川島ユウイチと吸血鬼   作:三重のシェフ

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夢の話

川島ユウイチは思案する。

 

 これは夢だな、あの時の夢だ。

 

「クヒッのんきかよ、まあ答えてやるよ。

 

 オレ様の名前は吸血鬼ブラッド様だよ

 

 宣戦布告は聞いたな? ならこれから行うのは 戦争だよ!! 

 

 当時は意味がわからなかったが今は理解できる。

 これは今から殺すぞということだ。

 

ドン ドドドン

 にぶい音が何度も繰り返し響きわたる。

 

 何処か爆発したのだろう。

 

 奴隷(レッド)は吸血鬼の兵器として使われる。

 

 この男ブラッドの合図で

 破壊活動が開始されたと思われる。

 

 

やめてくれ 見たくない

 

グシャリ

 

 父の顔が男の掌によって潰された。

 

 父の身体は力なく倒れ、ピクッピクッと力なく動いたり止まったりを繰り返し続けている。

 

 

 オレは目を反らした

 

悪夢はオレを許さない

 

 母が必死の形相で叫んだ

逃げなさい

 

 オレは一目散に逃げて助けを求めた。

 

妹のアイを放っておいて

 妹と母の死体は見つからなかった。

 

 父の死体は無惨で判別がつかなかったらしい。

 

オレは恐くてそれを見れなかった。

 オレは一人生き残った。

 

オレ様の名前は吸血鬼ブラッド様だよ

 

 目が白んで来た、どうやら目が覚めるようだ。

 オレはゆっくりと目を開けた。

 

 上司と後輩がコタツで座ってるように見える。

 

「せんぱい昼まで寝てていいっすよ」

 

「そうだよ」

 これは夢だな、寝よ

 

「ふふふ、この取って置きのどら焼を食べよっか」

 

「やったー!!」

 

 川島ユウイチは困惑した、そして断言する。

これは夢だな、夢に違いない。

 尊敬する同僚が全裸で躍り狂ってる。

 

なあにこれぇ

 

へい、へい、オレの名前はケイゾクコウイチ

 

 普段(いつも)は主役 今では脇役 頑張る(ユウイチ)を応援したい

 

 そのため参上 応援SHOW!! 産まれも普通

 

 育ちも普通 普通じゃないのは今現在!! 

 

 普段は闘う吸血鬼! 全裸で召還

 

 もう勘弁!!」

 

 ラップだこれ どうしYOこれ

 

「新メンバーを紹介するぜ! 部隊の希望! その名はコウヅキ!! 

 コウイチの指し示しめした方角を向くと指輪を身に付けた男が立っている、ユウイチはその男を知っている。

 

 吸血鬼対策部隊2班に新しく配属予定の契約者コウヅキ

 彼はマイクを手に早口で喋りはじめた。

 

「ご紹介に預かりましたコウヅキです。

 俺がソシャゲ主人公です。

 今回はチョイ役出番なし、では、聴いて下さい

 召還」

 

 

「全裸で召還 NOセンキュー ソシャゲのガチャだ

 

 SHOW感謝! (しょうかんしゃ) 召還するのはヴァンパイア!! 

 

 今こそやるぜ 10連ガチャ! (召還)!」

 

 コウヅキの右手の指輪が輝き光が夢の世界を包む! 

 光が収まるとコウイチがマントを着た状態でコウイチの目の前に立っていた。

 

 召還、指輪と契約した吸血鬼を自分の近くに呼び出す技術、ユウイチは何度か見たことがある。

 

 コウイチとコウヅキさ二人でやいのやいの、イエーイとか騒ぎながら何処かへそのまま消えていった。

 

 ユウイチは困惑している。

 

よお、元気にしてるか?

 後ろから話しかけられ川島ユウイチは

振り向いた。

 

 鋭いギザギザの歯、猫のような眼をした若い男、吸血鬼の英雄緋色がそこに立っていた。

 

「なぜ、貴方がここに?」

そりゃあ、ここが夢だからさ夢の中なら

 

 そういうこともあるさ。

 

 少し話をするか

「何を話すんですか」

 

お前の話さ

 

「‥……」

黙っていても別に良いぜ? 

勝手に話すからな

 

「‥……」

 

川島ユウイチにとって吸血鬼は二つの顔を持つものだひとつは両親を殺した憎い敵

 

 ユウイチはブラッドを思い浮かべる。

「人間ってのはずいぶんと柔らかいな」

ひとつは人のために働く吸血鬼

 吸血鬼緋色を思い浮かべる

「人間よ、俺を使え」

 

 二つの顔を持つのはもうひとつ有ったな。

 

「人間……」

 

そうだな

あの日から戦い続けている勇敢な人間と

 

 吸血鬼事変を思いだすユウイチ

 

あの日から逃げ続ける無力な人間

 

 

 妹のアイを放っておいて逃げるユウイチ

 

お前はどっちだ? 

 

 決められるのは、オレ(お前自身)だけだ。

 

 ユウイチの目の前、そこに緋色は居らず

 

 川島ユウイチ自身が立っていた。

 

 

オレは、‥……

 

 いつの間にか景色は明るくなり、川島ユウイチは

目を覚ました。

 

 

「あ、先輩おはようごさいます」

 

 雲雀が話しかけてくる。

 

 妙に落ち着きがない様子だ。

 

「ああ、うん、おはよう?」

 

「聞いて驚いて下さい。すげーお客さん達が来ました」

 

 ユウイチは全裸ラップ以上のことがあるのかYOと思った

 

「なんと英雄二人がここにいるんすよ」

 

まじで? 

 

 全裸ラップ以上のことが起きてた。

 

 

 鋭いギザギザの歯、猫のような眼をした若い男、吸血鬼の英雄緋色とその契約者殲滅のリキューがそこにいた。

 

 

よう、元気にしてるか? 邪魔してるぜー

 

「やあ、仕事の話をしに来たよ」

 

 二人はなぜかコタツでミカンを食べながらにこやかにユウイチに向けて挨拶をしている。

何で職場にコタツがあるんですかね

 

 ユウイチは上司を見つめた。

 

 ユウイチと目が合った白髪の上司は口パクで「お茶、お茶」と

 言っている。

 

 お茶を飲みながら話をすることにしよう。

 

 

 

 

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