この素晴らしい世界に祝福を! このぼっち娘と冒険を!   作:暇人の鑑

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原作5巻、映画の紅伝説にあたる時間軸での冒険スタートです。

ちなみにアクセルハーツの中ではリアが最推しです。

黒髪ロング万歳!


……失礼、それでは第11話を楽しんでください!


第3章 おいでよ、紅の里
第11話 この無礼者に旅立ちを!


 

ちょっと考えをまとめたいから付き合って欲しい。

 

 日本で子供を作ることが認められている年齢は、法律で言えば1番若くて16歳の女性と18歳の男性のペアだ………まあ、結婚できるのがこのペアが最速と言う理由からだが、この世界はちょっと違う。

 

 成人は15歳だが結婚は14歳からできるし、16歳から20歳のうちにするのが一般的で男女による年齢の差はない。

 つまりは、早くて14歳から子供が作れてしまうってことだ。

 

 これは、モンスターが蔓延り、医療がそこまで発展していない上に、飲酒や喫煙に対しての縛りがゆるいことで、日本と比べると平均寿命が50代と低い為、早く子供を作らないといけないと言う理由がある。

 

 あとは、寿命が短い分成熟速度が早くなり、14歳でも日本人で言う所の16歳程度にまで体が育つと言うこともあるのかもしれない。

 

 まぁ、ここまでの長ったらしい考察から何を言いたいかと言うと。

 

 

 ゆんゆんの爆弾発言は、俺を含めその場にいた冒険者をフリーズさせるには十分過ぎていたのだった。

 

 

 

 

 そんな爆弾発言の反響が冷めぬ中、カズマさんの屋敷にて。

「ナギト!ゆんゆんに何を吹き込んだのですか⁉︎少しはあなたを信じていたのに……この愚行、その命を持って償うが良い!」

「俺が知る訳ないだろ⁉︎そっちこそ何か知らないのか⁉︎」

 

 俺とめぐみんが互いに詰め寄っている隣では、カズマさんがやたらなキメ顔を見せていた。

 

 

 

「もう一回、言ってくれるかな……?」

「か、カズマさんの子供が欲しいと言いました!」

 とりあえず、何を言っているのかはわかっているようで少し安心するが……発言が正気じゃないのでやっぱり不安だ。

「俺としては、最初は女の子が良いんだけど……」

「だ、ダメです!最初の子は男の子じゃないとダメなんです!」

 

「……なあ、魔法とかで子供の性別って操作できるのか?」

「できる訳ないじゃないですか」

 だよなあ。

 

「ゆんゆん、正気に戻ってください。一体何がどうなって……」

「と言うか、何で突然子供なんて……?」

 俺達がとりあえず話を聞こうとすると、ゆんゆんは切羽詰まったように。

 

「わ、私とカズマさんが子供を作らないと世界が………魔王が!」

 

「「「魔王?」」」

 俺、めぐみん、ダクネスさんの声が重なった。

 いきなりスケールがデカくなったな………

 

 だが、当事者は世界よりも目の前の性欲にしか目がないようだ。

 

「そうかそうか、世界が………大丈夫だ。世界も魔王のことも任せてとけ?

 

 俺とゆんゆんが子作りすれば、魔王が何とかなり世界が平和になるんだろ?

 

 

 この俺が困っている人の頼みを断るわけがないじゃないか!」

 この、ゆんゆんを気遣ってるようでヤル気満々な発言だもんな……。

 

「クエストを受けようとした時はあれだけ嫌がっていたクセに!」

「本当ですよ!」

「うるせー!関係ない奴が口出ししてくるんじゃねえよ!せっかくやってきたモテ期なんだよ、邪魔すんな!」

 更にはめぐみんやダクネスさんの抗議にも逆ギレする始末………ゆんゆんには悪いけど、まずはカズマさんを何とかしたほうがいい気がしてくる。

 

 

 目の前で一触即発の空気を出している3人を前に、いくばくか冷静になった頭で考える………ここにきてから、考え込むことばかりだな。

 

 例え子作りをしたって、生理の周期的な問題で確実に生まれてくる訳じゃないし、生まれてきたとしても戦える年頃になるまでは10年以上は確実にかかる。

 作らなければいけない理由が何なのかはわからないけど、そんなに悠長にしていて大丈夫なんだろうか?

