GBD:ドレスアップ・ドールズ   作:朔紗奈

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ようやっと区切りついたので初投稿です。
普段の倍くらいになってたよ
fgoのイベントとモンハンやる時間なくて辛いよ_(:3」∠)_


チェリー・ラヴ17: 悪夢、或いはしょうもない昔話 その5。

 ぽり、とおつまみとして貰ったナッツを適当に口に放り込む。

 

「──と、まぁ、これがGBNが始まる前とか、あの2人との話かな?

 マギーちゃん、知ってる範囲で何かある?」

「そうねぇ……強いて言うなら、今のプライベートとかGBNでの楽しそうな感じは、GBNを始めてから少しずつ表に出せるようになったけどあの頃はまだ恥ずかしそうだった、ってくらいかしら。始めたばかりの頃はまだ、お店で働いてる時と同じ感じだったのよね」

「あー、確かにそうかも?

 マギーちゃんがこっちだとリアルよりもテンション高めで、それに引きずられる感じだったんだよねー

 まあ、おかげで私も、GBNでもリアルでも楽しくやってるんだけど」

「リアルの店での姿が、元々のチェリーに近い、と言うことか」

「成る程、マミィのコスプレの原点はナナミとMs.マギーがきっかけだったのですね……」

 

 

 ふむ、というどこか興味深げなメイちゃんと、「これは、ナナミの評価を数段上げる必要がありますね……」と呟く、GBNの『La Rencontre』で店飲みをしていたら突然転がり込んできた『自称・私の娘』、ビスクちゃんと言うらしいELダイバーの女の子の声を聞きながら、ナナちゃんはどう思われてたんだろ……と内心呟き、私は若干温くなってきたビールを飲み干した。

 

 

 

 

 

 時間は少し巻き戻って、今朝。

 

「ながーーーーいようで短いような夢を見てた気がする……2ヶ月くらい……」

 

 もそり、と体を起こし、まあまあ寝ぼけた頭で見ていた夢を思い出す。

 

 SEEDに出会ってからの小中高、上京してから今まで。マギーちゃん、ナナセ君とツカサ、ナナちゃん、GBNを始めてからの出会いと思い出と……忘れられないあの日、そして、それから今まで。

 

「……なんというか、変わったもんだよねぇ」

 

 昼休みもぼっちで、目立たないように背を丸くして誰とも話さずにいたのに、今ではバーテンダー服を着て働いているし、GBNではコスプレをしたりして自分から目立つ事をしている。

 ……いやまぁ、リアルでのプライベートでは必要以上に着飾らないのは相変わらずだけど。GBNだからこそ好き勝手してるけど、リアルでは……まぁ、出来なくはないけど、慣れてないから気恥ずかしさはあるし。

 

「……ブランカ」

 

 棚にケースに入れて飾ってある、私の最初の機体。ガンダム・フレームにはどんな装甲を着けてもガンダム、という私が好きな設定を利用して、ストライクの外装を加工してバルバトスのフレームに装着、近接戦に特化した機体として設計して、ツカサとナナセ君にアドバイスを受けながら完成させた、私の最初の愛機。

 

 ──『ブロッサム』から距離を取りたくて、アナトが出来てからは触る事が手入れ以外ではめっきり無くなった、『GBNコスプレイヤー・ブロッサム』の、愛機。

 

「……そろそろ、使ってあげないとなぁ」

 

 言ってしまえば。

 一応、元々落ち着いては来ていた所にこの間のロンちゃんとのあれこれもあったしで、とっくに折り合いは付いているのだ。

 

 それでもブランカを使っていなかったのは、きっかけというか、タイミングというか……そんなものが、うまく掴めなかったから。

 

「テンちゃん先生にも、言われたしね」

 

 『『ブランカ』も、偶には使っておやり。きっと、喜ぶじゃろうからの』という、テンちゃん先生のヴァルガでの言葉を思い出す。

 

 ガンプラが喜ぶ、という言葉も、昔ならそんなものかなぁ、と思っただろうけど、GBNを始めて、サーちゃん達、ガンプラの声が聞こえるELダイバーのみんなとの交流もあって、その言葉を信じてみようと思うようになった。

 

