GBD:ドレスアップ・ドールズ   作:朔紗奈

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めちゃんこ時間かけつつ過去編みたいな話なので初投稿です。
ちまちま書いてたしこの続きもちまちま書くから時間たっぷりかかりやがりますわよ


桜野恋愛02:悪夢、或いはしょうもない昔話 その1。

 私は、極々平凡な家庭に生まれて、極々平凡に暮らして来た。

 

 まあ、この世界は漫画でもアニメでも、ましてやゲームでも無い訳で、それは当然となのだけれど。変な家庭に生まれたかった訳でも無いし、そこに不満は無い。

 

 そこそこに幸せな、当たり前の生活。そんな生活が良くも悪くも少しずつ変わるきっかけになったのは、やっぱり『機動戦士ガンダムSEED』に出会った時なのだろうと、そう思う。

 

 特徴的なモビルスーツ、主人公のキラやザフトのアスランの個性的な仲間達、キラが乗った『ストライク』と『フリーダム』、そして──ラクス・クライン。

 

 彼らに出会って、ガンダムシリーズを好きになって、彼女を好きになった事が、今の私になるきっかけだったのは間違いない。きっと、ガンダムを好きにならなければマギーちゃんには出会っていなかっただろうし、GBNをしようとも思わなかっただろうから。

 

 でもまぁ、当時の周囲の雰囲気はと言うと。

 

 高校生とかなら好きな男キャラ、みたいな話題も女子の中で出たのだろうけど、小学生となるとガンダムは男の子が好きなもの、みたいな空気感がやっぱりあったし、何より、学校にガンプラを持ってきた男子達が『ブンドド』している光景に対しての女の子の反応を見てしまうと、怖くて「私もガンダムが好き」だと口に出せなかった。

 

 自分の『好き』を表に出さないように隠して距離を取り、そのまま歳を重ねるごとに、どんどん男子とも女子ともあまり話さないようになっていって。

 

 中学の頃には背がさほど伸びもしないのに大きくなる胸のせいで引きたくもない形で男子の目を引くようになって、大きくもない体を更に縮こませるようにして目立たないように、と休み時間も一人で黙って過ごすようになり。

 

 高校の頃には周囲と話すのも苦手になって、前髪も伸ばして半ばクラスの背景のような学生生活を送っていた。

 

 けれど、高校生にもなればバイトはしていなかったけれどお小遣いもそこそこ貰えるようになって、ガンプラや道具にも手を出しやすくなったりしたのもあって、1人でどんな子を作ろうか、どんなポーズを取らせようか、と想像を膨らませるのもそれはそれで楽しかったから、小中に比べればそこまで辛くはなかった。

 

 そりゃあ好きな事について話せないのは寂しいけれど、それで傷付くよりは余程いいから気楽でいいや、と思うようになって──まぁ、今となっては半ば自分にそう言い聞かせてたようなものだったと理解しているけれど──いた。

 

 そして大学も出ておいた方がいい、と言われ、入試のために出向いた先の比較的近くにあったガンダムベース──シーサイドベースに折角だから行ってみよう、と向かった事で、再び今までの人生が一転する事になる。

 

 マギーちゃんと出会う事で。

 

 

 

 

 

 

 

 わぁ、と思わず感嘆の声が漏れる。

 

 目の前に広がる、展示されているガンプラと棚に積まれたガンプラの箱の山、山、山。地元の店で欲しいキットが見つからないからという理由と、来る機会があったと言うのもあって行った事のなかったガンダムベースに来てみたけれど、この光景だけでも価値があったと思える程だった。

 

「……どこだろ」

「何かお探しかしら?」

「ひゃいっ!?」

 

 目当ての機体を探すのは大変そうだなぁ、と思いながら呟いた言葉に、女性的な喋り方の男声という馴染みの無い話し方で突然声をかけられた事で、思わず飛び上がるように驚いてしまった。

 

「あ、ああああなたはっ!?」

「驚かせちゃったわね、ごめんなさい。

 アタシはマギー、『アダムの林檎』ってバーのママをしてるの。女の子が困ってるみたいだったから声をかけたんだけど……突然知らない人から声をかけられても困っちゃうわよね」

 

 そのマギーと名乗った人を見てみると、身長は高く、体付きも良いものの目元が垂れ目であったり表情も優しそうなど、話し方の柔らかさや先ほどの言葉も相まって良い人っぽい、という印象が感じられた。

 

「あ、いえ、その……ありがとうございます。SEED系の機体の場所を探してて……」

「あら、それならこっちよ。アタシも用があったの、良ければ一緒にいかが?」

「あ、はい……ありがとうございます、助かります……」

「気にしなくていいわよ?

