この素晴らしい世界に祝福を! このぼっち娘と冒険を!   作:暇人の鑑

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第5巻編、最終回です。

ちょっとグダリ気味かもしれませんが、楽しんでいただければ幸いです。


第18話 この合成乙女に幕引きを‼︎

 この世界における常識を話そう。

 

 俺たちの敵………つまり、人類の敵である魔王を首魁とした組織が魔王軍。

 その魔王軍には8人の幹部がいて……1人倒すたびに、魔王城を守る結界が解かれる。

 

 そんな幹部達の中で、現在討伐されたのは3人……1人は残機が減っただけなので、実際完全に倒されたのは2人だ。

 

 1人目はデュラハンの『ベルディア』。

 アンデッド故の無尽蔵のスタミナと、生前が騎士であるが故の高い剣の技量を併せ持ち、どんな相手も時間をかければ確実に殺すことができる「死の宣告」を備え持つ死の騎士だ。

 

 2人目はデッドリーポイズンスライムの『ハンス』。

 物理攻撃をものともせず、魔法にも強い抵抗を持つ上に悪食でなんでも食べると言う隠れた強敵である「スライム」の中でも、触れれば即死間違いなしな猛毒を持っている。

 

 そんなチートじみたスペックを持つ2体が………今、1人のグロウキメラに集まり、俺たちにその牙を向けた。

 

 

 

「うおおおおお‼︎」

「エーリカ、走れ!走らないと死ぬよ‼︎」

「分かってるわよおおお⁉︎」

「いやあああああ!来ないでええええ⁉︎」

 

 毒々しい色の津波が迫ってくる中、俺たちは必死に距離をとっていた。

 

 津波の規模は相当なもので、逃げ切れるのかどうかはわからないが……振り返る時間も惜しいと走り続けている。

 

「景色が一向に明るくならねえ‼︎こうなったら…!」

「ナギト!ただでさえ早いのに、アタシ達を置いて逃走なんてしないわよね⁉︎」

「先読みすんな‼︎」

 

 逃走スキルを使おうとしたが、エーリカに釘を刺されたので断念するけど………正直使わないと逃げきれない。

 

 

 そんな絶望的な状況が続き……毒々しい津波が俺たちを飲み込もうとした時。

 

 

 

 

「『カースド・クリスタルプリズン』‼︎」

 

 

 聞き慣れない声と共に猛烈な冷気が飛んできて、毒々しい津波を一瞬にして凍らせてしまった。

 

 

 その状況に頭がついていけずにいると、2人の人影がカズマさん達の方に走ってきた。

 

 

 それは……

 

「あれ、魔道具店の店主さんだよね?」

「ああ。それにバニルまで………一体どうして」

 

 

「カズマさん、これは一体どういうことですか⁉︎」

 ウィズさんとバニルという、意外なメンツだった。

 

 アクセルにいるはずのあの2人が、どうしてここにいるのやら……?

 

 助かったことへの安堵よりも困惑が勝り、リアさんと顔を見合わせているとカズマさんとアクアさんが何かやり出したので、もっと近くで聴きに行こうとすると、氷の天井の一部が剣で貫かれ、引き抜いたことで出来た穴からシルビアが顔を出した。

 

 

「ウィズ……⁉︎それに、バニルまで……!」

 

 どうやら、シルビアもここにこの2人がいることは想定外なようだ。

 

 そんなシルビアに対して、いつもと変わらない様子で。

 

「お久しぶりですシルビアさん。どうか一つ、ここは穏便に……!」

「出来るかい‼︎」

 

 話しかけて、ツッコミを食らっていた………明らかに殺意マックスでやばそうなやつ相手に停戦を持ちかけるとは、豪胆なんだかマイペースなんだか……。

 

 そして、バニルも仮面で表情は読めないが顎に手を添えて。

 

「ふむ………魔王軍に我輩の生存が知られてしまうのは、大変都合が悪いな…」

「「「裏切り者どもが‼︎」」」

 

 シルビア、ハンス、ベルディアの抗議が、妙な実感がこもってる気がするが……なんか考えない方が良さそうだ。

 

 

「下がっているが良い。貴様らが束になったところで奴には敵わん」

「だろうな……お前ら、全力で逃げるぞ‼︎」

 

 ウィズさん達はシルビアと一戦やる気っぽいので、俺たち9人は全力で逃げるが………魔王軍幹部の半分以上が集結して、更に戦うって考えてみればやばいよな。

 

 

 

「ねえ!よく分かんないけど、カズマのせいでまた失敗したのね⁉︎

 嫌よ、馬小屋暮らしに戻るのは!

