はてさて上手く扱い切れるか(
ゲストもいるわよ
『リアル』と呼ばれる世界からGBNへと帰る時、或いはその逆の時特有の、無重力空間のディメンションにも似た感覚の浮遊感を感じながらGBNにログイン。
私には、参加しているフォースはありません。
よって、ログインしてまず辿り着く場所はセントラルではありますが、ログインする場所がフォースネストでなければ困ると言うことも無く、フォース戦やイベントに興味がある訳では無いのでフォースに参加するつもりは無い、と言っていいでしょう。
──いえ。正確に言うのなら、参加したいフォースはあります。
けれど、そのフォースはメンバーを募集していません。
私のマミィと表現するに相応しい存在でもある、かつての知名度で言うならそれこそトップランカークラスだったダイバーの為の、たった1人の為のフォースなのです。
ここ数年間の間は、マミィがダイバーネームやGBNでの在り方を変えた事、現在の機体が分からず、そもそもGBNでのプライベートのマミィの行動の情報が殆ど出回っていなかった事、何より『マミィの本来のダイバールック』の情報が全く流れていなかった事もあって、 GBNにログイン出来ない状態、引退しアカウントを消した、或いは──第二次有志連合戦直後のメンテナンスにおいて、巻き込まれる形で消されてしまったELダイバーか、と、そんな憶測すら存在し、私自身、いくら探しても見つからないマミィの姿に、愚かにもそんな与太話を信じてしまいそうになったこともあります。
でも、違いました。
あのヴァルガでのバエルベースの機体での近接戦闘。
その動きは私が何度も何度も何度も何度も何度も何度も見た、マミィの数少ない保存されている戦闘の記録データでの動きによく似ており、それでいて、間合いを測り違っている様子もまた見受けられました。まるで、あの機体よりも機動性がやや低く、かつナイフを使っているかのよう。
例えば────マミィの愛機、『ガンダム・バルバトスルプスブランカ』のような。
あの日、ヴァルガでその動きを見た私は、即座に周囲のダイバーの名前と名前を確認。戦闘後にチャンピオン達と会話をしていた、その機体のダイバーと照合しました。
ダイバー名は、『チェリー・ラヴ』。
最近有名になったG-tuberをしているダイバー、という事は煩いほど聞かされて知っていましたが、興味の無い話題というのは記憶に残らないもので。名前とG-tuber、という事しか覚えていないと言うのが実情でした。コスチュームがどうの、と言っていたような気もしましたが、マミィの紛い物など、とその時は聞き流していたのが、今となっては悔やまれます。
チェリー・ラヴ。彼女が本当にマミィなのか、そうで無いのか。それを調べ、判断し、直接会って確かめる為に、先ずはあの子に会って情報を集め、確かめる必要がある。
その為にも、とまずはあの子の生活拠点に向かう為に『ディメンションA.D.』へと移動し、そこからは徒歩で──
「あーっ!『ビスク』さん、見つけました!」
「……手間が省けますが、その騒がしさはどうにかならないんですか?『トキ』」
「いやー、ビスクさんから、しかもチェリーちゃんの事を聞きたいからなんて理由で連絡が来るだなんて嬉しくて、つい自分から出て来ちゃいました!
だってほら、ビスクさんってアンシュさんとコーイチさんくらいとしか、それこそサラさんとすらマトモに話さないじゃないですか?
そんなビスクさんからあんな内容で連絡があったとなれば、自分から出向くってもんです!」
「そうですか」
暇なんですね、とは口に出さず、相打ちだけを一つ。
彼女は私よりも後、10……20人目?程のタイミングで発見されたELダイバーの1人、トキ。『GBNの乱れを正す』という想念から生まれ、自ら自警団のような事もしているようですが、嗜好品を渡されて誤魔化されている様子もまた、よく確認されているとか。
「『ファースト』にしても、同類含め他のダイバーにしても、仲良くする理由も有りませんし、取り立てて興味も有りませんから」
「うーん……ビスクさん、それってなんだか寂しくないですか?」
「?何がですか?
