「相棒」   作:ダンちゃん1号

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剣線閃く刀姫

『さあやって参りました!最も注目されているであろう第一回戦!昨年の優勝者、四遊霊使VS武者修行の旅の中でこの大会に流れ着いたさすらいの決闘者レーゼス・ロイ!』

 

霊使はロイの佇まいをつぶさに観察する。

周囲の好奇の目線から何一つプレッシャーを感じていない様に見えた。

この事からロイは何度もこういうちょっとした大会に出てきたことがわかる。

 

「…天気が崩れる前にササっと終わらせようか。」

「同感だ。―――さあ、決闘しようか!」

 

ロイの言う通り、これから天気が崩れそうだ。

野外の特設ステージで行われる決勝トーナメントは天気が崩れたら即時中止。

祭りも中止になるので花火も見ることができなくなる。

祭自体は後日にもう一度行われるが、そうなってしまってはロイはこの町からいなくなってしまう。

というか滞在最終日にこの大会に参加しようというのだからなんというか、刹那的に生きている気がする。

霊使はロイという人間をそう評していた。

とにもかくにも決闘の幕は上がったのだ。

霊使は余計な思考を消して決闘だけに集中し始めた

 

「僕の先攻だね。僕は"隣の芝刈り"を発動するよ。僕のデッキの枚数は55枚。」

「…35枚。…嫌な予感がするなぁ。」

「…じゃあ20枚デッキの上からカードを墓地に送るよ。」

「緑一色じゃねぇか!?」

 

"隣の芝刈り"で墓地に送られたカードは全て魔法カード。

つまり、"隣の芝刈り"で墓地に送られたカードは全て閃刀姫の強化材料になる。

この21枚の墓地の魔法カードに加え、さらに"閃刀"魔法カードが増える。

一気に3000パンプアップという大惨事になりかねない。

これが閃刀姫の恐ろしいところである。

 

「良し!続けて魔法カード"閃刀起動―エンゲージ"を発動!"閃刀機―ホーネットビット"を手札に加えて、さらに自分墓地に"閃刀"魔法カードが三枚以上あるなら一枚ドロー。…墓地には"閃刀術式―アフターバーナー"に"閃刀機―ウィドウアンカー"、そして"閃刀機構―ハ―キュリーベース"などなど魔法カードが20枚がある。…一枚ドローさせてもらうよ。」

 

これでロイの手札に再び魔法が加わる。

魔法使い(霊使い)を主軸に据えた自分のデッキよりも相当"魔法使い"をやっているのではないだろうか。そう考えると霊使はなんだか複雑な感情を覚えた。

最も霊使のデッキは"魔法族の里"やら"大霊術―「一輪」"などで相手の動きを抑制していくデッキだ。

そう簡単には同じタイプだと括れないと分かっていても霊使は時折悩んでしまう。

 

「…僕は"閃刀機―ホーネットビット"を発動。"閃刀姫トークン"を特殊召喚!」

 

その声とともに現れるのはドローンのような姿をした機械。

それが一体どうなるのか。

霊使はその変形っぷりに驚くことになる。

 

「そして行くよ!起動せよ、未来を(ひら)くサーキット!アローヘッド確認!召喚条件は火属性以外の"閃刀姫"モンスター一体!僕は"閃刀姫トークン"をリンクマーカーにセット…、サーキットコンバイン!」

 

リンクマーカーから溢れ出すのは身を焼き尽くすような劫火。

その中心に居るのは―――

 

「極地特攻用兵装起動…!其れは炎を従える紅蓮の刃!リンク召喚!LINK-1"閃刀姫―カガリ"!」

「システムオールグリーン…、マスター、出撃します!」

 

紅蓮の装甲を纏ったレイだった。

機械が何の前触れもなく美少女に変身するのだからもう、何という反応をすればいいのか霊使にはさっぱりだった。

が、彼女は途轍もなく厄介な能力を備えていることは確かだ。

それだけで霊使が抱いていた困惑吹っ飛ばすくらいの凶悪な効果を彼女は備えていた。

 

「"カガリ"の効果発動。墓地から"閃刀"魔法カードを一枚手札に加える。―――僕は"閃刀起動―エンゲージ"を手札に。そして再び"閃刀起動―エンゲージ"を発動。デッキから"閃刀術式―アフターバーナー"を手札に加えてその午後、墓地に魔法カードが3枚存在するためデッキから一枚ドロー。」

