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「野郎共ッ!準備はいいかッ!?」
『オッス!!』
「今日は学園祭だ!気合入れていけよッ!!」
『オッス!!』
「勝ち取りに行くぞッ!!」
『うぉぉぉぉぉぉ!!!!』
「……なんだこれ?」
朝からハイテンションなクラスに士郎は微笑を浮かべながら、その様子を教室の端の方で見ていた。
「朝から元気だな……てか勝ち取るって何を?」
「んなもん決まってるだろ?」
士郎の独り言にいつの間にか隣で立っていた大輝が応える。
「他クラスよりも人気になり、学校の賞をゲットする為だ!あと可愛い女の子に会うこと!!」
「後者の発言以外は納得するけど、賞なんか貰えるのか?」
「あぁ、先輩から聞いた話だとな!」
士郎は再びお祭り騒ぎしてるクラスを目に移す。あれは果たして賞が欲しさへの雄叫びか、それとも大輝が言った後者の発言へ対する雄叫びか、士郎は少し考えるが考える事でもない事にすぐに気付き、自分の任された持ち場に向かう。
「なぁ、士郎はどう思う?」
「何がだ?」
「今日来る美少─────」
「持ち場に戻れー」
「何だよー、聞いてくれてもいいじゃねぇかよー」
「それが真面目な話ならな」
「俺は真面目だぜ?」
大輝がドヤ顔でそう言い放ち、士郎は溜息をつきながら無視しようとしたが、ある事を思い出す。
「そういえば大輝って前半組か?」
「あぁ、前半働いて後半から屋台巡りを達也とするぜ?」
「なら先に言っとくけど、俺の知り合いが昼過ぎに来るから。ナンパとかやめてくれよ?」
「フリか?」
「怒るぞ?」
大輝の発言に握り拳を作りながら構え、それを見た大輝は両手を挙げて降参する。
「冗談だっての、でも挨拶はしてもいいよな?」
「それくらいはいいけど、ちなみに理由聞いていいか?」
「ダチの友は俺の友ッ!!っという理由で?」
「友じゃなくて知り合いだって言ってるだろ……」
士郎は頭を手で抑えながら呆れながらも、相変わらずの友達思いである事に笑みを零した。そこに放送が流れる。
《予定時刻となりました。生徒の皆さんは持ち場にお着き下さい。これより第25回桜丘男子学園、学園祭を開催します。繰り返し連絡します。予定時刻と─────》
「どうやら始まるみたいだな」
「士郎も料理、頑張れよ!俺も接客頑張るからさ!」
「あぁ、沢山お客さんを招き入れてくれ」
「任せろ!」
そう言って大輝は教室の外へと出て行った。横目で窓を方を覗くと、校門から大人数の人影が目に入った。
「さて、こっちも準備しますか!」
時刻を12時を過ぎる頃、教室には席いっぱいにお客さんが座っていて、大繁盛と言ってもいい程に沢山の人が来てくれていた。その中には顔見知りがいたり、彼女達も来てたりしていた。しかし、少し忙しかったので顔を出せず挨拶を交わせなかった。
「悪いことしたな……」
「どうかしたか?」
思った事が言葉に出てしまい、一緒に料理をしていた達也に聞かれる。
「いや、さっき知り合いがいたんだが……」
「何?何故それを早く言わない。言ってくれればお前の分も俺達がやっていたのに」
「いや、それの為に俺の仕事を代わりにやってもらうのは流石に気が引けるから。それに今は私事を持ち込む事じゃないしな」
「全く……これだからマジメ君は。そんなんだとモテないぞ」
「余計なお世話だよ!」
時間帯的にそろそろ前半組の終了しそうな時、士郎が達也と他愛もない話をしていると、時間的に最後のお客さんが来店した。その人物は──────。
「おい見ろよあの人!めっちゃ美人じゃねぇ!?」
「金髪であの美顔は滅多にお目にかかれないもんだぜ?」
「すげぇ……アニメみたいな人って実際にいるんだな……」
そんな話が士郎の耳にまで届き、扉の方に目を向けそしてその金髪の人に近付く。
「いらっしゃい、セイバー」
「シロウ、お待たせしました」
まさかの状況に達也も周りにいた男子達もそして何故か教室の外からこっちを見ていた大輝も呆然としていた。
「こちらに店に来るまでに、とても美味しそうな店がいくつかありまして……」
「なるほどな、昼はどうする?」
「お昼はこちらで頂こうと思ったのですが……」
