Ex1:片目の竜、第二次有志連合戦にて
「まず、集まってくれた事に感謝する」
目の前に広がる、かつての有志連合結成の為の集会を思い出させる──と言うには人相の悪さが目立つが──を見回し、軽く頭を下げる。
「で、どうしたってんだカークスよぉ、あっちもこっちも宇宙海賊系フォースが勢揃いじゃねえか?」
「まずは、一つ訊きたい。
お前らは、今起こってるELダイバーの一件についてどう思っている?」
「はぁ?どうもこうもねぇ、BDみてえなバグなんだろ?消すのが当然じゃねえのか?」
「何も思わねえとは言わんがなぁ・・・・・・GBNがなくなるかもしれねぇと言われちまうとよ」
「・・・・・・だろうな」
正直、俺も彼ら・・・・・・ビルドダイバーズと出会っていなければ、同じ感想だっただろう。
だが。
「俺は、あの子らと会った事がある。
友人と一緒に、この世界を楽しんでいる・・・・・・ただの、子供達だ。あのELダイバーと呼ばれている、サラという子も含めて、だ。
そんな子供たちが、たったの5人であのチャンプに、運営に・・・・・・いや、このGBNそのものに、喧嘩を売ろうとしている。たった1人の女の子の命を救う為の賭けに出ようとしている」
「・・・・・・オイ、まさかおめぇ・・・・・・正気か?」
「正気だよミートローフ。
他でもない、この集会は、1人でも多く仲間を集め、彼らに加勢する為に開いたんだ」
それを聞いて、騒つく一同。
当然だ、チャンプを始めとする実力者揃いのAVALON、そして有志連合と同等かそれ以上と言っていい戦力に、喧嘩を売ると言われれば。
その為に、1人でもノらせる為の発破をかける。
「考えて欲しい。女の子を目の前で文字通り犠牲にしたGBNで、これからも今まで通りに遊べるという自信はあるか?」
「それは・・・・・・まぁ・・・・・・だがよぉ!?」
「それに、だ。これは、ある意味ではチャンスだと俺は思う」
「チャンス、だぁ?」
「こう考えたらどうだ?
チャンプが後生大事に抱えてる極上の、捨てる気だが譲る気もないとか抜かしてるお宝を、俺達で掻っ払っちまうんだ・・・・・・海賊、らしいだろう?」
「ほう・・・・・・?」
元々、宇宙海賊ロールをしてる連中は結構な割合でノリが良く、それでいて悪人らしい悪人はさほど居ない。さっきの反応のように、少なからずは心を痛めている奴だって居るくらいだ。
だから・・・・・・こちら側にノりやすいように、説得をする。
「それに、だ。お前ら、クロスボーンは好きか?」
「お?あ、あぁ、そりゃ俺らにとっちゃバイブルみたいなもんよ」
「あいつらなら・・・・・・クロスボーン・バンガードなら、どっちに着くと思う?
権力を振りかざし1人の女の子を殺そうとする連中と、それに抗う者の2択で、だ」
実際にどうか、それに関しては、一部のクロスボーンの熱烈なファンのように深く理解している訳ではない俺には分からない。それでも、彼らならばきっと『こちら側』に着いてくれると俺なりに信じながら続ける。
「これは、一つの命を救う為の正義による戦いであり・・・・・・同時に、GBNにおいて今後二つとあるかも分からない、大手を振って運営に反抗する事ができる、アウトローの・・・・・・宇宙海賊の晴れ舞台だと、俺は確信している。
────どうか、あの子達を助ける為に力を貸して欲しい」
頭を深く下げ、その姿勢から動かずに騒つく一同の様子を声だけで伺う。
そして、真っ先に反応があったのは、宇宙海賊系フォースの中でも大手、クロスオーバー・バンガードのリーダー・・・・・・ミートローフ・キャッスル。
「・・・・・・なるほどなぁ?海賊らしく、そんでもってクロスボーン・バンガードなら、と来た。とんだ殺し文句を出して来たもんだな、カークスよぉ。
いいぜ、乗ってやる。ガンプラ動かしたきゃ、GPDの筐体くらいならその辺の店で埃被ってるだろうよ。
・・・・・・だが、違ぇだろ?アウトローを自称するなら、そんな軽々しく頭を下げんじゃねえ。胸を張れ、カークス。荒くれを味方につけようとしてるんだぞ、お前は」
そして、
「まぁ、子供を見殺しにして楽しめるかって言われるとなぁ?」
「海賊らしく襲撃を仕掛けて堂々とお宝を奪う、ってのも気に入ったしな」
「どうせ続けるか分からなくなるゲームなんだ、最後なら最後らしく、馬鹿騒ぎで終わってやろうじゃねえか!」
ミートローフに続き、声を上げる事で賛同してくれる声が響いていく。
「済まない、恩に着る・・・・・・!!」
海賊連合の参加決行のタイミングは、ビルドダイバーズのリクとチャンプが開戦する直前。
アライアンスを結び、俺が代表となって参加する事で前もってビルドダイバーズにアポを取っていた事で得た、俺達の参戦権を確定させたら宇宙に待機している連合がAVALONのフォースネストに向かって一斉に降下、大気圏内に突入次第、各自が保有する艦を質量弾としつつMSを展開して突撃、という算段だ。
楽しければそれで良い、というスタンスの奴・・・・・・『海賊皇帝』を自称する見た目も攻撃も派手で有名な馬鹿がこの場に来ていなかったのが気にはなるが、あまり気にしすぎても仕方がない。警戒だけは続ける事を頭に置いておき──参加のボタンを押す事で、参加の受諾を確認した俺は、改めて愛機、『クロスボーンガンダム3X3-サザンクロス-ゼノクロスカイ』に搭乗する。
