「えーっと、じゃがいもと玉ねぎ、それとキャベツ……あとは……」
士郎はショッピングホールで今日の献立の買い出しに出ていた。カゴの中にはある程度の食材が入っており、そろそろ会計に向かおうとしていた。
「ん?」
会計を済まそうとレジに並んでいた時、チラッと見た窓にセイバーらしき人影が目に入った。
「セイバー?」
最近何かと外出が多くなっていた彼女だったが、今日は家にいると聞いていた士郎は、錯覚か?と思いながらも少し気になり、会計を済ませた後、彼女が歩いて行った道のりを辿って行った。
「んー……やっぱり見失ったか?」
会計が早く済んだからといって士郎がセイバーの姿を見て、その後店から出た士郎との時間はそこそこ時間が空いていた。
流石にここから見つけ出すのは至難の業などで諦めて帰ろうと引き返そうとした時─────
「シロウ?」
後ろからセイバーの声が聞こえた。その声に振り返り─────
「おぉ、セイ……バー?」
そして疑問をもってしまった。
疑問を持つのも無理はなく、何故なら彼女の姿がいつもよりも……
「どうかしましたか?」
小柄になっていたからだ。
「セイバー……だよな?」
「?はい、セイバーですけど……?」
「えぇ……」
士郎の頭の中がこんがらがっていた。いつもの凛々しい彼女ではなく、どこか幼げがありそして小柄な身長をしているのにも関わらず、顔や髪型、口調までも士郎の知るセイバーと瓜二つなのだ。
「それよりシロウ!何処に行ってたのですか!探しましたよ!」
「え?いや、今日買い物に行くって伝えて……」
何故か話が噛み合っていないかったので、戸惑いながらもどう答えるか迷っていると、セイバーが士郎の手にある買い物袋に目が映る。
「今日の献立はなんですか?」
「ん?あぁ、今日はひき肉が安かったからな。コロッケにしようかと思うんだ」
「それはとてもいい案ですね!私も手伝います!」
「え?」
「そうと決まれば早く帰りましょう!」
彼女に背中を押され店を出て行った。
家に帰ると、士郎が知るセイバーの姿をいなかった。つまり、何か魔術的なものを受けて小さくなったのかな、と思い、彼女に話を振ろうとした時
「さぁ!始めましょう!」
エプロン姿をして、やる気いっぱいの彼女を見て士郎は笑みを零し、話は別に後で聞くことにした。
「じゃあ悪いけど手伝ってもらっていいか?」
「はい!勿論です!」
「じゃあまず……」
じゃがいもの芽をとったら皮目に1~2mmくらいの切り込みを1週入れて、蒸し器で加熱する
沸騰するまで強火で加熱したら弱火にして20~30分
「じゃがいも蒸している間に中に入れる具の準備をしよう」
「はい!」
まずは定番、ひき肉
油をひいたフライパンに玉ねぎを入れて塩コショウ少々
中火で少し色が付くまで炒めたら、豚ひき肉を入れて火が通るまで炒める
次にツナキャベツ
キャベツは荒みじん切りに
フライパンにツナ缶の油と汁を入れて刻んだ玉ねぎに塩コショウを少々
中火で少し色がつくまで炒めて
キャベツとツナを加えて強火で1分くらい炒めて、余分な水分を飛ばす
最後は鮭コーン
鮭を焼いて骨と皮を取り除いたら身をほぐす
コーン缶は汁気を切っておいて、フライパンにバターを溶かし、みじん切りにした玉ねぎを入れて塩コショウを少々、中火で少し色が付くまで炒めたら、ほぐした鮭とコーンを加えて軽く炒め、醤油を鍋肌にそって少し回し入れる
「さてと、じゃがいもは……うん、串が通るようになった」
串でじゃがいもを刺し、出来具合を確認する。
「冷たい水に10秒くらい浸して……水から上げて皮をむくんだけど」
セイバーにじゃがいもを渡し、切れ込みを入れた線の左右を持ち引っ張る。
「うわぁ……こんなに綺麗に剥けるんですね!」
剥いたじゃがいもは大きめのサイコロ状に切って、熱いうちにさっき用意しといた具材とじゃがいもを混ぜて、塩コショウして味を整える
バットに広げて冷蔵庫で冷ましておく
