この素晴らしい世界に祝福を! このぼっち娘と冒険を!   作:暇人の鑑

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今回はあまり劇場版と展開が変わらないので、ノリでサクサクいけました。

次回は難産となりますので亀更新でもお許しください。

それではどうぞ!


第17話 この天敵に閃光を‼︎

 魔術師殺しへのカウンターを探しに向かったカズマさん達に、こめっこを救出に向かったダクネスさん。そして、ぬいぐるみと鍵盤を探しに行ったリアさん達。

 

 

 そんな各々の作戦を完遂させるべく、俺とゆんゆんにシエロさんはシルビアに立ち向かっていた。

「あなたもアタシとひとつになるのよ!」

「その展開はボツだ!」

 

「行きますよ……『パワード』!『ブレッシング』!『スピード』!………そして、『風のロンド』!」

「触手を撃ち落とします………『ストリーム・ウォーター』‼︎」

 

 俺を捕らえようとした触手を、ゆんゆんの魔法が撃ち落としたので、シエロさんの支援魔法によりいつもよりも力強くなった足で地面を蹴って飛び上がり……全力で鎌を振り下ろす。

 

「ゼェア‼︎」

「支援を受けているとは言え、中々良い一撃じゃない!でも……!」

 

 胸元に出来た傷口は、取り込んだ能力によるものなのか、直ぐに跡形もなく消える。

 

「アタシの能力じゃあ、簡単に治せちゃうわ……って‼︎」

「このまま切り刻む!『ウインド・リーパー』‼︎」

 

 話を聞くや否やもう一度跳躍して、『ウインド・リーパー』………風を纏わせた武器で攻撃を行えるスキルを用いて、幾重にも切り刻んだ。

 

「再生するなら、連撃で勝負だ!」

「成る程……再生にかかる時間を少しでも引き伸ばして、アタシにアイツらをやらせないってわけね……いいわ!それならアタシの部下達が相手よ‼︎」

 

 すると、それを聞いていたのか。

「カッコいいですせ、シルビア様!どこまでもお供しますよ‼︎」

「そうだ!そこの人間、このお姿のシルビア様には、これ以上触れられねえと思いな‼︎」

 

 部下のゴブリンやオーガ達が、こちらに殺到してきた。

 

「お前らはお呼びじゃねえのに……!」

 シルビア一体なら気を引くのは簡単だが、乱戦状態では1人で気を引ける体数にも限界があるため、リアさん達が見つかる可能性が高くなってしまう。

 

 若干詰みを考えていたその時。

 

「部下達はボクとゆんゆんが引き受けます!だから、ナギト君はシルビアを!」

 そう言って、シエロさんがこちらに走ってきた。

 

「おい!そこのプリースト!俺たちを1人で相手にするなんて良い根性してんじゃねえか……!」

「やっちまえ!紅魔族を皆殺しにする前祝いだ!」

 そうして魔王軍の兵士達の1人がシエロさんに肉薄するが。

 

「ええええい‼︎」

「ふべらぁ⁉︎」

 

 一撃をかわしたシエロさんが、綺麗な右ストレートを顔面に叩き込み、それを受けた兵士は仲間達を巻き添えにして吹っ飛んでいった。

 

「「「「は?」」」」

 

 

 そのあまりのパワーに俺、シルビア、兵士達の表情がポカンとなる。

 

「武闘派貴族の令嬢ってすごい‼︎」

「パワードを多めにかけただけですから!」

 

 顔を赤くして訂正してくるシエロさんに、怒った兵士たちが囲おうとするが。

 

「『ファイア・ボール』‼︎」

 崖の上に陣取ったゆんゆんが火球を放ち、その兵士たちを焼き焦がした。

「ナギトさんはシルビアを!アイツらは私たちがやります!」

 

 

 どうやらあの2人は、兵士たちを食い止める気満々の様だ。

 

 

「分かった!………それじゃあ、ラウンド2だ!」

「ええい!小賢しい小娘達め!」

 俺は厚意に甘えることにして、シルビアとの死闘を再開した。

 

 

 

 現在、紅魔族達は里の住民の避難を殆ど終えたのか、下に降りてきて魔法の援護を始めており、ゆんゆんとシエロさんは兵士たちとの戦闘を開始する。

 

 そして………

「『逃走』……!『ウインド・バレット』。BANG!BANG!BANG!」

「普通にやっても効かないからって、目潰し狙いとは汚いわね……!ちょこまかと動き回っちゃって、腹立たしい!」

 