 

 と、考えている間に今にも一戦始まりそうな雰囲気になっていたところ。

 

「め、めぐみん………紅魔の里が……紅魔の里が無くなっちゃう‼︎」

 

 ゆんゆんが、またとんでもない爆弾をぶち込んできた。

 

 

 

 新たな爆弾を前に休戦したとでも言うべきか。

 

 ひとまずテーブルについた俺達はアクアさんが持ってきたお湯を飲んで落ち着いた後、話を聞く事になった。

 

「それで、どう言う事なんです?」

「お父さんから手紙が届いたの………それで……」 

めぐみんがゆんゆんから手紙を受け取り、それを読み出す。

 

「『…………この手紙が届く頃には、きっと私はこの世にいないだろう……』……⁉︎」

 不穏なワードが聞こえてきたと思ったら、手紙を読み進めるごとにめぐみんの顔が険しくなる。

 

「紅魔の里が、魔王軍の手先に蹂躙されているそうです……」

 絞り出したような声にその場の空気が先程のものとは別の方向に張り詰めたものとなった。

 

「待てよ、そんな状況で呑気に子作りしてる場合じゃないだろ?ますます意味が分からないぞ」

「もう一枚あります!そっちに……」

 たしかに、めぐみんの手元にはもう一枚の手紙が。

「こっちも読みますよ……『里の占い師が、魔王軍の襲撃による、里の壊滅という絶望の未来を視た日。その占い師は、同時に希望の光も見る事になる。紅魔族唯一の生き残りであるゆんゆん………』なぜゆんゆんが唯一の生き残り…?」

「良いから先を読んで!」

「私の身に一体何が⁉︎

 

 

『唯一の生き残りであるゆんゆんは、駆け出しの街である男と出会う事になる。頼りなく、それでいて何の力もないその男こそが、彼女の伴侶となる相手であった』」

 

 頼りなく、それでいて無力………

 

「おい、何でみんなしてこっち見るんだよ!まさか……ゆんゆんもそれだけの情報で俺のところに来たのか⁉︎ナギトだって……おい、何ガッツポーズしてやがんだ!」

「すいません、つい………」

ちょっとは頼りにされていた事に嬉しさを感じたが、今はそれどころじゃない。

 

「それ、今はどうでも良いだろう……めぐみん、続けてくれ」

「はい。『………やがて月日は流れ、その2人の間に生まれた少年は、旅に出る事になる。だが、少年は知らない。彼こそが、魔王を倒すものとなることを………!』」

 そこまで読んでめぐみんは、まさかと言わんばかりにカズマさんへと視線を向けた。

 

「お、俺たちの子供が魔王を……!」

「そんな悠長な…」

 今の危機に対して未来に任せてどうするつもりだと呆れをおぼえていると、アクアさんが食ってかかった。

「そうよ!ねえ、カズマの子供が大きくなるまで待つなんて私困るんですけど!3年くらいでまからない?まからないなら、その占いは無かった事にして頂戴!」

「お前、幼児に魔王退治させる気か……?」

 3歳児って……少年兵ですらない。

 

…………というか、そうやって考えていくとこの文章は本当にきちんとした手紙なんだろうか?

 今この時点で手紙の送り主が死んでいるかもしれないなら、もっと急いだ方がいいとかって予言が来そうなもんだが。

 

「里には、腕利きの占い師がいるんです!つまり……」

「分かった、そういう事なら任せとけ。世界のためだ、仕方ない」

「お、お前という奴は!普段は優柔不断なクセに、今日はどうしてそんなに男らしいのだ⁉︎」

 

 ダクネスさんがカズマさんの胸倉を掴んで揺さぶっているのを尻目に、俺もその手紙を見せてもらうと………………んん?

