衛宮さんの今日のごはん   作:パーカス

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とにかく暑っつい!






プールと茶漬け

「暑い日にはやっぱり……!!」

 

ひまりは透き通った海を前に、手を高らかに上げ喜ぶ。

 

 

「海だ〜!!」

 

 

「まぁ、プールだけどね〜」

 

そんなひまりにモカが冷静なツッコミをかます。

 

今日は士郎とセイバー、そしてAfterglowのメンバーと海!……ではなく、プールに遊びに来ていた。

何故プールに来ているのかは、この発端は1週間前の出来事に遡る。

 

 

─────1週間前

 

 

士郎は家に帰ると、蘭とセイバーに正座を要求され、説教されていた。

原因はあの時の握手会での出来事についてだ。

 

「士郎さんの性格は分かっていましたが……怪我してまでもやりますか?普通」

 

「グッ……返す言葉もございません…」

 

「シロウは変わりませんね…自分の事は二の次に考えて行動する……悪いとは言いませんが少し自分の事も気にかけてください」

 

「…はい、この度は大変ご迷惑をおかけしました」

そんな3人の様子を遠くから見ている4人の姿があった。

 

「士郎さんらしいっていえばらしいよな」

巴は軽く笑みを零しながら、

 

「心配したんですからね!」

つぐみは頬を膨らませながら怒り、

 

「どぉ〜どぉ〜、つぐ落ち着いて〜」

モカは珍しくもつぐみを宥める役回りをしており、

 

「心配させた罰として何か奢ってください!」

ひまりは士郎に何か奢る様にとせびる。

 

「……また太るよ?」

 

「ちょぉぉ!?何で知ってるの!?」

 

「この前普通にボヤいてたぞ?結構神妙な面持ちで」

 

「うぅぅぅ!!別に太ってなんかないもん!!」

 

と、ひまりは泣き喚く様子を今度は士郎とセイバーが微笑みながら見守っていた。

 

「確かに心配させたお詫びに何か返せたらいいが……何かあったかな?」

 

と士郎が悩んでいると、セイバーがポケットからとあるチケットを取り出す。

 

「セイバーさん、それは?」

 

「今日シロウと買い物途中で回したクジの景品です」

 

そのチケットには、『期間限定!プール入場無料券』と書いてあった。

 

「プール入場無料券!?」

 

「あぁー、確かに近くあったな」

 

「そうなの?」

 

「あこと買い物してる時に、たまたま近く通ったんだ。その時にプールがある事を知ったんだよ」

 

「あたし達がいつも通る道とは真反対にあるからね〜、気付かないのも無理ないよ〜」

 

しかし、そのチケットは5枚しかなく、誰か2人が留守をする事になってしまう。

セイバーは士郎の顔をチラ見した後、わざとらしく溜息をつきながら、ドヤ顔で応える。

 

「仕方ありません、このチケットは元はシロウから頂いたクジ券で手にした物です。ここはシロウの顔をたててあげましょう。えぇ!仕方ありませんから!」

 

「いいのか?セイバー」

 

「はい。実際シロウは何も悪い事はしていませんので、今回は特別に許します。という訳でラン、このチケットを貴方達に譲ります」

 

「…え、でもこれはセイバーさんが……」

 

「私は構いません。楽しんで来てください」

 

セイバーは笑顔で蘭に5枚のチケットを渡す。受け取った蘭だが、モカ達も同様に少し困ったような顔をしていた。

 

「どうかしましたか?」

 

「いや、その…」

 

「アタシ達だけで行くって、何かちょっと気が引けるっていうか…」

 

「私達の事でしたらお気になさらず。帰ってきた時に、色々と教えて頂けたらそれだけ涼みますから」

 

セイバーに言いくるめられそうになった時、家のチャイムがなり、士郎が玄関まで向かう。

 

「はーい」

玄関を開けるとそこには、配達員の方が立っていた。

 

「美竹さん、で間違いないでしょうか?」

 

「はい」

 

「こちら美竹さん宛のお届け物です」

 

