衛宮さんの今日のごはん   作:パーカス

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※この話の誤字等あれば報告よろしくお願いします


学園祭編最終話です




学園祭3日目 花咲川女子学園

「よく来たわね!士郎!セイバー!さぁ、案内するわ!」

 

「お、おう」

 

士郎とセイバーが花咲川女子学園の校門前に到着すると、校門で待機していたこころに呼び止められる。そして“案内”と書かれた旗を手に持ちながら校内へ入って行ったこころの後を着いていく。

 

「まさか待っててくれたのか?」

 

「えぇ!2人にはとても感謝してるわ!だからその恩返しね!」

 

「私はココロ達に何もしてあげられていない気がしますが……」

 

「そんな事ないわ!セイバーが居てくれるだけであたしはいつもハッピーだわ!」

 

なんの躊躇いもなく笑顔でそう答えるこころに面食らい、そしてセイバーは笑みを零す。

 

「ココロは相変わらず面白いことを言いますね」

 

「そうかしら?セイバーが笑顔ならそうなのかもしれないわね!」

 

楽しそうに話をしているセイバーとこころを遠目で見守っていた士郎だったが、聞きたい事があったので楽しく話をしているところ悪いと思いながら話に割って入る。

 

「そういえばこころ達の所は何の屋台を出しているんだ?」

 

「あたし達の所はラストにやるのよ!」

 

「ラスト?……演劇でもするのか?」

 

「いいえ、違うわ!あたし達がやるのは─────

 

 

 

 

───────パレードよ!」

 

 

「「パレード?」」

 

 

 

「ここが香澄達の屋台の所ね!」

 

看板には“うさぎパン”と書かれていた。

 

「パンって事は沙綾が主体に動いてるのか?」

 

「サアヤの作るパンですか!?それはとても楽しみです!」

 

目を輝かせているセイバーに、微笑を浮かべながらも中に入って行く。

 

「……うさぎパンってそういうこと?」

 

中に入ると、店員がうさ耳を付けてパンが置かれた商品棚の所に立っていた。そしてパンは普通にメロンパンやあんぱん等うさぎ要素は全くなかった。

 

「あ!士郎さん、セイバーさん!いらっしゃいませー!」

 

士郎達の存在に気付いた香澄が持ち場を離れ、士郎達の元まで駆け寄って行った。

 

「今出来たてのパンが入ったばかりなんですよ!」

 

「なんと!それはとても良いタイミングでした。シロウ!今すぐそのパンを頂きましょう!ココロもです!」

 

「分かったから落ち着けって、セイバー」

 

「えぇ!同席させてもらうわ!」

 

空いてる3人分の席を確保し、パンが並ぶ商品棚をまじまじと見つめる2人をよそに、士郎は香澄ともう1人の女子に話し掛けられていた。

 

「士郎さん、来てたんだね」

 

「こころが案内してくれてな、てかうさぎパンってそういう意味だったんだな」

 

「うさぎ耳はおたえが提案して、パンは私が提案しました!」

 

「可愛いでしょ?」

 

「確かに可愛いけども……は、恥ずかしくないのか?」

 

「「別に?」」

 

「恥ずかしくない筈がないだろッ!!」

 

と、裏から顔を真っ赤にした有咲が現れた。

 

「おかえり有咲、材料は?」

 

「それはりみが沙綾の所へ届けに行った─────じゃなくて!」

 

有咲は手をプルプルと震わせながら、怒りを顕にする。

 

「うさぎ耳を付けるのは各個人の意思って話だっただろ!?なんで私も付けてるんだよ!」

 

「可愛いよ!有咲!」

 

「う、うるさい!そんな事言われてもう、嬉しくなんかないわ!」

 

「士郎さんも可愛いと思うでしょ?」

 

「え?あ、あぁ、可愛いと思うぞ」

 

「―――ッ!?わ、私は持ち場に戻るからな!サボるなよ!」

 

有咲は顔を真っ赤にしながら裏に消えて行った。

 

「な、なんか悪い事しちゃったか?」

 

「そんな事ないですよ。多分嬉しくて顔を見せれなくなっただけですね」

 