 私もう贅沢を覚えちゃったんだから、絶対内職なんて無理だからね‼︎」

「馬鹿なこと言ってないで走れ‼︎くそ、なんだあのバケモンは……!」

 

 

 カズマさんがアクアさんに怒鳴り返しているのを横目に後ろの戦闘を見ると、あの状態のシルビアにはウィズさんの魔法はおろか、バニル人形による集団自爆でもほとんどダメージが入ってないようだ。

 

「小技を当て続けてガードを剥がすか、ガードの上からでも当てられる大技を当てるか……どの道現実的じゃないぜ!」

「カズマ!何か手は無いのですか⁉︎あと、さっきの爆裂魔法を返してください」

「んなこと言ってる場合か!あの2人が相手でもほとんど隙がない奴なんだぞ⁉︎

 

クソ……!何か隙はないのか………⁉︎」

 

 ゆんゆんに背負われためぐみんに突っ込むカズマさんは、頭を掻きむしっていたが………ふと、動きを止めた。

 

 

 その行動に戸惑う俺たちだが、構う様子もなく。

 

「しょうがねえなあああああああ‼︎」

 

 ヤケクソ気味に、いつもの台詞を叫んだ。

 

 

 

 

「心の準備はいいか…?」

「うむ………いつでも行けるぞ!」

 

 受け答えをする前ではシルビアが地面に叩きつけ、その衝撃でウィズさんが吹っ飛ばされた。

 

……まだだ。まだココじゃない。まだ………‼︎

「裏切り者には死を……!」

 

 地面に倒れたウィズさんを、そのまま握りつぶそうとした瞬間………

 

 

 

 今だ‼︎

「潜伏解除‼︎行け!」

「ああ!」

 俺は潜伏を解除し、ダクネスさんと共にシルビアの前に登場した。

 

 

「な……⁉︎」

「…………‼︎」

 そして、俺の声を合図に突撃したダクネスさんが横薙ぎに払った一撃は、前脚に見事に命中する。

 

「ぐぁ………って、あの子とウィズは……⁉︎短時間でどこに⁉︎」

「よそ見をするな、私はまだいるぞ!はああああ‼︎」

「何なの、これ……⁉︎アタシの力に匹敵するなんて!」

 

 俺を見失ったシルビアが焦り、その隙に攻撃を仕掛けたダクネスさんの力に驚いていた。

 

「危ないところをありがとうございました。それにしても、凄い隠れ方してましたね」

「バレないように忍び込むのは得意技なんでね………アイツと組むことになる事は流石に予想外でしたけど」

 

 ウィズさんを連れて同じく潜伏で隠れているカズマさん達のところへ向かう。

 

「無事だな⁉︎ウィズ……ここからが、本当の戦いだぜ‼︎」

「か、カズマさん⁉︎」

「これ、カズマさんの指示なんすよ」

 

 じつは、ここまでは作戦だったのだ。

 シルビアとウィズさんがやりあっている隙に、バニルを憑依させたダクネスさんと俺が潜伏で隠れつつ接近。

 

 そして、ピンチに陥ったので潜伏を解除して視線をこっちに向けるや否や、ダクネスさんが突撃。

 

 そのダクネスさんが注意を引いた隙に、ウィズさんと合流した俺は『フェード・アウト』を使い、光の屈折で姿を消す魔法を使ったウィズさんと共に潜伏で隠れて居たカズマさん達の元へと帰還………って感じの。

 

「そいじゃあ、ウィズさんを紅魔族のところまで護衛で俺は任務完了だけど……」

「アクア様からお話は聞きましたが………カズマさん、本当に大丈夫ですか?」

 

 そして、俺はウィズさんを紅魔族が避難してるところまで送れば任務完了だが………ウィズさんの言う通り、カズマさんのこの後を考えると案ずるなと言う方が無理だ。

 

