「相棒」   作:ダンちゃん1号

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戻って来た平穏

「ウェ!?今日テスト!?」

 

復学早々テストというヤバい状況に追い込まれた霊使。

これっばっかりはどうしようもないと思いきや、彼は見事にやってのけた。

彼は、全教科赤点ギリギリだったがそれでも一つの教科も落とすことはなかった。

 

「いや、なんでや。」

「さあ…?」

 

数学は未だに基礎中の基礎。

国語は古典の知識はないので選択問題にかけて、現代文で点をもぎ取っていった。

英語は、どうにかした。

選択教科の世界史はそもそも予備知識として紀元前から現代まで何がったか叩き込んであるのでサラリと高得点を取れた。

化学はモル質量とかそういう小難しい話が無かったので辛うじて取れた。

 

結論から言えば日々の勉強の賜物だったわけである。

 

「…やったぜ。」

「わけがわからん。」

 

ちなみに赤点は一人も出なかった。

 

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「私に何か言うことがあるのではないか?」

「はて?一体何のことでしょうか?」

 

すでに活動の域が一つの部活動としての枠に収まらなくなってしまった。

これにはさすがの真木にも庇いきることができない。

結果として霊使は真木に説教されるしか道が無いのである。

 

主に、何も言わずに家からいなくなったという点について。

さらには知らず知らずのうちにたくさんの迷惑を掛けてしまっていたことについて。

これに関してはもう、どうしようもないほどの霊使が悪いので大人しく土下座しておくことにした。

 

だが、ごくたまに本当に()()()やっていない事を問われたりもした。

 

(あんにゃろ…厄介事を俺に押し付けやがった…!)

 

とまあ、こんなこんな感じで色々と説教されたりしたが、なんやかんやで霊使は復学もできた。

勉強は地頭の良さと回転が速い思考によって乗り切れる。

しかしながら入学即休学は世間から白い目で見られてしまうことだろう。

これも全て四道のせいだ。

しかしながら暫くは作戦の練り直しだとかなんかだと言っていた。

いい加減に穏やかな高校生活を送らせてほしい物である。

 

 

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そして色々とあった。

テスト返しも終わり、残り数少ない日数の授業に出て、そしてやってきた終業式の日。

 

 

―――の午後。

 

蝉がの鳴き声がこだまし、その中に居るだけでも暑いと感じるようになったその日。

四遊霊使は――――

 

「後500mなー。」

「なぁんで一日で終わらせようとしてるんですかァーッ!?」

 

プールで水泳の授業の補習を受けていた。

人間をやめ、精霊に近づきつつある霊使の前に水泳という最大の壁が立ちはだかった。

水泳だけは魔術的な力ではどうしようもない。

自分で蒔いた種であるのでエリアの力はなるべく借りたくない。

というかエリア自身力を貸してくれる気が無いようだった。

 

「おう、泳げ泳げー!ゴールに向かってよー!」

「先生…!いきなり5㎞はきついっす…。」

 

そんな事を言いながらあたかもウォームアップのように5㎞を流した霊使。

5㎞を45分で流した霊使は続けて個人メドレーの測定に入る。

この先生は水泳選手でも育て上げようとしているのか高校一年生にはキツイ200m個人メドレーの測定を行うのだ。ちなみに克喜と奈楽が溶けていた日があったそうだが、その日は何の因果か一限目から水泳があったらしい。

その日の回想をした克喜曰く

 

「三途の川の向こうで誰かが手を振っていたぜ…。」

 

とのこと。奈楽は後でこっそりフレシアから生命エネルギーを分けてもらって復活したらしい。

ずるい、とは克喜の弁だ。

この後に自分に待ち構えている未来は一体何なのか。

それは分からない。

だが、確実に言えることは明日は筋肉痛が確定するという事である。

 

 

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「死…しぬゥ…。」

「あはは…。お疲れ、霊使。」

 

あの後個人メドレーのタイム計測を三回行った。

一回目の記録が最も良かった。

が、その後も二回、三回と泳がされ、精神的にも肉体的にもとうとう限界が来た模様。

 

『み…皆、た、助け、て…。』

 

そう言って校門前で倒れそうになった霊使を抱えて家の前。

ようやくたどり着いた家に安心感を覚えてしまう自分が居るのは気のせいだろうか。

いや、体がここが帰る場所だと認識している。

 

「皆…、ありがとう。」

「どういたしまして。」

 

こんな会話が出来る幸せを噛みしめながら霊使達は家の中へと入っていった。

 

