流星は今までドライトロンに他の儀式モンスターを組み込むことはしなかった。
何故ならドライトロンの中核を為す儀式魔法―――"
もちろんそれはただの思い込みだ。
このカードの真髄は別にあったのだ。
その事に気づいた流星は手持ちのカードを使って悪さできないかと考えた。
その結果が、このデッキである。
一応一人回しをしてデッキが回るかどうかは確認してあるのでよっぽどの事が無い限り大丈夫だろうと感じていた。
だが、慢心は負けに直結するのがデュエルモンスターズというモノだ。
「ドライトロンは新生した…。貴方に何もさせずに倒すとここで宣言します。」
「…面白い事を言ってくれるじゃない。」
この戦いは友人である四遊霊使を救うための物だ。
故に過程や方法など気にしている場合ではない。
そんな事を気にしては勝てない。
確かにデュエルの後味というのは大切だろう。
だが、今この場においてそれは重要なものではないのだ。
今一番大事な事は目の前の敵を粉砕する事ただ一つ。
「先攻を頂いてもよろしいですか?」
「ええ、どうぞ?」
彼の言う「ゲーム」は勝利条件が実質三連勝という事もあって常にこちらが先攻というルールがあるようだ。
それは彼らの精神から来るものなのか知らないが―――。
随分と舐めた真似をしてくれる。
メテオニスも、流星もその裏に隠された意図をいとも容易く読み取っていた。
「勝てるわけが無いだろう」
と。
その思いは隠しきれておらず、むしろこちらを苛立たせる目的まであるんじゃないかとまで疑う物だった。
ならば望みどおりに暴れてやろう。
その決意と共に流星はデッキの上から五枚のカードを引いた。
「俺のターン…。俺は手札から"
まばゆい輝きの中から現れたのは機械の竜。
この竜たちは姿を変え、魂を受け継いでいく。
「俺は自分フィールド上の"バンα"をリリースして"竜輝巧―ルタ
「…確かに儀式モンスターね。」
「では、デッキから一枚ドローします。…さらに手札の"サイバーエンジェル・弁天"をコストに"
流星は一息でデッキを回していく。
初手に"アモルファクター
おかげで文字通り相手に何もさせずに勝つことが出来そうだったから。
「これで最後です。儀式魔法"
二機の機竜が蒼穹へと飛翔する。
二機の魂が流星となり、地面へと突き刺さった。
そして大地を揺らす轟音と共に今まで雲一つない晴天だった空が黒く染まる。
―――これは、流星の切り札の"竜儀巧"ではない。もっと異質な何かだ。
普段の流星を知る者は普段彼が使っているカードではないことを悟っただろう。
もしメテオニスを表の切り札というならばこれから召喚するカードはいざという時のもう一つの切り札―――裏の切り札とでも呼ぶべき一枚だ。
「荒ぶる竜たちを従えし王よ、全ての望みを虚無へと還せ!儀式召喚!」
流星が一枚のカードを高く掲げればそれに呼応するように一体のモンスターが姿を現した。
「降誕せよ…!"虚竜魔王アモルファクター
「なんですって…!?」
流星のもう一枚の切り札。それは今まで他の手札コスト要員かと思われていた"虚竜魔王アモルファクターP"だったのだ。
「そんな…そのモンスターには専用の儀式魔法が―――"アモルファス
「ぷっ…。」
余りにも荒唐無稽な儀式モンスターの召喚にさすがの四道真子も悲鳴を上げた。
だってそうだろう。
専用の儀式魔法でもないのにいきなり強力なロック効果を持った儀式モンスターが現れたら。
「"流星輝巧群"は儀式の生贄を機械族にする縛りこそあれ、儀式召喚する儀式モンスターには何一つ制限がないんですよ。攻撃力0の儀式モンスター以外なら手札、墓地から儀式召喚できます。」
「インチキ効果も大概にしなさいよ!」
どの口がそれを言うか。
真子が使う【呪眼】だってインチキ効果を持つ装備魔法―――"セレンの呪眼"があるだろうに。
とにかく、この決闘をさっさと終わらせるために
「…"虚竜魔王アモルファクター
「そんな…!?」
これでは手札誘発を抱えていなければ何もできないではないか。
ここまで、流星の宣言通りに事が進んだと思うと背筋に何かうすら寒い物が走った。
だが、そんな事を気にせず流星はデッキを回し続ける。
