…はい、申し訳ありません。
北方位艦橋 二階 総統私室
「なぁんで俺こんなとこにカント計数機置いたんだろうかなぁ…」
そんな事を呟きながらカント計数機を確認しようとすると…
「やぁ、久しぶりだねぇ」
「!?」フリムキ
「いや、久しぶりって表現は正しくないなぁ、さっきぶり?かな」
そこには長身の、男性にも女性にも見える人物が立っていた
「…さっきぶりも表現としてどうかと思うがな、何が目的で来たんだ?」ケンジュウカマエ
「おっと、怖いねぇ、その物騒なものを降ろしてくれないか?」
「そいつは無理だね、質問に応えてもらおう、何が目的だ?」
「なぁに、簡単な事さ」
「…………何だ?」
「気付いてしまったんだろ?私の正体に」
「お前の正体?何のことだ?俺はただ休憩するために来ただけだぞ」
「いいや、君は気付いている…正確に言えば勘付いている、そうだろ?」
「…ッだから何なんだ!貴様の目的は、何なんだ!」
「君を始末させてもらうよ、あの狂人と同じ様にね」
そう言うと同時に総統の眼前から奴は消えていた、そして背後から
「…王手だ、君はどう指す?」
「何ぃ⁉︎クソ!」
総統は飛び退いた、そしてワンテンポ遅れて
ドン!
…重い銃声が部屋に響いた
「避けるか、勘弁してくれよ、弾はシリンダー内の分しかないんだ」
「狂人とは誰のことだ?まさか奴か?」
「少しは話を聞いておくれよ…君の言う『奴』かどうかは知らないが、やけに強力な現実改変能力を使う奴だったなぁ」
「…やはり奴か」
「おや、正解だったか、まあ君も今から同じところに行くんだけどね」
「いいや、俺は嫌だね、それともう一つ、その銃は何だ?」
「何故この場面でそれを聞くんだい?好奇心かい?まあいいさ、君を殺す武器の名ぐらいは教えてやろう、こいつは『S&W M500』…の改造版だ、文字通り世界に一つの特注品だよ、化物を殺すためのな」
「そうか、ではさっさと貴様を始末して俺のコレクションにしてやろう」
「そういうのは私を始末できる者にのみ言える言葉だ、君が言える言葉じゃ、ないね!」ドン!
ゴシャァ「ッく!」(左腕と拳銃が飛んだ…肩に命中したな、しかし俺には……)
「再生……しない?馬鹿な!」
いつもであれば再生するはずの傷…しかし今に限っては再生しない…
「どうした?再生がどうとか聞こえたが、どこが再生してるんだ?ん〜?」
「貴様、一体何をした!?」
「これがこの弾の凄いところさ、さっき言っただろう?化物を殺す為の物だと、この弾を撃ち込まれた者はな、例え驚異的な再生能力を持っていようが、例え不死者であったとしても一時的に、何からナニまで人間と同等になるのだ、再生能力は停止し、不死者は死ぬ様になる、怖いだろう?」
「それはいい事を聞いた、効果は一時的なのか、ならば効果が切れるまで逃げれば良い!」ダッシュ
「……ふむ、まあ効果時間は最低でも12時間だ、気長に追うか」
そして総統はいつもの何分の一も遅い足で逃げ、暗殺者?は歩いて追って行く、それが30分も続いた頃
(何故だ!?何故ここまで時間が経っているというのに誰一人としていないんだ!)
ドン! ドン!
「グッ!」(弾は外れたが転けた!?何故!?)
コツ コツ コツ コツ
(足音…立って走らなければ…)
「うご…けない、どうしてだ…?」(そうか…ウォーミングアップもなしに30分全力疾走したら体力も切れるか…))
コツ コツ コツ コツ
(しかし何故息が切れていないんだ…?あの弾の効果が切れて…?いやそれにしては…)
コツ コツ コツ コツ
(考える時間も与えてくれんか…)
「残念だったねぇ、もう少しで逃げ切れたものを」
「よく言うな…付かず離れずの距離を保って追ってきたくせに…」
「いやいや、いつ距離を離されるかと心底ヒヤヒヤしたよ」
「…一つ質問だが、いいか?」
「質問?手短にすませてくれよ、こっちだって追いかけっこで時間がないんだ」
「あの時、あの村で俺を撃ったのはお前だろ?何故あの時は復活できたんだ?」
「ああ、あの時かい、あの時はまさか復活できるなんて思ってなくてねぇ、通常弾を使用したんだよ」
「おいおい、流石に暗殺?相手の情報ぐらい仕入れて欲しいね…三流かな?」
「三流とは何だい、黙っていれば言ってくれるじゃないか、そんなに早く死にたいのかい?」
「いや…まだ死にたくはないな…皆が待ってんだ…それに…」(待てよ…確か兵装に非常電話があった筈…)
「それに…なんだい?」
「俺は総合戦闘指揮場の奴等に『戻る』と言ったんだ…行かなければ」(一か八か、やってみるしかないっ!)
「行かせないよ、君は此処で死ななければならないんだ」
「いいや俺は戻るね!兵装展開!」
そう叫ぶと同時に総統の周囲を光の粒子が包んだ…が
「おや驚いた、もう展開出来るようになっていたのか、しかしまだ不完全なようだね、肝心の兵器類が出ていないじゃないか」
暗殺者?の言った通り兵器類は出てこず、そこにあったのは小さな箱型の何かだった
「そんな物出したところで状況は好転しないと思うがねぇ」
「勝手に言ってやがれ!」
そう言うと総統は箱を開ける、そして中から出てきたのは…
「ッ!まさか!」
「そのまさかだよ!」
…一台の電話機だった
「クッ!」ドン!
ヒュン「ヒュエッ!掠った!?」
「馬鹿な!?もう一発!」カチッ
重みの無い音が周囲に響く
「弾切れか、もう少し弾を持ってくるべきだったな」
「ックッソォ!!やめろ!こんな結果は認めない!やめてくれ!」
「いいや限界だ!かけるね!」ガチャ
ジリリリリリと呼び出し音が周囲に響き渡る
『こちら総合戦闘指揮場、要件をどうぞ』
「至急応援を頼む、場所は分かるな?」
『承知しました、すぐに一個小隊を送ります』ガチャ
「あぁ…そんな…こんなの…認められない…」
「これが一転攻勢だ、覚えておくといい、もう外の景色を見ることのないお前には必要無いだろうがな」
「…本部へ、作戦の失敗を報告します…帰還指示を」
「ん?本部?」
『了解、帰還せよ』
どこからともなく誰かの声が聞こえる
「おい待て、本部って何だ?どう帰還するんだ!?」
「こういうことさ」
言うが早いか暗殺者?の姿が透け始める
「待て!まだ貴様に聞きたい事が山ほどあるんだ!勝手に行かれては困る!」
「じゃあ尚更行かなくてはな、君も行くところがあるのだろう?」
「おい待て!せめて戦利品としてその銃を置いていけ!おい!」
総統が言い終わる前に追跡者(仮)は完全に姿を消していた
「………」(本部か…気になるな、この状況で気にならん奴はおらんと思うが…)
タッタッタッタッタ
「大丈夫ですか閣下…って!左腕どこ行ったんですか!?」
「…話せば長くなるな、まずは総合戦闘指揮場へ行こう」
「わ、分かりました…」
そうして総合戦闘指揮場へ向けて歩き出した
「……作戦を変更する必要があるか」
総統はそう小さく呟いた
「何かおっしゃいましたか?」
「いや?なにも?」
そう言う総統の姿はえもいわれぬオーラを纏っていた。
……次は早めにあげます。