 

 現在遠くへ向かっているめぐみん、ゆんゆん、アクセルハーツの面々が放つ必殺の一撃を確実に当てるための自爆戦術を取ると言い出したのだ。

「これだけやらなきゃならないんなら、しょうがねえだろ?………まあ、俺の運の良さをとくと見せてやるさ」

「私のブレッシングもね!」

 なんて事ないように、とんでもないことを言い出すカズマさんだが………たしかに、この大博打を成功させるには、幸運値が一番高いカズマさんしか適任者がいないのは事実だ。

 

 ならばせめて………

 

「苦しまないように、一撃で仕留めてもらうぜ」

「もうちょい、マシな慰めをくれよな………でも、頼むわ」

 

 俺は俺の任務を完了させる!

 

 

 俺は、シルビアに向けて駆け出したカズマさんに背を向けて。

「重くないですか………ヒャッ⁉︎」

「ウィズさん、しっかり捕まっててくれ………『逃走』‼︎」

「あ、あの……!手をもうちょっと下の方にしてもらえませんか?お尻を思いっきり……きゃあああああ‼︎」

 

 ウィズさんを背負って紅魔族達の元へと走り出した。

 

「オラオラぁ!死神もどきと亡霊のお通りだぁ‼︎」

 

………やけに掴んでるものが柔らかいのが不思議だけどな。

 

 

 

「………すいません、思いっきり痴漢やらかしちゃって」

「い、いえ……私が素早く行動できるスキルを持ってなかったのが悪かったんですから……」

 

 紅魔族の所へと着いた俺は、ウィズさんのお尻を思いっきり掴んで爆走して居た事に気づいて、土下座して謝り倒し。

 カズマさんが、「充実と幸せは違う」と悟り、恋をしたい乙女(?)なシルビアにありがちな告白をして、合体したところまでを見届けた。

 

………合体と言っても、キノコみたいに生やしてあるだけに見えるが。

 

「すっげえ……魔力を一箇所に集めてる。しかも、これを遠くに譲渡するんだもんな」

 

 俺は、ウィズさんが里のみんなの魔力を一箇所に纏めている様子を眺めていた。

「周りに漏れ出ている魔力で、俺の魔力も全快してるし……」

 

 集約された魔力はとんでもない量で、密度も相当なもの。

 

 漏れ出た魔力で俺もおこぼれに預かれるレベルだ。

 

 そして、この現象に紅魔族たちもウィズさんがただの人間ではない事は気づいているようだ。

 

 だが。

「闇の者か………そう言う展開、嫌いじゃないぜ」

「ええ!むしろあなた、ノリをわかってるじゃない!外の人なのに!」

 

 彼らの琴線に触れたようで、嫌な顔をするやつは1人もいなかった。

 

 

 これで、こっちの準備もじきにできそうだが……肝心の攻撃手はどうなんだろ。

 めぐみん、リアさん、シエロさんにエーリカ。

 

 

 そして………。

 

「ナギト、だっけ?ゆんゆんの所へ行ってあげて!」

「あなた、あの子の彼氏なんでしょ⁉︎」

 

 ゆんゆんは大丈夫か………ん⁉︎

 

「ふにふらにどどんこ……だったか⁉︎

 

 何言ってんだ、ゆんゆんとはそこまで行ってないぜ⁉︎」

 友達で仲間ではあるが、彼氏ではないはずだ。

 

「むむ、娘の彼氏だと⁉︎」

「あらまあ……でも、あの子の手紙にもよく出てくるものね」

「ええ⁉︎違うんです、誤解です‼︎」

 

 族長さんの見る目が少し険しくなる隣で、奥さんが成る程と言わんばかりの表情だ。

 

 そこかしこでざわめき始めるが……まあ、アイツが心配なのは確かだな。

「みんなのことが心配だから、ちょっくら言ってくるぜ……ウィズさん、あとは任せた‼︎みんなが心配だからな!……『追風』‼︎」

「は、ははは、はい……!いってらっしゃ……い……?」

 俺は言い訳じみた捨て台詞を残して、ゆんゆん達が待機している場所へと急行した。

 

 

 数分後。

「ナギトさん!どうしてここに⁉︎」

 

