「相棒」   作:ダンちゃん1号

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四遊さんちのドラゴンメイド その④

「なぁにこれぇ。」

 

克喜が霊使達の元にたどり着いたとき、目にした光景。

それは全員が柔らか生物に見えるくらいに溶けている地獄絵図であった。

 

「…霊使ー。大丈夫かー?」

「…へんじがない。ただの、しかばねのようだ。」

「生きてるな、よし。」

 

倒れ伏している霊使の安否を確認する克喜。

霊使から帰ってきた答えはいかにもふざけたものだったので大丈夫だろうと辺りを付ける。

それよりも気になるのは霊使の周りに倒れているメイドたちだ。

どのメイドも息も絶え絶えで、霊使と同じくらいに酸欠であることが受け取れる。

というか何をどうしたらこういう状況になるのか教えて欲しいくらいだ。

余りの光景に静寂が落ちる。

辺りには烏の鳴き声が響き渡る。

 

「どうしよ、これ。」

 

克喜のつぶやきは茜色の空に消えていったのだった。

 

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「で、何があったんだ?」

「そうだな…。ハスキーさんの同僚があることないこと吹き込まれて俺を決闘とか関係なしに殺しに来た、とでもいえば良いのかな。」

「…まるで意味が分からん!」

「俺も何を言っているのかわからん!」

「おい、説明しろよ。」

「だからさっき言った通りだって!」

 

ウィッチクラフトやチェイム、ようやく合流したハスキーの力を借りて取り敢えず霊使宅に運び込まれた霊使達。

既に人でいっぱいいっぱいなのにさらに追加されたらヤバいのでは?という疑問もあったがそこはウィッチクラフトの変態技術で家の内部の容積を広げることで対応した。

こういう時こそウィッチクラフトの本領を発揮するときなのかもしれない。

現実から目を逸らすように克喜はそんな事を考えていた。

さて、思考に逃げていないでそろそろ現実を直視するべきだろう。

 

「凄く虚ろな目」で「殺さなきゃ…」とばかり呟く赤いドラゴンメイドをどうするか。

一応、ヴェールによる結界術でどうにか凌いでいるが、彼女がまたドラゴンにでもなったらどうしようもない。

とりあえず一番の問題はそこだった。

まず、チェイムの話から彼女たちが一種の催眠状態にあるということは分かった。

さらに、彼女たちは『老人』から話を聞かされたという。

そんな条件に当てはまる人物は克喜達が知る中では一人しかいない。

 

(あんの糞爺は厄介事しか残さねぇのか…!)

 

四道安雁―――少年たちと敵対する集団の首領格。

以前霊使も洗脳された。霊使から聞いた話によると経験していない人生を経験させられた上で、新しい人格に乗っ取られたというのがその洗脳のからくりらしいが。

恐らくは似たような力を用いて「霊使を殺さなければハスキーは戻らない」とでも吹き込まれたのだろうか。

まあ、それは――――。

 

「ティルルさん?お話はまだ終わってませんよ?」

 

あの清楚系戦国武将(四道咲姫)にでも暴いてもらうとしよう。

そう考えて、思考を放棄した。

 

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咲姫はクーリアから目の前に居るドラゴンメイド全員の素性―――とまではいかないがそれなりの事を教えてもらっていた。

そして、今。彼女は威圧感たっぷりにチェイムを除いたドラゴンメイドたちと向き合っている。

 

「で、貴女方の目的は私の兄を殺すという事で良かったのですね?」

「殺さないと…ハスキーさんが…。」

「これは相当深く影響及ぼしてるなぁ…。クーリア、どうしよ。」

叩けば(殴れば)治るんじゃないかしら…。」

 

クーリアから解決法を聞いてもそういう脳筋な事しか出てこない。

確かに兄は叩いたら(倒したら)治ったがそれは、彼のもう一つの人格が「負けたら返す」ということを明言していたからだ。

だから今回のケースの場合は本当に叩けば(殴れば)治るというのは正しいとは言い切れない。

 

「ソレは最終手段。取り敢えずは―――」

 

じろりと、行動に移そうとする哀れなドラゴンメイドを目ざとく見つけ―――

 

「ティルルさん?お話はまだ終わっていませんよ?」

 

とりあえず、根掘り葉掘り詳しく聞くことにした。

 

「殺さないと…ハスキーさんが…。」

「で?なんで兄さんがその―――ハスキーさんだっけ?兄さんの何を聞かされたんですか?」

 

