この素晴らしい世界に祝福を! このぼっち娘と冒険を!   作:暇人の鑑

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はい、2話です。

稚拙な文章ですがよろしくお願いします。


第2話 この冒険譚に始まりを!

異世界に転生してすぐの事。

 

 これからについて考えていた俺の視界に飛び込んできたのは、全身が粘液まみれの女の子だった。

 

「うう……ベトベトして気持ち悪いよぉ…」

 

とりあえず台詞的に普段からこうと言うわけじゃないらしく、少し安堵する。

 

……いくら見た目が良くても流石にナメクジの擬人化とは話したくないし。

 

 とりあえず、粘液まみれのこの状態を放って置くのはダメだよな……

 

 

「えっと………大丈夫、ですか?みるからにやばそうだけど…」

 

とりあえず声をかけてみると、その女の子はすこしびくっとした後、あたりを見渡す。

 

 どうやら、自分以外に話しかけてるんじゃないかと思っているみたいだが、その異様な状況の人間が何人もいてたまるか。

 

 やがて、自分に話しかけられているのだと気づいたその子はなぜか深呼吸をして。

「え、ええと……大丈夫です。ちょっと、勝負してただけなんで……」

「こんな雪中で、なんで粘液絡みの勝負を……」

 

 この世界の住人は、雪が降り頻る中生臭い粘液で遊ぶのか?

 だとしたら相当嫌な世界に転生したもんだが……。

 

 

 まあ、まずはこの子だ。

「兎に角、そんな格好じゃ風邪ひいちゃうし、これで良ければ使うかい?」

 

そうして俺は通学に使っていたバッグから体操服とジャージが入った袋を取り出して差し出すと、その子はあたふたして。

 

「そ、そんな悪いですよ!初対面の方にそこまでしていただかなくても……」

 

と、断ろうとしたがそこで流石に寒かったのかクシャミをしてしまっていた。

「やっぱり寒いんだろ。シャワーでも浴びてそのヌルヌル落すか銭湯にでも……」

「しゃわー?せ、せんとう……?え、えーっと……よ、よくわかりませんけど、ありがとうございます……あ、あの、どうかしましたか?」

 そうしてその子に体操服を渡そうとしたが、ここでふと思い出す。

 

 

 

「すいません。銭湯……じゃなかった、お風呂屋さんってどこにあるのか、教えてもらっていいですか?」

 俺、まだここに来たばかりで何も知らないじゃん。

 

 

 

 

 大衆浴場前

 

「女子の風呂ってこんなに時間がかかるのかよ…」

お風呂屋さん改め大衆浴場に案内してもらった俺は、ヌルヌルだった子を浴場の前で待ち構えていた。

 

「にしても、俺がやったわけじゃないのに妙に視線が痛かったな…」

 

くだらないことを考えている間にも、浴場から出てきたのか体をホカホカさせている人たちが出たり、寒そうにしている人がはいったりしており、やがて。

 

 

「お、お待たせしました……」

 出てくる人の中に、お目当ての人物がジャージ姿でやってきた。

 

「サイズは…良かった、大丈夫そうだ」

「はい、ありがとうございます……」

上半身の一部がキツそうだが、それ以外はしっかりと入っているようだ……因みに一部とはもはや言うまでもない。

 

 

 視線がそっちに行かないように格闘していると。

「服を貸していただいたお礼を何かしたいんですけど…して欲しいことありますか?あ、えーっと…………その、え、エッチなこと以外で」

「………なんか、すいません」

 

 視線が向いていたのか、胸をヌルヌルになった服でも入っているのか、膨らんだ袋で隠すようにしながら、願ってもないことを提案して来た。

 これなら記憶喪失とか変な設定にしなくても色々教えてもらえそうだ。この子も変な子じゃなさそうだし。

 

「じゃあ、冒険者ギルド…の前に、まずは質屋とかの場所を教えてくれませんか?俺、冒険者になるためにこの街に来たんですけど、お金がないから物を売ろうとしたんです。でも、場所がわからなくて…」

 

