拳の軌跡   作:攻略王補佐官

2 / 3
初仕事

セルゲイに案内され、五人が着いたのは駅前通りの近くにある鉄扉の先にある階段を下りた先だった。

 

「セルゲイ課長。一体俺達に何をさせるつもりなんですか?」

 

「まさか資材の跡片付けとか?」

 

「ここだよ」

 

ロイドとランディの言葉に、セルゲイは近くの扉を指差す。

 

「ここはクロスベル市の地下に広がる“ジオフロント区画”の入り口だ。お前たちには今からここに潜ってもらう」

 

セルゲイの言葉に全員が驚く。

 

「ええ!?」

 

「も、潜るって……」

 

「おいおい、どういうことっスか?」

 

「流石に説明してくれよ、セルゲイさん」

 

「……」

 

四人は思い思いの反応をし、セルゲイは説明を続ける。

 

「お前たちの総合能力、及び実践テストの為だ。内部はそれほど手強くないが魔獣の類がⅦ徘徊している。それらを相当しながら一番奥まで行ってもらう」

 

「ま、待って下さい!」

 

セルゲイの説明にロイドが反論の声を上げた。

 

「テストはともかく、どうして魔獣が徘徊しているところに行くんですか?それに、警備隊ならまだしも、これは警察官の仕事じゃないですよね?」

 

「確かに普通は警察官の仕事じゃないだろう。だが、特務支援課のメンバーは別だ」

 

「え?」

 

「詳しい説明は後でする。まずは、コレを受け取れ」

 

そう言ってセルゲイは先程、自身が使っていたのと同じ携帯端末を五人に渡す。

 

「これは……」

 

「最新式の戦術オーブメントかしら?」

 

「へぇ~、結構洒落てんじゃねぇか」

 

「エプスタイン財団の奴か」

 

「そうですね。第五世代戦術オーブメント、通称“ENIGMA”。ようやく実戦配備ですか」

 

「ああ、先日財団の方から届いた。既にお前たちの特性に合わせて調整してある。使い方はティオ、お前がレクチャーしろ」

 

「……面倒だけど了解です。新型用の結晶回路(クオーツ)はありますか?」

 

「ああ、少ないがある。それにコイツと、ついでにコイツもな」

 

セルゲイから各人に結晶回路(クオーツ)と“捜査手帳”、“戦闘手帳”が渡され、最後にロイドにジオフロントAの鍵が渡される。

 

「それじゃ一通りの魔獣を掃討したら本部に戻ってこい。細かいことはその時に説明する」

 

そう言いセルゲイは階段を上っていく。

 

「ちょ、セルゲイ課長!?」

 

「あ、そうだ。それと、ロイド。お前がリーダーな」

 

「へ!?」

 

「捜査官として正式な資格を持ってるのはお前だけだからな。それじゃ、頼んだぞ」

 

最後にそう言い残し、セルゲイは去って行った。

 

「なんか押し付けられちまったな」

 

ランディはロイドの肩を叩き笑いながらそう言う。

 

「ま、頼まれた者はしょうがねぇだろ」

 

ジョンもロイドの肩に手を置きそう言う。

 

「でも、捜査官としての資格を持っている人がいて心強いです、ロイドさん、よろしくお願いします」

 

「いや、ロイドでいいよ。ところで、皆歳は幾つなんだ?近そうに見えるけど……俺は18だ」

 

「あら、私も18よ」

 

「俺19だ」

 

「俺は21だけど、堅っ苦しいしタメ口でいいぞ」

 

「私は14です」

 

「えっ!?14歳!?」

 

ティオの年齢にロイドが驚く。

 

「何か問題が?」

 

「い、いや、一般の警察官でも最低年齢は16歳のはずじゃ……」

 

「それならご心配なく。私は警察官じゃありません。エプスタイン財団から出向したテスト要員です」

 

「……なるほどな。それじゃあ、その鞄の中身が君の出向理由か」

 

ジョンはティオの足元にある鞄を見て言う。

 

「はい、そうです」

 

そう言ってティオは鞄からある物を取り出す。

 

「それは……機械仕掛けの杖?」

 

魔導杖(オーバルスタッフ)、これの性能テストが私の目的で、出向理由です」

 

「ちょ、ちょっと待ってくれ!ひょっとして、君も戦うのか?」

 

14歳のティオが戦闘に参加するような物言いに、ロイドは声を上げる。

 

「そうですけど?」

 

「いくらなんでも、14歳の子供にそんな危険な事……」

 

ロイドは警察官としての立場からティオの参加に否定的だった。

 

だが、ティオもまた性能テストの為に来たので戦闘しないと意味がないため、退く気はない。

 

そんな中をランディとジョンが割って入る。

 

「まぁまぁ、落ち着けって。納得できないかもしれないが、今はあのオッサンに押し付けられた厄介事を片付けようぜ」

 

「ここで揉めても始まらないしな。言いたいことは仕事を片付けてからでも遅くはないだろ。それに、もし危険があったとしても俺らでフォローすればいい。違うか?」

 

ランディに宥められ、ジョンに説得され、ロイドと、何も言わなかったもののやはりティオの参加に否定的だったエリィの二人は一先ず納得した。

 

「とりあえず、ジオフロントに潜る前に全員の武双を確認しよう。ティオは、その魔導杖として、三人の武装は?」

 

「私はコレよ」

 

エリィが出したのは、少し旧い(タイプ)の導力銃だった。

 

「競技用の物をカスタマイズしたものだけど、狙いの正確さは期待してくれてもいいわ」

 

「そんじゃ、次は俺だな。俺はコイツだ」

 

ランディは背負っていた包みを外し、武器を出す。

 

「スタンハルバードだ。ちょいっと重いが一撃の威力は中々のモンだぜ。そんでロイド。お前さんのは?」

 

「俺はコイツさ」

 

ロイドが取り出したのはトンファーだった。

 

「それは、警棒の一種?」

 

「確かトンファーって言う東方の武具だったか?殺傷力より、防御や制圧力に優れてるって聞いてるが……」

 

「なるほど。実に警察官らしい、良い武器だな。それじゃ、最後は俺だな」

 

そう言いジョンは取り出した武器を手に嵌めて見せる。

 

「それは……籠手か?」

 

「ああ。戦闘用に色々手を加えてある。まぁ、一応戦えるから安心してくれ」

 

「取り合えず、ティオの魔導杖がどういう物かは判らないけど、戦闘になったらバランスよく戦えそうだ」

 

「その辺も考慮して集められた人選だろうな。セルゲイさんらしい」

 

「あのオッサン、とぼけた顔して意外としたたかだな」

 

「そうですね」

 

互いの戦闘スタイルを教え合い、最後にティオがENIGMAについて説明をしようとするが、使い方は従来の者と変わらず、本命は新機能の方なので追々と説明することになった。

 

「それじゃあ、中に入ろう。安全を第一に。気を付けて進もう」

 

「ええ、そうね」

 

「了解です」

 

「おう」

 

「そんじゃ、行くとしますか」

 




ジョンの武器は、指から肘までを覆う手袋に金属板で腕や手の甲、指を覆う感じの武器です。

それと、次回の投稿でタグが追加されます。

お楽しみに
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。