言葉の端々に怒りを滲ませながら咲姫はティルルに問いかける。

その他のドラゴンメイドに問いかけてもいいが、現状、彼女が一番体力の回復が速い。

流石の他のドラゴンメイドは息も絶え絶えでまともに質問ができないため、彼女から搾れるだけ情報を絞っておく。

もちろんチェイムの話が真実がどうかを確かめるというのが大前提にあるが。

 

「で、チェイムさんの言う通り、兄さんについてあることない事吹き込まれた、と。」

「…事実じゃないんですか?」

「確かに少女を侍ってますけど、アレは彼女たちが兄さんを信用して傍にいるんですよ。少なくとも力づくで彼女達を従わせるなんて愚行を兄は犯しません。」

「でも、霊術によって雷をハスキーさんに当てる所を見たって…。」

「兄さんや彼女たちに雷を操る能力を持っている人なんていませんよ?」

 

どうやら相当根も葉もないことを吹き込まれていたらしい。

自分もやられた(そうだ)が四道は相当他人の記憶を弄るのが好きなようである。

それはたいして褒められたものではないし、なんなら忌むべき物ですらある。

彼女は―――ティルルはそんなあくどい者たちに食い物にされそうになったのだ。

それに対しては同情する。

しかしながら今のところ彼女たちは明確な「敵」であることに変わりはないのだ。

だから、まずは彼女たちが霊使に向ける感情を修正しなければおちおち霊使に会わせる事すらできない。

 

「…じゃあ、なんですか?あの御老人は言っていたことは全部ウソだと?」

「ええ。」

「じゃあ、彼を殺してもハスキーさんは戻らない、と?」

「ええ。むしろ、今の彼女は記憶を失っているので、貴女方が恨まれて終わりだったかと。」

 

だからまずは。

「吹き込まれた嘘」をなんとかしなくてなならない。

 

「…でも現にアイツは、あの子たちを…。」

「よし、殴りましょうか。」

 

取り敢えずクーリアの言う通りティルルをぶん殴ってみよう。

もしかしたらよりバグるかもしれないが。

それでも今のままだとすぐに霊使に飛び掛かってしまうかもしれない。

だったらせめて行動を起こそう。

そして、なおるかどうか一か八かの賭けに出よう。

そうした方がよっぽど建設的だ。

 

「というわけで、歯を食いしばってくださいね。」

「…なんでですか!?」

「とりあえずブラウン管テレビのようにすれば治るのでは、とクーリアが。」

「咲姫?さらっと責任押し付けないで?」

「あ、ちょっ…待ってくださ―――」

「待ちません。では行きますよ。せーのッ!」

 

その後、ティルルの悲鳴が響いたのは言うまでもない。

 

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「あれ…私何を…?」

 

ティルルはなんとなくでしか起こった出来事を覚えていなかった。

あの老人が来てからの記憶が曖昧で、でも何か大きな過ちを犯しそうになっていた気がする。

頭を二度、三度振って意識をはっきりさせると、ようやく意識がはっきりしてきた。

そして今の場所を確認するために辺りを見回した時、最初に目に入ったのは―――

 

「彼女はブラウン管テレビじゃありませんよ、二人とも。」

「はい…。」

「そもそもなんで殴ったら治ると思ったんですか?」

「賭けだったけれど前例(兄さん)が居たから…。」

「でもそれは決闘(デュエル)という手順を踏んでいたわけですよね?」

「返す言葉もございません。」

「全く…。いきなり彼女が倒れたときはどうしようかと思いましたよ。いいですか?洗脳や催眠は叩いて治る物ではありません。」

 

なんか説教されている二人組の女性だった。

というか一人は物凄く見覚えがあるのは気のせいだろうか。

嫌そもそも状況が呑み込めない。

 

「…こ」

「ん?」

「ここは何処ですかーっ!?」

「あ、戻った。」

「なんでうまく行ってるんですかねぇ…?」

 

ティルルは覚醒して真っ先に大声を上げたのであった。




登場人物紹介

・ティルル
どうやら彼女を媒介とした洗脳が行われていた模様。
言霊って怖いね

・四道咲姫
四道唯一の良心。
だが、男子からは清楚系戦国武将として恐れられているくらいには身体能力が高い。
そんなんだから脳筋な考えしか出てこねぇんだよ

・クーリア
若干咲姫の脳筋に侵され始めてきている。

・四遊霊使
へんじがない。ただの、しかばねのようだ。(生きてる)


なんだこれ…。
なんだこれ…!?
祝!王宮の勅命禁止!
アレがあると霊使いは何もできないんじゃ!というわけで禁止記念も兼ねて初投稿です。

水樹君のデッキ強化

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