士郎は時計に目を向ける。確かに時間的にもう前半組が終わるのでここら辺で切り上げ、30分後に後半組にバトンパスする流れだ。
次に士郎は委員長に目を向ける。前半組の店長役の委員長にどうするか聞いてみようと思ったが、委員長は士郎を見るなり深く頷いた後、親指を立て笑った。
「特別に許可してくれたみたいだ」
「本当ですか!」
「あぁ、委員長─────いや、店長にお礼言わないとな」
セイバーは士郎が見てる男に近付き、頭を下げる。
「ありがとうございます」
「い、いえ!お、お客さんを持て成すのが当然ですから!で、では!ごゆっくり!」
と、カチカチになりながらその場去る。
「じゃあ席に着いて待っててくれ、何かご希望はあるか?」
「いえ、シロウにお任せします」
「了解、じゃあちょっと待っててくれ」
士郎は厨房の方へと戻り、早速料理を始めようと袖を上げていると
「お、おい!士郎!あの美人と知り合いなのか!?」
「あぁ、大輝には言わなかったか?」
「言ったけどあんな美人だと思わねぇよ!?」
「確かにセイバーって美人だもんな……とりあえず俺は料理を作るから話はまた今度な」
そう言うと士郎は料理に取り掛かった。
干し椎茸を水につけて戻しておく
かにかまぼこは細かく裂き、水煮タケノコ、干し椎茸、長葱はそれぞれ千切りに
ボウルに卵を割り入れて軽く溶いておく
フライパンに多めの油(約大さじ1~2)を入れ熱し、切った材料を軽く炒め、そこに水、鶏ガラスープの素、塩、胡椒、酒の合わせ調味料を加え入れる
全体が馴染んだら溶いておく玉子のボウルに加えて、水溶き片栗粉大さじ1も加えて、全体をざっくり混ぜ合わせる
フライパンを綺麗にふき、再び多めの油を熱し、強火から中火の火加減で先程炒めた物を加え入れる
ヘラなどを大きく動かしながら全体を半熟にする
形を円形に整えたらフライ返しなどで玉子をひっくり返し、中は半熟で外面がある程度固まったら皿に盛る
次にしょう油あん作り
フライパンに水、鶏ガラスープの素、塩、砂糖、しょう油、酒を入れて煮立たせる
全体を混ぜながら水溶き片栗粉を様子を見ながら加えてとろみをつける
皿に盛り付けた玉子にしょう油あんをかけ、グリーンピースをのせたら完成!
「さて、届けるか……ん?」
セイバーの元に大輝がいるの見つけた。他の男子は遠くから見ていたが、大輝とセイバーが異様に仲良さそうに話していた。
「でさ!士郎の野郎は俺の事を見捨てやがったんだよ!酷くないですか?」
「シロウらしい考えですね」
「確かに士郎らしいといえば士郎らしいですね!」
「なんの話してるか知らないけど、基本的にお前が変な事をしてる時は見捨ててるな」
士郎はセイバーの前に出来た料理を置く。
「おまちどーさま、ふわふわかに玉です」
「おぉ……!これがかに玉ですか!」
「案外早かったな」
「そうか?てか、何の話してたんだ?」
「言ったろ?友として挨拶する!って」
「明らかに挨拶じゃなかったぞ、俺が聞いた内容は」
大輝に真意を問いただしていると、セイバーが代わりに応えた。
「彼にシロウの学校生活はどうなのかを聞かせて頂いていました」
「そうそう」
セイバーは士郎に微笑み掛ける。
「良き友をもちましたね、シロウ」
「……ッ─────」
唐突にそう言われ、そして更には微笑みを掛けられ、士郎は少し気恥しそうに頭を掻きながら、セイバーにご飯をすすめる。
「ほらセイバー、熱い内に食べた方が美味しいぞ」
「それはいけません!では早速いただきます」
セイバーは美味しそうにかに玉を頬ばっているのを横目に大輝がこずいてくる。
「今照れたろ?」
「気のせいだろ」
「えー」
「早く達也と回ってこいよ!」
「イエッサー!」
大輝は笑いながら軍隊みたく敬礼をして、達也の方へ駆けて行った。
「ったく……」
「シロウ」
「ん?どうしたセイバー」
「とても美味しいです」
「それは良かった」
かに玉を美味しそうに食べるセイバーを見守りながら、食べ終わるのを待つ士郎だった。
この後、セイバーは屋台の食べ物屋を全て踏破していった。
最終的に、賞は取れなかったが2位を勝ち取ったのだった。
次回は察してると思いますが、次にメインで出るのはその子達です