「久しぶりに一緒にログインしよっか、ブランカ」

 

 話しかけるように、ケースに入ったブランカに向かって呟いて、

 

「まずはご飯、っと」

 

 取り敢えず、何はともあれと台所へと向かったのだった。

 

 

 

 

 

 

「──よし、まあまあいい感じじゃない?」

 

 久し振りにブランカに乗るから、と選んだミッションは、前に配信でも利用した『不死身のコーラサワー』。

 

 適度な難易度なのもあって、慣らしには相変わらず重宝しているから選んだけど、久し振りのブランカだからリーチと機動力の感覚がクーちゃんとアナトで戦った時とは逆──つまり、アナトに慣れてしまってブランカの操作感と噛み合わなくなっていて、クリア自体は簡単に出来たものの納得が行かず、何戦かやり直して少しずつ感覚を取り戻していた。

 

「アナト使うようになってから、射撃とテイルブレードの扱いは前より上手くなったかも?でもまぁ、ブランカだとハンドガンとナイフだからリーチとかは測り違っちゃったりするのは気を付けないとなぁ……

 しばらくはブランカも使って両方扱えるようにしてあげたいとこだなぁ」

 

 ブランカの両手に持ったハンドガンをくるくる、と回してホルスターに収め、「ぃよし!」と思わずフィンガースナップ。こう言うところは衰えてない辺り、私らしいと言うか何というか。

 

 ガンプラの思いと言うものがあるなら、ブランカはそれはそれで私らしいと思って呆れていたりして、と思いながら、軽く苦笑する。

 

「さーて、マギーちゃんのとこでお酒でも飲もっかなー♪」

 

 久しぶりのブランカを一通り満足した私は、ささっとエリアを移動して店へと向かう。いつも通りGBNでのテンション高めなマギーちゃんに出迎えられ、いつも通りにビールを注文、そしていつも通りに一気飲み。

 

「っぷはーー!!おかわり!!」

「チェリーちゃん、何か嬉しいことでもあった?」

「んー、嬉しい……と言えば、嬉しいのかな?実はさぁ」

 

 ついさっきブランカに久しぶりに乗ってきた事を話そうとした時、丁度新しいお客さんが来たのかドアベルが鳴る。そして、

 

 

「あぁ……やっと、やっと会えました、マミィ・ブロッサム……

 ……あなたを、ずっと探していました」

 

 

 雪のように白くて長い髪を揺らしながら入って来たその女の子は、ドアベルの音を聞いてチラッとそっちを見ていた私に視線を向け、真っ直ぐ近付いて来るや否や、そう囁いて私を後ろから抱き締めた。

 

「へぇぁ?」

「あら、熱烈な告白。

 ──でも、この子の名前は『チェリー・ラヴ』、よ?」

 

 美少女に抱きつかれた上、突然告白紛いの事をされて思考が止まって変な声が出た私に対して、柔らかく、それでいてどこか警戒したような雰囲気で訂正をするマギーちゃんの言葉を聞いて、漸く『ブロッサム』で呼ばれた事に気が付いた。

 

 何で知ってるんだろう、と思うのも束の間、マギーちゃんの言葉を聞いて視線を向けたらしいその女の子が口を開く。

 

「貴女は……個人ランク23位の『マギー』ですね。マミィと友人関係のダイバーとあれば、礼を失する訳にはいきません。

 

 初めまして、私はビスクと申します。このGBNで、コスチュームやダイバールックを着飾る事を楽しむダイバー達の思い、そして──マミィのコスプレを楽しむ気持ちと技術のデータを基に産まれた、ELダイバーです。よろしくお願いします、Ms.マギー」

 

 クールと言うか無感情というか、良くも悪くもお人形さんみたい、と言う方が近そうな雰囲気とピッタリな、それでいてそんな姿に似合う綺麗で格好いい声で、そう彼女、ビスクちゃんは自己紹介をした。私を抱き締めたまま。

 

「マギーちゃん……私シングルマザーだったみたいなんだけど、マギーちゃんはこんな私を受け入れてくれる……?」

「チェリーちゃん、まず落ち着きましょ?