 

 

「……どうしたのです?何だか分かったようですが……」

「………そういう事か。コイツは傑作だ!」

「なになに?このアクアさんに見せてご覧なさいな」

 

 これ以上ここにいたらまずいと、アクアさん達に手紙の下を読むように伝えて俺は一旦外へ。

 

 

 そして数秒後。

 

「……………ブフッ‼︎」

 誰かの絶叫をBGMに、俺は思わず吹き出してしまっていた。

 

 

「おい、ちょっと待て!俺は一体どうしたら良い⁉︎ここで脱げば良いのか部屋で脱げば良いのか……⁉︎」

「この文の作者のあるえとは、里にいる同級生ですよ………でも、そうなると最初に読んだ手紙は本物みたいですね」

「なんだ、ただの作り話か……」

 

 モテ期到来と舞い上がった助平は、砂上の楼閣から地に落とされ、群衆はその光景に安堵する。

 

 そして、そんな光景が可笑しくて笑い転げていた俺は。

 

「私が勘違いしたのが原因なのは分かってますよ。でも、あんなに笑わなくたって良いじゃないですか!」

「俺、自分に嘘はつきたく無い………それに、まさかあんなオチだったなんて……プクク」

「また笑った……かっこいいこと言ってもダメですからね⁉︎」

 

 絨毯に正座をさせられた上、キレたゆんゆんに説教を食らっていた。

……釈然としないものはあるが、それを言っても何かやられそうなので黙っておいた方が良さそうだ。

 

「………と言うか、俺とばっかり話していて良いのか?里がやばいんだろ?」

……因みに、隣でカズマさん達が繰り広げている茶番でまた笑いそうになっているのは内緒だ。

 

「誰のせいだと……もう!仕方ありませんね、今回だけは許してあげますけど、もう少しデリカシーを覚えてくださいね⁉︎」

 

 こうして説教が終わったかと思うと、ダクネスさんが困惑顔で。

 

「笑い転げているナギトは論外として、めぐみんは随分と冷静だな……里が心配じゃないのか?」

「そ、そうだわ!ねえめぐみん、どうしよう……?」

 

 先程までの説教モードは何処へやら、弱気な顔をしたゆんゆんがめぐみんに縋り付くと。

 

「我々は魔王も恐れる紅魔族ですよ?そんなみんなが幹部如きにやられるとは思えません。

 それに……万が一のことがあってもここには族長の娘であるゆんゆんがいるのですから、血が途絶えることだけは無いでしょう。

 

 だから………こう考えれば良いのです。『里のみんなは、いつまでも私たちの心の中に……」と」

「めぐみんの薄情者!どうしてそんなドライな対応ができるのよ⁉︎」

「ちょ⁉︎」

 

 まさかのバッサリと切り捨てためぐみんに、ゆんゆんは胸倉を掴んで抗議していた。

 

 

 

 

 ところ変わって屋敷の外。

 

「す、すいませんでした!」

 いまだに顔が赤いゆんゆんがカズマさん達に頭を下げていた。

 まあ、結局カズマさんのモテ期はまた今度になっただけだが、公衆の面前で噂のタネになりそうな展開に持ち込まれたんだしな。

 

「いや、良いってことよ。それより、これからどうするんだ?」

「い、今から紅魔の里へと向かいます。あそこには、と、友達も……」

 はっきりと言い切れないのかよ。まあ、これ以上言うと襲われそうだから言わないけどね。

 

 

「そ、それじゃあ皆さん……めぐみんも、またね?」

 そう言ってとぼとぼと歩いて行くゆんゆんを見送り……ん?

「カズマさん?何で俺を見るんで?」

 

 視線を感じたので振り向くと、少し意外そうな顔で。

「え?お前は行かないのか?」

 

「行っても良いですけど、紅魔の里って強いモンスターばっかりだって聞くし、魔王軍まで来てるんじゃあ…」

 と、言いかけたところで俺はもう一つの視線を感じた。

 

 夜の闇に隠れてはいるが、何かを期待するような目でチラチラと…。

 ついてきて欲しいなら言えば良いのに、俺にデリカシーがないのならあっちはかまってちゃんじゃねえか。

 

「と言いたいところだけど、また自爆されて、変な噂の巻き添えを食うのはゴメンだし、ついて行くしかないよな……」

「回りくどいな……ほら、さっさと行ってやれよ。さっきからお前のことチラチラ見てるぞ」

 