遠くの方で、うるさい!と有咲の怒声が聞こえてきた。

 

「と、とりあえずパン買っていくな?」

 

「お買い上げありがとうございます」

 

セイバー達の元へ戻ると、もう商品棚の所には居らず席に座ってパンを食べていた。

 

「もう食べてたのか」

 

「シホウ、さきのいたたいてまふ」

 

「口の中無くてから喋りなさい」

 

「とても美味しいわ!流石沙綾ね!」

 

皿山盛りに積まれたパンを美味しそうに食べるセイバーとこころと、周りの驚愕した顔と視線に居心地悪そうにパンを食べる士郎だった。

 

パンを食べ終わり、次の屋台へと案内を始めるこころ

 

「次はこっちよ!」

 

その後に続いて士郎達が歩くが、その道中彩と千聖に出会う。

 

「あれ?士郎さんとセイバーさん!こんにちは!」

 

「こんにちは。士郎さん、セイバーさん」

 

「えぇ、こんにちは。アヤ、チサト」

 

「お2人で屋台巡りですか?」

 

「いや、こころの案内してもらってるんだ」

 

そして士郎の隣にいつの間に引き戻ってきたこころと挨拶を交わす。

 

「こんにちは、こころちゃん!」

 

「えぇ!こんにちは!」

 

「2人は今から何処行くんだ?」

 

「イヴちゃんの屋台へ行こうと思いまして」

 

「いいわね!みんなで行きましょ!」

 

そしてこころを先頭にイヴの屋台へと目指した。

 

 

「ここよ!」

 

「へぇー、こう言うのも失礼だけど珍しいな」

 

入口に大勢の女子の姿を見て士郎は思った事を口した。

看板には“武士道体験”と書かれていた。

 

「柔道場、弓道場……そして剣道場の3つを借りての屋台らしいですね」

 

「ほぅ、剣道……ですか」

 

セイバーの小言が耳に入り、何故か慌てて話を変えようと動く。

 

「お、男とかは分かるけど女子もこんなに興味があるなんて知らなかったな」

 

「イヴちゃんの影響でもあるかもしれませんが、私達の学園は結構そういうのが好みなんですよ?」

 

「へぇー……」

 

この時、士郎はパッと思い浮かんだバカ2人にこの事を言ってやろうかと思ったが、早々にやめた。

 

「とりあえず中に入ろ!」

 

受付の方へ向かうと、丁度タイミング良くイヴが現れた。

 

「あれ?みなさん!へい、らっしゃい!」

 

「イヴちゃん、それ違うよ?」

 

千聖ではなく、受付にいた子がツッコミを入れる。

 

「凄い汗だね!」

 

「はい!先程剣道でとてもいい試合をしてきました!」

 

「そうなんだ!」

 

「先輩方も何か参加されますか?といっても今は見ての通り嬉しい事にお客さんで予約いっぱいで剣道だと約1時間待ちです」

 

受付の子に受付シートを見せてもらいながら、そう説明を受ける。

 

「す、すごいね!」

 

「柔道だと30分ですね、弓道は……同じく30分位です」

 

「他も待ち時間が長いですね……」

 

んー、と悩んでいると─────。

 

「並びましょ!」

 

と笑顔でこころが言う。

 

「こころちゃん?」

 

「あたし、士郎の弓道が見たいわ!」

 

「お、俺の?」

 

「えぇ!セイバーからとても凄いって聞いてるわ!とても興味があるの!」

 

「えぇ、シロウの弓の腕前は確かです。私が保証しましょう」

 

「そういえば士郎さん、弓道の大会で1位を取ったんでしたよね?」

 

「そうだけど……」

 

「私も士郎さんの腕前、見てみたいですね」

 

「私も!」

 

後に引けなくなり、士郎はやむを得ず弓道のところに受付を済ませる。

 

「はい、受付完了です。それではしばらくの間、外で─────」

 

「弓道、1つ空きが出来ました!」

 

イヴが嬉しそうにそう報告して来る。

 

「あれ?30分とか言ってなかったか?」

 