 それで、あなた……ビスクちゃん、だったわね。チェリーちゃんがお母さんって──」

「マミィの名前は『ブロッサム』です、Ms.マギー」

 

 そう、マギーちゃんに被せるように発された言葉は冷たくて、有無を言わせない声だった。

 

「あー……ビスクちゃん?」

「なんですか、マミィ」

「わぁ甘えたさんだぁ……」

 

 表情は薄いけど、呼ばれたら返事をしながら頬擦りを始めたビスクちゃん。

 なるほどなぁ、される側から見ると普段の私割とこんな感じかぁ……と思いつつも、悪い気はしない。美人さんだし。可愛いし。ほっぺたももちもちだし。服の上からもわかるバランスが美しいお胸もやらかいし。ふわふわ。

 

 でもまぁそれはそれとして。

 

「ビスクちゃん、ごめんね?今は私、『チェリー・ラヴ』って名前だからさ、そう呼んでくれると嬉しいかな」

「……どうしてですか?」

「それは、」

「ママ、居る──ん?ビスク姉さんか。珍しいな、この店に居るなんて」

 

 からん、とビスクちゃんに続いてドアベルを鳴らして店に入ってきたのは、マギーちゃんが後見人を務めているELダイバー、メイちゃん。

 

 メイちゃんのお姉さんって事は、そこそこ以上には前に生まれた子なんだなぁとは思ったけれど、年齢に関わる事だし、ととりあえず口には出さず、私もメイちゃんに軽く挨拶。

 

「やっほーメイちゃん!今日も美人さんだね!」

「あらメイちゃん。どうかしたのかしら?」

「……?あぁ、ダディ達のところで見た事がありますね。妹の1人でしたか」

「その両親とコスプレ以外への関心の薄さは相変わらずだな、ビスク姉さん」

「……ビスクちゃん、妹に対して流石にそれはどうかと思うよ?」

「これからは姉妹としてよろしくお願いします、メイ。仲良くしましょう」

「そうか、よろしくビスク姉さん」

 

 私の言葉を聞いた瞬間、私から離れてメイちゃんの両手を包むように握りながらそう言ったビスクちゃんに、メイちゃんはメイちゃんで気にせずに普通に対応していて、見ているこっちが呆気に取られる。

 

「素直な子、って言っていいのかしらねぇ……」

「んー、どうだろねー。

 でもまぁ、悪い子では無いんじゃないかなぁ……メイちゃんも、大物というか何というか」

「大物?」

「んーん、気にしなくていーよメイちゃん。

 そういえば、メイちゃんはどうしたの?入って来た時何か言いかけてなかった?」

 

 あぁ、とメイちゃんはこちらを向く。……ビスクちゃんに手を握られたまま。

 

「まぁ、ちょっとした用事と言ったところだ。もう解決したから、気にしなくて構わない」

「そっか、それなら良かった、って言っていいのかな。

 ……ビスクちゃん?手、そろそろ離してもいいんだよ?そろそろ2人とも椅子に座ったら?」

「そうですか、ではお言葉に甘えて」

 

 悪い子ではなさそうだけど少し変わった子だなぁ、と改めて思いつつ、飲んでいなかったビールを一口。まぁ、私のGBNでの知り合い達だって大なり小なり変わってるし、私だって女の子好きで、マギーちゃんはオカマだ。多少の変わった子要素なら、そこまで気にもならない。

 

「で、チェリーって呼んで欲しい理由だったよね」

「……はい。マミィは、何故名前を変えてしまったのですか?何故、以前のようにコスプレをする事をやめてしまったのですか?

 ──コスプレが、嫌いになってしまったのですか?」

 

 自分が生まれたきっかけだからか、私自身にコスプレを否定されるのを怖がるような様子のビスクちゃんを安心させるように、軽く頭を撫でてあげる。

 

「嫌いにはなってないから、大丈夫だよ。コスチュームの着替えは、今もしたりするしね」

 

 ほら、と撫でていないもう片手でウィンドウを見ずにアトラの服に着替えて見せ、ビスクちゃんの目が心なしか輝いたのを見ながら続ける。

 

