「約束する。私もジャーナリストだし、真実は絶対に信じるから」
翔琉の問いかけに涼葉は強気に応える。
「そうか、だったら話はあの駄菓子屋でやるか、マヒロ。警察と消防には?」
「すでに連絡済み。最短でも500㍍先の派出所のお巡りさんが来るかも」
「さすが、仕事はえぇな」
と、その時だった。地響きが起こり、彼らの眼前に斧の刃を身に纏った異形・アックスドーグがそこにいた。
「まだいたか!?」
翔琉は再びカメンデバイザーを構える。
「しくったか、鉤田諒」
アックスドーグは鉤田と呼ばれるさっきまでクロードーグだった男を担ぎ、手に持っていた手斧で地面を打ち壊し、逃げていった。
「逃げた!」
「ったく、共犯者がいたとはな」
翔琉は、捲れ上がった地面の周囲を捜索すると、あるものが目に入った。
それは破られた雑誌の切れ端だった。そこには「読者アンケート2位『彗星王子』」と書かれていた。
「何それ?雑誌の切り抜き?」
と、涼葉が駆け寄る。
「だろうな。連中、何を企んでやがる」
第2話「俺たちは三位一体」
それから幾多の時間が経ち、翔琉たちは駄菓子屋の秘密ガレージにいた。
最初に来たときはこの部屋があることも分からなかった涼葉が驚愕の表情を浮かべたが、先ほどの翔琉が仮面ライダーであるという事から少し納得してしまっている。
「それで、さっきの話の件。教えてくれる?」
「おねーさんみたいな新聞記者とかいう部外者には言いふらしたくないんだけど…」
とマヒロは口を尖らせる。
「おいおいマヒロ。ちったぁそのニンゲン嫌い克服しただどうなんだ?」
「なんでさ?僕みたいな異次元人がこの世界のニンゲンに関わったらとんでもないことになるって…」
「強がり言うな。言わねぇとオヤジさんに頼んでニンジン増やすぞ?」
「ニンジン…ヒッ…ごめんなさい……全部話すから許して……」
ニ
ンジンという言葉が弱点なのか、マヒロはソファーベッドのクッションを上にして丸まって防御の姿勢をとった。
「どういうこと?ニンジン嫌い?」
「まぁ、そう言うこった」
「あの怪物はドーグ。呪導と呼ばれる組織が創った異形兵器」
マヒロは再び向き直り、涼葉に説明を始めた
「呪導?」
「異次元から侵攻してきた地獄の軍団。つまりあのドーグってのはその先兵」
「げぇ…。私らの知らないところでそんなのが侵攻しているんだ。ってことはあの爪のドーグだった鉤田ってひとのあの斧のドーグはその呪導の先兵ってこと?」
「間違いじゃないけど少し間違い。ドーグになるにはドーグチャージャーと呼ばれるアイテムを使って変貌する。そのドーグチャージャーを売りさばく『ディーラー』と呼ばれる者が売りさばいている。彼らはそこからドーグチャージャーを買った者。ある意味奴らの被害者だよ」
「売りさばく売人がいたり、なんだか違法薬物みたい…」
「ま、理屈とすれば似たようなもんだ。強力なドーグチャージャーを使えば使う程中毒症状を起こして廃人となっちまったのと戦ったことがあったからな」
「でも、なんで呪導は私たちのいる世界を狙っているの?」
「それは分からずじまい。異次元人のボクでもわからないんだ…」
「い、異次元人!?」
涼葉はマヒロが異次元人であることに驚きを隠せなかった。涼葉から見ればただ軍服のコスプレをした少年にしか見えていなかったからだ。
「あぁ、マヒロは異次元世界の住人だった。だがマヒロはそれ以外の記憶が思い出せないんだ…」
「うん、僕が何者なのかも……」
「記憶も喪っていたんだ…」
「ただ覚えているのは、仮面ライダーの知識と、どこかの施設でコレが入ったアタッシェケースを持っていたってことだけは覚えてるんだと」
と、翔琉はカメンデバイザーを涼葉に見せた。
「あ、そう言えばそれ!何なのそれ?」
「それはカメンデバイザー。カメンチャージャーに秘められたマテリアエネルギーをリリースして融合・現実化をさせるカメントライズを発動させるための変身デバイス」
「カ、カタカナが多くて何が何だか…」
