GBD:ドレスアップ・ドールズ   作:朔紗奈

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ちまちま書き終えたけどなんか一月経ってたので初投稿です。

必殺技周りの独自解釈というか設定というか、そんなんもありもうすわよ。


チェリー・ラヴ19:精算。その2

「っはー、あっっぶなかったぁ……ツカサ、無事ー?」

《使ったのが本人ならともかく、あんなんで落ちてたまるかよ》

 

 装備の分解で右腕とブレイドドラグーンを無くした以外は汚れたくらいでほぼ無傷の、だいぶシンプルになったノーネイムから返事の通信。「それと、GBNではアンシュだ」という訂正に、そう言えばそうだった、と少し反省する。私もサクラノ、と呼ばれもしたけど、まあ先に呼んでたのは私だし。

 

《……で、だ。お前もアレ使えねえのか、と言いたい所だが》

「マリッジリングはアナトのだからなぁ」

《チッ》

 

 今のノーネイムに残されている武装と言えば、さっき投げて弾かれただけで済んだビームサーベルくらいのもの。今手元にある武装は無し、と言っていい状態となっていた。マリッジリング・ウェディングが使えれば万全の状態に戻せるけれど、いかんせん今乗っているのはブランカ。あの技は使えない。

 

《ったく、あんな必殺技覚えやがって……》

「ほんっと、他の人の必殺技使えるなんてチートだよねぇ……」

《…………》

「……何?」

《いーや、何でもねぇ。

 ブランカの武装構成と仕様は、前とは変わってんのか?》

「ん、特には変わってないかな」

《アーマーシュナイダー1本寄越せ、サーベル拾うまで使う》

「りょーかい、っと」

 

 ブランカの格闘兵装として搭載している、SEED作中でも地味に活躍したりしていた取り回しの良い対装甲コンバットナイフ『アーマーシュナイダー』。その装備している2本の内の1本を投げ渡すと、ノーネイムが残っている左手で掴み、軽く構える。

 

《どう使ってもいいな?》

「勿論」

《鈍ってねえだろうな……場合によっちゃ、ELダイバーの人数が減る事になるぞ》

「大丈夫、少なくとも心配されるほどは鈍ってないから。

 私、あの子のおかーさんらしいからさ。子供が間違った事しようとしてたら、止めてあげないと……でしょ?お・と・う・さ・ん♪」

《ハッ……お前みたいなちんちくりんと一緒にそんな風に見られるなんてまっぴらだ》

「同感、この悪人面!」

 

 そういえば、ツカサとこうして並んでガンプラを動かすのはGPDの頃以来だな、とふと思いながらニ丁のハンドガンを両手で抜き、先行したノーネイムに続くようにスラスターを噴かしてビスクちゃんの機体に向かう。

 

《ダディ……っ!何で、マミィの事を教えてくれなかったんですか!?》

《今お前がしてる事が起こるだろうと判断して、その被害を少しでも減らす為にはそれが最善だと考えたからだ》

 

 機体の前後を反転させ、砲撃体勢になってこちらへ向けて闇雲に連射するビスクちゃん。けれど、

 

「発動──『群狼狩猟-ウルフパック-』!」

 

 ブランカの必殺技、『群狼狩猟』。ハンドガンの弾丸に狼のようなエフェクトが付き、ストッピングパワーの上昇、威力の上昇に加えて、極端なカーブでなければ対象を追尾する程度のホーミングの付与、もしくは弾速の上昇のどちらかを選択して付与というバフ系の効果のそれを発動し、ホーミングを選択して砲撃しようとしている大型のフィンファングに左右から角度をつけて撃ち込むことで狙いを定めることを阻害していく。

 

 私がファングの向きを少しずつハンドガンで狂わせているのもあって、余計に狙いが定まらなくなっている砲撃はノーネイムには当たらない。ツカサよりも後ろに居る私には言わずもがな。

 

《ガキなんだよ、お前は。

 自分が気に入らない存在を、衝動のままにその熱に身を任せて納得出来ない存在を排除しようとする……ただの、ガキだ》

 

