この素晴らしい世界に祝福を! このぼっち娘と冒険を! 作:暇人の鑑
今回はゲームのストーリーを読み、噛み砕き、再設計すると言う手間があったので遅くなってしまいました。
その割にはあまりクオリティが高くありませんがご了承ください。
メリッサの調べによると、トールハンマーは城の中に封印されている魔道具で、その城には時折踊り子グッズや踊り子を運んでいるトロールが見受けられるらしい。
……つまり、ダニエルがリアさんを拉致している場所はトールハンマーが封印されている城って認識で問題ないだろう。
と、言うわけで俺とゆんゆんは、トレジャーハンターの「メリッサ」、リアさんを助けると付いてきたエーリカとシエロの3人と共に、奪還へと動き始めていた。
アクシズ教徒に気づかれないように、潜伏を発動させながらアルカンレティアを抜け出した俺達は。
モンスターと出くわしながらも、荒野の先に存在した城の近くにたどり着いていた。
「なんか禍々しい雰囲気だな、おい」
「周りと違って、ここら辺だけ空気が重い……魔力が漂ってるからかしら…?」
「確かに…爆裂魔法の近くにいた時と似たもんを感じるよな」
武器の封印がこのあたりに影響を与えているのか、妙な感じを覚えている俺達の前では、メリッサが悪い顔をしていた。
「どうやらここに封印されてるのは嘘じゃなかったようね。なんだかゾクゾクしてきちゃうわぁ…!」
「3人とも、慣れてるなぁ……」
「この中に、本当にリアがいるの……?ねえナギト。ここってお化け屋敷とかじゃないわよね⁉︎」
そんなメリッサとは対照的にシエロさんとエーリカは、ただならぬ雰囲気に少々怯え気味だった。
「お化け屋敷の方がまだマシだぜ……?そんなに怖いならアルカンレティアまで下がってた方が良いんじゃないか?」
見かねた俺がそう聞くと、二人は首を振り。
「いいや、アタシ達も行くわ!ここまできてやっぱなしなんて嫌だもの!」
「ボクも、もう任せっぱなしは嫌ですよ」
断固としてついてくるようだった。
「そこ、ウダウダやってないで行くわよ」
「ああ、悪い………んで、どうやって城に忍び込む?」
注意をしてきたメリッサに謝りながら眺めていると、城の近くには見張りらしきトロールがいた。
「他の見張りもあるかもしれないから……さっきみたいに潜伏して進んで行くしかないわ」
「ソレが現実的か。あのトロールを倒して進むってのも考えたが…」
「倒れてるのを見つけられたら面倒よ。無駄に手間を増やすことはないわ」
「へいへい…そいじゃあ、さっきみたいに「ムカデごっこ」だな」
「………もっと可愛いものにしなさいよ。アタシ、ムカデ嫌いなのに」
エーリカのツッコミを聞き流し、潜伏を使える俺とメリッサを先頭にした二両の人間列車が城の中へと侵入していった。
城の中は、外の重苦しい雰囲気とは打って変わって綺麗なものだった。
「さーて、リアさんはどこにいるのやら……パンフレットとかねーの?」
「あるわけないでしょ。それより、情報よりトロールの数が少ないわね……まあ、むさ苦しくなくていいけど」
「まあ、あの外観からこの中身は想像できませんよね……」
俺に突っ込むメリッサの話から、もっと多くのトロールがたむろしてるかと思いきや、先ほどからトロールに一体も出会っていなかった。
どこかに溜まっているのか、中が汚れるのを嫌ってあんまり徘徊させてないのか……。
「そんなことより、早くリアちゃんを探しましょう!」
「そうよ、のんびりしてたらコンテストが……!」
「のんびりしてるわけじゃないけど……まあ、長居は無用、ってね」
焦った様子のエーリカとシエロさんに急かされる形で、城の曲がり角に差し掛かった時。
「…………あ」
「…………あ?」
曲がり角から、見覚えのある太った男が現れ………シエロさんと目があっていた。
「しまった、バレた⁉︎」
「その割には動きが遅いな………偶々で動きが鈍いのか?」
「偶々でも出会ってるんですから、警戒を!」
「フフフ……さあて豚さん?ズタズタにした上にお宝のありかを吐いてもらおうかしら⁉︎」
ゆんゆんとメリッサの声に合わせて、シエロさん以外の4人が武器を構えて警戒していると、その男ことチャーリーは……。
「………夢?そっか、夢か‼︎
シエロのことを考えすぎて、夢にまでシエロが出てきたのか!
………でも、いつの間に寝たんだ……?」
よくわからないが、下らなそうなことを宣い始めた。
「え?えーと……」
その夢の中認定されたシエロさんが、意味がわからないと言う顔をしていると、チャーリーは更なる行動に移る。
「まあいいか。
夢なら、何をしても良いんだよね?