「まぁ、つまりは」
そう言うと翔琉は壁に立てかけてあるカメンチャージャーの充電装置から1号のカメンチャージャーを取り出した。
「これに秘められた力を開放して、俺が変身するトライズの力の源になるってことだ」
「そういえば、このカメンチャージャーに描かれている人って何なの?」
と涼葉はカメンチャージャーに描かれているレジェンドライダーを指した。
「それが仮面ライダー」
「仮面ライダー?」
「あぁ、マヒロが言うには『数多の世界に存在するといわれている人間の自由と平和を守るために戦う正義の異形の者』だそうだ。その方々に倣って俺も仮面ライダートライズって名乗ってるんだ」
「自由と平和…」
涼葉は無意識にその言葉を反芻する。
とその時だった。
『本日正午過ぎ、岩宮地区のごみ処理施設付近にて男性が発見されました。男性は同じく岩宮地区在住の鉤田 諒さん28歳で…』
とラジオからニュースが流れた。翔琉はすかさずラジオのボリュームを上げる。
『ごみ集積業者が血を流して倒れている鉤田さんを発見し、110番通報しました。鉤田さんの命に別状はなく全治3か月の重傷です』
「鉤田諒…。あの斧のドーグがあの爪のドーグのことをそう言っていたよね?」
「恐らく、斧…アックスのドーグチャージャーを持つ者が口封じをしようとしたとみられるね。全く、これだからニンゲンは業が深いよ」
マヒロがお得意の毒舌を吐いているいっぽうで、涼葉は熱心に手帳のページをめくっていた。
「あ、やっぱり!!」
と涼葉は大きな声を出す。突然のことにマヒロも翔琉も耳をふさぐ。
「あの鉤田って人、鼓太郎って漫画家のアシスタントだ!!しかも前に私が取材している!!」
「漫画家!?…ってことは…もしかするとこの切り抜き…」
翔琉は先ほど現場で拾った雑誌の切り抜きをポケットから出す。
「それ、先週の週刊コミッキングダムの読者投票だよね?」
涼葉はスマホを取り出し、コミッキングダムのホームページを開いた。
そのページには「読者投票結果発表!」と書かれたページがあり、順位が並んでいる。1位は「魔滅の剣」、2位が「彗星王子」とあった。
「そうか…。そう言う事か!マヒロ、魔剣の剣の作者さんのSNSがあったら数日前までの件をまとめてくれ」
「わかった」
翔琉はひらめき、壁にある黒板に今までのことを書き綴った。マヒロもタブレット端末を操作して調べ始めた。
「翔琉、ビンゴだよ。今を時めく超売れっ子漫画家の水無月 阿蔵は神代地区と三沼地区、それに昨日の矢土地区でそれぞれ取材を受けていたよ」
「って私も今日水無月先生の取材のために芦屋出版に行く予定だったんだ!ってどういうこと?あのドーグも何か目的が?」
「俺たちは当初、クロードーグの目的は今までの場所から芦屋出版の関連企業の襲撃だと思っていたんだ。だが、出版社に襲撃なんてどういう考えしてるんだと思ったが確証は持てた。これは芦屋出版の襲撃事件じゃねぇ。水無月先生の襲撃事件だったんだ…!!」
「だけど、その襲撃はボクらが食い止めた。それで主犯格のアックスドーグが出てきたというわけになるね」
「ってなると次は…」
「見っけ!阿蔵先生は今日午後からのシーサイドFMの生放送番組に出るみたい」
「そこで決まりだな!んじゃ、行ってくるわ!」
「私も行く」
と、涼葉も立ち上がる。
「いや、アンタは行くな。事実を知った以上、巻き込むわけにはいかないしな」
「それでも、私はこの世界の真実を知りたい。それが私の目指す理想のジャーナリストの本心だもん!」
「…仕方ねぇな。アンタにはあの現場の恩があるからな。いいぜ」
翔琉は昨日の現場のことを思い出し、涼葉に恩返しといわんばかりの許可を出した。
こうして2人は駄菓子屋を退出、それぞれのバイクに乗り、現場へと向かった。
「ちょいとさっきの会話聞かせてもらったわ。いいチームワークじゃねぇか」
それを見た正樹はマヒロに笑いながらそう言った。
「お人よしの自称・何でも屋と、勝手な押しかけジャーナリストだけどね…」
