衛宮さんの今日のごはん   作:パーカス

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雨は振るくせに暑い……
この世の地獄だァァァ!!






とある少女の悩み事

★羽沢珈琲店

 

 

「と゛う゛し゛よ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛!!」

 

店の一角のテーブルで濁点の入った声を出しながら項垂れている少女とそれを慰めている3人の少女達がいた。

 

「元気だせってひまり!そんなに大差ないだろ?な!」

 

「うぅぅぅ」

 

巴はひまりの背中を擦りながら、慰める。しかしひまりは涙目になりながら、項垂れ続ける。

 

「……これはどういう状況なんだ?」

 

「おぉ〜、シローさんやっほー」

 

注文を聞きにきた士郎はこの惨状に理解出来ず、思わず口に出してしまった。

 

「えっと、実はひまりがな……その……」

 

巴が言いずらそうにひまりの事をチラチラと見ていると、代わりに応える者が現れた。

 

「太ったんだって、確か─────」

 

「それ以上は言わないで!!」

 

蘭が何の躊躇いもなく暴露し、更にはどれくらい増えたか詳しく話そうとしていた所を先程まで項垂れていたひまりが顔を上げ、止める。

 

「何言っちゃおうとしてるの!?乙女のプライバシーだよ!?」

 

「なんとなく?」

 

「今日の蘭、なんか容赦がないよー!!」

 

更にダメージを負い、ひまりは巴に泣き付く。

 

「えーっと……」

 

「ひまりちゃん、まだ落ち込んでるの?」

 

すると士郎の後ろから声が聞こえ、振り返るとつぐみが立っていた。

 

「士郎さんも困ってるし、そろそろ落ち着こ?」

 

「……うん」

 

「ていうか、何で今になって体重の事気にしてるの?」

 

「やっぱり今日の蘭ってなんか容赦ないよね!?」

 

ひまりが蘭に襲いかかろうとしているのを巴が止めている所を尻目に、士郎は小声でつぐみに聞く。

 

「ひまりになんかあったのか?」

 

「えっと、私達の学校ってもう少しで体育祭なんですけど、詳しくは言えないんですけど、そこの一種の項目でとある衣装に着替えるんですけど、その代役にひまりちゃんが選ばれて……」

 

「あー……」

 

士郎は何かを察し、これ以上聞くのを止めた。

そして蹲ってるひまりに声を掛ける。

 

「えーっと、ひまり?別に大丈夫だと思うぞ?ひまりスタイル良いし、何着るか分からないけど似合うと思うぞ?」

 

「……士郎さんの変態」

 

「シローさんはえちちだね〜」

 

「なんでさ!?」

 

慰めるつもりが、まさかのモカと蘭に責められる士郎だった。

 

「元はと言えば……」

 

そこでひまりは顔を上げ、士郎に指を指す。

 

「士郎さんのご飯が美味しすぎるのが原因なんですからね!!」

 

「えぇ……」

 

怒りの矛先が理不尽過ぎて、士郎は反論する事も出来なかった。

 

「ひまり、流石にそれは無理あると思うぞ……?」

 

「だってそうじゃん!あんなに美味しいのいくらでも食べたくなるでしょ!?」

 

「まぁ……分からんでもないけど」

 

「こうなったら士郎さんに責任とってもらいます!」

 

「なんでさ……」

 

士郎はそう応えるが、内心では確かに自分のせいでもあるな、と納得しているところもあった。

何故彼女だけ体重が増えたのかは謎だが、そこはあえて考えないようにした。

 

「じゃあ俺は何をしたらいいんだ?」

 

「そうですね……じゃあダイエットしてる人にピッタリな料理を作ってください!」

 

「え、今?」

 

「今!」

 

「料理ならメニュー表から選んでくれ?」

 

と、言った時つぐみの父が顔を出す。

 

「士郎君」

 

「店長?」

 

「新メニュー、歓迎だよ」

 

親指を立て笑みを浮かべるつぐみの父に、士郎は微笑を浮かべた。

 

「はぁ……じゃあ作ってくるわ」

 

「やったー!」

 

厨房に向かい、つぐみの父と会話する。

 

「いいんですか?本当に」

 

「士郎君が考えるメニューなら大歓迎だからね」

 

「そんなに期待されても……」

 

とりあえず士郎は、厨房にある食材を並べ何を作るか考える。いつもなら食材を見ただけでこれ作ろ、と思えるが今回はダイエットにピッタリな料理を作るので、中々に何を作るか決まらない。

 

そして1つの食材に目に入る。

 

「これって……」

 

士郎はその食材を手に取り、そして料理に移った。

 

 

まず始めに水洗いし、その後に食べやすい長さにカットする

お湯で2~3分程茹で、アクと臭みを抜き、ザルで水気を切る。

ボウルに卵(全卵)、粉チーズ、牛乳を入れ、よく混ぜ合わせる

ベーコンは8mm角の棒状に切り、玉ねぎは薄切り、にんにくは芽を取りみじん切りに

フライパンにオリーブオイルをしき、ベーコンを中火~強火で炒め、ベーコンから油が出てきたら弱火でじっくり炒める

ベーコンにきつね色の焼き目がついたところで、弱火のままにんにくを加えて香りを出し、次に玉ねぎを加えて炒める

玉ねぎに火が通ったら水洗いしカットしたものを合わせて塩をひとつまみ加えて炒め、全体が馴染んだら1度火を止め、先程混ぜ合わせた卵液を鍋の中心に落とす

全体に絡むように手早く混ぜ合わせる

再び弱火にかけて手早く混ぜ合わせ全体的にとろみをつける

味をみて塩、粉チーズで調整、とろみが固いと思ったら牛乳を少し足す

皿に盛り付け、粉チーズをふり、粗挽き胡椒を強めに振りかけたら……完成!

 

 

「おぉ〜、いい匂いしてきたね〜」

 

「ほんとだ」

 

「あれ?この匂いって……」

 

そして士郎が作った料理をひまりの前に置く。

 

「お待ちどーさま」

 

「ちょ、士郎さん!これ、カルボナーラじゃないですか!?どこがダイエットにピッタリな料理なんですか!」

 

「まぁ、食べてみたらわかるよ」

 

「勿論食べますけど!」

 

そう言ってフォークを手に取り、手を合わせる。

 

「いただきます!」

 

ひまりはヤケクソでカルボナーラを口入れる。すると何か違和感に気付き、不思議そうな顔をする。

 

「どうしたの?ひまり」

 

「士郎さん、これパスタじゃないですよね?」

 

「あぁ、パスタの代わりにしらたきを使ってるんだ」

 

「しらたきって鍋とかに入れるやつか?」

 

「おう、カロリーが気になるなら具材を変えればいけるかなって思ってな」

 

士郎が説明してるのを余所に、ひまりは手を休めることなく、カルボナーラを食べ進める。

 

「そんなにがっつかなくても逃げたりはしないと思うぞ?」

 

「シローさん、あたしも食べたいな〜」

 

「アタシも気になるな」

 

「……あたしも」

 

「分かってるよ、食材は余ってるし作ってくるよ」

 

「わ、私も後で食べたいです!」

 

「了解」

 

そう言って、士郎はしらたきカルボナーラを作りに厨房に戻って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

この日以来、しらたきカルボナーラは羽沢珈琲店の女子受けメニューとして人気の品になったとか……




※セイバー目線のお話は外伝として、またいずれ投稿します
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