった。

だが、皆にもこの事を話しておきたい。

そう言えば彼は快く快諾してくれた。

「悔いのないように」とは彼の弁だ。

つまりそれは暗に自分達に負けないという事を言っている。

克喜は絶対にその鼻をへし折る事を決意してその場を後にした。

 

 

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(私はなぜあんなことを…?)

 

自分の中にあるこの訳の分からないものがこんなに自分に影響を与えているなどと。

四道霊使は思いもしていなかった。

人目のないあそこならば人間一人消すことなど容易いはずなのに。

それなのになぜ自分はあの人間との会話を行ったのだろうか。

 

(まさか…まだ居るとでもいうのでしょうか…?)

 

まさか自分の中にあの人格が眠っているとでもいうのだろうか?

 

(まさかそんなことは―――)

 

あの父上の事だ。そんな愚行を侵すとは思えないのだが。

それでもほんの少しの疑問はシミとなって四道霊使の中に残る。

 

【…おれ、は…】

 

微かに聞こえた声を聞こえないふりをして。

四道霊使は路地裏から去った。




登場人物紹介

・ウィン
霊媒師としての力に目覚めた

・ウィンダール
・ウィンダ
ウィンに使い魔同時使役のコツを授けた

・九条克喜
四道霊使と出会った。

・四道霊使
九条克喜に「ある提案」をした

・四遊霊使
まだ意識は奥底に


といわけで今回は最初の話以降触れられていなかった風霊媒師ウィンのフラグを回収しました。
ところで、この作品の名前を変えようと思うんですが…それで少しアンケートとってもいいんですかね?これ…
取ります!

水樹君のデッキ強化

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