先の正樹の言葉を受け、マヒロも苦笑い気味に答えた。
「そうじゃねぇよ。情報集めが得意なあの嬢ちゃん。それに、ドーグ対策の専門家のお前の情報を得て行動に移す翔琉。ここまで三位一体すぎる奴らもそうはいねぇぜ?」
「三位一体…?」
「元は宗教由来の言葉なんだが、読んで字のごとく3つの存在が1つにまとまっているって事だ。頭脳のお前と、知識の嬢ちゃん。それに行動の翔琉。行動が出来ても、事件の全貌や、犯人の行動が分からなきゃ事件は解決できない。逆もまた然りだ。まぁ、つまりはお前らはまとまっている最高の3人組だってことだ。俺が言うんだ。誇っておけ」
正樹はマヒロにヤングドーナツを渡しながらそう言った。
「でも正樹のオジサンはいいの?」
「俺?俺はあくまで駄菓子屋の店主だからな。何でも屋ではねぇだろ」
「シーサイドFMのスタジオ・シーサイドステーションから生放送でお届けしております!『DJ・Gooのグー!グー!アフタヌーン!!』」
シーサイドFMの演奏所兼本社のシーサイドステーション。ここではこの局の名物パーソナリティ、DJ・Gooという男が、午後の代名詞といえる番組の進行を難なく進めていた。
「本日2時台はこのコーナー!『話題のあの人サーチんGoo!!』。本日はこのお方を招いてのトークです!今、世間を賑わせている大人気漫画『魔滅の剣』の生みの親、漫画家の水無月 阿蔵先生です!はい拍手ー!」
「皆さんどうもこんにちは。『魔滅の剣』を描いています。漫画家の水無月 阿蔵です。本日はよろしくお願いいたします」
30代の若き女性漫画家・水無月阿蔵のラジオ生収録が今、始まった。
収録されているガラス張りのスタジオの前には、大勢のファンが駆け付け、賑わっていた。
その人だかりから外れた車道に、黒いXR230に寄りかかる男・鼓太郎こと小野田鼓太郎だ。
「水無月め…。お前さえいなければ、俺がトップを獲れていたのに…貴様だけは…貴様だけは…!」
鼓太郎は懐からドーグチャージャーを取り出し、人だかりに向かって歩き出す。
それを1人の影が遮った。翔琉だ。すぐそばには涼葉もいる。
「そのチャージャーを捨てろ。今すぐにだ」
「なんだアンタら。あの時もいたなぁ」
「なんで水無月先生を狙うの?」
「俺はただ、漫画が好きなんだよ。好きで好きでこの世界に入って、こうやって漫画家になった。そしてファンからも編集からも信頼を得て人気作家となった。だが、アイツが、水無月が人気が出てきたら編集者もファンもそっちに行っちまった。ただそれだけだ!文句あるかよ!」
涼葉の問いに鼓太郎は激昂しながら答える。その声はスタジオ前の群衆をも振り向かせた。
「そんな理由かよ。だったら漫画で水無月先生を見返せ!そんな異形の力を頼るんじゃねぇ!自分の力さえあれば壁だってなんだって超えられる!」
「うるせぇ!だからぶっ潰してやるんだよ!俺から何もかもを奪ったアイツを!すべてを!!」
鼓太郎は手に持ってあるドーグチャージャーを再び構えた。
[ENERGY LOST!]
ドーグチャージャーからその電子音声が流れると同時に、意思を持ったかのように動き出し、鼓太郎の身体にひとりでに挿される。
赤黒い光が鼓太郎の身体を包むと同時に、アックスドーグに変貌すると同時に、鼓太郎の肉体が排出された。
その光景をみた群衆は蜘蛛の子を散らすように一目散に逃げる。スタジオ内にいた人物も避難した。
「一体どうなってるの?あの時のドーグとなり方が違う!」
「ドーグチャージャーってのは、怪物に変貌するためのエネルギーが蓄えられている。エネルギーが完全に底を尽きるとニンゲンの生体エネルギーと引き換えに強大な力を手にする。つまりアイツは最終段階になっちまったってことだ。だが心配すんな。どんなドーグでも止められる力がこれにはある!」
翔琉はアックスドーグを見据えながらカメンデバイザーを取り出した。
[トライズドライバー・スタートアップ!]