おおおおおおお、シエロおおおおおおお‼︎」
丸い巨体からは想像もつかない跳躍力で、シエロさんに飛び付こうとルパンダイブを繰り広げ………
「いやあああああああああ⁉︎」
シエロさんの右ストレートで吹っ飛ばされた。
まるでゴム毬のように跳ねたチャーリーは、殴られた頬を押さえて。
「うぼぁ………⁉︎
くうぅ………このパンチ、夢じゃない⁉︎
ほ、本物のシエロちゃんだ‼︎どうしてここに⁉︎」
ようやく慌てた反応を見せたことから、さっきまでのは寝ぼけていたようだった。
「リアさんを奪還しにきてんだよ!」
「ぬう⁉︎貴様達は⁉︎」
ついでに、俺達にも気付いてなかったようだ。
「はじめまして豚さん。早速だけど、隠しているお宝の在処を教えてもらおうかしら⁉︎」
メリッサが、まるで獲物を前にした獣のような目をして聞くと、狼狽えながらもチャーリーは。
「ふふん、これでもダニエル様の側近……!
そう簡単に情報を漏らすわけがないだろう!」
と、胸を張っていたが。
「………リアちゃんはどこ?」
「この奥の部屋だよ、シエロちゃん……!」
推しに釣られてあっさりとバラしていた。
「簡単に言いましたよ⁉︎」
「ここまでの苦労はなんだったんだよ……」
驚くゆんゆんの隣で立ちくらみを覚えていると、チャーリーは慌てて口をつぐみ。
「…………おのれ!巧妙な手口で口を割らせるとは、なんと卑劣な……!」
憤慨していたが………間違いなく、あれはただの自爆だ。
「うるさいわね。
ちょっと人語を理解できるからと言って、調子に乗らない事よ豚さん?」
「ぶ、豚呼ばわりとは失敬な!
私はオークなどではない!誇り高きトロールだ‼︎」
「奥の部屋とか言ってたな。
………エーリカとシエロさんは早くそこへ」
「私は二人のサポートを!」
メリッサと言い争いを始めた隙に、シエロさん達をリアさんがいる部屋へと向かわせようとしたが。
「情報を漏らしたのみならず、取り逃がしたなどと報告できないからな……!
古代兵器復活の邪魔をさせないためにも、今ここで捻り潰してくれるわ!
ウオオオオオオオオ!」
気取られていたらしく、即座に通せんぼをされた挙句……
「ケッ、そう簡単にはいかねえか!」
「ナギトさん、戦闘態勢を!」
唸り声と共に、その姿を本来のトロールへと変えていた。
「ああ、行くぞみんな………って、どうした?エーリカ」
その変貌に慌てて武器を構えた俺は、引いたような視線を送るエーリカが謎で声をかけると。
「うっわー………久々に見たけど、気持ち悪いわね…。
全然可愛くない……」
エーリカが、生理的な嫌悪すら感じさせるような表情でチャーリーを見ていた。
「ええ……⁉︎き、気持ち悪い…⁉︎」
その反応にショックを受けた様子のチャーリーを見て、シエロさんが慌てた様子で。
「え、エーリカちゃん?なんだか、落ち込んでるんだけど……謝った方がいいんじゃあ…」
「だったらシエロはどうなの⁉︎
変身したモンスター形態、気持ち悪いと思わない?」
チャーリーが、エーリカの質問を耳にしてシエロさんに視線を向けるが、そのシエロさんは……。
「気持ち悪いとまでは言わないけど、可愛くはないかな……?」
傷口に塩を振りかけていた。
「か、可愛くない………シエロちゃんに、可愛くないって………!
どうして……⁉︎」
完全にorzな感じになっているチャーリー………敵ながら哀れだが、俺たちにとってこれはチャンスだ。
「ゆんゆん、今だ!」
「……可哀想だけど、割り切らないとダメですよね。
『アンクルスネア』!」
ゆんゆんが放った魔法が、チャーリーの脛を拘束する。
「ぬう⁉︎拘束系の魔法か………だが、このくらいなら」
と、力任せに魔法を解こうとしたが……ゆんゆんの詠唱はそれより早く。
「『スリープ』!」
「ほど………く………の…………は……………」
間髪入れずに放たれたスリープの魔法で、チャーリーはなす術もなく眠ってしまうのであった。
チャーリーを無力化させた俺たちは、リアさんが閉じ込められている部屋らしき場所に辿り着き、鍵はメリッサの『鍵開け』スキルにより解かれた。
そして、扉を開いた俺たちを待ち受けていたのは………!