冷めてきたら、3種類をそれぞれ8等分にして小判型に形を整えて、卵、薄力粉、水を混ぜ合わせた液、パン粉の順で衣をつける
油の温度は170~180℃くらい、綺麗なきつね色になるまで揚げる
最後にこれを皿に盛り付けて……
「定番のひき肉とツナキャベツに鮭コーン、3種のコロッケ完成!」
「うわぁ!美味しそです!」
「じゃあ早速頂きますか」
2人は手を合わせ─────
『いただきます!』
サクッとコロッケを1口サイズに切り、口を運ぶ。
「美味しいです!」
「コーンのプチプチしたのがいいよな、鮭も合う」
「じゃがいもがごろっとしていてこの食感が……」
ほんとに美味しそうに食べる彼女が顔がセイバーと同じだったので、作る前に聞こうとしたことを今聞くことにした。
「なぁ、ちょっと聞きいたことが─────」
そう言いかけた時、スマホから通知音がなり内容を確認する。送ってきた相手は蘭だった。そして、衝撃なメッセージが届いていた。
『今からセイバーさんと家に帰ります。モカ達が家に来ます』
“今からセイバーさんと家に帰ります”この一文を見て、すぐ今ここにいるセイバーに目を向ける。するとセイバーは何かを悟ったかのように笑みを浮かべていた。
「アンタは一体……」
そして家のチャイムがなり、玄関が開く音がした。それと一緒に少女達の声も聞こえた。
「士郎さんただいま」
「お邪魔しまーす!」
そして何も知らずに入ってきた5人は居間の光景に驚愕する。
「え、セイバー……さん?」
「はい、私を呼びましたか?」
そして彼女達の後ろからセイバーが顔を出す。そして自分と瓜二つの顔を持った彼女に目を向ける。
「貴女は……」
「え!?セイバーさんが2人!?」
「もしかしてドッペルゲンガー?」
「ちょ、怖いこと言わないでよ……」
蘭達が取り乱す中、セイバーと小柄のセイバーはお互い見合い、そしてようやくセイバーは士郎に告げる。
「シロウ、ありがとうございます。私の
「あ、あぁ……え?妹?」
士郎は2人の顔を見比べる。それは蘭達も同じように驚きながらも見比べる。
「た、確かに顔はそっくりだけど……」
「セイバーさんに妹がいたんですか?」
「はい、隠していてすみません」
セイバーが頭を下げ謝罪し、そして小柄なセイバーは自己紹介を始める。
「初めまして、セイバー・リリィと申します!」
それに吊られるように蘭達も自己紹介を始める。その横でセイバーは士郎に部屋の外へ出るように促す。
「シロウ、先に言っておきますが彼女は妹ではありません」
「うん、まぁそうだろうとは思ったけど……」
「そして彼女は私です」
「え?ど、どういう事なんだ?」
セイバーの説明を聞く限り、リリィはセイバーと分離した存在らしく記憶は引き継いでいるが、体は幼く出来てしまい、口調もどこか上品らしさを持っている。そして1番の違いが彼女ほど大食いではなくなってしまったのだ。
更に何故分離したのか原因がまだ分かっていないみたいだった。
「じゃあ、えーっとリリィ?はどうするんだ?」
「彼女は今、別の場所でお世話になっているそうです」
「詳しくは聞いてないんだな?」
「えぇ、私も数日前に出会ったばかりだったので」
扉の隙間からリリィを見る。彼女は今、蘭達と楽しそうに話をしていた。
「まぁ、悪い奴には見えないし、別にいいんじゃないか」
「確かにそうですが……」
「それに原因が分からない以上、下手に攻撃したらセイバーもダメージを負うかもしれないし」
「んぐっ……」
士郎はそれに、と付け出し彼女を見る。
「俺はあんなセイバーがいてもいいと思う」
「……そうですね」
セイバーも士郎の意見に賛成し、彼女を見守るように見つめる。が
「しかし、私より先にシロウの料理を頂くのは許せません」
「え?ちょ、セイバー?」
セイバーは居間に帰り、リリィに文句を言いに向かった。
そしてそれを止めようと蘭達が奮闘する。
「ははは、これからまた更に騒がしくなりそうだな」
士郎は笑いながら、セイバー同士の仲裁に向かっていった。
リリィ参戦ッ!!