すると、イヴの隣に2組の女子学生が現れる。

 

「私達の予約分、譲ります」

 

「そんな!悪いって!順番来るの待つから!」

 

「いえ、私弓道部なんで部活の時にいつでも出来るので」

 

「だからって……」

 

「それに先程話を小耳に挟みまして、大会へ出られた方の実力が見てみたいっていうのが本音ですね」

 

「えぇ……」

 

まさかの出来事に士郎はどうしたものか、頭を悩ませる。

 

「どうされますか?入れ替えは可能ですが、もししないのであれば次のお客さんに回されますが」

 

んー、と悩んでいるとシロウと、セイバーに声を掛けられる。

 

「人の好意は素直に受け取るべきですよ。謙虚なのは悪い事ではありませんが、時と場合によっては他者を傷付けてしまいますよ」

 

「……はぁ、わかったよ。じゃあ有難くやらせてもらうな」

 

「はい!」

 

士郎は弓道場に入り、指導する子から弓と3本の矢を受け取る。

 

「使い方は知ってるから大丈夫だよ」

 

「分かりました。それでしたら練習を────」

 

「いや、練習もいらないかな」

 

「え?」

 

士郎は矢を番え、弓を構える。

 

 

的は自分の位置から見て約28m

風は運良く吹いて居らず、あとは中心目掛けて放つだけ

心に焦りを無くし、射型に全神経を集中させる

姿勢を保つ為、体幹でバランスを取り弦を引く

正射必中、『真』の弓は偽らない

 

熟された矢は空を舞い、的中心(獲物)を目掛け放たれた

 

矢は重い音を響かせながら、的を射貫く

位置は目標通り、ど真ん中

集中は切らさず、すかさず二矢目を構える

一矢目同様に標的を変えず、中心に弓を構える

二矢目はやや右ズレたが、問題なく中心を射貫く

三矢目は先程よりも修正を入れ、弓を構える。

的の中心の幅は約7.2cm

その内2本の矢が射貫かれており、若干難易度が上がる

だが、やる事は変わらない

そして最後の矢が放たれた

 

重い音を響かせ、辺りは静寂に包まれる。

 

 

「ふぅ……」

 

士郎は弓を下ろし、的に刺さった矢を見つめる。

 

「す、すごい……三本とも、中心です!」

 

その声と共に周りから盛大な拍手が行われる。士郎は周りに頭を下げながら、弓を返しセイバー達の元へ戻る。

 

「お見事です、シロウ」

 

「あぁ、ありがとう」

 

セイバーから鞄を受け取り、肩にかけていると興奮したようにこころ達に詰め寄られる。

 

「すごいわ!士郎!本当にすごいわ!」

 

「すごいかった!もうほんっと……凄かった!」

 

「えぇ、士郎さんの集中力……私達まで緊張しちゃったわ」

 

「こっちもいいところが見せれて良かったよ」

 

すると、イヴが目を爛々としながら士郎の手を掴む。

 

「シショウ!!お見事です!」

 

「あ、ありがとう。……いや、師匠じゃないからな?」

 

「やはりワタシはまだまだミジュク……これからもセイシンします!」

 

「お、おう!頑張れよ!」

 

そして士郎達は“武士道体験”の屋台を出て行き、次の場所へと目指した。

ちなみに順番を譲ってくれた子達は、士郎の弓道を見てすぐ自分達の力にならないか勉強しに部室に向かったらしい

 

 

 

こうして時間は過ぎて行き、途中で彩と千聖と別れ今度は紗夜と燐子と合流し、こころの案内の元屋台巡りを楽しんだ。

 

時刻は午後4時半となり、空は段々と暗くなりかけていた。

 

「今日が最終日でしたね……」

 

「あぁ、そうだな……」

 

「……とても楽しい3日でした」

 

セイバーはそう言いながら、笑みを浮かべる。

 

「何を言っているんですか」

 

すると、後ろから呆れ声が聞こえた。

 

「これが最後、みたいに言ってますが、この先まだまだ行事は色々とあります。この3日だけで満足は早いと思いますよ」

 

紗夜はポテトを片手にそう言ってくる。

 