「な、何なのよこの匂い‼︎」
「く、臭い……⁉︎ナギトさん!この部屋、とてつもなくゴミ臭いですよ‼︎しかも、めちゃくちゃにいろんなものが散乱してます‼︎」
タンスやクローゼットは開け放たれ、空き瓶、包装などのゴミが散乱しており………まるでごみ収集所のような悪臭を漂わせていた。
しかも、所々には謎のキノコが生え出し……蟻やゴキブリがちらほら見えている。
「一体、ここは何なのよ……⁉︎部屋の内装が良い分、余計に汚さが引き立つわ」
「一体、ここで何が……⁉︎」
メリッサが鼻を摘みながら文句を言う隣で、ゆんゆんがハンカチで口を覆いながら戦慄している。
たしかに、この部屋の状態は何か一騒動起こったと考えるのが普通だが………俺はこの光景に見覚えがあった。
「いや、これって………」
「ナギト君も、同じことを考えたようですね」
「まあ、ナギトは一回見てるもんね…」
そして、同じく見覚えがありそうな二人が賛同する。
「ナギトさん、何でそんなに冷静なんですか⁉︎」
「何でって言われても………」
慌てた様子で食ってかかってきたゆんゆんに応対していると、その部屋の中央に鎮座するゴミの山がモゾモゾし始めたので。
「リアさーん!おはようございまーす!」
「ねえ?あなた、このゴミの山を見て気が狂ったの⁉︎こんなところにその例のリアがいる訳……」
大声で叫んでみると………?
「んん……?ナギト、エーリカ、シエロ………助けに来てくれたのか?」
「「いたぁ⁉︎」」
リアさんがこちらに反応し、それにゆんゆんとメリッサが驚きのあまりポカンとしていた。
「このゴミの山の中で寝てるなんて………リアちゃんらしいな……」
「この部屋に入った時から、リアの無事は何となく察したわ」
「折角の再会なのに、あっさりとしすぎじゃ……」
苦笑いするシエロさんとエーリカに、引いた視線を向けるゆんゆん。
「部屋をこれだけ汚せるって事は、リアちゃんが元気な証拠ですから…」
「部屋の汚さで無事を確認されるなんて……それって、女としてどうなの…?」
「いや、前行った部屋も中々……スープは皿の底で凝固して、飲み物は腐って変な色に…」
「止めて!そんな醜い話、これ以上聞きたくないわ……!ナギト、次は私の目的に協力してもらうから、早く宝物庫に行きましょう!今すぐにいきましょう!」
部屋の汚さに耐えきれなかったらしいメリッサが俺の腕を掴んで外に出ようとするが……闇雲に行っても意味がない。なんせ……
「チャーリーから場所聞いてねえぞ⁉︎」
そんな俺の疑問に、よっぽどこの汚さが嫌なのか。
「大丈夫よ。私の「宝感知」スキルがお宝を呼んでいるから………!」
トレジャーハンターらしからぬ力で俺を連れて行こうとするので、ゆんゆん達に助けを求めたら。
「リアちゃんの新しい服は持ってきてます。だから、着替えが終わるまでナギト君とメリッサさんは……」
「そう!じゃあ、お言葉に甘えて外に行くわね!」
「待ってるだけだからな⁉︎宝物庫に行くのはみんなで一緒だからな⁉︎」
「な、ナギトさんー⁉︎」
リアさんが着替え終えるまで、メリッサのお守りをさせられる事になった。
リアさんと合流した後、宝物庫にて。
「この燭台は純金ね………それなりの額にはなるかしら。
あとこの魔道具も、冒険者に高く売れそうだわ……!」
「悪い顔してやがんな………」
メリッサ主導の下、俺達は宝石や金貨などの宝を袋に詰め込んでいた。
流石に元魔王軍幹部候補なだけはあるのか、詰め込んでいるものはどれもそれなりの価値がありそうだ。
「ナギトさん?何だか私、罪悪感が湧いてくるんですけど…」
盗賊という職業柄か、そこまで抵抗のない俺がせっせと袋に詰め込んでいる隣では、居心地の悪そうな顔をしたゆんゆんが悲しそうな目で訴えてきており、リアさん達も乗り気じゃなさそうだった。
「メリッサ!流石にそろそろお暇しようぜ、バレちまう!」
そんなみんなの想いを代弁しながらメリッサに呼びかけると、一仕事終えたようなほくほく顔で。
「分かってるわよ……金目の物は詰め込んだし、もう大丈夫よ」
風呂敷のような布に包まれた大荷物を背負ったメリッサがこちらにやってくるが………うん。
「こうやって、大きな袋を抱えていると…………まるで、泥ぼ……」
「違うわ、トレジャーハンターよ。
分かってくれるわよね?可愛い踊り子さん?」
シエロさんが、俺も思っていたことを口にしていて、メリッサに真顔で突っ込まれていた。
「か、可愛い……!
