間に合ったですわぞ
「──あ……先輩、待っててくれたんですね!よかったぁ……」
太陽が傾き、夕日が差し込む学校の教室──のようにコスプレのスタジオ用に模様替えをした、以前私1人しかいないフォースのフォースネストとして頑張ったりBCを借りたりして購入した宇宙戦艦、というかフリーダムとジャスティスの運用母艦、エターナルのハロカメラを先に置いていた一室に、ブレザーの前を開いてベージュのセーターをブラウスの上に来ている姿の美少女こと私、チェリー・ラヴは足を踏み入れる。
「突然だったのに、ありがとうございます先輩。その、予定とかありませんでしたか……?」
ハロカメラの高さは以前と同じくらい、私が少し見上げるくらいの高さ。年上の男子、といったイメージで、両手を後ろに回しながら近付いて行く。
「よかったぁ……
その、いえ、先輩がそういう相手がいない事が嬉しいんじゃなくてですね!?あ、いやでも嬉しいんですけどあのその────あ。」
両手を前に出してわたわた、と弁明しようとした事でうっかり後ろに隠していたハート型の包み──チョコを見せてしまい、慌ててまた隠す、という動きをして、顔を赤らめながら軽く覗き込むようにしてハロカメラに視線を向ける。
「あの……見え、ちゃいましたよね……?
……はぁ、もっと良い感じで渡そうと思ったのに……」
こほん、と咳払いを一つ。
「では、その、締まらない感じですけど改めて……
先輩、私、先輩の事が好きです!
チョコ、頑張って作って来たので受け取ってください!」
「って感じで、どう?ラバーズのみんな」
コメント
:こんな青春を送りたい人生だった
:忘れちまったぜ……青春なんて言葉……
:まぁハーモニカ吹けよ……
:ハーモニカは草
:不満足先生ェ……
「本当にねー……
私もこんな可愛い女の子に告白されたい人生だった」
コメント
:熱い自画自賛
:女の子からなのか……
:好きな男子とかは居なかったん?
「少なくとも、恋愛として好きな男子は居なかったねー
……ほら、GBNとかやってるとそんな事ない感じだけど、一般的な広い目で見ればガンダム好きな女子って割合的には少ないじゃん?
その上、ラクス様が初恋だったり、ガンダムヒロインが好きとか、私の見た目とか──あぁ、私のダイバールックは結構リアルに寄せてるんだけどさ、まぁ、男子に普通に好かれる事ってあんまり無かったんだよね。『そういう』目で見られる事が多くてさー」
コメント
:まあ確かに割合としてはさほど多いとは言えんか
:まぁ、それはそう
:この体型でリアルに寄せてるだと……?
:配信では自分から見せつけてる気がするんだが??
「『自分から見せる』と、『勝手に見られる』は違うじゃん?
『俺馬鹿だからさぁ』って自分で言うのと、『お前馬鹿だな』って他人から言われるのは違くない?」
コメント
:なるほどね
:あー、それは確かにそう
:自覚はしてたとしてもイラっとはするからな
「まぁ、そんな感じでさ
そういう視線を直接向けられるのが嫌だったから、体型が出にくい服装選んだり、前髪長めに伸ばして地味になるようにしたり、周囲から距離取ったりしてたから、何なら女子にも仲の良い人がほぼ居ない学生生活だったかなー
みんなと同じだね!」
コメント
:やめやめろ
:やめろください
:友達ならいるから勝ったな
「なんかマウント取られたんだけど!
マウント……?マウント取るってえっちじゃない……?エロ同人みたいな事されちゃう……?」
コメント
:えぇ……(困惑
:マウント取るって言葉でそんな方向に考えるやつおる?
:わかるエロい
「んでまぁ話戻るけどさ。
ガンダムが好きな事とか、ガンダムヒロインとか女の子が好きな事とか、そんな事を表に出せなかったのが、GBNに出会って爆発した感じかなー
GBNだとガンダムが好きって言っても受け入れられるし、体型関係なくコスチューム着れるし、体型自体も自由じゃん?コスチュームを集めようとしたりとか、体型も変えて遊んでみたりとか出来てコスプレも簡単だし、自分が好きなように好きな事を表現して遊べるのが嬉しい、って言うのが今の私のベースって感じだね」
コメント
:そして見た目が合法ロリ巨乳の俺らみたいな存在に進化したと
:思うまま楽しくGBNで遊んでもろて……
:エモかな?
「今は好きな事を気楽にして遊べてて、楽しく過ごせてるなーって自分でも思うかなー
ラバーズのみんなも、配信見に来てくれたりしてくれてありがとね!」
そう言って、ハロカメラを画面を隠すように手で押さえつつ、抱きしめて顔を寄せる。
「……だいすきだよ♡」
コメント
:ん"ッッッッッッッッッ
:何だこの激甘ボイス
:耳が蕩ける
:こんなんガチ恋やろがい!!
:は?好き
「みんなも、もーっと私のこと好きになってくれていいからね!」
そう言いながらハロカメラを離して空中に浮かべ、ハロカメラに向けてウィンクしながら投げキッスすると、また盛り上がるコメント欄。
「そうだ!
ところでみんな、私のチョコ欲しい?」
コメント
:欲しい
:欲しい!!!!!!
:当たり前だよなぁ!?
「うんうん、良い反応!
直接手渡し、っていうのはフレンドにしかしないから、そう言う訳では無いんだけどさ?」
用意しておいた、クリエイトミッションの説明ページが表示されたウィンドウを画面に映るように、ハロカメラを少し移動。
「2/14から1週間限定で、クリア報酬で私のチョコが貰える『高嶺の花嫁』特別バージョンを配布しまーす!
難易度ごとに貰えるサイズがS、M、Lって違って、難易度は普通のからエクストラを省いた3種類しか無いからそこは安心して欲しいかな!どれか1種類クリア出来たら他の難易度も含めて再受注出来なくなるから気を付けてね!クリアしたら、だからリタイアはノーカンだからそこも安心!
食べてよし、飾ってよし!1週間あるから、出来るだけ大きいの狙ってね♡
あ、転売は出来なくしてるからだめだよ!」
コメント
:おおおお!!
:これは熱い
:ハード狙うかぁ……!!
もっと盛り上げよっかな、とスレに書かれていた事を思い出し、セーターを消してブラウスの襟元を少し開き、さっき持っていたチョコを胸元に挟む。
ハロカメラに向けて前屈みになって、
「私の愛がたーっぷり込められたチョコが欲しかったらぁ……頑張って、私をオトしてみせて♡」
2月中旬を過ぎた頃、一部のダイバーが突然対オールレンジ兵器の対応が以前よりも上手くなったりしたりしなかったりしたとかなんとか。
報酬のチョコは勿論ハート形。