 大型のフィンファングから放たれるビームは確実に避け、私が逸らしきれなかった当たりそうな小型のフィンファングの射撃やビームスパイクを発生させての突撃は対ビームコーティングを施してあるアーマーシュナイダーで弾くという荒技を熟しながら、ツカサはビスクちゃんに言い聞かせる。

 

《別に、衝動に任せてやることが悪いと言うつもりはねえよ。俺だってそうだった、気持ちくらい分かる。だが、放置するわけにはいかねえ。俺の立場としても、お前の為にもだ。

 だから、お前を止める。さっさと大人しくしろ────バカ娘》

《ダディ……!でも、だって、私は……!!》

 

 ビスクちゃんの少し泣きそうですらある声に、落ち着いた声で続けるツカサ。

 

《アイツが、ンな事望んでると思うのか?》

《そんな事……!

 望んでない事くらい、もう分かってます!それでも、納得なんて……っ、納得なんて、出来ません!》

 

 前後をまた反転させて大型ビームサーベルを抜くミラージュリバイブに、アーマーシュナイダーを投げ付けて牽制し、ノーネイムは軽くステップで位置を調整。力加減を調整してそこに落ちていたビームサーベルの柄の端を角度を付けて軽く踏み、回転しながら飛び上がったそれを掴み取ってビーム刃を展開した。

 

《だろうな。そんな事簡単に出来てりゃ、こんな事はしねえだろうよ》

 

 上段からの振り下ろしに対してビームサーベルで受け、片腕のハンデと出力の差で押し込まれて膝を着きながらも鍔迫り合い、続ける。

 

《納得なんざ、すぐにしなくたっていい。出来る訳がねぇ。

 だが、用意してた手段で失敗して、真正面から押し通す事すらも出来なかったんなら……納得しようがしまいが、その場は受け入れて飲み込むしかねえんだ。それが、負けなんだよ》

《私は、まだ負けてなんて……!》

《今アイツのいる場所も分かってねえのにか?

 ────やれ》

「なんか、その言い方悪役みたいで少しヤなんだけど……とりあえず止まってもらうよ、ビスクちゃん!」

 

 2人がぶつかっている間にミラージュリバイブの後ろに回り込んでいた私は、ブランカが纏っているABCマント、その下から、背部にマウントしている2丁のハンドレールキャノンの内1丁を抜く。

 

 ハンドガンと言うには大きいこれは、あらかじめ込めてある1発ずつしか撃つことができない代わりに、当たれば十二分に大きな威力を発揮する。

 そんなこの武器の正体はというと、何を隠そう────

 

《っ、『ドア・ノッカー』……っ!?》

「正解、だよ!」

 

────小型のダインスレイヴだ。

 

《っ、させませ──》

「なんのっ!!」

 

 右肩と左腿に狙いを定めて引き金を引こうとした瞬間、左手を離してこちらにエグナーウィップを伸ばすミラージュリバイブ。それに対して、私もブランカの腰に繋がっているテイルブレードを操作して半ばから断ち切る。

 

 そして、

 

《半端に意識そらすくらいなら、もっとやりようがあったな》

 

 私に意識が向いたことで力が抜けた、鍔迫り合っていたビームサーベルを払ってノーネイムがミラージュリバイブの左腕を二の腕から切り裂き、

 

「……荒っぽくてごめんね」

 

 『ドア・ノッカー』から放たれたダインスレイヴの弾丸が肩をボディの一部ごと抉るように吹き飛ばし、その衝撃でよろけたミラージュリバイブはそのまま地面へと倒れ伏したのだった。

 

 

 

 

 

「あー……えっと、ビスクちゃん……大丈夫?」

「…………」

 

 機体が解けるように消えた事で現れた、ほっぺたをぷくぅ、と膨らませた体操座りのビスクちゃんに声をかけると、ぷい、と横を向かれてしまう。

 

「ツカサぁ……やっぱあのやり方は乱暴だったんじゃない?」

「トドメはお前だろうが。大体、それならどう止めるつもりだ?」

「それはそうだけどさぁ……」

 

 でもなぁ、と思っていると、ビスクちゃんの声。

 

「マミィは、昔のようになりたくないのですか……?」

「……そだね、その気持ちが全く無いと言ったら嘘にはなるかな」

 

