この素晴らしい世界に祝福を! このぼっち娘と冒険を! 作:暇人の鑑
突発投稿で不定期更新の失踪予備軍ですが、よろしくお願いします。
それではどうぞ!
第1話 この少年に異世界転生を!
「纏 凪斗(まとい なぎと)さん。ようこそ、死後の世界へ。
あなたの人生は、残念ながら終わってしまったのです」
トラックに撥ねられて目の前が真っ暗になった俺は、いつの間にか何もないところにいた。
いや、何もないというのはちょっと違う。
「……誰です?」
目の前には翼の生やした女性が立っているのだ。
「私は天界からの使いの者です。あなたの魂の行き場を導くために参りました」
そんな女性の言葉を、何故か俺は嘘だとは言えなかった………だってなんか体が透けてるし。
そして、はっきりと理解した。
俺は、交通事故で死んでしまったのだ。
「死んじゃったのか………」
流石に落ち込んでいる俺に天使みたいな人は慰めてくれるように。
「はい。トラックにはねられて、即死でした。
……無理に納得しようとしなくてもいいですよ?ここに来た時、慌てふためいたり、訳も分からず泣き出したりする人もいるのですから」
「大丈夫です……さすがに車に撥ねられたら死んでも無理はないですから」
なんとか理解はしたものの、やはり親や友達に突然会えなくなったのはかなり残念だけどな………でも、あと数十年もしたら、みんなここに来るか。
「と言うか、魂の行き場って言ってましたが、俺はどこへ行くんですか?」
とりあえず、しんみりムードはむず痒いので天使さんにこれからのことを聞いてみると、どうやら………
1、赤ん坊からやり直し。記憶は消去
2、天国で先人達とお話し。記憶は残る
ここまではまあわかるし、この二つなら忘れたくないこともあるので2を選ぶが、3つ目から急に意味がわからなくなった。
3、異世界へ転生 記憶は残る
異世界ってなんだ。
ゲームみたいな世界にでも入れるのだろうか?
「異世界って、どう言うことですか?」
とりあえず聞いてみると、どうやらこういう事だった。
・魔王とその手先によって危機に晒されている世界で、死んだ人がこんなところは嫌だと天国などに行ってしまい、人口が少なくなっている。
・そこで、別の世界で若くして死んだ人を応援として転生させることになった。
・で、転生した人がすぐに死んでしまわないように、チートじみた能力を持たせよう!
「と、言うわけなんです……」
「へー……でも、それなら結構色んな人が行ってるんじゃないんですか?」
RPGの世界に入れるなんて、ゲーム好きな人にとっては夢みたいなものだろう。
だが、そんな俺の疑問に少し目を逸らしながら、天使さんは恥ずかしそうに。
「いえ、その………できるだけこの世界のことを知ってもらおうと色々と話すのですが、そうなると誰も行ってくれないんですよね………前任者の女神様は、そこのところをぼかしてたのか、うまく行っていたんですが…」
「不憫だ……」
たしかに、命の危険と隣り合わせのRPGな世界で、せっかく転生したのにまた死にたくはないだろう。
でもこれなら………
「上手くいけば記憶を残したまま、色んなことができるのか」
天国について聞いてみたが、どうやらドラゴンボールの天国のような光景ではなく、何もないところで、先人達の霊があるだけらしい。
記憶は残るけど、これじゃあ話すこともないだろう。記憶を消して生まれ変わるのも嫌だし………それなら、もう俺の選択は一つだな。
「あの………
俺、異世界転生します」
この真面目な天使さんに花を持たせるのも良い。
そう考えながら、俺は異世界へ行くことを天使さんに告げた。
「それでは凪斗さん。この中から一つ、好きなものを選んでください」
少し嬉しそうな天使さんを横目に、俺は床に散らばった紙を拾い、内容を吟味する。
「無限の魔力だの、超強い武器だの、すごいものばっかりだ」