 突然現れた俺におどろいたゆんゆんとリアさんがこちらにかけてきていた。

「ふにふらとどどんこに頼まれてな。ゆんゆんが心配だってさ!」

 先程の内容をそのまま話せるわけがないので、少し改変して話すと、リアさんが不思議そうに。

 

 

「……ナギト?妙に顔が赤いし目が泳いでないか?」

………どうやら、さっきのがよほど衝撃的だったらしい。

「気のせいだぜ………それより、他のメンツは?」

 ボロが出る前に話を振ると、シエロさんは精神統一でもしているのか深呼吸をしており、エーリカは自己暗示をかけているようだ。

 

 そして、何だかんだで大丈夫そうな2人とは対照的に。

 

「………」

 めぐみんは、罪悪感に苛まれているように俯いていた。

 

「………どうしたんだ?」

「その、爆裂魔法しか使えないから、カズマさんをまた死なせる事になるのかって……」

……成る程ね。

 

 まあ、仲間意識が強いコイツに仲間ごと討てなんて言われたら、こうなるのも無理はないかもな。

 

 

 だが……悪いがコイツには覚悟を決めてもらわないと困る。

「めぐみん……カズマさんはお前の爆裂魔法を信じてるんだ。お前の爆裂魔法なら、きっとシルビアを倒せるだけの力を持ってるってな」

 

 そして、そんな俺の意図を知ってか知らずか。

「そうだよ………それに、そうじゃなかったら、こんな作戦なんて立てないよ」

 ゆんゆんがそう語りかけ、それにめぐみんがハッとした表情になる。

 

 そこに、ゆんゆんが少し意地の悪い質問をする。

 

「めぐみんはもう………爆裂魔法を信じてないの?」

 

 だが………めぐみんの爆裂魔法は、ゆんゆんが、自分の未来を変えてでも守ろうとしたものであり。

 

 カズマさんが自らの命を賭けてまで信じたものだ。

 

 それをめぐみんが信じなければ………この2人、いや、この場にいる全てを裏切る事になるのだ。

 

 

 すると、それが伝わったかどうかはわからないが……

「………やりますよ。私はやってやりますとも‼︎

 

 

 

 シルビアを必ず倒してみせます‼︎

 

 

 

 みんな………勝ちますよ‼︎」

 

 

 この反応を見れば、答えなんてわかりきっていた。

 

 

 

 数分後。

 

「お前ら、準備はいいか⁉︎」

 

 ウィズさんが渡してきた魔力の渦の中。

 

 俺が確認すると、返ってきたのはそれぞれの詠唱だったが…リアさんがこちらに視線を向けて。

 

「ナギト!こっちに来てルミノス・ウィンドを!私達のスキルと重ねがけするよ‼︎」

 と、白い光に包まれながら手招きをしていた。

 

「出来るのかよ⁉︎」

「光を纏う風を、私達のスキルに混ぜ込むんだ!多分行けるはず!」

「……分かった!この場限りのカルテットと行こうぜ!」

 

 迷ってる時間がもったいないので、リアさん達の方に入って詠唱を開始した。

 

 

「我が名はゆんゆん!紅魔族随一の魔法の使い手にして、最高の魔法使い‼︎」

「我が名はめぐみん!アクセル随一の魔法の使い手にして、最強の魔法使い‼︎」

 

 お隣さんも、紅い瞳を爛々と輝かせて魔法の準備をしているので、俺も詠唱を開始すると、3人の詠唱が再開した。

 

 

 

「炎はアタシの祈りに応え、さらに激しく昂る!」

 エーリカの言葉で、赤い光が渦を巻く。

 

 

「水は私の祈りに答え、乾きを絶ち、潤す!」

 リアさんの言葉に、青い光が赤い光に重なるように渦を巻く。

 

 

「風はボクの祈りに答え、全てに等しくそよぐ!」

 シエロさんの言葉に、緑色の光が2色の光に交わり………!

 

 

 

「炎よ!水よ!風よ!私達の祈りに答え、全てを宿す力をここに!」

 リアさんの言葉に応えるように、3色の光はやがて白い光の塊となった。

 

「ナギト!」

「ああ!