「まぁ、なりそうになった事はあったけど……寧ろある意味、嫌いにならない為に名前を変えた、とも言えるかな?」

「嫌いに……ならない為に?」

「そ。折角だし、GBN始めるより少し前の話からしてあげよっか」

「……大丈夫なの?」

「だいじょーぶだよ、マギーちゃん。

 実は今日その頃くらいから最近くらいまでの夢見てさ、それでビスクちゃんとも会ったし、そういう日なのかもなー……って、そう思ってたとこなんだ」

 

 心配をするような顔のマギーちゃんにそう言って、「それじゃ、私がマギーちゃんと初めて会った頃から話そっか」と一声かけて今朝にも夢で見た昔の話を始め──今に至る。

 

「GBNでの話は……ブロッサムとしての活動は、ビスクちゃんも知ってる?」

「はい。

 やはり、印象深いのはあの伝説のカラオケ大会でしょうか。完璧な体形や顔に至るまでの、NPDと誰もが思う程のダイバールックの再現と高速コスチューム変更、補正がかかって普通に話してもそのキャラクター風になる代わりにアレンジが効き辛い『キャラクターボイス』ではなく、自由が効く代わりに補正が無い、その声優の声の『アクターボイス』を用いる事で、ラクス・クラインとミーア・キャンベルを完璧に演じ分けながら『静かな夜に』を歌い、それぞれがするであろうパフォーマンスまでしてみせたあの姿……何度映像を見直しても、思い出しただけですら惚れ惚れします……」

「わーぉ早口ぃ……」

「懐かしいわねぇ……当時の盛り上がり方、凄かったわよね」

「私は見た事がないのだが、そこまで凄かったのか?」

「『そんな事は無いと思いますけれど……

 ふふっ、お褒め頂きありがとうございますわ』」

 

 ちょちょい、とダイバールックのマイセットという、GBNにおいて一部以外では需要が恐ろしく低い要素を利用して、2番目──1番目は昔の、今より背が高い姿のダイバールック。一応残してはある──に登録してあるSEED時代のラクス様の姿とコスチュームへと変更、ボイスデータもラクス様とミーアの中の人のものに変えて、声はブランクがある割に結構するっと出て来たラクス様の声で演じながらメイちゃんに声をかけると、驚きで目を見開いたメイちゃんという何気に貴重かもしれない表情を見る事ができた。

 

「なるほど、これは確かに……」

 

 そして、喜んでくれたかな、とビスクちゃんにも視線を向けると──

 

「…………っ!」

 

 両手で口元を押さえながら、ぽろぽろと泣いていた。

 

「ど、どうしたのビスクちゃん!?そんなに私下手になってた!?」

「いえ……いえ!

 申し訳ありません、マミィ……私のこの目で、実際に見る事が出来た喜びのあまりに感極まってしまい、お見苦しいものを……」

「ビスク姉さんは、生まれてからずっと母親にあたる存在の『ブロッサム』というダイバーに憧れ、探し続けていたからな。やはり、感じる喜びはひとしおという事なのだろう」

「……ちなみに、ビスクちゃんが生まれたのっていつ頃なの?」

「コーイチ達からは、第二次有志連合戦からそう経ってない頃と聞いているな」

 

 第二次有志連合戦の後。

 つまり、私がブロッサムとしての活動をやめた頃で、ELダイバーの子達の生まれた中でも最初期と言っていい時期で──おおよそ、4年前。

 

「……そっか」

 

 そりゃ気になるよね、と、長い間探させてしまった罪悪感と共に納得する。例えるなら、物心ついたくらいの頃に親と離れ離れになったようなものだ。捨てられたんじゃないか、と不安になってしまうのは、当たり前だろうし。

 

「何というか、さ。情けなくなった、って言うのが理由の一つかな」

「情けなく……?」

「私が、ビルドダイバーズの子達と仲が良いのは知ってる?あ、リク君達の方」

「……ファーストが居るフォース、でしたか。聞いた事はあります」

「ファーストじゃなくてサラちゃん、だよ?お姉ちゃんなんでしょ?