「・・・・・・よし、行くぞ相棒」
開戦の合図と共に、ビルドダイバーズのものと思われるシャトルが突入するのを確認して、俺ともう1人・・・・・・基本的に艦を任せているベルーナ・リリーが乗るマンサーナ・フロール、並びに海賊連合の艦隊もまた、大気圏への突入を始める。
『・・・・・・チャンプ、並びに・・・・・・有志連合の皆さんに、フォース『片目の竜-ドラゴン・トエルト-』リーダー、カークス・ロストに代わり私、ベルーナ・リリーが申し上げます。
我々は、ビルドダイバーズを援護すべくこれより参戦致します。・・・・・・願わくば、余計な邪魔はされませんよう。
我々は宇宙海賊連合・・・・・・いえ、敢えてこう名乗りましょう』
『────我々は、『クロスボーン・バンガード』。
大いなる意志に立ち向かう少年達に手を貸し、サラという1人の少女をその手から奪わんとする、悪漢です』
『・・・・・・ふぅ・・・・・・』
「お疲れ様、ベルーナ。立派なもんだったぞ」
普段ならさして喋らず、ごろごろとしているのがほとんどで椅子にちゃんと座っている事すら少ない彼女にウィンドウ越しに声をかけると、既に背もたれをぐっと倒して気だるげに体を横にしていた。
『・・・・・・えぇ、疲れました・・・・・・普段なら、もうログアウトして寝たいくらいです・・・・・・
・・・・・・ですが・・・・・・そうも、言っていられない・・・・・・でしょう?』
「・・・・・・あぁ。これからは、彼を彼女の元に送り届ける為に一分一秒でも時間を稼ぐ必要がある。
悪いけど、ビギナーで出撃してもう少し手を貸してくれ」
『・・・・・・リアルに戻ったら・・・・・・一緒に、寝てください。・・・・・・そしたら、もう少し頑張ります』
「お安い御用だ」
『・・・・・・ん。・・・・・・では、軌道も安定したので・・・・・・そろそろ、ビギナーに移ります』
「ああ」
『よぉカークス。演説は嫁任せとはなぁ、発破かけといてここまで来てビビったか?』
「彼女の意志だ、と言いたい所だが、俺自身こういうのは得意じゃないからな」
『そうかい』
入れ替わるように通信を繋いでからかって来たミートローフにそう返すと、つまらなそうな顔になる。
「ミートローフ、ついでに開戦前に景気いいのを頼めるか?連中がアガるようなのがいい。
俺よりも、あんたの方が皆んなノりやすいだろうさ」
『ったく、しょうがねぇ・・・・・・
おうお前ら!!嬢ちゃんがぶち上げた演説は聞いたな!?
これから俺らは敵のド真ん中に奇襲を仕掛ける!恐がるこたぁねぇ!どこ見てもこっちに寄って来るスコアの山よ!暴れたいように暴れて、稼ぎたいようにスコアを稼げ!
────大漁を、野郎共!!』
連合内の全体に繋いだ回線から響くむさ苦しい・・・・・・けれど心強い叫びを聞きながら、改めて操縦桿を握り直す。
『・・・・・・そろそろ、です』
「・・・・・・よし、行くぞ」
ベルーナの話の通り、マップを見るにAVALON上空に差し掛かっている。更に言えば、チャンプ率いるダイバー達の有志連合が、反応が集まるあまりにレーダー上で壁のようになっているのも視界に入る。
現状ですら普通に考えればまともな戦闘にならない絶望的な戦力差。これに対して5人で戦争を仕掛けるのだから、大した子供達だと思ってしまう。
「・・・・・・大人の俺達が、少しでも手を貸してやらんとな」
『・・・・・・そう、ですね・・・・・・クロスボーン・ビギナー、ベルーナ・リリー・・・・・・出ます』
「サザンクロス、カークス・ロスト、出る!」
・・・・・・あの子達の願いを叶える為、手を貸してくれ────サザンクロス!
カークス・ロスト
カーティス・ロスコ、並びにトビア・アロナクスの名前から。
なお外見はカーティス寄り。
クロスボーンガンダム3X3ゼノクロスカイ
クロスボーンガンダムX-3、X-0のミキシング、というにはこの2機で組み上げたパッチワークと言った方が近い。
胸部、右腕がX-3、頭部、左腕、両足がX-0となっている。
2種類のクロスボーンガンダム3号機のミキシングだから、という理由でサザンクロスという名前を付けられた。
ゼノクロスカイはフルクロスとムーンガンダムのサイコプレートのミキシングを施してフルクロスに似た形状にした追加装備となっており、サイコプレートとしての遠隔操作も可能としている。また、この名前もまたXが3つ並ぶのが正式な表記となり、そこもまたX3につながる。
武装面においては主にX-0のものを利用しており、胸部ガトリング砲と右腕のI・フィールド発生装置が追加されたX-0といった仕上がりとなっている。
ベルーナ・リリー
ベラ・ロナの名前からベラドンナの花を連想→ベラドンナリリーに繋がり、ベルナデットの名前も入れる事でベルーナ・リリーというダイバーネームに。
なお外見はベルナデット寄り。
クロスボーン・ビギナー
ビギナ・ギナの頭、腕、バックパックをクロスボーンガンダムX-0のパーツに変更し、赤と黄色の部分を紫にする事で全体のカラーリングをビギナ・ギナに合わせた機体。
ビームライフルとビームランチャーを主兵装とした中距離での射撃戦をベースのビギナ・ギナよろしく主な戦法としており、実力的な問題もあって近接戦は避けていることから、ビームサーベルは護身用に、ブランドマーカーはビームシールドとして用いられる事が多い。