まあ元のテンションに戻ったとも言えるし引きずってるとも言えるかなって
次話はもう戻ってるはずと思いたいわね
あれからというもの、やらかした、という気持ちが拭えないまま一晩が過ぎ、昨日ログインした時と同じような時間になっていた。
それなりに昔の事は折り合いを付けたつもりだったし、コスプレを褒められる事自体は素直に嬉しいのも事実だけれど、不意打ちで『昔のGBNでの私』を褒められてしまった事でどうしても動揺が隠せなかった。
挙句に、自分で悪くしてしまった空気に耐えられずにーー頭を冷やしたかったのもあるけれどーー逃げるようにしてあの場を離れてしまったので、控えめに言って最悪といった感じで。
「ム"ォ"ォ"ォ"ォ"ォ"ォ"ォ"ォ"」
多少なりと落ち着いた今ですら、恥ずかしさやら何やらで色々と混ざった叫びを、枕に顔を押し付けて発散していた。
「(本当ありえないロンちゃんは褒めてくれただけだし『私がダイバーネーム変えて前みたいなコスプレをするのを辞めた理由』も進んで言いたい訳じゃないし他の人に態々詳しく言うことでもないからって思って教えてないから知ってる訳ないしそもそもしばらく会ってなかったし前あった時は今より折り合い付いてなかったから軽くぼかして名前変えた事伝えただけでそれ以上話題にもしてなかったし伝えてないこと忘れてたのは私が悪いだけだしもぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!)」
しばらくお待ちください。
「GBNいこ……」
何はともあれまずは謝るところから、とGBNにログインする事にした私は、机に置いてあるダイバーギアの元へと向かう。
「よーし……おっけ、おっけ、マギーちゃんとロンちゃんに会いに行って、あとは……散歩でもしよう、そうしよう」
ぺちぺち、と頰を軽く叩いて少し気合を入れて、考えが変わる前にそのままログインする。
ログインに成功してセントラルエリアに辿り着くと、マギーちゃんから「今日もこっちのお店にいるから、何時でもいらっしゃいな」というメッセージが届いていた事を通知が知らせてくる。
思わず少し気まずさにぐぬぅ、と声を漏らしつつも、謝るのは早い方がいい、と自分に言い聞かせて移動の為の操作を行い、ディメンションを移動してそのまま真っ直ぐ『La Rencontre』へ。
「ゃ、やほー?」
おそるおそるドアを開けて少しずつ覗き込むようにしながら中に入ると、そこに居たのはメッセージを貰っていたマギーちゃん。そして、
「あらチェリーちゃん、いらっしゃい。……落ち着いたかしら?」
「やぁ、チェリー君」
「ろ、ろろろろろロンちゃん!?」
後で会いに行こうと思っていたので完全に不意打ちだったロンちゃんの登場に思わずテンパってしまった私はというと、
「……まぁ、なんだ。元気そうで何よりだよ」
「そうねぇ」
「……はっ!?私は何時の間にロンちゃんを抱っこして……?」
無意識の内に椅子に座っているロンちゃんを抱き上げ、代わりにそこに座ってロンちゃんを膝の上に座らせてモフモフしている状態になっていた私は、2人の声で我に帰る。
「昨日は不躾な事を言ってしまったようだ。済まなかったね、チェリー君」
「……ううん、謝るのは私だよ。
ごめんね、ロンちゃん。コスプレを褒めて貰えたのは嬉しかったんだけどーー昔の私の事は、ちょっと触れないで欲しい……かな。大丈夫になったら、話すと思うから」
「心得た、気を付けよう」
「マギーちゃんも、ごめんね」
「いいのよ、そんな事。
私も、知ってるんだからそれとなく止められていればよかったわね、ごめんなさい」
「ありがとう……大人だなぁ、ふたりとも……」
少し力が入ってしまっていた腕に何も言わず、抱きしめる為に回している腕をぽんぽんと肉球付きの手で優しく触ってくれるロンちゃん。
「そうとも、私達は君よりも少しばかり大人だ。
だからこそ、若い者を少しでも支えてあげるくらいはしなければならないだろう?」
「やば……格好良い大人じゃん……可愛いし格好良いのずるじゃん……」
そう呟きながらぽふ、とロンちゃんに顔を埋める。
「スゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ」
「……調子が戻ったようで何よりだね」
「ふふっ」
ぷへぁ。
「それでチェリーちゃん、今日の予定は決まってるの?」
一息つく為にロンちゃんから顔を離したタイミングでのマギーちゃんの質問に、あごをロンちゃんの頭の上に乗せるようにして答える。
「ん、まぁお店寄ったあとロンちゃんの所行って、その後はお散歩配信でもしようかなと思ってたくらいかなぁ」
「そういえば、昨日はクオンちゃんの配信見てたんだものね。良いんじゃないかしら!」
「マギーちゃんとロンちゃんも来る?」
「行きたいのは山々なんだけど……私は今日はお店だから難しいわね。でも、誘ってくれてありがと!」
「私も今日はこれから用事があるものでね、すまない」
「そっかぁ……」
しょぼん顔になりながらもそれはそれ、元々一人でする予定だったし、用事があるなら仕方ない、と名残惜しいけどロンちゃんを椅子に下ろして立ち上がる。
「んじゃ、行ってくるね!」
「気を付けていってらっしゃーい」
「楽しんで来るといい」
2人に手を振りながら店を出た私は、配信の準備もしつつ、さて、どこに行こうかな、と考えを巡らせる。
「ん、決ーめたっ!!」
私の配信としては初めてのお散歩。となれば、『あの場所』はきっとピッタリだと思い、ディメンションを移動する。
配信の準備を終わらせ、
「みーーんなーー!グッチェリーっ!!」
ところでロンちゃんはフェレット好きミリオタ合法ロリ女医概念アリだと思います