 実際、昔は昔で楽しかったから。

 でも、

 

「多分サーちゃんの事件が起こる頃の私が今の私を見たら……きっと、羨ましがるんじゃないかな」

「羨まし、がる……?」

 

 よいしょ、と訳が分からなそうなビスクちゃんの隣に腰を下ろし、続ける。

 

「あの頃、ブロッサムとして活動してた最後の頃はさ。私、何がしたいのか分からなくなってたんだよね」

 

 ブロッサムとしての活動が有名になって、感想とか、反応とか、良い物も悪い物も簡単に目に止まるようになって。

 

 期待に応えないと、がっかりさせないようにしないと、頑張らないといけない、そんな考えの方が先に来るようになっていって、いつの間にか楽しい、という気持ちを感じなくなっていて。

 

 出来る種類を増やさなきゃ、質を上げなきゃ、と睡眠時間を削って必死で勉強して、リアルでのしないといけない事も積み重なっていって、結局、ああなった。

 

「だからさ、色々と考え直すっていう意味では、こう言うとアレなんだけど……第二次有志連合戦に参加出来なかった事は、丁度良かったって言えなくもないのかな。

 そういう意味では、サーちゃんのお陰で今の私が居るのかも」

「…………」

「……ありがとね、私の為に怒ってくれて」

 

 ぽん、と俯くビスクちゃんの頭に手を乗せて、軽く撫でてあげる。やり方は兎も角、私に喜んで欲しいと思っていたんだろうし……生まれてから4年近く、理由はどうあれ会ってあげられなかったんだから、あまり強く怒る気にはなれなかった。

 

「でーも、悪いことは悪いこと!

 ビスクちゃんには、3つお仕置きです!」

 

 ビクッと体を震わせて恐る恐るこちらを見るビスクちゃんに、指を3本立てて見せる。

 

「1つ!私のことは、もうブロッサムって呼ばないこと!

 2つ!サーちゃん達に、ちゃんと謝って来ること!

 3つ!これからは、サーちゃんの事はお姉ちゃんって呼ぶこと!」

 

 指を折りながら言っていくごとに、想像と違ったのかきょとんとした顔になっていくのを見て、思わずクスッと笑みが漏れてしまう。

 

「出来るよね、ビスクちゃん?」

「はい、あの、本当に、それでいいのですか……?」

「足りない、って言うなら、後ろの目付きの悪ーーいハロがもーーっと嫌なお仕置きを用意してくれると思うけど……どうする?」

「……その仕置き、お前もやらせてもいいんだぞ?」

「やめて下さいダディ、私だけが罰を受ければいいはずです」

「そんな、ビスクちゃんだけにそんな事させられない……!」

「マミィ……!」

「ビスクちゃん……!」

 

 ひしぃ。

 

「遊んでんじゃねえ。

 ──で、お前はそこで何してるひよっ子」

「着いた時にはアンシュとチェリーのタッグでの戦闘が始まっていたので、いざと言う時の為に邪魔になる事の無い、かついつでも援護をする事ができる位置で控えていたのだが……

 戦闘が終わり、家族の団欒、というものと思われる事が始まってしまい、どうしたものかと考えていた」

「いいから出てこい、そんなもんじゃねぇ」

「分かった」

 

 不意に明後日の方向を向いたツカサの呼びかけに応じて、陰になっている場所からひょこっと出て来るメイちゃん。

 

「ありがとね、メイちゃん」

「私は何も……いや、どういたしまして。何事もなく収まって良かった」

「うんうん、感謝は受け取っとくもんだよ!後でおねーさんが、マギーちゃんの店で飲み物でも一杯奢ってあげよー」

「そうだな、ありがたく頂くとしよう」

 

 よしよし、と少し背伸びして、いつも通りクールな表情で、喜んでるとも嫌がってるとも分からない、何なら反応に困ってるようにも見えるメイちゃんの頭を撫でてあげていると、ツカサの声。

 

「で、だ。コイツへの俺からの罰の話だが」

「あ、結局あるんだ?」

 

 2人の方を振り返ると、神妙な顔で正座をしているビスクちゃんと、その前に立ってちっちゃいハロの姿で腕組みをしているツカサ。

 