 あの子達とは、あの子達が初めてログインした日からの知り合いでね。ヤス君が目を付けて絡んでた所にマギーちゃんと声をかけたのが最初だったの」

「ヤス……ああ、トキが良くホイッスルを吹きながら追いかけているダイバーですね」

「未だに初心者に詐欺やってるのあの子?」

「懲りないわねぇ……」

 

 その内本当にGMにBANされるんじゃ無いかしら、というマギーちゃんの呟きを聞きながら、そういえばヨノモリさんと初めて会ったのもあの頃だっけ、とふと思い出したけれど、まぁこの場においては余談。

 

 トキ、と言う子は知らないけれど、ヤス君をそうして追いかけ回すと言う事は真面目な子なんだろうって事と、話を聞いてる感じではビスクちゃんが名前を覚えてるって事は親しい子なのかな、と想像しながら、とりあえず続ける。

 

「その後も、あの子達のおねーちゃん分として、先輩として手伝ったり見守ったりしてたんだよね。……第七士官学校とのフォース戦の時は、まさかキョーちゃんとかタイちゃんとかシャッフィーとも仲良くなってるとは思わなかったけど」

「初めてのフォース戦にも関わらず、有名なトップランカーが何人も応援に集まったと今でも語られているな。『伝説の始まり』とすら言われていると耳にした事がある」

「アタシ達からしたら、仲良しのお友達と一緒に応援に行っただけなんだけれどね」

「その後も、第一次有志連合戦とかもマギーちゃんと参加して協力したりとか、その後はあの子達のフォースネストに遊びに行ったり、ナデシコアスロンも参加したり……本当、色々と一緒に遊んだなぁ」

 

 あの頃は、ブロッサムとしてのコスプレイヤーの活動とかもあって忙しかったけど、その分充実してもいたなとは、今でも思う。今がどう、と言う事じゃなくて、当時は当時で楽しかった、という意味で。

 

 ……でも、ブロッサムとしての最後の頃は、純粋に楽しめていなかった自分が居た事も、今では分かっている。だからこそ、今の私が居ると言ってもいいから。

 

「で、その後くらいに起こったのが、サーちゃん……サラちゃんが中心になって起こった事件と、第二次有志連合戦」

「その頃から、マミィの情報が出回らなくなっていました……あの戦いで、何かあったのですか?」

「それがさ、なーんにも無いんだよね」

 

 軽くおどけたような言い方で肩をすくめながらそう言うと、キョトンとした顔になるビスクちゃんとメイちゃん。

 

「……え?」

「どういう事だ?てっきり、連合側についたのかと思ったのだが」

 

 マギーちゃんにウィスキーをロックで出してもらって、一口。

 

「正確に言うなら、何もしてあげられなかった、かな。

 あの頃はリアルでも忙しくてさ、コスプレの質を上げるために研究もして、大学の課題もして、って睡眠時間を削ってたら倒れちゃって──体調が戻った頃には、サーちゃんの騒動は何もかも終わってた。

 趣味の為に体調崩して、『困った時は助けてあげる』って言ってた子達の1人の命がかかってる時に、何も知らずに、何もしてあげられなかった。

 それだけ。しょうもない話でしょ?」

 

 グラスの中の残りを、一気に傾けて飲み干す。思ったよりお酒を飲まないとやってられない気持ちになっていたけれど、他人に話せるくらいには受け入れられたんだなぁ、と改めて自覚出来たのは、良かったかもしれないなぁ、と思いながら空になったグラスをテーブルに置くと、ぼそり、と声が聞こえてその声の主、ビスクちゃんに視線を向ける。

 

「…………ですか」

「……?ビスクちゃん、何か」

 

 

「ファーストが居たから、マミィは『ブロッサム』を辞めたという事ですか」

 

 

 そう、呟くように言ったビスクちゃんは、怒気を滲ませながら立ち上がり、エリア移動する事でこの場から一瞬で姿を掻き消した。

 

「ビスクちゃん!?」

「ママ、コーイチ達に連絡を!チェリー、サラ姉さんの所に直接向かってくれ!私はビスク姉さんを追う!」

「ええ、分かったわ!」

「……分かった!」

「頼む!」

 

 ビスクちゃん、何する気……!?

 

 

 

 

 

 

 

 

「リク……!」

「あれは、あのガンプラは……何で!!」

 

 

────なんで、『アストレイノーネイム』が!!




次は多分普段くらいの量になると思う
なるといいなぁ
なるのかなぁ
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