そう言って配達員から封筒を1枚受け取る。受け取った後、配達員はお別れの挨拶をしてからバイクに跨り、行ってしまった。

 

士郎は玄関で封筒を開け、中身を取り出す。そこには、一通の手紙とチケットが入っていた。しかも2枚も……

 

誰からだ?と思い、手紙を拝見する。どうやら監督さんかららしい……

内容はこう書かれていた。

 

 

『士郎君、あの時はありがとうね

君のお陰で彩くんはアイドルを辞めることなく、仲間と共に今もアイドル業に励んでいるよ

本当にありがとう

この手紙と一緒にお詫びの品としてプールの入場無料券を入れてあるから、この前の金髪の子と一緒にプールで涼んで来な!

最後にもう一度言わせて貰うけど、今回は……いや、今回所ではないな、いつも、私達や彼女達の事を助けてくれてありがとう』

 

 

最後まで読み切り、士郎は軽く笑みを浮かべながら呟く。

 

「いつも助けられているのは、こちらの方ですよ」

 

士郎はチケットを手に取り、居間に戻る。

 

「セイバー」

 

「はい?」

 

「どうやら俺達も行けるみたいだぞ」

 

士郎はチケットをチラつかせながらそう言うと、セイバーだけでなく、蘭達も驚いていた。

 

「えぇ!?士郎さん!何でチケット持ってるんですか!?」

 

「さっき知り合いの人から届いたんだよ。丁度2枚あるから、これで全員で行けるな」

 

そう言うと、蘭達特にひまりとつぐみはセイバーに抱き着いて喜んだ。

その後お互いの予定が合う日を決め、皆んな嬉しそうに何して遊ぶか気が早くも話し合っていた。

 

 

 

そして、今日に至る

 

 

全員水着姿に着替え、施設内にある流れるプールに、ウォータースライダーを見渡し、どれから行くか話し合っていた。

 

すると士郎は空いてるレジャーシート場所に、荷物を置きその場に座り込む。

 

「……士郎さん、何してるんですか?」

 

「俺はここで座って見てるから、蘭達は楽しんで来なよ」

 

「は?」

 

「…え?」

 

蘭が発したとはとても思えないような引く声で応えられ、士郎は若干ビビりながら呼び掛ける。

 

「…ら、蘭?」

 

「……」

 

とても気まずい雰囲気を漂わせていると、まさかの人物から助け舟が出てくる。

 

「まぁまぁ!蘭も士郎さんもそうピリピリしてないで早く泳ぎに行こう!」

 

「うぉ!?ちょ、ひまり!そんなに引っ張るなって!」

 

「ひ、ひまり…ちょっと待って…」

 

士郎と蘭の言葉に耳を傾けず、そのままプールにダイブする。当然士郎と蘭も同じようにダイブする。

ダイブした事により、スタッフさんに「飛び込まないでくださーい」と注意される。

ひまりは楽しそうにはしゃぐ。その様子を見て、士郎と蘭はお互い顔を見合わせて笑い合う。

 

「アタシ達も行くか」

「そうだね!」

 

「モカちゃんはスライダーに行きたいぞ〜」

 

「スライダーですか?私も行きたいです」

 

その後、セイバー達と一緒にウォータースライダー各種を楽しみ、波のプールでリレーをしたり、ビーチバレーで士郎とひまりとつぐみ対蘭と巴とセイバーの対決をしたりと、クタクタになるまで遊び尽くした。

 

 

 

「疲れたー……」

 

「ひまりが1番はしゃいでたもんな」

 

「あたしも疲れたよー」

 

「モカは途中から流れるプールで浮き輪に乗りながら巴に押してもらってただけじゃん!」

 

「えぇ〜、そうかなー?」

 

家に帰って来て蘭達は机に突っ伏しながら、全員蕩けていた。

 

「セイバーさん、どうでした?」

 

「はい、とても楽しかったです」

 

セイバーはとても嬉しそうに笑う。士郎はその蘭達のだらけ具合の様子に小さく笑いながら、お茶を蘭達に渡していく。

 

