ネタ探しに出かけねば……
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今朝、麻弥からLINEが送られてきた。
『今日、事務所に来れますか?』
そのメールを確認し、行けることを伝えると士郎は行く前に差し入れを作り、そして事務所へと向かった。
◆
「ん?」
事務所の中に入ると、スタッフ達全員が慌てて社内を走り回っているのが目に写った。
何かトラブル事があったのかと思いながら、麻弥を探す。すると、士郎の名前を呼びながらこっちの向かってくる人影が見えた。
「士郎君!いや〜グッドタイミングだよ!」
「こんにちは、監督さん」
監督が嬉しそうに士郎の肩を掴み、体を揺さぶる。
「本当に君だけが頼りなんだ!力を貸してくれ!」
「えっと、どういう事でしょうか?」
「話は後だ!来てくれ!」
そう言って士郎は監督に連れていかれ、駆け足で関係者以外立ち入り禁止の扉を勢いよく開けて目的地まで向かう。
事情を全く分からない士郎はまだよく状況が理解出来ず、監督に連れられるままに進んで行く。
連れられた場所は整備室だった。
「実は今日の撮影で1人急病で来れなくなってしまってね。その子は機材系の担当でね。急遽代用として出来る人がいないくて、そんな時に士郎君が来てくれたんだよ!」
「……なるほど」
「こんな事頼むのは普通ではいけないんだが、君の力を貸してくれないか?」
監督は士郎に頭を下げ、懇願してきた。それを見て士郎は若干困り顔を見せながら、頭を上げるよう促す。
「分かりました、力になれるか分かりませんが手伝わせてもらいます」
「ありがとう!!」
もしかして麻弥はこの事でメールしてきたのか?とそう思いながら、任された仕事を始めるのだった。
「終わったぁー!」
思った以上に苦戦を強いられ疲労困憊の士郎。
床に寝転がりながら、休憩をとる。
「お疲れ様。いや〜本当に助かったよ!」
そんな時、監督が整備室に入ってきて水とタオルを渡してくれた。
「ありがとうございます」
「いやいや、礼を言うのはこっちの方だよ。本当に今日はありがとう」
差し出された水を飲み、タオルで軽く汗を拭う。
少しリラックスが出来た時に、監督から質問が飛んできた。
「そういえば、士郎君は今日どんな用事でここに来たのかな?さっきの差し入れの為かい?」
「え?この事で呼ばれたんじゃないんですか?」
何か話が食い違っている感じがして、士郎はここに来た経緯の説明を始めた。
「なるほど、麻弥ちゃんがね……あ、なるほど、そういう事か」
「何がですか?」
説明を終え、監督は麻弥が士郎を呼んだ理由について何か心当たりがあるのかポンッと手を叩き納得した。しかし、士郎はまだどういう理由で呼ばれたのか理解が出来ていないので、今度は監督からの説明を望んだ。が─────
「まぁ、見た方が早いね」
と言い、場所だけ教えてもらい、そこに向かうように言われた。それに従って指定された場所まで向かっていると、聞き覚えのある話し声が聞こえた。
《やっぱりジブンには似合わないッスよー!》
《そんな事ないよ!》
《はい!お似合いですよ!》
《そうそう!もっと可愛いとこ見せちゃおう♪》
《その姿で走り回っちゃ駄目よ!》
「賑やかだな……」
士郎はそう思いながら、扉をノックする。
「衛宮士郎です。監督さんに言われてここに来ました」
《え!?士郎さん!?》
《どうぞ入って下さい》
《ちょ、千聖さん!?》
「えっと、じ、じゃあ失礼します……」
本当に入っていいのか悩んだが、一応入室の許可はもらったので部屋の扉を開ける。するとそこには─────
「─────!」
「し、士郎さん!こ、これは……!」
そこにはウエディングドレスを着た美しい女性が5人いた。それは士郎には予想だにしない光景だったので、扉の所で固まった。
「あ、士郎さん固まっちゃった」
「おーい、士郎さーん!元気ー?」
「え、あ、うん。元気……だけども……その格好……」
士郎が指差したのは彼女達の姿。白を基調としたドレス、そしてそれを着こなす彼女達に士郎は直視出来ずに目を逸らす。
「どうですかシショウ!」
「に、似合ってますか?」
「あ、あぁ、みんな似合ってるよ。うん」
士郎は頬を赤らめながら、チラッとチラ見だけしては目を逸らし続けていると、彩達も恥ずかしくなったのか頬を赤らめ、視線を逸らし始める。
「どうだい?うちの花嫁アイドル達は?」
すると、監督が部屋に入って来て士郎に向けてそう投げかけた。
「監督さん!」
彩の声に超えるかのように右手に持つ袋を持ち上げる。
「士郎君からの差し入れだよ」
そう言って机に置き、中身を取り出した。
「これは……」
「差し入れ何にするか……」
士郎はキッチンの前で何を作るか悩んでいた。
「6月だし、アレ作ってみるか……」
まず初めに耐熱皿を水に濡らしておく
ボウルに上新粉、砂糖、白玉粉を入れ、白玉粉の粉をつぶしながら混ぜ合わせる
その後、水を少しずつ入れながら、よく混ぜ合わせる
ザルでこして、50ml程取り分ける
耐熱皿に注ぎ入れ、ふんわりラップをかけて、600wの電子レンジで4分程加熱する
取り出して、甘納豆を全体に敷き詰め、取り分けたザルでこした物を全体に回しかける
ふんわりラップをかけて、600wの電子レンジで3分程中に火が通るまで
加熱します
粗熱を取り、三角形に切り分けたら……
「完成っと」
形を崩さないように気をつけながら、保冷バッグに入れ袋に詰め込み事務所へと向かったのだ。
「えーっと、今回は京都の和菓子、水無月です」
『おぉ〜』
「ちょうど人数分あるから、みんなで分けて食べてほしい」
そう言うと、スタッフの人が皿とフォークを持ってきてくれた。そして全員に行き渡ると─────
『いただきます!』
各々の1口サイズに切り分け、口に運ぶ。
「美味しい!」
「うん!なんかるんっ♪ってきちゃった!」
「古風を感じます!」
「士郎さん、この豆は?」
「それは甘納豆だな」
士郎は、千聖に甘納豆について説明を始める。
「甘納豆も和菓子の1つで、発酵食品の納豆とはまた別物だけど、無理はしなくていいぞ?」
「大丈夫ですよ。納豆とは違うことは知ってますし、それに士郎さんが作ってくれた物ですからね」
「ははは、そう言って貰えると作ったかいがあったよ」
士郎は美味しそうに食べている彼女を見ていると、1つ思い出したことがあった。
「そういえば麻弥、俺を呼んだ理由ってなんだったんだ?」
「へっ!?い、いや〜、その〜」
麻弥が口篭り、そして意を決したのか覚悟を決めた顔を見せた。
「ジ、ジブン達のドレス姿を見せたかったから呼んだッス!」
「そ、そうなのか」
理由を聞いて、士郎はまた頬を赤らめ目を逸らす。
「あぁー!また目を逸らした!」
「シショウ!しっかり見てください!」
「し、士郎さん!どうですか?似合ってますか?」
「私も士郎さんからの感想、聞きたいですね」
5人の花嫁に詰め寄られ、士郎は─────
「な、なんでさぁー!!」
士郎は耐えきれず絶叫上げた。
「ハッハッハ、士郎君はモテモテだね!」
それを傍から見ている監督とスタッフ達は笑っていた。
次回は、最後のバンドグループ回だ!(おそらく)
期待せず待つがいい!