…小さな光に眩しさを感じ、目を覚ます。
目を開けると見たことのない真っ白な天井。そして、温かみのある布団をかけられていた。
「……?」
まともに寝たのはきっと久しぶりだ。だが、なんとなく初めてのような感覚でもあった。
私は疑問に思いながらも身体を起こす。
その時、どこか気持ち悪さを感じた。
ウイルスや食中毒などの類のものではなく…
きっとこれは……空腹によるものだろう。
そうだ。私は…倒れたんだ。空腹で。そこを……誰に、助けられたんだろう?
「あ、かわい子ちゃん、起きた?」
誰かに話しかけられ、驚いて体を震わせる。
即座声のした方を向くと、私よりも遥か年上らしい男の人が首を傾げながらこちらを見ていた。
貴方は誰、と聞こうとすると、先に男性が口を開いた。
「ねぇ、パン焼いたんだけどさ。食べる?」
…!
目を見開いてしまった。パン、食べ物…!!
一瞬でも早くこの気持ち悪さをどうにかしたい。
「……え、ええ。」
素直にありがとうとも言えず、私は小さく頷いた。
男性は分かったと明るく言って部屋の奥へと歩いていった。
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…しばらくして、ほのかなパンの香ばしい匂いが私の鼻を刺激した。先程からグーというお腹の音がやまない。
それほどお腹が空いていたということなのだろうか…?
男性が姿を現す。その手にはパンの乗った皿とジャムがあった。そして…コップまで。
「お待たせしました、どーぞ。かわい子ちゃん」
………そのかわい子ちゃんという呼び方はどうにかならないのか。
どこかむず痒くなる。
「…あ、ありがとう。えっと……その、いただきます」
出された食事に少し困惑しながらも手を合わせ言う。
男性はニッコリと笑って、はーいと頷いた。
その頷きを了承と受け、空いたお腹をはやく満たす為にパンを頬張る。パンのかすが口の周りにつくのがわかる。しかし、食べることは止められなかった。
「あはは、そんなに急いで食べなくても…パンは逃げないよ、ゆっくり食べな」
うっすらと笑みを浮かべて男性は言う。
さっきからこの人は笑ってばかりだ。
…楽しそうでなによりだわ。
「ねぇ、あらたはろうしてわたしをたふれたの?」
(ねぇ、貴方はどうして私を助けたの?)
「もう、何言ってるのか分からないよ。ほら、ちゃんと飲み込んでから、ちゃんと話して?」
男性は飲み物の入っているコップを手渡す。
それを受け取ると、口の中に頬張ったパンを飲み物で流し込んだ。
……ココアだ、甘くて美味しい。
「んんっ……ねぇ、貴方はどうして私を助けたの?」
咳払いを1つして、男性に聞いた。
男性はあごに手を当て、考えるポーズをする。
「それが、俺にも……あっ、そうだ。君、名前は?かわい子ちゃんって呼ぶの、恥ずかしいしさ」
……だったら最初から呼ばなければいいじゃない。
確かに名乗らなかった私も悪いけど。
というより、今、絶対に話をはぐらかした。質問を質問で返された、というのはまさにこの事だろう。
「……私は、ユキ。貴方は?」
そう言って1口ココアを飲む。
……うん、やっぱり、美味しい。
「俺?俺はね__
……シンラ。シンラだよ。
君可愛いからシンって呼んで欲しーな。」