「…さらに二枚目の"サイバーエンジェル・弁天"をリリースして墓地の"竜輝巧―バンα"を自身の効果で特殊召喚。もちろん守備表示で、ですね。そして"バンα"と"弁天"の効果でチェーンを組みます。"バンα"の効果で儀式モンスターである"
流星 LP8000
フィールド 虚竜魔王アモルファクター
フィールド魔法
「私のターン…。ドロー…。」
「貴方は"虚竜魔王アモルファクター
「…バトルフェイズも何もないじゃない…。」
「灰流うららがあれば止められたんですけどねー。」
サラリとパワーカードの名前を出す目の前の少年に、真子はふざけんなと叫びたくなった。
まず、"流星輝巧群"による"虚竜魔王アモルファクター
この時点で色々狂っているというのに。
しかも追い打ちを掛けるように
普通一ターン目からそんな凶悪なロックを仕掛けるかと金切り声を上げたくなる。
「ターン、エンド…!」
真子 LP8000
フィールド なし
魔法・罠ゾーン なし
フィールド魔法 なし
このままでは何もできずにやられてしまう。
だが、今の相手の手札はほとんどが割れているうえに今、流星のモンスターゾーンにいるモンスターと手札のDRAの攻撃力を足し合わせても6950しかない。下級ドライトロンはまず間違いなく儀式の素材にされるはずだ
このターンを凌げればあるいは―――。
そんなことを考えている真子に気づかず、流星は再びデッキを回し始めた。
「俺のターン。ドロー。…俺は自分フィールド上の"バンα"をリリースして墓地から"
再び現れる合計攻撃力4000の機械の竜たち。
そしてそれは儀式の準備が整った事の証左である。
「俺は手札から"流星輝巧群"を発動します。"バンα"と"ルタδ"の二体をリリース!」
再び空へと舞い上がる機械の竜たち。
「魂は彼の者に繋がれた!空より飛来するは破魔の光!降誕せよ"
そしてその二機が流星となり、新たなモンスターを呼ぶ。以前、克喜との決闘で使わなかったメテオニスのもう一つの姿。ソレがこの"QUA"という姿である。相手の魔法・罠の効果の対象にならずまた、このカー度を儀式召喚したときに使用したカードの合計レベルが2以下の場合。相手フィールド上の魔法・罠カードを全て墓地送りにするという"
もちろん攻撃力も4000あり、魔法の効果によるパンプアップを物ともせずにぶん殴りに行けるステキ性能でもある。
「まだまだァ!更に手札から魔法カード"成金ゴブリン"発動!相手は1000LP回復して俺は一枚ドローする!」
真子LP8000→9000
とうとう敬語ですらなくなった流星は相手のLPを回復させる代わりに自分はデッキから一枚ドローできるカードである"成金ゴブリン"を使用。
デッキの一番上のカードを確認すると口角がめくれあがってしまう。
何故なら。
もう既に相手のLPは0と同然になったのだから。
回復させてもそれ以上の攻撃力で粉砕してしまえば勝ちなのだ。
だから流星はデッキを回し続ける。
「俺は手札の"サイバーエンジェル・弁天"をリリースして"
再び墓地から手札に加わる"流星輝巧群"。このカード、困ったことに儀式召喚を行う効果に関しては一ターンに何度でも使用することが出来るのだ。
だが、まだだ。
まだこのカードを使うには条件が整っていない。
「俺は攻撃力が1000下がった"ラスβ"をリリースして墓地から"
再び二体のモンスターが現れる。
若干過労気味のバンαが目で何かを訴えてきたが―――決闘とはブラックなものなのだ。
流星は恨めしそうな目で見て来る"バンα"に手を合わせて謝るとそのまま前を見た。
「折角こんなに良い舞台に上がれたんだ。俺の"とっておき"をみんなに見せてあげるよ!」
「とっておき…、ですって?」
「そうさ!このカードを決闘で使うのは初めてさ。―――だって貴方に対して油断をしたらこっちが負けそうだからね!俺は―――"エルγ"と"バンα"の二体でオーバーレイ!」
「なっ…!?」
確か今までのドライトロンにエクシーズモンスターは存在しなかったはずだ。
だが流星は確かにオーバーレイと言った。
「
そうそれは―――ドライトロンの新たな力は。
エクシーズモンスターであること。
それは大きな衝撃を伴って受け入れられた。
しかし儀式の素材をエクシーズ素材にして大丈夫だったのだろうか?