起動と同時に翔琉の腰にはバックルユニットが装着される。
ベルトの右側にあるホルダーから1号・クウガ・ゼロワンのカメンチャージャーを3つ取り出す。
カメンデバイザーのサイドを開き、そこに3つのカメンチャージャーを1つづつセットする。
[1号!・クウガ!・ゼロワン!カメントライズ!]
装填を知らせる電子音と、鼓動を揺るがす待機音声が流れる中、翔琉は左手首のスナップを利かせ、カメンデバイザーのサイドを閉じる。そして両腕を下から上へ大きく回し、右手をベルトの上へ、左手を右上へと構える。
「変身!」
その掛け声とともに左手に持ったデバイザーをベルトにセットし、右手を左上に構える。デバイザーが装填されたベルトには、デバイザーを保護するカバーが展開。1号・クウガ・ゼロワンの力を持ったアーマーが展開され。翔琉は仮面ライダートライズとなった。
「バッドエンドは、俺が砕く!!」
トライズはそう高らかに宣言し、アックスドーグに立ち向かう。
トライズは跳躍力でアックスドーグを飛び越え、アックスドーグが振り向いたと同時に前蹴り。さらに跳躍してかかと落としを決める。
アックスドーグも負けじと手斧を取り出し、トライズに斬りかかろうとするが、トライズは斧を踏み台にして再びアックスドーグを飛び越す。
「そう言えば言ってなかったな、なんでアシスタントまで加担させた!」
「あいつはいつだって俺の忠実な右腕だ!今回の件もアイツに任せていたが、どうも情けが出ちまったようでなぁ!少し制裁を加えてやったんだよ!」
アックスドーグはトライズに向けて手斧をブーメランのように投擲。トライズは蹴りでそれを弾き飛ばす。
アックスドーグは分が悪いと判断したのか、XR230に跨り、その場を逃げ去る。
「野郎。逃げても無駄なの分かっちゃいねぇな」
トライズはそう呟くと翔琉の愛車であるCRF250に跨る。すると、ボディに亀甲模様が浮かび、CRFボディがブラインドのように反転して、黒いボディに、赤・金・蛍光イエローのラインが入ったボディに入れ替わる。これがトライズの専用マシン・サイクライズチェイサーだ。
「アイツを追ってくる、ソイツは頼んだ!」
トライズは鼓太郎の身体を涼葉に任せて、逃げたアックスドーグを追った。
XRで逃走を図るアックスドーグ。周囲の人々も、車に乗った人も斧の姿をした異形がオートバイに乗っている姿を見て驚きの表情を浮かべている。
その時、後ろから風をも切り裂くようなエンジン音がアックスドーグの耳に伝達してきた。そう、サイクライズチェイサーを操るトライズだ。
アックスドーグはその姿をみて、再びアクセルをふかし加速するが、乗っているバイクの数倍の加速力を持つサイクライズチェイサーにかなわず、追いつかれる。
アックスドーグはトライズに殴りかかろうとするが、トライズはそれを手で弾き飛ばす。それならばとアックスドーグは手斧でサイクライズチェイサーごと斬りかかろとするが、トライズはハンドルを操作して車体ごと回避する。
追い打ちにアックスドーグは手斧を投擲、対向車線を走っていた自動車のタイヤに直撃。自動車はスピンした。
しかし、トライズは自動車をジャンプで飛び越え、着地、それと同時に急加速し、アックスドーグと並ぶと、トライズはシートを台にしてアックスドーグを蹴り飛ばす。たまらずアックスドーグはバイクから振り落とされる。
トライズもサイクライズチェイサーから降りた。
だが、アックスドーグはエネルギー手斧を集中させ、大きな斧に変化させ、トライズに突撃、斬撃を浴びせる。その威力はアスファルトをも削るほどだ。
それを食らったトライズは吹き飛ばされる。
「なるほどな、悪あがきの怪力か…。それならこっちもあるぜ!」
トライズはデバイザーを引き抜き、1号・クウガ・ゼロワンのカメンチャージャーを取り外す。そしてベルト右のホルダーからBLACK・J・アギトのカメンチャージャーを取り出し、デバイザーにセットした。
[BLACK!・J!・アギト!カメントライズ!]
