青年と少女たちは祭囃子が響く街中を散策していた。
青年は訳あって祖国にから逃げるようにしてこの国に来た。
決して犯罪などは犯していないが彼女たちが持つ力を国防の為だけに使われそうになった。
だからこっちへ逃げて来た。
市民の背勝を守るためだのなんだのと言って彼女達を無理矢理国防の要にしようとして、自分はそれに抵抗した。
だから、大っぴらには言えないような組織に追われている。
だが、何というかこんな光景を見ていると自分達の事は現実に起こっていないのではと考えるようになってしまう。
「ま、今はこの祭りを楽しもうか。それでいいよね、レイ、ロゼ。」
「ええ。」
「ん。…分かった。」
今は母国には居ないわけだし、海を越えて追手が追ってくるだなんてありえない。
故に今は小難しい話は忘れてこの瞬間を全力で楽しむことにした。
そんなことを考えていると―――レイ達の姿が無かった。
「あれ?レイたちは?」
まさかもう敵の手先がこの国に居て攫われてしまったのか。
そんな嫌な予感がふと青年の中に生まれた。
だが、彼女たちは―――
「
「
自分の心配をよそにすぐ近くの屋台で買ったであろう焼きそばやらりんご飴やらを口に詰め込んでいるレイ達を見つけた。
「食べ過ぎると太るよ?」
「
「
「自分達に言い聞かせているようにしか聞こえないよ…?」
青年はそう笑うと雑踏に踏み込んでいく。
そんな中一枚の張り紙が青年の目に留まった。
「決闘大会…。余興だけど、参加してみてもいいかもね。」
「決闘大会ですか…。意外とこういう所に純粋に強い人がいたりするんですよね。」
「ん。レイの言うとおり。だから私も出たい。」
「…じゃあ、出ようか。この決闘大会に。」
青年のその一言レイとロゼと呼ばれた少女たちはその決闘大会に参加することを決めたのだった。
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半ば理不尽に決まった予選の内容にに白目を剝きながら既に二戦をこなした青年。
どうやら今回はバトルロワイヤル的な要素もあるようで二勝しなければ当たりくじ持ちの候補と決闘することができないという方式だ。
青年はサクッと二勝すると取り敢えずくじを持っていそうな者と決闘。
既にそれを二回。
それでもなお青年は予選突破のための当たりくじを手にすることが出来なかった。
「中々当たりくじが出ませんね…。」
「そもそもシステムに欠陥があると思うんだけどなぁ…。」
「なるべく去年の上位ランカーを出したくないって気持ちがひしひしと伝わってきますね…。」
「まぁ流石に誰も当たりくじを引けなければそれなりに平等になる気がするんだけどねぇ。」
そろそろ残り時間も少なくなってきた所だ。
いい加減に残りの二人の候補からどっちかに絞らないといけない。
それにしても少年の方は人が群がっている。
『―――リンク召喚!"―――の闇霊使い―ク"!バトルだ!』
しかも何気に圧倒しているようで、とんでもない実力を持っていることは確かだ。
おまけに聞こえた情報によるとレイとロゼが完封される危険のある【
そもそも人がいすぎてとてもではないが時間に間に合う気配がない。
一方の少女の方は丁度決闘が終わったところだった。
デッキ相性がどうなのか分からないが少なくとも霊使いよりはマシなはずだ。
「…サラリと披露してますけど、霊使いにリンクモンスターっていましたっけ?」
「僕にも分からないけど―――優勝を狙うならば絶対に避けては通れない相手だよ。」
「マスター。取り敢えず、早く決闘、しよう?相手の人、申し訳なさそうにこっち見てる。」
気づけば自分が彼女と戦う番になっていたらしい。
申し訳なさそうにこちらを見る彼女の目にはひしひしと「お取込み中ごめんなさい」という感情が浮かんでいた。
今まで彼女は後手1ターンで相手の盤面を突き崩してきたらしい。
どうやら【霊使い】への対策をし過ぎて効果を無効にするカードの存在をすっかり忘れていたせいで切り札の効果が刺さると彼女はぼやいていた。
「なるほど、つまり君は―――」
「うん。今までの決闘じゃちょっと満足できそうにないかなーって。」
そう毒を吐く彼女であったが―――
その気持ちは分からないでもない青年なのであった。
「…さて、と。じゃあ、始めよっか。」
「うん。そうだね。」
しかしここで互いに悠長に話している時間はない。