 

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「ぷぇ…。」

 

それは誰のため息だったか。

そもそもそれはため息だったのか。

そんな事はどうだってよかった。

 

「霊使、ちょっとこっちに来て。」

「んぇ、どうした?エリア。」

 

ちょいちょいとエリアに手招かれる霊使。

今、ウィンは入浴中だ。他の皆は自分達の部屋に籠っているのかあたりに気配はうかがえない。

 

「ちょっと話したいことがあるんだよね…。」

 

そういった彼女の目は少し濁っているように見えて。

 

「分かった。すぐ行くよ。」

 

そんな彼女を霊使は放っておくことが出来なかった。

 

 

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「で、皆揃ってるな…。」

「うん…。どうしても言っておきたいことがあって…。」

 

そこにはウィンを除く霊使い達全員が集まっていた。

神妙な面持ちで霊使を見る霊使い達に見限られてしまったかと霊使は思ってしまう。

 

「ごめんね…。」

 

ぼそり、とそう呟いたのは誰だったか。

その言葉は嫌な予感を持って霊使に突き刺さった。

 

「弱くって、ごめん。でも、どうか―――。」

 

霊使い達は皆頭を下げている。

それは霊使を助ける事が出来なかった後悔からか、はたまた別の要因か。

だが、それ以上の言葉を霊使は皆に言わせる気が無かった。

 

「捨―――あうっ!?」

 

故に、エリアのおでこをデコピンした。

短い悲鳴を上げ、霊使の顔を見るエリア。

その目には涙が溜まっていた。

その目を見て霊使はそこまで無理をさせてしまっていたのかと頭を抱える。

それはそうだ。

だって彼女たちは一度は捨てられたのだから。

弱いデッキはいらないから乗り換える。

確かにそれも強くなるには必要な手段なのかもしれない。

だから自分を守れなかったデッキはいらないと乗り換えられるのではないか。

そんな不安が彼女たちによぎったのだろう。

 

「捨てるわけないだろ。」

「え…。」

「俺は皆の力があってここに居る。その恩を忘れるほど馬鹿じゃない。」

「じゃあその恩が返し終わったら私達は―――。」

 

それでもまだ不安をぬぐえてないようなエリア達。

ならばこうはっきりと言ってやるしかあるまい。

 

「それにな、俺にはもう皆がいない生活なんて考えられない。」

「ふぇ…?」

 

勘違いされても知ったことではない。

今の霊使はそれだけの覚悟がある。

それだけ、エリア達を失いたくないのだ。

 

「今まで家族同然に育ってきたんだ。そんな相手をほいほいと追い出せるか。あの外道共でもあるまいし。」

「いや、一応はキミもそうじゃないのか!?」

「んぇ?俺は苗字も変えたから公には別人だよ、ヒータ。」

「そうなの!?」

「きっちりと。俺の父さんと母さんは遠い昔に事故で亡くなった。それが"四遊霊使"さ。」

「ふぅん…?」

 

だからこそ、腹を割って話すことは話すし、隠し事もしない。

よっぽどの事が無い限り、これからも自分は彼女達を信じ続ける。

だからこそ、彼女達を絶対に見捨てない。

 

「…なんだろう、バカバカしく思えてきた…。」

「アウス…。ひどくないか?」

「いや、何とも馬鹿らしいことで悩んでたなぁって、思って。」

 

皆が皆気が抜けたのか床にへたり込んでいる。

が、いつの間にか風呂から出てきていたウィンが霊使にハイライトの消えた顔で迫るといった一幕もあったが、本当の意味で平穏を取り戻したことが嬉しかった。

そのせいか、自然と笑みがこぼれてしまう。

 

「何で笑ってるの?」

「戻ったな。って思ってさ…。」

「…今の言葉で大体何があったか察したよ…。」

 

少年たちは一時とはいえ平穏を取り戻すことができた。

この先に待ち受ける物が栄光か破滅かは、誰にも分からない。

でも少年たちは希望を持って前に進み続けるだろう。

それが少年―――四遊霊使の生き様だから。




第三章完結です。
3.5章についてお知らせです。
アンケートが拮抗しているため夏休みのお話を少し書きます。
そしたら本編スタートといった感じですかね。

登場人物紹介

・四遊一家
ようやく元に戻った一家。
病んでた霊使い達はウィンとの経験と彼女たち自身の病みが浅いことがあった簡単な買うセリングで治った。

水樹君のデッキ強化

  • ネクロス
  • リチュア
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