 ひとまずエロは無しに、やってもらいたいことを挙げると申し訳なさそうに頭を下げながら。

「あ、そうだったんですね…すいません、もしかして、貸していただいた服ってお金に変えるつもりでしたか…?」

 どうやら気を使わせてしまったらしい。まあ、変えるつもりではあったけど今更だ。

 

「実はそうなんだけど…まあ大丈夫です。あんなヌルヌル状態の女の子を放っては置けないし」

「でも……」

 でも、どうやらこの子は相当な気遣い屋みたいだし、気にしなくてもいいと言っても気にするよな……そうだ。

 

 

 

「えっと……あなたはさっきまでの格好から見て冒険者ですよね?それなら……色々と教えてくれませんか?気軽に話せる人がいたらいいなーって思ってましたし」

 それなら、しばらくこの子に色々と教えてもらえばいいし、流石に全く知らない世界で一人ぼっちは辛いものがあるから、知り合いを作っておきたい。

 

 と、打算的な提案をしたところ、この子の目の色が変わった。

 

 

「ほ、本当に⁉︎本当に話し相手になってくれるんですか⁉︎わ、私と、お友達になってくれるんですか⁉︎」

「え、えーと……まあ、そうだけど…」

 

さっきまでの引っ込み思案は何処へやら、急にグイグイ来始めたその子にうなずきつつも、突然の変貌に驚く俺。

 

 なんというか、赤く輝き始めた瞳と相まって少し怖い。

 

 これで「やっぱやーめた」なんて言おうものなら殺されるんじゃなかろうか。

 

 

 

 

そんな俺の動揺も気づかないほど浮かれたその子は、目をキラキラさせつつ俺の手を引いて。

 

「任せてください!さあ、ギルドへといきましょう!」

 

喜色満面と言った感じでどこかへと走り出したのであった。

 

 

 

「これがギルドか……うん、それっぽい!」

 例の子に連れてこられたのは、この街の中心部に立つ大きな建物で、「冒険者ギルド」と書かれた看板を持つ建物だった。

 

 見た目も、ド○クエで見たようなギルドの建物が実際にあったらこうなると言わんばかりのもので、否応無しにテンションは上がる。

 

「冒険者になるにはまずはここで冒険者としての登録を行うんですが……」

 

と、そんな俺の隣で説明をしていたところで突然モジモジとして。

 

「ん?」

「えっと……お名前は……」

そういえば名乗ってないし名前を聞いてもいなかったな。

 

「マトイ ナギトです。故郷の友達からはナギって呼ばれてる……年は14。よろしくお願いします……で、そちらは?」

自己紹介の後に名前を聞くと、その子は少しの間を開けた後恥ずかしそうに。

 

 

「わ、わたしはゆんゆんって言います…年は13ですが、もう少しで14歳になります……」

 

と、名前と年齢を………

 

 

 

 

 

 ん?

 

「ゆんゆん?」

 なんだ、そのパンダみたいな名前は………そうか。

 

 

「ニックネーム?」

「本名です……」

 まじかよ。

 

 ニュースで見たキラキラネームがまだ可愛く見える変な名前だな、おい。

 

 しかし、それを今口に出すのは失礼だしこのまま話を進めよう。

 

「そうですか。よろしくお願いしますね」

「今の間はなんですか………?あ、あと敬語じゃなくても良いですよ?そっちの方が私も気が楽ですし……その、友達みたいだなって……」

 

 

 さっきから矢鱈と友達を強調してくるが……ひょっとしてぼっちなんだろうか。

 まあ、敬語ばかりの堅苦しさで肩が凝りそうだったし、この子も嬉しそうにしてるしそうすべきだろう。

「分かった。じゃあ早速案内頼むわ」

「分かりました、任せてください!」

 

 そうして俺は、ゆんゆんの後に続いて冒険者ギルドへと入っていった。

 

 

 

 冒険者ギルド。

 それは、冒険者に仕事……つまりクエストを与えたり、色々なサポートをしてくれたりする、プレイヤーのお供だ。

 

 そんな場所に入った俺は………

 