「そ、そうですよ……ま、まだまだイベント、た、沢山ありますよ?」

 

「サヨ、リンコ……」

 

「そうだな、まだまだ楽しい事はいっぱい起きるんだ。それにそれが待てないんだったらいつもの日常を楽しくすればいいんだよ」

 

「シロウ……」

 

「それに今日はまだ楽しそうなイベントが残ってるだろ?まだテンション下げるのは早いんじゃないか?」

 

「……ふふっ。えぇ、そうですね。私としたことが弱気になってしまいました。シロウやサヨ、リンコの言う通りこの3日だけが楽しい時間ではありませんね。毎日を楽しめるように努力しなければ!」

 

「ようやくセイバーさんらしくなりましたね」

 

「よ、良かった……」

 

お互い笑いあっていると、見覚えのある人が目に入った。

 

「松原さん?」

 

「ふぇ?さ、紗夜ちゃん!」

 

花音は嬉しそうに士郎達の元へ駆け寄る。

 

「士郎さん達も一緒だったんですね」

 

「あぁ、花音はあそこで何をしてたんだ?」

 

「え、えーっと……」

 

顔を赤くし、その様子を見て状況を理解した紗夜はすぐに花音を助けた。

 

「松原さんは私とここでおち合う約束をしていまして、合流できて良かったです」

 

「え?う、うん!そうだね」

 

とそうこうしてるうちに、校内放送が流れた。

その声は放送部のアナウンス……ではなく

 

『レディース&ジェントルメーン!!待ちに待ったパレードの時間よ!最後まで楽しんでいってね!』

 

こころの楽しそうな声が放送され、そのあと愉快な音楽が校内中に流れ始めた。

 

そしてグラウンドにブルーシートで隠されたどデカい物が光始めた。そしてそれは動き出し、ブルーシートがズレ落ちる。

 

そこにあったのは─────。

 

「……なんでさ」

 

あまりの衝撃に士郎はそれしか言えずにいた。

それはとても巨大な幸せを呼ぶ青い鳥だった。

しかも青い鳥は羽が動き、青い色だけでなく7色に光始めていた。そしてその足元では、吹奏楽が演奏をしながら行進していた。その中にははぐみの姿もあった。

そしてこころは青い鳥の頭の上でステッキを振っていた。

 

「流石こころですね。私達が想像出来ない事をやってのけますね」

 

「いや、普通の学生には出来ないからな?」

 

「あれは弦巻さんだからこそ出来る技です」

 

「お、奥沢さんは何処にいるのでしょうか?」

 

「あ、美咲ちゃんは放送室にいるよ!」

 

理由はこころ達にミッシェルだとバレる可能性があるから裏方に回る、と裏方作業へ志願したらしい。

 

周りのお客さんも驚きながらも、楽しそうに写真を撮ったりパレードを楽しんだり、それぞれの楽しみ方で楽しんでいた。

 

「全く、こころには勝てないな……」

 

士郎は苦笑いを浮かべながら、楽しそうにステッキを振っているこころに目を向ける。

 

「えぇ、彼女は楽しみ方を極めていますね」

 

「まぁ、夢が世界を笑顔にするって言ってる位だからな」

 

「それはシロウもじゃないですか?」

 

「え?」

 

士郎はセイバーを見るが、セイバーは士郎を見ず答える。

 

「今日はとても楽しく終われそうですね」

 

「……あぁ、そうだな」

 

士郎は再びパレードに目を向ける。セイバーだけじゃなく、紗夜も燐子、花音も楽しそうにパレードを見つめる。

 

「今日も明日も、1日ハッピーで終わりましょ!!」

 

こころの声に同感するように生徒達、そしてお客さんが観声を上げ、拍手を挙げる。

 

 

 

 

 

学園祭最終日、夜空同様に輝く青い鳥は伝承通りに各学園、そして周りの地域に幸せを呼んで来たのだった




こころが有能過ぎて、現実味が無いこと考えてもやってのけてくれる……!

感謝!!


今回で学園祭編は終了!
次回からまた飯テロ再開していきます!
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