 ココ、見てるだけでも楽しいけど、何か探すなら慣れてないとすぐには分からないものね」

 

 こっちよ、と歩き出すマギーさん、と言うらしい人の半歩後ろをついて行く感じで歩く。お洒落な服に柔らかい物腰、気遣いが出来て優しく歩き方までセクシーで、この体格が無ければそこら辺の女性よりも女性的なんじゃないかな、と思ってしまう程。

 

「……マギーさん、は、ガンダムが好きなんですか?」

 

 言ってすぐに、何を当たり前な事を、と内心呟く。ガンダムベースに1人で居る位の人が、ガンダムが好きじゃない訳がないのに。……いやまぁ、連れの人が別の所にいる可能性はあるけど。

 

「もちろん!アタシはSEED系が特に好きなのよねぇ……あなたもSEEDが好きなのかしら?」

 

 何この聖人。

 

「えっと……はい。ストライクとか、フリーダムとか……」

「格好良いわよね、あの2機!」

「はい!最初の登場シーンも格好良いし、ストライカーパックの付け替えとか、フリーダムはフルバーストとかDESTINYでの活躍とかも凄く好きで!」

「うんうん、分かるわ!DESTINYになってもフリーダムとキラの組み合わせがいかに強いかって言うのがよく分かるわよね!

 もしかして、目当てのガンプラもストライクとかフリーダムなのかしら?」

「あ、いえ。今回欲しいのはストライクノワールなんです!地元の店では見かけないので、遠出ついでに少し寄ってみようかと思って!

 どの位使うかはまだハッキリとはしないんですけど、絶対何かの要素を使いたい機体の一つで────」

「あら、偶然ね!私も……どうかしたの?」

「……いえ、その、なんかすみませんベラベラと……会ったばかりだし、女なのにガンダム好きなんて変ですよね……」

 

 ふと我に帰って思わずそう漏らしてしまった所で、知り合ってばかりの相手がそんな事を言い出してきた方が変だし困るな、と気付き更に一人で落ち込んでしまう。

 

「そんな事ないんじゃないかしら?」

「え……?」

「着いたわね、この辺がSEED系のキットが置いてある場所かしら。ノワールは……これね。はい、どうぞ」

「あ、ありがとうございます……

 あの、そんな事ない、って……?」

「周りをよく見てごらんなさいな」

 

 優しい表情でそう言うマギーさんに従って周囲を見渡してみると、着いたばかりの時は少しの緊張と興奮もあってあまり見ていなかったけれど、よくよく見てみると、店員さんや、その他にもちょこちょこ女の子や女性客が居るのが視界に入って来た。

 

「あ……」

「他にも女の子、いるでしょう?

 地域とか年齢によってはそういう風に見られる事もあるかも知らないけれど、少なくとも此処では、そんな事は無いわ。

 それに、アタシなんてオカマよ?それでもこうして普通にここに居るんだもの。あなたみたいな女の子が受け入れてもらえない訳が無い、私はそう思うの」

「そう、でしょうか」

「ええ!」

 

 すごい人だな、と、そう思った。

 

 自分がしたい事、好きな事を表現しながら、ありのままの自分で日々を過ごしているその姿に、憧れすら抱いた。

 

 この後、マギーさんに軽く案内してもらって回ったり『アダムの林檎』に連れて行ってもらったりはしたものの、この時はまだあくまで遠出をしてるに過ぎなかったわけで。

 

 その日は帰るしか無かったけど、この日の経験はとても、とても大きな価値のあるものとなった。

 




聞き手を用意するか1人で進めるかでしばらくかかったけど、まぁ1人でいいかなって。
この調子だと4話分くらいかかるんじゃ無いかなぁ昔話。
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