 俺は、シルビアを族長宅から引き離すべく、『逃走』スキルで逃げながら、『ウインド・バレット』で目を集中的に狙っていた。

 

「マナタイトは………あと3個か!リアさん達はまだか⁉︎そういつまでも持たねえぞ……」

 

 7個あったマナタイトが半分近く減っている焦りから、苛立ちも込めて族長宅の方に視線を向けると、それを感じ取ったのか。

 

「ふうーん?どうやら、やけに逃げてばっかりだと思えばあの家に何かがあるのかしら‼︎」

 

 シルビアが蛇の尻尾をバネの様に使い、族長宅を踏み潰そうとしたその時。

 

「『投擲』‼︎」

 族長宅から出てきたエーリカがシルビアに何かを投げつけて動きを止めた。

 

「熱ッ⁉︎アナタ、聖水の瓶なんて投げてくるんじゃないわよ‼︎」

 

 どうやら、聖水の瓶を投げつけた様だが……エーリカが出てきたと言うことは。

 

「『水のラプソディー』‼︎」

「もう1人いたの……⁉︎何人も出てきて、鬱陶しいわね‼︎」

 コン次郎と鍵盤を背負ったリアさんが、シルビアに槍の連撃をくらわせた‼︎

 

 

「遅いぜ、2人とも!」

「ごめんごめん………さあ、ここからは私たちも加勢するよ!」

「オカマなんかに負けるエーリカちゃんじゃないわよ………って、シエロ‼︎」

 

 無事に戻ってきた2人に安堵するが、その2人の声に振り向くと………。

 

「うう………敵の数が増えて、流石にこれ以上は!」

「あんなにいっぱいいたら、私の魔法の詠唱速度じゃ間に合わない!」

 

 シエロさんが顔に疲れを滲ませ、ゆんゆんも息が上がっていた。

「フフフ………見えているものだけが全てと思ってたのなら、大きな間違いだったわね?里の外にいた連中をやって来させたのよ!」

「伏兵か……‼︎」

 

 どうやら、シエロさんとゆんゆんの力を警戒して、増援を呼んでいたらしく、それらを相手取るうちにスタミナ的にヤバくなったのだろう。

 

「マズイぜ、コイツは!こっちが2人増えたところで、この数の差は覆せねえぞ………⁉︎」

「アハハハハハハッ‼︎とうとう打つ手が途絶えた様ね!ここからはアタシ達のターンよ!

 

 

 さあ、最高の部下達よ!このおバカさん達に地獄を見せてあげなさい‼︎」

 

 俺の毒づきを聞いて、シルビア達が攻め込もうとした時だった。

 

 

「そこまでだ‼︎」

 野太い声と共に、戦場に数人が降り立った。

 

 そして、その真ん中にいるのは………!

 

 

「我が名はひろぽん!紅魔族随一の族長にして、里の民を導く者‼︎」

 

「族長さん達か!これは頼もしいな!」

 ゆんゆんの親父さん………つまりは族長とその仲間達だった。

 

 リアさんが安堵の顔を見せる前では、そのおっさん達が『バーニング・フラッシュ』とか言う電撃系スキルを放ち、部下達を一掃……………

 

 

 

 

 

 かと思われたが。

「ぬぅ………!簡単には行かんか!」

「魔法なら強さに関わらず吸収かよ………!」

 

 シルビアが魔術師殺しの力を使って、部下達を守った様だった。

 

「名前通りの厄介さはあるな………!」

 

 作ったやつがこの場にいたらぶん殴ってやりたいレベルだ。

 

 

 

 そして、そんな力に戦いたのはシルビアも同じだったらしい。

 

「最高ではないか、この力は………!紅魔族は、自ら守ってきたものに滅ぼされるのだ……!」

 

 そして、何かの詠唱を始める。

 

「とりあえず……『レジスト』‼︎」

シエロさんが、俺達に状態異常耐性の魔法をかけて対策したのと同時に。

 

 

「絶望しろ………!

 

 

 

『エンシェント・ディスペル』‼︎」

 

 シルビアが聞いたことのない魔法を唱え、その魔法は崖の下にいた者たちを包み込んだ!

 

 

 

 突然のことに対応ができなかった俺たちは、体に異常がないかを調べるが……特に変わったところはない。

 

 

「なんだったんだ今の……?レジストをかけられてない紅魔族たちも平気そうだけど」

「ナギト!手下がくるから武器を構えて!」

 疑問を口に仕切る間もなく、攻め込んできた手下達に身構える。

 

 

 そして、紅魔族達も魔法を…………ん?