 

 "今は遠き森の空。無窮の夜天に鏤む無限の星々"。

 

 

 "愚かな我が声に応じ、今一度星火の加護を"。

 

 

 "汝を見捨てし者に光の慈悲を"。

 

 

 "来れ、さすらう風、流浪の旅人"。

 

 

 "空を渡り荒野を駆け、何物よりも疾く走れ"。

 

 

 

………"星屑の光を宿し、敵を討て"‼︎」

 

 いつもよりも魔力がこもったルミノス・ウィンドは、満天の星空よりも多くの光の粒が宿っていた。

 

「リアさん!俺はいつ撃てばいい⁉︎」

「私達の後に被せるようにやってくれ!」

「分かった!」

 

 リアさんと最後の打ち合わせが終わると、ゆんゆん達の方も詠唱を終えたようで。

 

 

「…………ナギトさん‼︎」

 

 こちらに目配せしてきたので、その代わりに。

 

「………頼んだ‼︎」

 

 Goサインを出すと、ゆんゆんが。

 

 

「『ライト・オブ・セイバー』ッッッ‼︎」

 

 

 とんでもない大きさの光の剣を上空に生み出して。

 

 

「吹けよ嵐‼︎

 

 

 響けよ爆炎‼︎

 

 

 爆裂魔法はロマンなんです………どんな不可能も可能にする、最強の魔法なんです‼︎

 

 

 

『エクスプロージョン』ッッッッッッ‼︎」

 

 めぐみんの爆裂魔法が、光の剣を弓矢のように解き放ち、シルビアへとその剣先を向けた‼︎

 

 

 

…………そして今度は。

「「「『エレメンタル・ストリーム』ッッッ‼︎」」」

「『ルミノス・ウィンド』ッッッ‼︎」

 

 

 リアさん達が放った光の螺旋に、俺のルミノス・ウィンドを纏わせて、さながら流星のような輝きを持つ螺旋へと変貌したものが、先程の光の剣に纏われた。

 

 

 そんな、六身一体の一撃を、タイタニックよろしく胸元にカズマさんを生やしたシルビアは。

 

 

「愛‼︎」

 

 紫色のバリアーらしきものを張って、真っ正面から受け止めた。

 

「バリアかよ⁉︎」

「私達の想いは……絶対負けない!」

「リア!シエロ!ナギト!気張るわよ‼︎」

「望むところだよ、エーリカちゃん‼︎」

 

 俺たちが魔力を追加で込めると、勢いが増すが……。

 

「夢‼︎」

 

 さらに張られたバリアーに阻まれ。

 

 

 

「希望‼︎」

 

 

 

 ダメ押しと張られたバリアーに押し返され始めていた。

 

「クソ‼︎これ以上はマズイぜ⁉︎」

 焦りを感じた俺がカズマさんは何をしているんだと考え始める。

 

 

 そんな攻防の中、シルビアが願うように語り始めた。

 

「そんな魔法で、私の人生は奪えない‼︎

 

 

 行くのよ、私は先へ……未来へ‼︎」

 

 だが、そこでカズマさんが何をしたのか………バリアーが一瞬緩んだ。

 

 

 

 そして、6人全員で同じ事を考えたのだろう。

 

 

 

 

「「「「「「はあああああああああッッッ‼︎」」」」」」

 

 

 気合の叫びと共に、最後の力だと言わんばかりに魔力を込め……とうとう、シルビアの胸元を貫通する。

 

 

 

 

 

「「アバババババババババ⁉︎」」

 

 

 

 カズマさんとシンクロして断末魔をあげるが…………もう、ここを逃したら俺たちに勝機はない。

 

 

 だから。

 

 

「これで終わりだあああああああああッッッ‼︎」

 

 

 

 

 俺達は一切の迷いもなく全てを出し切り………ついに、シルビアとの戦いに決着をつけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…………その時だった。

 

 

 

「『バインド』‼︎」

 

 聞き覚えのある声と共に放たれたロープが、一瞬にしてリアさんを縛り上げ、空中に巻き上げた。

「キャッ⁉︎」

 

 そして、そのリアさんが巻き上げられた先には。

「ハーッハッハッハー‼︎

 

 シルビアが倒れる時を待ちわびていました。

 

 