「これから夕飯だけど、蘭達食べられるか?」

 

「うーん、食欲が湧かないんだよねー」

 

「……え?嘘でしょ?ひまりが?」

 

「蘭は私の事をなんだと思ってるの!?」

 

ハハハと、皆んな笑い合い、ひまりがもぉ〜!と叫ぶ。

 

「でも確かに食欲があんまり湧かないよな…」

 

「確かに…」

 

そんな言葉に士郎は今日の夕飯をどうするか悩み、そしてキッチンの方へ向かって行き、冷蔵庫から容器を取り出す。

 

「士郎さん?お茶ならこっちにありますよ?」

 

「いや、これは出汁。作り置きしてるんだ」

 

「へぇー、そうなんですか…」

 

「夕飯にこれを使うんだけど、多分皆んな食べれるんじゃないかと思う」

 

 

出汁の取り方は、昆布を使う前に砂や汚れを落とす感覚で軽く拭いて、水1ℓに昆布を入れて一晩漬け置き

それを鍋に移し、中火で火にかけ、沸騰する直前に昆布を取り除く

80~100cc程の差し水を入れて温度を下げ、1度火を止めて鰹節を1度に入れる

再び火を点け、弱火で一煮立ち寸前まで加熱

アクを取り除き、火を止め、浮いている鰹節が鍋底に沈み始めたら金網や布巾などを使ってこす

こした出汁を鍋に戻し、天然塩、醤油、みりんを入れて一煮立ち

その後、よく冷やしておく

 

 

「のせる具は…と」

 

鮭を焼いて、骨を取り除き、身をほぐしておく

きゅうりは小口切り

生姜とみょうがは細い千切り

切ったきゅうりは塩水に少し漬けたら揉み、水で洗ってから水気を軽く絞っておく

 

 

「よし…出来たぞー!」

 

『おぉー!』

 

士郎は出来た料理を皆んなの前に順に置いていく。

 

「はい、おまちどーさま」

 

「これって……」

 

「冷やし茶漬けだ」

 

「冷やし茶漬け?」

 

「冷やしたご飯に冷たい出汁とかお茶をかけて食べるんだ。食欲無くても食べやすいと思う。もっと暑い日なら氷を入れてもいけるし」

 

「美味しそう…!」

 

「鮭のほぐしたのとかみょうが、生姜、塩昆布にごま味噌、色々用意してみたから好きなの入れて食ってくれ」

 

各々好きな物をご飯の上に乗せ、出汁をご飯にかけると全員手を合わせる。

 

『いただきます』

 

口に入れた途端、全員の目が輝き食べるスピードを止める事無く茶碗の中身を綺麗に全て平らげた。

 

「これ美味しい!」

 

「食欲無かったのに……」

 

「おかわりあるけどどうする?」

 

「おかわり!」

 

「アタシもおかわり貰おうかな」

 

「私も!」

 

全員がおかわりを何回もしていき、炊飯器の中身が空になる頃、蘭達のお腹も満腹に達した。

 

「あぁ〜、美味しかったー!」

 

「これなら家でも出来そうですね」

 

「あこにも食べさせてあげたいし……士郎さん!後で料理レシピ貰ってもいいかな?」

 

食器を洗っている士郎に語り掛ける。

 

「別に構わないぞ、後で紙に書いて渡すよ」

 

「わ、私も!」

 

「お?これは羽沢珈琲店に新商品追加ですかな〜?」

 

「…確かに暑い日とかには人気出そう」

 

セイバーは夕飯を食う前よりも元気になった蘭達を微笑みながら立ち上がり、士郎の元に向かう。

 

「シロウ」

 

「ん?どうした?セイバー」

 

「また……プールに行けるでしょうか?」

 

「そうだな…また行けるといいな」

 

セイバーと士郎は蘭達の楽しそうな顔を見ながら、また行ける事を願うのだった……




今回はプール編でしたが、もしかしたら8月に海編を投稿するかもしれません
期待せず、気長にお待ち頂けると幸いです!
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