「…それ、ターン1の制限ないの…?」

「ありませんよ!制限なんかしてたらこっちが死ぬ―――そんな世界だったから。」

「世知辛い…!」

 

制限なんかしてたら死ぬのは自分。

その言葉に納得をせざるを得ないものはあった。

 

「手札から"おろかな埋葬"を発動。デッキから"閃刀姫―レイ"を墓地に。そして、カードを一枚伏せてターンエンド。―――そうそう。カガリの攻撃力は僕の墓地の魔法一枚につき100上昇するから。今の墓地には24枚の魔法があるから2400上昇してるね。」

「攻撃力3900だと…?」

 

ロイ LP8000

フィールド 閃刀姫―カガリ

魔法・罠  伏せ×1

手札    5枚

 

これほどまでにデッキの中身を改造しておいてよかったと思った日はない。

これから新しい姿―――相手を妨害し続けるメタビートを行うのだから。

 

「俺のターン。ドロー…。手札から速攻魔法"精霊術の使い手"発動。手札を一枚捨てて、デッキから"憑依連携"、"憑依覚醒"を選択し一枚を手札に、一枚を自分フィールド上にセットする。そして手札から魔法カード"テラ・フォーミング"を発動。デッキから"魔法族の里"を手札に加える。そして僕は"妖精の伝記(フェアリーテイル)を発動。更にセットされた永続魔法"憑依覚醒"を発動。」

「"アフターバーナー"を使わせないつもりか…!」

「それは勿論。あのカードは"モンスターの破壊"がなければ何の意味も持たないカードだ。」

 

"アフターバーナー"の追加効果はモンスターを破壊しなければ使う事は出来ない。

つまり、"効果破壊耐性"を与えるカードを前もって用意しておけば―――

 

「俺は、"妖精の伝記"の効果で"憑依装着―ウィン"を召喚。"憑依覚醒"は元々の攻撃力が1850の魔法使い族モンスターが召喚、特殊召喚された場合デッキから一枚ドローできる。…ドロー。そしてフィールド魔法"魔法族の里"を発動。これで魔法使い族モンスターがいるプレイヤーだけが魔法を使える。」

「…え?」

「…これ、詰んでませんか?マスター。」

 

簡単に閃刀姫を抑えられる、というわけだ。

一方のロイ。

伏せカードは"アフターバーナー"。手札には1キル用の"リミッター解除"。

そのすべてがすべからく封じられてしまった。

それでもまだ各属性の"閃刀姫"に切り替えればいくらでも戦えるが。

魔法が使えない以上先に手が尽きるのは自分であることは明白だった。

 

「分かっていると思うが―――"憑依覚醒"の効果で"霊使い"と"憑依装着"モンスターは相手のカードの効果によって破壊されないぞ。」

「戦闘破壊しろと?」

「そういうこと。…俺はカードを二枚伏せてターンエンド。」

 

霊使 LP8000

フィールド 憑依装着―ウィン

魔法罠   憑依覚醒

      妖精の伝記

      伏せ×2

手札×2 

 

これで相手の動きをとことん妨害する準備は出来た。

あとはこれで相手の動きを的確に止めていくだけ。

 

「僕のターンだ。…ドロー。」

 

だが。

それでもこんな所で刀は折れはしない。

そんなことは、相対している霊使がよく分かっている。

 

「"閃術兵器―H.A.M.P"の効果発動。自分フィールド上に"閃刀姫"モンスターが存在する場合相手フィールド上のモンスター一体をリリースしてこのカードを相手フィールド上に特殊召喚する。」

「…くっ…!」

 

降下地点から避難する形で踏みつぶされるという最悪の展開を躱したウィン。

だがその余りの衝撃に腰が抜けてしばらくは立てそうになかった。

ウィン、戦線離脱(墓地送り)である―――。

 

「これ魔法カードは使えるはず…!」

「そうはさせない!罠発動"憑依連携"!墓地の"憑依装着―ヒータ"を蘇生!さらに自分フィールド上に属性が2種類以上あるなら相手フィールド上の表側で存在するカード一枚を破壊できる!俺は勿論―――"閃刀姫―カガリ"を破壊!」

 

カガリ(レイ)から見て相手フィールド上に被害をもたらしたH.A.M.P。

その陰に隠れてヒータがカガリ(レイ)を急襲した。

H.A.M.Pのせいで生まれた死角から放たれたヒータの一撃はカガリ(レイ)に直撃した。

 