はい!メリッサさんは泥棒ではなく、トレジャーハンターです!」
「ナギト?エーリカがあの人に手懐けられてる気がするんだけど…」
「メリッサの頭がいいのか、エーリカが単純なのか……」
メリッサの言葉にあった「可愛い」という単語であっさりと言いくるめられたエーリカ……流石にチョロい。
「と、とにかく……。早く脱出しましょう!」
「私のスリープで、あの人にいつまで効くかわからないんですから……」
苦笑いしたシエロさんとゆんゆんが入り口に向かおうとしたその時、アナウンスらしき音声が鳴り響いた。
「城内放送!見つかっちまったか……」
「……あの豚にかけてたスリープが解けたんじゃない?」
「でも、それならもっと騒がしくなってるはずですよね?一体何が……」
空気が張り詰める中、アナウンスの後に声が聞こえ始める。
「マイテス、マイテス………リアさん、リアさん。
女神のように可愛いリアさん。聞こえますか?
大事なぬいぐるみは預かりました。返して欲しかったら、玉座の裏にある隠し扉から、祭壇の間に来てください」
………え?これだけ?
「……ぬいぐるみ?」
「リアさんは、きつねのぬいぐるみを大事にしているんですよ。
でも、そういえば今日は背負ってませんね」
「ぬいぐるみを背負うの……?」
首を傾げるメリッサにゆんゆんが説明しているが………。
「そう言えば、今日はいないわね……なんか違和感があったんだけど、スッキリしたわ」
「でも、なんでアレを……正直、城の中にあるトロールを全部追跡にやるとか言い出すかもと思ってたんだけど」
思いついたように手を叩くエーリカの隣で俺は困惑していた。
もっと色々あるかと思ったんだが……。
と、意図がわからないでいた俺の前でリアさんが顔を青ざめさせ。
「ど、どどどど、どうしようナギト!コン次郎が攫われてしまった‼︎」
慌てふためいた様子で俺に食ってかかってきた。
しかし………
「リアさん落ち着け!あのゴミの山からアレを見つけ出せる訳ないだろ⁉︎」
「アレとか物扱いするな!コン次郎と言う立派な名前があるんだ!」
コン次郎が心配なリアさんは、頭が回ってないようだ。
「あー、そうそう。コン次郎ね。すっかり忘れてたわ……」
「でも、だからって態々ダニエル達の言葉に乗るわけ……」
エーリカが思い出したかのようにジト目を見せ、シエロさんが少し期待するかのような顔をするが……今のリアさんなら。
「行くに決まってる!コン次郎は、孤独だった私を慰めてくれた初めての友達なんだ……本当にコン次郎がダニエルの手に⁉︎」
こう言い出すに決まってるんだよな………って、おっと?
「ゆんゆん、変な気を起こすなよ……ぬいぐるみを友達扱いはちょっと変だぜ」
「わ、分かってます……」
そんな歯痒そうな顔で頷かれても………
こいつの「友達」と言う言葉への弱さも相当なもんだな。
そんな中、リアさんの問いかけをどこかで聞いていたのか。
「リアちゃん、助けて………ボク、コン次郎だよ…………」
放送を流していたスピーカーらしき魔道具から、コン次郎の声………ぬいぐるみが喋るわけがないので、おそらくチャーリーかダニエルが適当に声を当てているのか、そんな声が聞こえてきた。
普通ならすぐに三文芝居だと分かりそうだが………混乱状態に陥っているリアさんからしたら、本当にコン次郎が助けを求めてると思ったのか。
「間違いない……コン次郎の声だ!」
「ぬいぐるみはしゃべらないでしょ………この子、見た目によらず痛い子なのね」
あの傍若無人なメリッサが少し引いた様子を見せているレベルで、リアさんがいわゆるアホの子と化していた。
「心優しいコン次郎を人質に取るなんて、卑劣な真似を……!
絶対に助け出さなくては……待っていてくれ、コン次郎‼︎」
どんな顔をして接すればいいのかわからない状態の俺たちをさておき、リアさんは憤りと焦りを滲ませたような顔で何処かへと走り去って………‼︎
「え⁉︎ちょっと、リアさん⁉︎」
「リアちゃん!一人で行ったら危ないよ⁉︎」
困惑の声をあげる俺と時を同じくして、シエロさんとエーリカも走り去って行ってしまった。
「シエロさんにエーリカさんまで……!どうするんですか⁉︎きっと、さっき言っていた祭壇にまで行くつもりですよ⁉︎」
「全く、呆れるほどに一途だぜ……俺たちも行くしかないだろ」
「報酬はあの子達を助けないと貰えないから付き合うけど……9割にさせてもらうわよ」
こうして俺達は本来の隠密行動から一転、ダニエルとの直接対決に赴く事になったのであった。
いかがでしたか?
メリッサのキャラが本当に描きにくいです……
次回は、ダニエルとの対面となりますのでお楽しみに。
それでは、評価や感想待ってます。