 

 

 喧騒と共に漂うある匂いに鼻を摘んだ。

 

「さ、酒臭い…て言うか、人多いな。クエストに行ったりしないのか?」

「冬は弱いモンスターが冬眠をするので、強いモンスターしかいないんですよ」

そんな匂いだと言うのに、ゆんゆんは全く反応を見せずに早速教えてくれる。

 

「でも、モンスターを放置しても良いのかよ?」

「本当は倒した方がいいんですが、そのモンスター達は私を含めてもこの街の冒険者には手がつけられない程に強くて…だから、冬までに稼いだお金で仕事の少ない冬を越す支度をするんです」

 

 それで飲んだくれてるのか……。

 

「でも、昼間から酒って……しかも、どう考えても20歳いってない人まで呑んでるし…」

 何というかダメ人間の溜まり場だ。

「特に何歳からって言うのはありませんよ?まあ、何があっても自己責任なんですが…」

 

緩いな!と驚く俺を横目にゆんゆんは意気込んだ様子で。

「それよりも、冒険者になるならまずは手続きをカウンターでやらなきゃいけないんで、先にそっちに行きましょう」

 

新参者には何かあるのか、ちょこちょこ向けられる視線を気にしつつゆんゆんと一緒にカウンターに向かうと、そこには金髪でスタイルのいいお姉さんがいたのでそっちに向かう。

 

……だって男の子だもん。

 

 カウンターの前に立つと、お姉さんが用件を聞いて来たので。

 

「えっと、冒険者になるために来たんですが、手続きをお願いできますか?」

 すると、お姉さんは事務的なスマイルを浮かべながら。

「そうですか。では、登録手数料がかかりますが大丈夫ですか?」

と、慣れた手つきで………って!

 

 

「やべ、換金してくるの忘れた!」

 

 そうだ、金がないとって売ろうとしてたんだった。

「換金……?モンスターの討伐でもやったんですか?」

「いえ、財布を落としたんで持ち物をいくつか売ろうかと…」

「は、はあ……」

 

 適当についた嘘に同情の視線を向けてくるお姉さんに、換金してからまた来る事を伝えようとした時。

 

「待ってください!服を貸してもらったお礼も兼ねて、ここは私が出しますよ」

「え?良いの?」

「はい!お友達ですし、先輩みたいなことしてみたいなーって…」

 

 いつの間に友達に昇格したのかは知らないが、そうして財布からお金を出したゆんゆんは、馴染みの深い学校のジャージ姿だと言うのにやけに尊く見えた。

 

「ありがとうございます、女神様……すいません、これでお願いできますか?」

 

 お金が入り次第、真っ先に返そうと心に誓いながらもお姉さんに貰ったお金を渡すと、苦笑いしながらも説明を始めてくれた。

 

 曰く、冒険者とは街の外に生息するモンスターの討伐を請け負う人……それ以外にもやることはあるので何でも屋みたいなもの。

 そんな人たちの総称が冒険者で、それぞれ適した職業に就くんだとか……まあ、ゲームでよくあるやつだ。

 貰った能力的に、戦士系になると思うけど、魔法も捨てがたいんだよな……。

 

 と、何に就こうか考えていると、カードを一枚渡された。

 

「なんだ、これ……」

「これは冒険者カードと言うんですが、それよりもこちらのレベルという項目をご覧ください。

 

ご存知かと思いますが、この世のあらゆるものは魂を体のうちに秘めています。そして、どのような存在であれ、他の何かの生命活動を止めることで、その存在の魂の一部を吸収できるのです……いわゆる経験値と呼ばれるものです。それらは普通、目で見ることはできないんですが……」

お姉さんが、カードの一部に指を差した。

「このカードを持っていると、吸収した経験値が表示されると同時に、レベルというのも同じく表示されます。これがいわゆる強さの基準であり、どれだけ討伐を行ったかもここに記載されていくんです。そして、経験値を貯めていくと、あらゆる生物はある日突然、急激に成長します。………これがレベルアップと呼ばれるものですね。

 

 