「この"ファフμβ'"は儀式召喚を行う際にその素材をこのカードの
ファフμβの周りに浮かぶ光の玉が空で弾ける。
そしてその光は流星となり最後の竜をこの場に呼ぶ。
「魂は彼の者に繋がれた!彼方より来るは破邪の光!"竜儀巧《ドライトロン》―メテオニス=DRA"降臨!」
現れるのは流星の相棒にしてドライトロン最強の攻撃カード。
そのメテオニスの姿は敵対するもの全てを滅ぼす力が秘められている。
「バトルだ!"虚竜魔王アモルファクター
真子を守るモンスターは誰一人としていない。
虚ろなる王の一撃がいともたやすく真子のライフを削る。
真子LP9000→6050
「まだまだ!"竜輝巧―ファフμβ'"で攻撃!」
「くぁッ…!」
真子LP6050→4050
「まだだ!"竜儀巧―メテオニス=QUA"の攻撃!"クォンタム・メテオ"!」
「ああっ…!」
真子LP4050→50
既に真子のLPは風前の灯火。
それに比べて流星にはDRAの攻撃が残っている。
さすがにどんな回復カードでも4000も回復できるカードは存在しない。
「最後。"竜儀巧―メテオニス=DRA"の攻撃!"メテオ・リーパー"!」
かつての攻撃とは違うDRAの必殺の一撃。
遥か上空まで真子を打ち上げ、その背に回る。
メテオニスの腕の結晶体から放たれるビームが刃を形成。
「いっけぇぇぇえぇえぇぇぇぇぇえぇぇ!」
流星の裂帛の気合と共に振り下ろされた刃は隕石をも両断するような威力で真子の儚いライフを消し飛ばした
真子LP50→0
流星の勝利で終わったこの決闘。その場に倒れ伏す真子を横目に一番槍としての役目を果たせたから流星はどこか誇らしげな表情をしていた。
「へへ、やったね!」
そう言いながらガッツポーズをする流星の姿を見て、
(
と敵味方迷わず全員がそう思わずにはいられなかったのは別の話である。
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『これはひどい…。』
『ワンサイドゲーム…も生ぬるいですね?』
『そうだな。…もう儀式魔法自体を撃たせないくらいの感覚が必要かも。』
一方、この決闘の全てを見ていた二人の霊使は目の前で起きた大虐殺に言葉を失っていた。
ここまでくるとさすがの四遊霊使でも少し真子に同情してしまう。
『あれ【八咫ロック】よりもロック性能高くないですか…?』
『高いなんてもんじゃないぞ?実質アレの始動札は"ファフニール"や"エマージェンシー・サイバー"みたいなサーチからでもくるからなぁ…。』
『じゃあ対策は?』
『先攻とって"魔法族の里"で魔法封じる。』
『じゃんけんゲーじゃないですか…。』
『まぁ、割と抜け穴は多いと思うよ?』
二人であのデッキの対処法について話し合っていると、ついつい本来の目的を忘れかけてしまった。
まだ、彼らには戦うべき相手が残っている。
そう、四道零夜という兄だ。
「そうですね…次は兄さんと戦ってもらいましょうか?」
今、一人の少年の未来にかけて悪意の饗宴の幕が上がろうとしている。
「…俺が、行くよ。ウィンの言葉がアイツに一番届きそうだからな。」
「ええ。そうしましょう。」
二回戦、四道零夜対九条克喜。
あの時のリベンジマッチの幕は切って落とされた。
・登場人物紹介
・龍牙流星
まさかのロックデッキを使用。
余りにも簡単にきまりすぎて「おかしくってはらいたいわ~」状態になっていたのは内緒だぞ!
・四道真子
何もさせてもらえなかった人。
これはもはやスレイ案件
・その他大勢
これなんてオーバーキル?
はい。やっちゃいました。
ドライトロン大活躍回です。
友人に同じ事やったところ友人が一人減りました。
水樹君のデッキ強化
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ネクロス
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リチュア