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「士郎くん、つぐみをよろしく頼むよ」
「唐突に何言い出してるんですか」
士郎はつぐみの父と厨房で注文された料理を手分けして作っていると、何の前触れもなくそんな事を言い出すつぐみ父に慣れたようなツッコミを入れる。
「いや、最近君の周りに可愛い子がたくさんいるみたいだからね、親として娘の将来を考えて先手を打っておかないといけない、と思ってね」
「娘の将来を案じるなら何もせず見守る方がいいと思いますよ。あと、後ろで顔真っ赤になってるその自慢の娘さんはどうするつもりですか?」
士郎は後ろにいる確実に怒っているつぐみに冷や汗をかきながら、つぐみ父に問いかける。
「士郎くん……あれは娘の愛情なんd」
「馬鹿ァァァ!!」
つぐみ父の後頭部に注文表が飛んでくる。そして投げた本人は息を荒くしながら、厨房から出て行った。
「……だ、大丈夫ですか?」
「フッ、なにつぐみから愛情をくれただけさ」
この時、士郎は思った。
あ、この人もうダメだ、と。
「ところで話は変わるが、今日言っていた子達はいつ頃くるのかね?」
「確か昼過ぎだったと思います」
「ふむ、スイーツを作るって言ってたね。材料は足りるかね?」
「ここに来るまでに自分なりに材料は買ってきました。流石に注文にない物を使う訳にはいかないので実費で買ったんですけど、器具とかは出来れば貸してほしいと思ってまして」
つぐみ父は士郎の背中を叩きながら、豪快に笑う。
「気にせず使いなさい。それに君が作る料理に興味がある。もしかしたらそれが新しい品になるかもしれんからね」
「いやいや、流石にそれは期待し過ぎですよ」
「私は本気なんだけどね……つぐみにも聞いてみるといいよ。それにイヴくんにも」
そう言って士郎をホールの方へと送り出していった。
ホールに出ると、つぐみとイヴが何か談話していた。
「はぁ、まったくお父さんって何で余計な事してくるんだろう……」
「それは愛情だと思います!」
「イヴちゃんも同じ事言うんだ……」
つぐみがため息を吐いていると、後ろから士郎が声を掛ける。
「まぁおやっさんも心配だから気にかけてくれたんだろう。そこはちゃんと分かってやってほしい」
士郎は、頬掻きながら付け加える。
「まぁでも、流石にあれはやり過ぎな気がするけどな」
士郎が苦笑いを浮かべて笑うと、つぐみは何か諦めたかのように落胆した顔をしていた。
そんな時、店の扉が開き新たな客が来店して来た。
「あ、いらっしゃいませ!」
「ヘイ!らっしゃい!!」
「イヴちゃん、ここ喫茶店!」
そんなやり取りをしている中、士郎は来店して来た5人組の客に挨拶を交わす。
「いらっしゃい、待ってたよ」
「こ、こんにちは!」
5人組の客はましろ、透子、七深、つくし、瑠唯の5人だった。
「いらっしゃい!つくしちゃん!」
「いらっしゃいです!」
「つ、つぐみ先輩!イヴ先輩!こ、こんにちわ!」
つくしがカチコチになりながら挨拶を交わす。
「それじゃあ席に案内するよ」
ましろ達を席まで案内し、注文する品を聞き取る。
「それでご注文は?って聞くまでもないか」
「もちろん!昨日言った士郎さんが作るスイーツで!」
「楽しみだね〜」
「それとアイスコーヒーをお願いします」
「はいよ、じゃあしばらくお待ちください」
士郎はそう言って厨房の方へ歩いて行った。
厨房に向かうと、つぐみ父が調理器具を洗って待っていた。
「用意はできてるよ。それじゃあお客さんの期待に添えるよう頑張りな」
「ありがとうございます!……さて」
まずは下準備
卵は常温に戻しておき、バターはレンジで温めて溶かしておく
加熱し過ぎると爆発するので10秒ずつ加熱
フリーザーバッグを用意し、オーブンを180℃に予熱しておく
バナナは皮を剥きスジを取り除き、飾り用に使う1/2本は約5mm幅の輪切りにする
板チョコを袋のまま叩き、好みの大きさに砕く
フリーザーバッグに輪切りしていないバナナ、卵、
さらにホットケーキミックス、ココアパウダーを加えて粉っぽさがなくなるまで揉み混ぜたら、砕いた板チョコを加えて軽く混ぜる
「袋に入れて混ぜたら、袋の端をカットして、これで絞って入れられる」
「と、その前にクッキングシートを敷いて……」
型に生地を流し入れ、生地を全て入れたら型ごと20cm程の高さから2~3回落として表面をならす
飾り用のバナナを上に並べ、180℃に予熱したオーブンに入れて40~45分焼く
途中10~15分程焼いたところで、ナイフで生地の中央に切れ目を入れ再度焼く
竹串を刺して生地が付いてこなければ完成!
生焼けの場合は5~10分再加熱する
粗熱が取れたら型から外して……
「よし……!完成!」
士郎が出来前を見ていると、後ろから覗き込んでくる人がいた。
「ほう、チョコバナナケーキかい?」
「あ、はい。この前知り合いにすすめられて作ってみたいとは思ってたんです」
つぐみ父が匂いを嗅ぎ、そして笑みを浮かべる。
「美味しそうな匂いをしている。早速彼女達にお出しするといいよ」
「はい!」
士郎は出来た品をましろ達の元まで持って行った。、
「う〜ん、美味しそうな匂い!」
「えー、お待たせしました。チョコバナナケーキです」
そしてどーぞ、と言いながら机の真ん中に置く。
「わぁ、美味しそう……!」
「んん〜、いい香りが漂ってる〜♪」
「じゃあ早速頂いちゃおう〜」
「えぇ、そうしましょう」
「それじゃあ手を合わせて……」
『いただきます!』
5人にいき渡るように切り分けられたケーキをそれぞれの大きさの1口を口に運んでいく。
「う〜美味しい!!」
「ほんのり温かくて、ふわふわだ……」
「バナナの甘みも効いて美味しいよ〜」
美味しそうに食べているましろ達を見て士郎は頬を少し赤らめながら、補足を足す。
「一晩置くとしっとりして味が馴染んでくるらしい」
「そっちの味も気になる!!」
「し、士郎さん!これ私にも作れますか?」
「あぁ、特に難しい事はやってないからな。もしよかったらレシピ書いて渡そうか?」
「本当ですか!?」
ましろは驚きのあまり席から立ち上がり、そしてすぐに我に返り頭から湯気を出しながら大人しく座り直す。
「ご、ごめんなさい……」
「気にする事はないさ、それでお嬢様方は満足ですかね?」
士郎は改めてましろ達に問いかけた。
「満足!」
「とても美味しかったです」
「広町的にも大満足かな〜」
「私も満足です!」
士郎は最後にましろを見る。ましろは笑みを浮かべながら、応える。
「とても……美味しかったです!」
「そっか……なら良かったよ」
こうしてMorfonicaと士郎の初絡みは大成功に終えたのだった。
「シショウの料理は天下一品です!」
「流石、この店を継ぐ未来の店長だ」
「イヴちゃんとお父さんは、何でドヤ顔なの?」
誰がァァァ!!
読解力と文章力をくれぇぇぇぇ!!
(あと余談ですけど、七深と透子の口調が分からなすぎておかしくなってるかもしれないけど、許してください。ついでにどんな口調か教えてくれたら嬉しいです)