「無いと言ったか覚えはねえな。

 ELダイバー、ビスク。お前の罰は──」

「……はい、どんな──」

「次のELダイバーの定期検査、全員を連れて来い」

「許してください」

「却下だ」

「そんな……!」

「……ねぇ、メイちゃん。そんなに集まり悪いの?」

 

 両手を地面について項垂れるというそのあまりにもあんまりな反応にメイちゃんに耳打ちで質問すると、そうだな、と少し思い返すような様子で答えてくれる。

 

「リアルでの保護者が居るELダイバーは比較的よく参加しているが、GBNで生活しているELダイバーの参加率はあまり良いものとは言えないと以前コーイチがぼやいていたな。

 ELダイバーの人口が3桁となり、今も少しずつ増えているにも関わらず自主的に参加しようとする人数が然程増えていないので、結果として参加する割合が下がっていく一方だとか」

「おぉぅ……それはまた……」

「別に、1人でやれと言うつもりはねえ。誰の手を借りたって構いはしねえ……そこのちんちくりんだろうが他のELダイバーだろうが、結果さえ出せばそれでいい……出来るな?」

「へぁ?」

「『ビスクだけにさせられない』んだろう?」

「マミィ……!」

 

 しまった墓穴、しかも相当な沼に足突っ込んだ……!と思うのも束の間、2人の言葉に何も言えなくなる。いやまぁ、流石に可哀想なのは事実だし、手伝うのもやぶさかではないけども、それならメイちゃんに現状を先に聞かなきゃよかった、と少し後悔。

 

「ん"ん"ん"ん"ん"ん"ん"…………よ、よぉーーし!おかーさんに任せなさい!」

「ありがとうございます、マミィ……!」

「あくまでコイツの罰って事を忘れんなよ……まぁ、お前1人でどうこう出来るとは思えないが」

「待って今から怖い」

「チェリー、因みに普段の検査で来ているELダイバーの人数の割合は」

「ちょっと待ってやめてメイちゃんまだ聞きたくない」

「そうか」

「大丈夫です、マミィの力を持ってすればELダイバーの50人や100人、簡単に集まるに決まっています」

「待って、そんなに普段来てないの?そんな人数GBN中から探して連れて来るの……?」

「いや、正確には──」

「まだ!聞きたく!!無い!!!」

 

 

 

 

 

 そんなこんなで。

 この後サーちゃんとリッくんに謝りに行くビスクちゃんを後ろから見守ったり、「お姉ちゃん」と余りにもさらっと言われて一瞬理解できなかった後に喜んでビスクちゃんに抱きつくサーちゃんと抱きつかれてるビスクちゃんが可愛かったり、そして、

 

「住所不定って何ぃ……」

「全く、マミィが来ているというのに抵抗するELダイバーが居るとは嘆かわしい事この上ないですね……」

「全くです!私がチェリーさんが来たって知ったら、部屋から飛び出して握手とサインお願いしちゃいますよ!」

「部屋じゃなかったけどお願いされたもんねー。しかし、まさかトキちゃんがこんな可愛いしエッな子だったとはなー……」

「エッ……?」

「マミィは、こう言う服が好みなのですか?」

「こう言う服が、と言うかこういう服も好き、かな。着てあげよっか?」

「では私も」

「あれ?もしかしてこれ夢だったりしますか?あのビスクさんとチェリーさんが私とお揃いの服で一緒に行動するなんてそんな事現実にあります?

 ……あーっ、見つけました!」

「確保ーーーー!!」

「行きますよトキ」

「頑張りますよー!チェリーさんとビスクさんの為にも!」

 

 ビスクちゃんと私、そしてビスクちゃんが連れて来たトキちゃんと共に広大なGBN中を練り歩いてはELダイバーをELバースセンターに連れて行く旅が幕を開けたのでしたとさ。




と言うわけでまたちょろっとゲストのトキちゃん登場ですわよ拍手ーーーー!
定期検査関係の話はやっぱりアルキメさんちのディネちゃんの話がアイディアベースなのでやっぱり拍手ですわよーーーー!!

とまあそんな感じでとりあえずひと段落ってことで
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