衛宮さんの今日のごはん   作:パーカス

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熱中症には気を付けよう!





暑い日のとろろ蕎麦

「あぁぁぁつっっっっぃぃぃぃぃぃぃ!!!!」

 

「言うな!余計に暑くなるだろ!」

 

香澄の悲痛な叫びを上げ、それに有咲が怒鳴る。

 

猛暑が続くこの頃、香澄達───“Poppin’Party”はその中でバンドの練習をしていた。

 

「でも流石にここは暑すぎるよ……」

 

「まさかクーラーが壊れて扇風機1台しかないのはちょっとね……」

 

そう、彼女達はCiRCLEではなく別の施設を借りて練習しに来ていたのだが、運悪くその施設のクーラーは壊れており各部屋に1台だけ扇風機が完備されてるだけなのだ。

当然、扇風機1台では涼しくなるはずもなく、練習に集中出来ず、暑さにバテていた。

 

「今からCiRCLEに行っても予約いっぱいらしいから無理っぽいよ」

 

「そんなー!」

 

窓から曇りひとつも無い青空が彼女達を照らす。流石にこのままでは本格的に暑さにやられると判断し、とりあえず施設から出ることにした。

 

「これからどうする?」

 

「どうするもなにも、こんな暑さじゃ練習に集中出来る訳ないだろ」

 

「本当に今日は快晴だよね……」

 

4人が歩きながら談話してる中、香澄だけ先頭を歩き何処かへ向かっていた。いつものこと過ぎて気付かなかったが、香澄が一体何処かへ向かっているのか知らない有咲達は香澄に問いかける。

 

「香澄ちゃん?何処に向かってるの?」

 

「え?士郎さんの家だけど?」

 

「いや、なに当たり前でしょ?みたいな顔してんだよ!」

 

「流石にいきなり士郎さんの家に行っても迷惑なだけだと思うよ?」

 

沙綾の質問に答えるかのようにスマホを見せる。そこには士郎とのやり取りが書かれていた。

 

『士郎さん!今日暇ですか?』

『今買い物の途中だけど、それが終われば暇かな?』

『今日のお昼、士郎さんの家で食べてもいいですか?』

『別にいいぞ、ちなみに何か食べたいとかあるか?』

『特にないです!』

『なら、先に家に行っておいてくれ。セイバーが留守番してくれているはずだから』

『わかりました!』

 

ね?という顔を見せる香澄に有咲は蹴りを食らわす。

 

「ちゃっかりお昼もお願いしてるね」

 

「アハハ……、まぁ確かに士郎さんの家ならここから近いね」

 

「そうだね」

 

「はぁ……士郎さんも士郎さんだよ。なんで当たり前のように許可出してんだよ……」

 

若干呆れてる人もいるが、全員が士郎の家に行くことを否定せず満場一致で向かう事になった。

 

 

 

★美竹家

 

「暑い中、よく来ました。シロウから話は聞いています。どうぞ」

 

家に着くと、セイバーが出迎え彼女達をいつもの居間へと案内する。

 

『お邪魔します!』

 

居間に着くと、外とは打って変わって涼しい風が出迎える。

 

「涼しい〜」

 

「やっぱり扇風機とクーラー効いてるのと違いが出るね」

 

「そりゃ香澄とおたえは扇風機占領してたからな!」

 

「まぁまぁ、落ち着いて、ね?」

 

それからして玄関が開く音が聞こえ、足音が段々居間へと近付いて来た。

 

「お、もう来てたのか。いらっしゃい」

 

その足音の正体は、士郎だった。

 

「お邪魔してまーす」

 

「お腹空いてるだろ?今から作るから待っててくれ」

 

「やったー!」

 

「ちょま!?引っ付いてくるな!」

 

香澄と有咲のじゃれ合いを笑いながら暖かく見守っていると、セイバーが近付いてきた。

 

「おかえりなさい、シロウ」

 