 同じように見えていたらしいカズマさんに促される形で、俺も紅魔の里へ旅立つことになった。

 

 

 翌日。

「なあゆんゆん、まだ数日かかるんだしもう少し肩の力抜いたらどうだ?」

「それは分かってるんですが、やっぱり心配で……」

 昨日は馬車の最終発車時刻が過ぎていたので、俺たちは今日アルカンレティアへ行く馬車の中で、1番早く出発するものに乗り込んでいた。

 

 乗り込んでいたのだが、ゆんゆんがガチガチに固まっていたのだ。

 

 

 だが、その緊張の理由は、どうやら目の前の光景にもあるようだった、

 

 

 

「心配なのはわかるけど、目にクマができてるよ?」

「アタシほどじゃないけど可愛い顔してるんだし、もっと柔らかく行かないとね!」

「ほら、ハーブのお茶だよ?これでも飲んで落ち着いて……」

「え、えっと……皆さんに傷をつけないかも新しい心配事なんですが……」

 ハーブティーを飲みながら、ゆんゆんが不安げな視線を向けるのはもはやいつメンな3人組。

 

 

 なんと、アクセルハーツの面々が揃って助っ人を申し出てくれたのだ。

「大丈夫ですよ。ボクはアークプリーストだし武道も嗜んでいますから」

「アタシのスキルは色々役に立つんだから!可愛さだけでなく強さまで兼ね備えてるのがエーリカちゃんだからね!」

「ナギト達には色々助けられてるからね。これくらいどうって事ないさ」

 

 昨夜は馬車に乗れなかったが、だからと言って何もしていなかったわけじゃなく、俺は一緒に行ってくれる助っ人を探し、ゆんゆんは使えそうな魔道具を探していた。

 

 そして、たまたまライトさんの店に行ったら、同じくたまたま来ていたアクセルハーツとエンカウントしたので一応話をしてみたのだ。

 

「いやー、まさか来てくれるなんて思いもしなかったよ。リアさんもよく起きることができたな」

「ば、バカにしないでくれ!私だって、しっかり荷物を詰めて早起きできるように早く寝たんだ!」

「ナギト君に片付けてもらったお部屋を汚して、だけどね」

「しかも、寝坊しかけてるしね」

 あそこまで片付けたのにまた汚したのか。てか、寝坊しかけてるんじゃねえか。

 

「リアさんのイメージがどんどん壊れて行くなぁ…」

「遅れてないんだから良いだろう⁉︎」

 そんな風にやりとりをしていると、ゆんゆんがクスクスと笑い。

 

「なんだか、皆さんのやりとりを見ていたら、悩んでる自分がおかしくなって来ちゃいました。

 

……そうですよね。今から緊張してたらよくありませんもんね!」

 

 と、どうやら落ち着いてくれたようだ。

 

 

「じゃあ、ゆんゆんも落ち着いたことだし、発進してもらうか!」

「それでは、アルカンレティア行き、発車します!」

 

 馬車のおっちゃんが鳴らした鞭が、旅立ちのファンファーレとなり。

 

 

 春の陽気に包まれながら、俺たち5人を乗せた場所は、紅魔の里への道のりを走り出した!

 




いかがでしたか?今回はナギトがだいぶやらかしましたが、原作を読んでナギトと同じ反応をした読者の方は多いんじゃないかと勝手に思い込み、今回反映してみました。

 アクセルハーツを原作に組み込んだことで、本来の流れとは少し変わったストーリー展開となりますが、タグを少し修正しますのでご了承ください。

 そして、前回初登場のスキルの紹介を今ここで。

 並行詠唱 他の行動と並行して魔法の詠唱を行う時、円滑に行えるようになるスキル。これは他のスキルとは違ってパッシブスキルである。

 これもダンまちのリューさんがやってたことをこちらに取り入れてみたと言った感じです。

ここまで行ったところで次回は紅魔の里まで辿り着ければなあと思います。

 それでは、感想や評価をお待ちしています!

お楽しみに!
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