 リアは確かに貰いましたよ………それでは、ご機嫌よう‼︎」

 

 

 ダニエルが変身したトロールロードがいて、ソイツは高笑いと共に夜空へと消えていった。

 

 

 

 

 

……………嘘だろ、オイ⁉︎

 

 

 

 

 

 2日後。

 シルビアに勝利した事による余韻に浸る間も無く、俺とゆんゆん、エーリカ、シエロさんはアクセルの街へ向かう馬車に乗っていた。

 

「やられた……アイツ、俺たちがシルビアとやりあって消耗する時を待ってたんだな」

「ええ。卑怯な奴らよ!」

 シエロさんにエーリカが、悔しさを顔に滲ませていた。

 

 因みに、ゆんゆんはもう少し里にいるのかと思っていたが……とある事情によってこっちに逃げるように帰っていた。

 

 それは……名乗りあげによって『雷鳴轟く者』と言う二つ名を付けられた上に、ふにふら達が口走った事により、一気に注目の的になってしまったからだ。

……感想?族長さんを宥めるのが大変だったとだけは言っておこう。

 

 

 にしても。

「今度こそはのんびり出来ると思いきや、またも厄介ごとか…」

 俺がため息をつくと、ゆんゆんが苦笑いする。

「アハハ……でも、私は好きですよ?毎日が楽しいし……」

「……まあ、暇過ぎよりか良いのは認めるけどな」

 

……どこか図星をつかれた気がしたので、俺は誤魔化すように外の景色を眺めて………これからの行動に思いを馳せていた。

 

 

 

 

 

 

「みんな、寝てるよね………?」

 そろそろアクセルに着く頃。

 

 私がふとみんなの方を向くと、ナギトさんやリアさん達は全員夢の中に旅立っているようだ。

 

 

 誰も起きていない事を確認して、私は………。

 

 

「………これからもよろしくです、ナギトさん」

 

 

 

 ちょっと大胆に………一瞬だけ、頬へと唇を当てた。




いかがでしたか?
 ここで、章終わり時点でのナギトの状態です。

冒険者 マトイナギト 男
職業 盗賊 レベル17 所有スキルポイント 3
スキル
チート関連
・追風 ・突風
・ウィンド・バレット
・ルミノス・ウィンド
・並行詠唱
・ウィンド・リーパー

盗賊スキル
・潜伏
・敵感知
・窃盗
・罠探知
・逃走
・フェード・アウト

その他
・片手剣
・ウィンド・ブレス
・鎌
人間関係
ゆんゆん→先輩兼相棒。おとなしいけど、たまにかっこいい。⇔冒険仲間で勇敢な男の子。相棒って言ってくれたけど、出来ればもっと……。

ライト→2章終了時点と、特に変化なし。

カズマ→先輩転生者。すけべなお人好し。⇔後輩転生者でゆんゆんの友達。

めぐみん→ゆんゆんの友達。意外とナイーブな面もある。⇔ゆんゆんの友達。意外と無茶するな……。

アクア→フラグメーカー。⇔知り合い。

ダクネス→貴族の令嬢でドMなクルセイダー。意外と良識的?⇔冒険仲間。勇敢な一面がある。

クリス→2章終了時点と特に変化なし。

ウィズ→魔道具店の店長さんで、超強い。⇔知り合い。

バニル→2章終了時点と特に変化なし。

ミツルギ→2章終了時点と特に変化なし。

リア→冒険仲間で、真面目なのにズボラな年上のお姉さん。中身は意外と年下?⇔冒険仲間。頼れる冒険者。

エーリカ→冒険仲間。意外と常識的……⇔冒険仲間。頼れる年下。

シエロ→男性恐怖症のボクっ娘で、武闘派貴族の御令嬢。⇔冒険仲間。すごく速くて強い。


・エレメンタル・ストリーム
 アクセルハーツの3人が放つ合体技。火、水、風の3属性を併せ持つ強力な光の渦を相手に叩き込む。

次回からは6巻の時間軸に突入していきますが、アイリスはあんまり出てこないかと思われます。
………ゆんゆんが6巻だとほぼ出ないからね。
 そのかわり、このファン要素がガッツリと絡んでくるのでお楽しみに!
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