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「Mr.シロウ!ワタシに料理を教えなさい!」
「……はい?」
土曜の昼過ぎ、リリィに呼び出されマンションへ向かうと、中ではリリィと一緒にチュチュとパレオも待っていた。
チュチュは士郎が部屋に入ってきたのを確認した後、勢いよく立ち上がり士郎を指さしながら、お願いする。
「えーっと、料理を教えてほしい、だっけ?」
「えぇ、そうよ!」
士郎はリリィ達の方を見る。2人はその視線に気付くと、チュチュの代わりに説明をする。
「実は今日、皆さんで練習する予定なんですけど、その時にレイヤさん達を驚かせたいって料理をするって意気込んじゃいまして……」
「リリィさんもパレオも1週間前から料理のお手伝いをしていたんですけど、中々上手くいかなくて……」
「クッ!まさかワタシがここまで料理のセンスが無いなんてッ!」
どうやら1週間前から料理の練習をしていたらしいが、上手くいかず、四苦八苦した挙句、リリィの提案により助っ人を増やす事にしたらしい。
「なんの料理を作ってたんだ?」
「ハンバーグにカレー、あとは玉子焼きとかですかね」
作った物を挙げていったが、パレオの表情から察するに出来はイマイチだったらしい。
ハンバーグはパサパサ、カレーはトロリではなく水、玉子焼きは黒焼きに……。
「それ、俺が助っ人入っても無理じゃないか?」
「いえ!士郎さんならやってくれるはずです!」
「頑張ってください!」
「丸投げかよ!?」
と言いつつも、任されたからにはなんとかしてあげたい士郎。
まず、冷蔵庫の中身を拝見させてもらうことにした。
「こちらがキッチンです!」
「やっぱりキッチンも広いな……それにちゃんと綺麗にしてある」
「勿論です!私はこれでもメイドですから!」
士郎はパレオが、そういえばキーボードメイドって言ってたな、と思い出しながら、色々と拝見させてもらう。
「んー、食材を見るに色々と案はあるが、どれも初めて作るにしては難易度が高いものばかりだな……」
「どうしましょう?」
士郎は悩みながら、チュチュの方を見る。その視線にチュチュは頭を傾げ、不思議そうな顔をする。
士郎はなにかに頷き、チュチュの方へ向き直る。
「なぁ、チュチュ。少し手順は多いが、試してみないか?」
「え?」
士郎はじゃがいもを取り出し、チュチュに渡す。
「肉じゃがを作ってみないか?」
チュチュは士郎の手の中のじゃがいもを見つめる。そして─────。
「No problem!それを作ってみせるわ!」
じゃがいもを受け取る。パレオは嬉しそうにしながら、どこから取り出したのかクラッカーをリリィと一緒に鳴らす。
「よ、よし!じゃあやってくか!」
4人共、エプロン姿に着替え、キッチンに立つ。
「今回は基本俺が手伝うけど、パレオもリリィもいるか、分からなかったら気軽に聞いてくれ」
「えぇ、そうするわ」
「なら、始めますか」
まずじゃがいもとにんじんは皮を剥いて、じゃがいもは4等分、小さいのは2等分で
「にんじんは1口大に乱切り……ってわかるか?」
「乱切り……?」
「回しながら斜めに切るって感じかな、やってみるか?」
「も、勿論よ!」
玉ねぎは芯を残したままくし切り
しらたきは食べやすいサイズに切って、熱湯で1分位茹でたらアクを抜いて、水にさらしてザルで水気を切る
次にグリンピースなんだが、さっと湯通しすると缶詰の臭みが取れる
その後冷たい水にさらしてこれもザルで水気を切る
「で、次牛肉を炒めるんだけど、鍋を温めたら油入れてくれ」
「わかったわ……」
「肉に火が通ったら取り出してな」
同じ鍋に油を少し足して玉ねぎとにんじんを炒める
玉ねぎの色が透き通ってきたら、じゃがいもを加えて炒め、次にしらたき、油を具材に馴染ませる感じで
出来たら具材に被るくらい水を入れて、油、砂糖、みりん、酒、粉末鰹出汁を加える
炒めた肉を上からフタするみたいにして乗せ、落とし蓋で蓋をする
中火~強火にして5~10分くらい煮る
アクが出たらこまめに取る
じゃがいもに火が通ったら醤油を加えて強火で10~15分くらいに、焦がさないように水気を飛ばしつつ煮て
「あ、鍋が重いから俺がやるよ」
途中で1回鍋ゆすって上下をひっくり返す感じで
汁気が¹∕₃くらいになったら、火を止める
盛り付けの時にグリンピースを散らして……完成!
「じゃがいもの中央まで味を染み込ませたいんなら、このまま3時間以上寝かせる。冷める時に味が染み込んでいくから火にはかけない」
「そうなの?」
「あぁ。で、どうする?」
「……レイヤ達に食べさせたいから寝かせましょ」
チュチュの決定で寝かせることにした。という事で、士郎は帰ることにした。
「出来上がりは食べていかないの?」
「食べたいけど、俺の方も晩飯の準備をしないといけないからな」
士郎は靴を履き終え、振り返り笑う。
「また作ってくれ」
そう言って、士郎は帰って行った。
「で、本当に作ったの?」
「Of course!早速食べてみなさい!」
パレオに肉じゃがを持ってこさせ、6人の皿によそう。
「いい匂いですね!」
「見た目も悪くないな」
「ちょっと、それどういう事よ!」
「まぁ、前回の黒い玉子焼きを見た後だからね……」
「ウグッ、こ、今回は大丈夫よ!」
6人、手を合わせ─────
『いただきます!』
1口食べ、それぞれ感想を述べる。
「美味しい……」
「美味いな」
「今回のは上手く出来てるね」
チュチュも1口食べて、頬を緩ませる。
「美味しいですね!チュチュ様!」
「あ、当たり前よ!ワタシが作ったんだから!」
「料理は続けますか?」
リリィに言われ、全員から注目を集める。チュチュはスプーンを置き、首を振る。
「シロウには悪いけど、もう料理はこりごりだわ。ワタシは食べる側の方がいいわ」
チュチュは笑いながら、応えた。
「シロウ、今日の夕飯はなんでしょうか?」
「今日は肉じゃがさ」
「美味しそうな匂いがします」
「もう出来たから2人とも皿とか用意してくれないか?」
士郎は鍋を机の真ん中に置く。
「おまちどーさま」
最近、朝が寒くて昼には暑い……
何故…