「そこだッ!」

「…オーバーヒート!?」

 

先のカガリ(レイ)が従えていた劫火よりも強い炎がカガリ(レイ)の兵装に叩きつけられる。

その結果システムは一時的なエラーを起こし使い物にならなくなってしまった。

 

「熱い!ですよぅ…!」

「ボクの急襲、効いただろ?」

 

お陰で何とか生身の状態で生還こそしたが、再起動しなくては閃滅形態に移行できなくなってしまった。

 

「墓地の"閃刀姫―レイ"の効果。自分フィールド上の"閃刀姫"リンクモンスターが相手の効果によって場を離れる時、もしくは相手との戦闘で破壊されたとき、このカードを特殊召喚できる!」

「おいおいおい!?」

「というわけで、再び現れろ!未来を拓くサーキット!以下省略!"閃刀姫―カガリ"出撃!」

「システム復旧完了!行きます!」

 

再び出撃するカガリ(レイ)。さすが、人知を超えたテクノロジーが存在した未来からやって来ただけはある。

 

「カードを3枚伏せて―――バトルだ!攻撃力3900の"閃刀姫―カガリ"で"閃術兵器―H.A.M.P"を攻撃!"リミテッド・アフターバーナー"!」

 

霊使のフィールド上に存在するH.A.M.Pに向かって突進するカガリ(レイ)

その刃は紅蓮の炎を纏って一刀のもとにH.A.M.Pの体を二つに斬った。

 

「"閃術兵器―H.A.M.P"は破壊されるとき、相手フィールド上のカード一枚を破壊できる!"魔法族の里"を破壊!」

「巨大ロボットのお約束(爆発)でか!」

「―――そうものなんですか!?」

「特撮を見なさい!―――"妖精の伝記(フェアリーテイル)"の効果で戦闘ダメージは0になる!」

 

これで―――完全に相手に魔法カードの使用を許してしまう事になる。

だが、相手が最も破壊したいであろうカードは簡単に予測できていた。

故に対策を打つことも容易いのだ。

 

「バトルフェイズ終了時に罠発動!"メタバース"!」

「…え゛!?」

「俺はデッキから"魔法族の里"を発動!」

「~~~ッ!」

 

声にならない悲鳴を上げるカガリ(レイ)

これには思わずレイも頭を抱えそうになった。

 

「嘘でしょ…?」

「ところがどっこい嘘じゃありません…ッ!」

 

思わず目を逸らしたくなる光景だが、これが現実なのだ。

正直に言ってロイの戦術は完全に崩壊した。

 

(…"閃刀姫"の弱点は魔法封じ…!敵に情報を与えてしまった事が悔やまれる…ッ!)

 

まさか結都の決闘一回でここまで弱点が見抜かれるとは。

流石のロイでもここまでは見抜けなかった。

 

「た、ターンエンド…!」

 

ロイ LP8000

フィールド 閃刀姫―カガリ

魔法・罠  伏せ×3

手札×2

 

(…追い込んだとは、言い切れないな。相手の墓地にレイがある以上またカガリ(レイ)につなげられて終わりだ。)

(ちゃんとそこは分かってるんだな、マスター。)

(それでも押してはいる…。ここで一気に決めてしまいたい。)

(ボクも同感。)

 

霊使とヒータはまじまじとこの戦況を眺める。

一応見かけ上押しているのは霊使だがカガリ(レイ)の効果で未だにカガリ(レイ)の攻撃力を越えられない。

 

「…そろそろ決めようか!俺のターン!ドロー…!」

 

遠くで微かに雷鳴が、轟いていた。

もう時間は幾ばくも無い。

 

「俺は―――"憑依装着―ダルク"を召喚!」

 

故に、霊使はこのターンで決着をつけるべく、大きく動き出した―――。




登場人物紹介

・ロイ
とりあえずカガリ打しておけば何とかなる気がしている。
ロイのデッキはなんとかして墓地に、魔法を25枚溜める→"リミッター解除"→1キルという雑な流れで1ショットキルを狙うデッキ。
弱点は魔法そのものへのメタ。

・四遊霊使
実はクルヌギアス出したら魔法使い族が居なくなることも分かってる。
それではどうすればいいのか。
①無理矢理そろえる
②クルヌギアス以外のフィニッシャーを採用する。
③魔法族の里の効果を捨てる


さてどうなるでしょう?
感想・評価・決闘の校正等待っています!

水樹君のデッキ強化

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