記憶を辿って   作:ひとしずく

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3話 「貴方の元へ」

「__一度、死んだらどう?」

 

男の人を睨みつけ言う。

言う間にも吐き気はおさまらない。気持ち悪くて、気持ち悪くて仕方ない。

これだから男の人は嫌いだ。

 

男の人は私の言葉を聞くと、目をまん丸にさせて固まっている。

その時、頼んだスパゲッティが届いた。

 

「…それ、この人にあげてちょうだい。パンケーキも、返しておいて。代金はこの人に払わせて」

 

淡々と告げて店員をも睨みつけて男の横を通り過ぎ店を出た。

 

……私は悪くない。

 

姉さんがここにいたら、きっとそんな汚い言葉使わないのって言うだろうけど……絶対に絶対、私は悪くない。

 

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

 

……あの店での食事を諦め、歩くこと数分。意識が朦朧として倒れそうでいる。

私は何も食べず生活をして、ただただマナを消費続けた。当然であろう。それなら別の飲食店に行けばいい……確かに、それもそうだ。

しかし、あの店以降、飲食店は見つからない。誰かが仕組んでいるのではないかと思うほど、おかしいくらいに見つからない。

だから私は、見つからずとも他の飲食店に向けて歩き続けるしかなかった。

 

「あっ……!」

 

足がもつれ、固い地面に倒れ込む。

コンクリートに顔や膝、肘をぶつけ、その場所が強く痛む。

 

歩く力も、立ち上がる力も、私にはなくなっていた。

立ち上がる力を下さい、と神に祈るしかなかった。神に祈るなんて、そんなの……

でも、私はそれしか出来なかった。

 

「……イグナ様、どうか…………」

 

_助けて。私にお慈悲をください。

馬鹿な願いだと、祈りだと、そう馬鹿にされたって構わない。

それでも、私は__

 

……ああ、そうか。

私は確かに姉さんを殺した犯人を見つけ出すことが使命。でも、姉さんに会うことが私の一番の願いであり使命だ。

 

ちょっとくらい、わがままを言わせて。

姉さんに会いたい。姉さんに会わせて、神様………

 

「姉さん……」

 

待っててね、私、貴方の元に行くわ。

この苦しみの檻から…逃げ出したいの………

 

私には、何もない…だから、もう…

 

"死なせて"

 

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

 

"あの家"からやっと逃げ出すことが出来た俺。

やっと自由になれる、と一人ブラブラ町を歩いていた。

そこで俺は、驚くべきことを目の当たりにする。

 

「……!?」

 

地べたに倒れる1人の少女がいたのだ。

綺麗な銀髪……まだ14か15程の子供か。

 

「え?ちょっ……ねぇ、大丈夫?」

 

俺は肩を揺らして声をかける。

少女からは唸り声だけが聞こえてきた。

 

「……良かった、生きてはいる………」

 

だが、ここからどうするか。

下手に連れて行っても誘拐犯扱いをされそうで怖い。

そして逮捕だーなんて言ったらあの家にまた逆戻りしてしまう。あいつらにまた馬鹿にされる。

そんなの、……絶ッ対に嫌だ。

 

「……でも、仕方ない、か…………」

 

ボソリと呟いて少女を雑に担ぐ。

その時、少女が寝言のような何かを吐息混じりに言った。

 

「…姉、さん………」

 

……気にすることでもないか。

俺は急いでどこか1泊のできる宿はないかと探し始める。

誘拐犯だと間違えられるのを恐れたはずなのに何故この少女を助けようとしているんだろうか。

俺にも分からない。だが……

 

__少なくとも俺は、この少女にはきっと何か重要な目的が、未来があると思ったから、だろう。

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