私は、ダディ達とマミィが居て、コスチュームの着替えが出来れば他に誰も要りませんが」
「がーん!ショック!それはショックです!私いっつもビスクさんの事見かけたら話しかけてるのに!コスチューム以下なんですか私!?
……んん?というかその言い方的に、もしかしてビスクさんのマミィさんが見つかったんですか!?」
「まだ見つかった、と確定した訳では有りませんが、チェリー・ラヴというのがマミィの偽名の可能性が出て来ましたので情報を少しでも集める為貴女に連絡を送りました。
本題に移っても?」
「!?!?
えぇ、えぇ!それはもう!私でよければ一肌も二肌も脱ぎましょうとも!」
それからと言うもの。
水を得た魚、水場に放り込まれた水泳部と言わんばかりのマシンガントークが展開され、私はそれを全て記憶に保存していきました。
トップランカーの1人、『マギー』が店主を務める『La Rencontre』によく現れる事。
飲酒を好む事。
機体はバエルベースのガンダム・アナトで、追加武装でフルドレスユニット、ウェディングユニットがある事。
G-tuberとしては散歩配信や雑談配信をしている事。
そして──コスプレと称してコスチュームを変更するなどをしており、その操作速度が異様なまでに速いという事。
その様子を配信のアーカイブから切り抜いた動画を見せられ、あぁ、と思わず声が漏れてしまいました。
スクロールしている時間から察することができる、所持コスチュームの多さと、手癖で着替えたいコスチュームを選べてしまう程に慣れているのが分かる操作速度。
かつての記録として残っている動画でも見られるその無駄の無い操作は、『毎回同じダイバールックである事』は差し引いても私に確信を抱かせるに足るものでした。
「なるほど、参考になりました」
「もういいんですか?もっと語れますけど」
「ええ、十分です。
ありがとうございます、トキ」
「あの塩対応の権化みたいなビスクさんから感謝されるなんて……!なんていい日でしょうか!」
「自覚はありますが、その言い方は癪なものがありますね。
礼としてドーナツとやらを予め用意しておいたのですが、不要だったでしょうか」
インベントリから取り出した持ち手のある箱を見せると、分かりやすく目を輝かせるトキ。
「それは……!
リアルでも有名なドーナツチェーン店、ミズ・ドーナツのドーナツ!くれるんですか!」
「ええ、まあそのつもりで購入したので。不要であれば廃棄するだけですが」
「とんでもない!丁度食べたかったんですよドーナツ!ありがたくいただきますね!
それと、食べ物を粗末にするのはいけません!勿体無いゴーストダイバーが出ますよ!」
「そうですか。それでは失礼します」
「もう行くんですか?一緒に食べないんですか?ドーナツ」
「ええ、結構です。では」
わぁ、もちもちリングにフルーラー!という声を背に、ようやく分かった行くべき場所に向かって足を進める。
「やっと会えますね……マミィ・『ブロッサム』」
「もきゅもきゅ……んん?ブロッサム?
ブロッサムって言うと、確かコスチューム所持数がGBNで1番とか何とか言われてたダイバーでしたっけ?第二次有志連合戦以降殆ど表舞台に姿を見せなくなったとか……はむ」
「やあ、トキくん」
「あ、コーイチさん。コーイチさんもどうです?」
「あー、いや、大丈夫。少し、伝えておくことがあってね。
トキくんは、ビスクくんともそれなりに話す仲だろう?そこで、頼みがある。君も良く知っている『チェリー・ラヴ』というダイバーについて、彼女に話さないでほしいんだ」
「……うぇ?」
「今のビスク君が彼女について知ってしまうと、少々困った事になるかもしれなくてね……トキくん?」
「これ……もしかしなくても私、やっちゃいました?」
アルキメです。さん家からトキちゃんですはい拍手ー!
割と役割としてはやらかし要員だったけど、ポジションとして凄く使いやすかったので御登場いただいた次第でさぁ
風紀を乱す系ポン風紀委員タイプの女の子はええぞ
今回そんな要素無かったけども!!