 

 

 

 

 

「地獄の業火よ、荒れ狂え………!『インフェルノ』………アレ⁉︎」

「魔法が………発動しない⁉︎」

 

 

 紅魔族達はなぜか魔法が…………って、まさか⁉︎

 

「魔法封じ⁉︎」

 

 俺が告げると同時に紅魔族達は慌てふためき、あちこちに逃げ始めた。

 

 

「テレポートも使えない!逃げろぉ!」

「やっぱり無理なんだ!魔術師殺し相手にするなんて!」

 

 だが………それを見逃してくれるほど、魔王軍は甘い奴らじゃないようで。

 

 

「魔法が使えない紅魔族なんて、ただの木偶だぜ‼︎」

「今がチャンスだ、皆殺しにしろ‼︎」

 

 逃げ惑う紅魔族達を狩ろうと、各々に行動を始めた‼︎

 

 救援に向かおうとするが、それよりも前に魔王軍が最初に目をつけたのは………

 

 

「ふにふらに、どどんこ!」

「あの子達、腰が抜けてるわよ⁉︎」

「そんな……!」

 

 ゆんゆんに絡んでいた、ふにふらとどどんこのペアだった。

 

 エーリカの言う通りに、恐怖で腰が抜けて動けない様だ。

 

 

「どうしたのかしら、お嬢さん達?残念ねえ………。

 

 可愛い男の子なら見逃してあげたけど………アンタ達紅魔族は、人をおちょくりすぎたのよ‼︎さあ、やっておしまい‼︎」

 シルビアが残忍な笑みを浮かべ、兵士たちにあの2人を倒す様に命令したその時。

 

 

 

「『ライト・オブ・セイバー』‼︎」

 

 

 

 聞き覚えのある声と共に、崖の一部が切り取られ、崖崩れとなって兵士たちに襲いかかった。

 

 撃ったのは勿論……!

 

「そこまでよ……魔王軍幹部、シルビア‼︎」

 ワンドを握りしめ、覚悟を決めた顔のゆんゆんだった。

 

 

 

 

 

 

 2人への傷はなかったことを確認した私は、安堵もそこそこに、シルビアに視線を向けようとすると、泣きそうな顔の2人が。

「ゆんゆん⁉︎」

「バカ、なんで……⁉︎」

 

 答えは一つしかないような質問をしてくる。

 

 

 その答えは……勿論。

「友達を……見捨てられないから」

 この里では数少ない友達を、見捨てることなんて私は出来ない。

 

 

 2人の視線がむず痒いが、それを顔に出して『切り札』を晒すわけには行かないので、今度こそ視線をシルビアに向けようとすると、崖の下から声がした。

 

 

「おい!何やってんだ、早く逃げろ!魔法使いが単騎でやれる相手じゃねえ‼︎」

 自分の置かれている状況を棚に上げて、よく言ったものだが………たしかに彼の言う通りで、私1人で太刀打ちできる相手じゃない。

 

 

 でも………彼は似たような状況でも、毅然と立ち向かった。

 

 私とシエロさんが他の敵を引きつけていたとはいえ、たった1人で魔王軍の幹部と戦うだなんて、前人未踏の重圧なのに、彼はそこから逃げなかった。

 

 

 何より………彼は、こんな私を「相棒」と言ってくれた。

 

 

 

 なのに、もし彼に全てを任せきってしまったのなら。

 

 

 ………あの人の「相棒」として隣に立てない。

 

 

 だから……これは。

 

 いや、この「雷」は私の誓いだ。

「我が名はゆんゆん‼︎

 

 

 アークウィザードにして、上級魔法を操る者!

 

 

 

 紅魔族随一の魔法の使い手にして………

 

 

 

 やがてこの里の長となるもの‼︎」

 

 私も、自分にできることを精一杯やってみせる‼︎

 

 

 名乗りあげと共に放った雷が止むと同時に、あちこちから湧き上がるコールに、恥ずかしさが出てくるが……ここまできたら最後まで演じるしかない。

 

「勝負よ、シルビア‼︎里を破壊すると言うのなら、先に私を倒して見せなさい‼︎」

 

 啖呵を切った私に、シルビアは面白いものを見るような目を向けて。

 

「あら、可愛い………でも、あなたみたいに本当に若くて可愛い子、嫌いなのよ‼︎」

 

 そう叫ぶや否や、とんでもないスピードで迫ってきた。

 