 つまり、このレベルが上がると新しいスキルを覚えるために必要なポイントなど、色々なご褒美があるので、ぜひ頑張ってくださいね」

要は、このカードに書いてあることが俺のステータス一覧ってわけだ……本当にゲームの世界の住人にでもなった気分だな。

 

 渡されたカードを宝物のように眺めていると、お姉さんは書類を差し出しつつ。

「そのカードはまだ使いますので、こちらに置いておいてください……手続きを踏めばちゃんとあなたのものになりますので……では、こちらの書類に身長、体重、年齢、身体的特徴等を記入してください」

「は、はい……」

 ついはしゃいでしまったことに気恥ずかしさを覚えつつも、自分の特徴を書いていく。

 

身長162センチ、体重は確か…前に測った時は50キロだったはずだし50キロ。年は14、紺髪に青目……。

 

「はい、ありがとうございます。それでは……カードに触れてください。それであなたのステータスが分かりますので、その数値に応じてなりたい職業を選んでくださいね。経験を積むことにより、選んだ職業特有のスキルを習得できるようになりますので、その辺りを踏まえて職業を選んでください」

 いよいよか……

 自分が数値化されるなんて日本じゃテスト以外で経験はないけど、大丈夫か?

 

 少しビクビクしつつカードに触れる。

 

「はい、ありがとうございます。マトイナギトさん、ですね。ええと……。敏捷性が非常に高いですね!あとは……筋力と器用度がやや高く、幸運値、知力と魔力、生命力は普通です………って、あら?」

 

 俺の能力を基準ごとに教えてくれていたお姉さんが、小首を傾げて。

「えっと……何か?」

「すでにスキルをいくつか習得していますね。でも、こんなスキルあったかしら……」

 

 どうやらもらった能力に関係するスキルを覚えていたらしい。

 

「因みに、ゆんゆんの職業は?」

 そんなお姉さんを尻目に、隣にいたゆんゆんに話しかける。

「えーと……ま、魔法使いですね!」

 なんで言い淀むんだ。ひょっとしてこの子もチート持ちなのだろうか?でも、銭湯やシャワーを知らなかったし……

 

 いや、銭湯やシャワーという言葉がない国や星から来たのなら、知らなくても納得がいくな。これ、場合によってはこの星の住人から教えてもらった方が良いんじゃ…って、考え込んでいる場合じゃないや。

 

「それで、俺に向いてる職業は何ですか?」

「は、はい!マトイさんのステータスでは、聖職者や魔法使いは難しいですが、それ以外でしたらどの職業にもなれますよ。ただ、敏捷性と器用度に優れていますので、私としては盗賊がおすすめですね」

「盗賊か……」

 

戦士系かと思ったが、意外にも勧められたのは盗賊だった。

「盗賊は、冒険に役に立つスキルが多くある割には派手さに欠けるためか、なり手が少ないのでパーティーを組む際に重宝されますよ?」

「成る程……」

 魔法使いに出なくとも、俺はチートのおかげで風属性のものだけだが普通に覚えられる。なら、おすすめしてくれた盗賊でも俺の希望は叶うとってわけだから……よし、盗賊にするか。

 

「分かりました。盗賊にします」

「承知しました。これで、冒険者カードをお渡ししてこちらの手続きは終了となります。それでは、これからのご活躍をギルド一同、期待していますからね!」

 

 

 そうして、職業に盗賊と書かれた冒険者カードを手に入れた俺は、懸念事項はあるものの、冒険者としての生活をスタートさせたのであった。

 




今回の紹介は、冒険者となった凪斗の現状です。

マトイナギト
レベル1 所持金0エリス 経験値0 スキルポイント 5
職業 盗賊
習得スキル 
突風 加速系スキル。短距離だが一方向に向けて一気に移動できる。
追風 加速系スキル。自分の周りに追い風を吹かせることで徐々に速度を上昇させることも可能。

こんな感じで、スキル名は風に因んだものにしていこうと思っております。
次回は、クエストへ行く準備をします。


と、いたことで次回もお楽しみに!
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