「あぁ、ただいま。今から作るから机拭いといてくれるか?」

 

「お任せください」

 

士郎はセイバーに任せ、キッチンに立ち、早速料理を始める。

 

「今日は暑いからな、そんな日にはこれがいいな」

 

 

まず初めにたまごを割り、白身と黄身に分けて、黄身だけを醤油と塩昆布に30分漬け込む。

その間に他の食材を作る。

長芋をすりおろしとろろにする。

青ネギは小口切り、みょうがは千切りにする。

オクラをさっと塩茹でしてから2mm幅で切る。

切り終えたオクラとみょうがはボウルに入れ和えておく。

蕎麦を茹で流水で熱をとったら、蕎麦の上にとろろ、ボウルに入れたオクラとみょうがを添える。

その上に醤油に漬け込んだ黄身を崩してかける。

最後に青ネギをトッピングし、麺つゆをかけごま油をひと回して……完成!

 

 

「お!出来ましたか!?」

 

「えー、今回はとろろ蕎麦です」

 

そして机に並べていく。

 

「お待ちどーさま」

 

「あれ?有咲のとこだけネギないの?」

 

たえの指摘に士郎は余りのネギを持ってくる。

 

「前にネギが嫌いって聞いたから抜いたんだが、ただのお節介だからもし欲しかったらお好みで入れてくれ」

 

「い、いや、ありがとう……ございます」

 

そして全員着席すると、手を合わせる。

 

『いただきます!』

 

蕎麦を啜る音を部屋全体に響かせながら、黙々と1口目を食べる。

 

「美味しい〜!」

 

「夏って感じがするね」

 

「うん!」

 

「みんなで行った合宿思い出すね」

 

「あ〜、あの時の花火やった日の……」

 

彼女達だけでなく、士郎も合宿の時を思い出していた。

 

「確かに行ったな……もう今年は行かないだろうな」

 

「どうしてですか?」

 

「CiRCLEを利用してくれるグループが多くなってきてな、流石に前の時みたいに合宿ってなったら相当な人数になっちゃうから今年は実施できないと思うんだ」

 

「そんなー!」

 

香澄がショックで声を上げるが、士郎がある案をを出す。

 

「じ、じゃあ、バーベキューなんてどうだ?あとは流しそうめんとか」

 

『バーベキュー?流しそうめん?』

 

まさかの提案に全員が疑問をもつ。

 

「あぁ、知り合いの爺さんに言えば流しそうめんが出来るくらいの竹をくれると思うし、バーベキューなら多人でやったら楽しいと思う」

 

「何それ、楽しそう!」

 

「でも、場所も決めなきゃいけないし、ましてや他の子達が行けるかも分からないから、提案しといてアレだけど無理じゃないかとは思うけど……」

 

「大丈夫です!」

 

士郎の不安を拭うかのように、自信に満ちた目で見つめる。

 

「私に任せてください!」

 

「え?」

 

「こうなったら香澄は止められないな……はぁ……」

 

「私達も出来る限り、他の子達に伝えていこっか」

 

「うん、実現出来るといいね!」

 

「そうだね」

 

勝手に進んでいく話に、士郎は置いていかれ、言葉を発せずにいた。

 

「彼女達の判断力、そしてチームワークには見習うべきものがありますね 」

 

セイバーは彼女達を暖かく見守りながらそう応える。

士郎は、その言葉に同意し苦笑いを浮かべる。

 

「あぁ、全くその通りだな」

 

「私は彼女達ならやってのけると確信が持てます」

 

ですから、と後に続けて士郎を見る。

 

「私達も色々準備しておくといいでしょう」

 

「……そうだな。俺達なりに出来る準備はしておくか」

 

「はい」

 

 

 

 

果たして彼女達の計画は実現できるのか?

今も尚、見せ続ける青空は彼女達を照らし続けていた




暑すぎる……と、思ったら今度は雨が降る……イミガワカラナイヨ



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