タイムオーバーになれば全ての決闘を中止しなければならないと予選担当の人が言っていた。
「君は当たりくじを持っているのかな?」
「ソレを答える義理は無いよ。―――じゃあ、行くよ!」
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「ふぅ…。」
なんとか恨みつらみ蔓延る決闘者たちを躱し続けた霊使。
予選の制限時間はおよそ90分であったがそのうちの80分くらいは戦っていた気がする。
襲い掛かる人波を捌き続けて幾星霜。
ようやく解放された瞬間であった。
「で、結の方はどうなっているのやら…。」
霊使は結の方を確認している。
結のデッキはサニーや新しいキスキル達のアバターが入った豪華仕様になっている。
だからそう簡単に負けることは無いと信じたい。
人だかりをかき分けて進んでいくと、彼女たちの決闘の光景が目の前に広がった。
「速攻魔法"閃刀術式―アフターバーナー"発動!」
「その効果は"Evil★Twinイージーゲーム"の効果で私のフィールド上の"Evil★Tiwnリィラ"を墓地に送って無効に!」
「…でも、これで!"Evil★Twin"は居なくなった!"閃刀姫―カガリ"でプレイヤーにダイレクトアタック!」
「…そう簡単にはダメージを喰らわないよ!罠発動"ブービーゲーム"!この効果で一度だけ戦闘ダメージをゼロにするよ!」
「そう簡単には通らない…ね。」
「当たり前でしょ?伊達に7タテはしてないってね!」
どうやら結は閃刀姫の使い手と戦っているらしい。
閃刀姫は確かリンクモンスター一体で延々と殴り続けるブラックな職場―――もといデッキだったはずだ。
しかしながら彼女達をサポートする"閃刀"速攻魔法カードは非常に強力な物がそろっている。
それ故に自分が戦うとすれば苦戦は免れないだろう。
おまけに結は"魔法族の里"のような閃刀姫に特攻を持つカードをデッキに投入していない。そのせいでライフコストや手札コストでリソース、アドバンテージを減らしながら戦わなければならない。
だがその分、閃刀姫側もそう"Evil★Twins"を突破できない。
故にこの勝負はどちらがより早く相手デッキの特性を把握できるかにかかっている。
霊使は戦況を見てそのように判断した。
そんな折に―――
『時間です。今すぐ決闘をやめてください。』
「いいところなのに…ッ!」
「もう時間!?」
無慈悲にも時間切れのアナウンスが響いた。
これでは閃刀姫を使う青年も結も満足できるものではない。
「…でもこればかりはねぇ…。」
しかしどんな不完全燃焼でもルールはルール。
決勝リーグで彼らが当たることを祈るしかない。
そんな幸運を願いながら、霊使は結をねぎらった。
「…お疲れ、結。」
「何とかなったよー。閃刀姫なんて初めてやり合うからさー。」
「でも割と戦えてた。」
「あはは…。運よく"イージーゲーム"で捌けてたからね。一歩違えば負けていたのは私の方だったよ。」
へえ、と相槌を打ちながら霊使は閃刀姫使いの方へと歩いていく。
「初めまして、だよね。彼女の友人ってところかな?」
「ああ。俺は四遊霊使。」
「これはこれは。じゃあ、僕も自己紹介しないとね。僕はレーゼス。レーゼス・ロイだよ。それにしても君凄いね。あの短時間で一体何人倒したんだい?」
「10から先は数えていない。」
「…どれだけ先攻2キルを決めたんだい?」
「…だってなんにも対策してねんだもん。例えばな―――」
そして、霊使はある一人の青年と縁を結んだ。
この縁が国境を越えた戦いに身を投じる一因になることはまだ知らない。
それはまだ遠い、未来の話なのだから。
そんな事を知る由もない結、ロイ、霊使の三人は予選結果発表がぽこな割れるその時まで穏やかに話を続けたのだった。
登場人物紹介
・レーゼス・ロイ
先行登場キャラ。
本格的な活躍はずっと先になる。
使用デッキは【閃刀姫】
・四遊霊使
驚異の14タテ。
デスティニードローをかまし量産型のドライトロンや宣告者に後手平均2キルを誇ったヤバい奴。
・白百合結
脅威の6タテ。
というわけで国内のごたごたが片付いたら世界のごたごたに巻き込まれることが決定した霊使君。
果たして彼は天寿を全うできるのか…!?
水樹君のデッキ強化
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