 その迫力に少し怖気付くが、慌てて被りを振って、背を向けて全力で駆ける。

 

 

 

「紅き瞳は、決して邪悪を許しはしない‼︎

 

 

 

 それが……紅魔の宿命‼︎」

 

 

 その先には………『切り札』が解き放たれる時を待っていた。

 

 

 

 

 先程のゆんゆんの名乗り上げは、後ろにいるカズマさん達が、作戦に使う魔道具の準備をするための時間稼ぎだった。

 

「全く、作戦ならもっとわかりやすく合図してくれよカズマさん!この魔法は時間かかるんだから!………『空を渡り、大地を駆け、何者より疾く走れ』………」

「悪かったって!でも、そっちもこっちも間に合ったんだから結果オーライだろ!」

「『セイクリッド・エクソシズム』!『セイクリッド・エクソシズム』!」

 

 それに気づいた俺は、シエロさんをリアさん達に任せ、急いでカズマさん達の元へと向かい、『ルミノス・ウィンド』の詠唱を行なっていた。

 

「ああ、年頃の娘がまさかネタ魔法を使うだなんて……!はしたないったら……」

「たとえ母と言えども爆裂魔法への侮辱は許しませんよ!」

 隣では、爆裂魔法の準備をしためぐみんが、母親に食ってかかっている。

 

「しかし、うちの物干し竿がねえ……」

「うむ……あれが、ウチの息子か」

 

 後ろで呑気なことを言い出しているのは、服屋のおっちゃんとめぐみんの父親だった。

 

「ナギト!めぐみん!もしもの時は頼んだぞ!」

「はい!」

「分かりました!」

 

 作戦としては、対抗手段の魔道具『レールガン(仮)』に、アクアさんが退魔の魔法を吸い込ませているので、それをカズマさんが『狙撃』で撃ち出す。

 

 それでダメなら、俺とめぐみんが『ルミノス・ウィンド』と爆裂魔法の合体攻撃を撃ってなんとかすると言うものだ。

 

 

「シルビア……楽しかったぜ。

 

 

 

 さよならだ!

 

 

 

『狙撃』‼︎」」

 

 そして、その作戦はついに実行に…………

 

 

 

 

 

 なるかと思いきや、レールガンから放たれたのは、小さな煙だけだった。

「「「「は?」」」」

 その場にいた全員が、その光景に表情を失っていたが………1人だけ大ピンチに陥っていた。

 

 

「すいません‼︎さっきのは無しってことで……!」

「できるかい‼︎」

 

 

 そう。シルビアから逃げていたゆんゆんだ。

 

 

 先程までのキリッとした表情は何処へやら、涙目で逃げ惑っている。

 

 

………まあ、アレで決まっても唱えたやつはどうすれば良いのかが謎だったしな!

「ナギト、行きますよ!…………星屑の風を纏いて、太陽をも霞ませよ………!

 

 

 『エクスプロージョン』‼︎」

「ああ、第二の矢ってやつだ‼︎………『星屑の光を宿し、敵を討て』………!

 

『ルミノス・ウィンド』ッッ‼︎」

 

 一瞬だけ目線を合わせためぐみんと頷きあい、それぞれの必殺技を解き放つ。

 

 

 

 

 そして、解き放たれた魔法はシルビアへと襲いかかる………はずだったが、これらはレールガンへと吸い込まれ、シルビアに届くことなく掻き消えてしまった。

「「はあ⁉︎」」

 

 当然、攻撃が不発に終わった俺とめぐみんは驚きの声をあげる。

 

 

……めぐみんには、魔力切れで倒れると言うおまけがつくけど。

 

 

「なんだよこれ、壊れてるんじゃねえか‼︎」

「どれ、貸してみろ!これはこうすれば……!」

「おい、止めろ!ブラウン管みたいな直し方でいけるわけねーだろうが!」

「わ、私!このこめっこっていう小さな命を守らないといけないから……」

 

 ダクネスさんがレールガンを殴りつけ始め、カズマさんがそれを慌てて止める。

 

 さらにその隣ではアクアさんが逃げようとすると言うカオスが繰り広げられ始めた中で、アクアさんに抱えられたこめっこがレールガンを指さした。

 

 

「ねえ、なんかピコピコしてるよ?」

 

 

 その発言に全員がレールガンを見ると、確かに側面の画面には「FULL」と表示されている。

 

 

 つまりこれは………!

 

「壊れていたんじゃねえ、魔力が足りなかっただけか………

 

 

 

 カズマさん‼︎」

 

 俺が叫ぶよりも先に、カズマさんは再びスコープを覗き込む。

 

 

 

 そして……!