「たった一つしか与えることができませんので、慎重に選んでくださいね」
どれもとんでもないチートだよな……。でも、あんまりえげつないチートをやるのもな……なんかこう、一方的な俺TUEEEは楽しくない。
そんな我が儘めいた事を考えながら探していると……良さそうな能力を見つけた。
「このエアーズワークスって言うの………面白いな」
この能力は、空気や風を自由に操ることで、スピードアップやアクロバットなどができるようになるらしい。更には、オリジナルの必殺技もあるんだとか……よし。
「これにしようかな」
そう言って紙を手渡した後。
とうとう俺が旅立つ時が来た。
天使さんは久しぶりにやるのか、少し緊張した面持ちで何かを唱え出す。
「それでは………天界規定により、この能力はあなたのものとして受理され、異世界へ転移するための全ての準備が完了しました」
その言葉と同時に、俺の足元に魔法陣みたいな模様が浮かび上がり、本当に旅立つんだと今更ながらに実感した。
「さあ、勇者よ!旅立ちなさい。願わくは数多の勇者候補の中から貴方が魔王を倒し、世界を救うことを祈っております。そしてその時は、どんな願いも一つだけ叶えて差し上げましょう!」
そして、眩い光の中で、俺は何かに吸い込まれていくのだった。
光が止んだようで、チカチカする目が回復した俺の前に飛び込んできた景色は、一面が白い雪化粧だった。
俺たちの世界でも冬に入りかけだったので来ているものは学ランに防寒具だが、それでも寒いものは寒い。
だが、それよりも俺は目の前の景色に感動を覚えていた。
そこは、レンガの家が立ち並ぶ、どこか異国めいた雰囲気の街並み。
車やバイクはおろか、電柱も街灯も見当たらない。
そしてその代わりと言わんばかりに、獣の耳をつけた獣人みたいな人や、耳の長いエルフみたいな人が人間に混じってちらほら見えた。
「すっげえ………俺、本当に異世界に来たんだ!さっきまでちょっと疑ってたけど、これじゃあ疑いようがない!」
ありがとう、そして疑ってごめんなさい天使さん!
そんな感じで舞い上がっていたが、周りからの視線で慌てて湧き上がるものを抑えると同時に、ふと気づく。
「転生したはいいけど、どうやって暮らしていけばいいんだ?」
俺、今金なしのホームレスじゃん。
なんならチートスキルもらったって、どんなことできるかわかんない上に、武器とか薬草みたいなやつもないから戦えもしない。
持ってるものといえば、中学校のカバンにお金がいくらか入ったお財布、登校前だったので未使用の体育着に筆箱、教科書が数冊ある程度だ。
寒空の下、突如訪れた生命の危機に対して俺は色々考え始める。
「財布と筆箱とか以外は全部売るとして……まずは情報収集を……」
と、道の真ん中でこれからどうするかを呟いていると。
「うう………ベタベタして気持ち悪いよぉ……」
全身を粘液まみれにした女の子が、涙声でとぼとぼと歩いていた。
あとがきです。
まずは主人公の紹介といきましょう。
纏 凪斗
読み まとい なぎと
髪色 濃紺 瞳 青
年齢 14歳 職業 公立中学2年生
主人公。
なんの変哲もない男子中学生。
トラックに轢かれて死んでしまい、異世界へ転生することになる。ゲームや漫画が好きで、性欲や物欲もそれなり。性格も普通なので、キワモノ揃いのアクセルの街の面々やヘンテコな異世界に振り回されることもしばしば。
エアーズワークス
凪斗が貰った特殊能力。
空気や風を操ることができるようになり、浮上や高速移動などができるだけでなく、風属性魔法の威力が少し上がる上に、職業関係なく風属性の魔法が使えるようになる。また、神々の遊び心でも入っているのか、漫画やアニメの技がスキルとして使えるようになる。
大体こんな感じの子がゆんゆんと一緒に冒険します。
次回はゆんゆんとの出会いを描いていきたいと思いますので、何卒よろしくお願いします。