トライズは再びデバイザーをベルトにセットする。
それと同時にベルトからBLACK・J・アギトのデータを形成。翔琉の右前にJ、左前にアギト、正面にBLACKのホログラムがうつしだされ、トライズの身体に融合し、頭部はJのマスクにアギトのクロスホーン・BLACKのクラッシャー・体のアンダースーツにはJの黄緑色のライン、胸部・肩装甲はアギトとBLACK、腕部装甲はJとアギト、脚部装甲はJとBLACK、腕と足の各部はBLACKのパワーストライプを模した装甲を纏う。
「叩け大地の鉄腕ナックル!グランディックパワード!!」
今ここに、トライズ第2の形態・グランティックパワードが現れた。
「そんなはったりが通用すると思うか!」
「だったら試してみな!自慢の斧がぶっ壊れても知らねぇぞ?」
「何を!」
アックスドーグは大きな斧をトライズに向かい投擲する。トライズの複眼が赤く発光しトライズは右手で受け止める。右手首のパワーストライプが発光し、握力を増強し、斧を粉砕した。
「なっ!?」
「これがマジの怪力ってやつだ!」
トライズは走りながらアックスドーグに接近してパンチも猛攻を放つ。その威力はアックスドーグを軽々と吹き飛ばすほどだ。
「そろそろフィニッシュに行くか!」
トライズはドライバーからデバイザーを引き抜き、ボタンを2回押し込む
[チャージングバースト!]
必殺状態に移行を知らせる電子音声が鳴り、再びドライバーにセットする。
トライズは右指をJの字に構えると頭部のクロスホーンが展開し、右腕のパワーストライプにエネルギーが限界まで蓄積され、手首のスリットからは蒸気が噴き出す。
アックスドーグはそれをも気にせず飛び掛かる。
「パワードジャッジメント!」
トライズは飛び掛かったアックスドーグに必殺の右ストレートを叩き込んだ。
その右ストレートをどてっぱらに食らったアックスドーグは大きく吹き飛ばされ、コンテナに激突し、炎を上げて爆散した。
それから数分が経過し、トライズから変身を解いた翔琉が駄菓子屋に戻ってくる。
戻ってくる道中、涼葉から鼓太郎の意識が戻り、病院に搬送されたという連絡を受けたため、駄菓子屋に直帰した。
店の前のウッドデッキにはヤングドーナツを食べながらタブレット端末を操作しているマヒロがいた。
「お疲れ。自体が重くなる前に対処出来てよかったよ」
「…って涼葉は?さっき連絡あってこっち戻ってるって聞いたが」
「あー…。あのおねーさんなら……」
とマヒロは向こうを指さす。すると
「いやぁ、嬢ちゃん。DIYの才能大ありじゃねぇか!」
「そんなことないですよ。ご主人の技術でカバーできたところがありますからぁ」
翔琉はその方面を見ると、涼葉は正樹と看板を造っていた。
「オヤジさんも涼葉も一体何造ってんだ…!?」
と翔琉は若干困惑していた。
その看板には「迷子探しから悪党退治までの何でも屋 やって
「オヤジさん…これ…」
「そういうこった、嬢ちゃんの提案で駄菓子屋と何でも屋の複合店舗でやっていこうってなってな!」
「名案でしょ?」
「名案もどうもあるか!俺の何でも屋は街の口コミで回ってこそ意味あるんだよ!」
「そういう口コミとかだと広がんないでしょ?」
「口コミで回るってのがいいんだよ!ってかマヒロ!なんで止めなかった!?」
「え?だって正樹のオジサンがヤングドーナツを毎日2つにするって言われたら乗るしかないじゃんか……」
「うぉぉぉい!?なんでヤングドーナツで買収されてるんだよマヒロ!?」
「よーし!今日から何でも屋小野寺開業でーす!!」
「俺の許可なしに勝手に開業するなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」
翔琉の少し哀れな叫び声が街中に響き渡った。
だが、これは彼らにとって長く続く戦いという物語の1ページに過ぎなかった。
お読みいただきありがとうございました。
おかげで色々創作意欲がひらめきーんぐしています()