「何か企んでるみたいね………!」

「シルビア‼︎

 

 

 

 俺の名前を覚えとけ!

 

 

 あの世に行ったら、他の幹部達によろしくな‼︎」

 

 シルビアとカズマさん、どちらが勝利を手にするかのギリギリの瞬間で………!

 

 

 

「どーん‼︎」

 そのどちらでもない声と共に、レールガンから閃光が放たれた。

 

 

 

 放たれた閃光はシルビアの胴体を貫き、レールガンは、一撃の負荷に耐えられなかったのか、銃口が壊れてしまう。

 

 

 

 そして、腹を撃ち抜かれたシルビアは、ようやく自分の状態に気付いたようで。

 

「あ、あれ?………あ、アタシ、これで…………お、終わり……⁉︎」

 

 あり得ないと言う顔と声を上げて、その場に崩れ落ちたと同時に大爆発が起こった。

 

 

 

 そんな、全てが予想外の形で終わったこの戦いにおけるダークホースは。

 

 

 

 

「我が名はこめっこ!

 

 紅魔族随一の魔性の妹! 魔王軍の幹部より強き者‼︎」

 

 

 美味しいところを総取りしていくのであった。

 

 

 

 

 魔王軍幹部シルビアは倒れ、俺は下からやってきたアクセルハーツと合流した。

「アレがレールガンか……爆裂魔法とルミノス・ウィンドを吸い込んで打ち出したなんて、信じられないくらい華奢な武器だね」

 

「しかも、もう壊れちゃってるわよ?これじゃあ使えないじゃないの」

 

「ま、まあ……そんな沢山作れるものじゃないんだと思うよ?」

 

 リアさん達がレールガンに興味を示している隣では、シルビアがいた場所をカズマさん達がなんとも言えないような顔で見つめている。

 

 

「悲惨な、戦いだったわね……。

 

 

 私はもう、2度と人を傷つけないと誓うわ……」

 

 

 アクアさんが、またもフラグになりそうなことを言い出したが、そろそろ勘弁してほしいところだが。

 

 

 

 

 

 

 

…………ん?

 

「おい、敵感知に反応があるぞ」

 俺の発言に、カズマさんがアクアさんに続いてお前もかと言わんばかりの目を向けているが、これはフラグではない。

 

 

 

 しかも………

「敵意がどんどん増えていくぞ!場所はシルビアの死体があった所だ‼︎」

 もし、これが嘘じゃなければ、シルビアは生き返りでもしたと言うことだが………。

 

 

 

 と、考えていた俺だっだが………敵意の元を見て、絶句した。

 

 

 

 

 

 なんと。

 

 

 

「ここで、終わらせて………なるかぁぁぁぁぁ‼︎」

「コイヨォ………コッチコイヨォォォォォ‼︎」

「キレイニナッチマッタァァゼェェェ‼︎」

 

 

 黒い甲冑と、毒々しいスライムのようなやつまで一緒に現れたからだが………それだけではない。

 

 

 

 シルビアはその2体を自分の身に合成していき、やがて………!

 

 

 

 

「アハハハハハハハハハハ‼︎」

 その姿を、ケンタウロスとも猛獣ともつかない、異様なものへと変えていく。

 

 その光景に対して俺は。

「マジかよ⁉︎」

 震える口で、呟くことしかできなかった。

 

 

 

 

 そして。

 

「危うく魂を持っていかれる所だったわ……!

 

 

 

 

 アンタ達は絶対に潰す‼︎」

 

 

 腹に当たる場所から口のようなものを出し、毒々しい色の激流を解き放った‼︎




いかがでしたか?

今回はナギトの新スキルを紹介します。

ウィンド・リーパー 消費スキルポイント 2

 魔力が篭った風を纏わせた武器で攻撃するナギトの必殺スキル。一撃の威力が高く、ある程度の連撃が可能。また、風の刃を相手に飛ばすこともできるので、ウィンド・バレットとの使い分けができるようになった。
 元ネタは特にない。

 逃走 消費スキルポイント 1
 短時間だが、敏捷値を高くするスキル。自分以外に効果はない。


 今回はゆんゆんにヒロインさせてみました。とはいっても、ここから少しずつゆんゆんのヒロイン描写を増やしていけたらなと思いますので、おたのしみに!


それでは、次回で5巻編は最終回になる予定ですので、しばらくお待ちください。

 感想や評価をお待ちしてます。


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