この素晴らしい世界に祝福を! このぼっち娘と冒険を!   作:暇人の鑑

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更新です。

ぜひ、楽しんでいってください。


第22話 この獣人姉妹と収穫を!

 リアさんをダニエル達の城から奪還した俺達は、アクセルに急いで戻り。

 

「ええ⁉︎一振りで雷を呼ぶ古代兵器、ですか……」

 

「ああ。今はまだ制御ができないみたいだが、もしもダニエルが『ヤールングレイプル』を手に入れたら相当ヤバい……」

「近くで見てましたけど、威力は爆裂魔法以上でした」

 俺とゆんゆんは冒険者ギルドで報告を行っていた。

 

 まあ、リアさんが復活条件に当てはまっていたがために復活したとは口が裂けても言えない為、そこは隠しての報告になるが。

 

「俺たちやこの街だけでどうにかなる問題じゃないから、他の街や王都に援軍を頼めないか?」

 トールハンマーとダニエル、そしてチャーリーの特徴をある程度伝えてからこう締めると、受付嬢のお姉さんは申し訳なさそうに。

 

「確かに、アクセルの街だけで抱え込めませんので、すぐにでも王都に援軍を要請したいのですが………じつは、最近王都で大変なことが起こっているんですよ」

 

 と、不穏なことを言い出した。

「大変な事?まさか、王都にも魔王軍幹部が攻め込んでるとかじゃないよな……」

「いえ、そうではなくてですね………」

 また先日のシルビアパターンかと思いきや、首を振られた。

 受付嬢のお姉さん曰く、大変な事というのは……

 

 

「義賊、ですか?」

 

 そう、この頃王都に盗賊が出没しだしたのだ。

 

 ある程度良くない噂がある貴族の家に夜な夜な侵入し、魔道具や金品を奪っていく………まあ、内容だけ聞くと爽快ものだな。

 

 だが、王都は人類と魔王軍の戦いにおける人類側の砦であり、この国『ベルセルク』の王族が暮らす場所。

 

 当然ながら警備も厳重な中での犯行という事で、王都がちょっとした騒動になっている為、アクセルの街に応援を送ってくれるのがいつになるかわからないとの事だった。

 

 

「それじゃあ……」

「ああ。ダニエルがヤールングレイプルを手に入れるより先に、俺たちが回収するしかない、か……なら、そう時間はないぜ」

 つまり、王都からの強い援軍もないままに、ヤールングレイプルを手に入れにいかなくてはならないのだ。

………ウィズさん曰く行動力のあるダニエルならすぐにでも取りに向かっていそうだし、できればすぐにと言うオマケもついている。

「すいません、なんかあったらまた報告します!」

「え?あ、ちょっとまっ……」

 という事で、お姉さんへのお礼もそこそこに俺たちは街へと繰り出した。

 

 

 

 街へ繰り出した俺達は、フードコート的なところで見知った顔を見つけたので、ウォルム山について聞いてみたが、帰ってきた答えは……

 

 

「ウォルム山に関する情報はないわよ。あそこには宝があるダンジョンがあるわけじゃないし……そもそも、今私はこの天使ちゃんとの新生活をエンジョイしたいもの、協力もできないわ」

 

 実にメリッサらしい答えだった。

「そうか……てか、メリッサがこんなところにいるなんてな。もっとこう……高そうなホテルの一室にいそうなイメージがあったんだが」

「なんかわかります……お宝をあちこちに並べて、みたいな感じですよね」

「そういうところじゃペット持ち込み禁止の場合が多いのよ。それに、イチゴはやっぱりとれたて新鮮な物に限るわ」

 

 メリッサは好物らしいイチゴを食べながら答える。

 

 と、それを見ていたゆんゆんが思い出したかのように。

「ナギトさん、今から八百屋さんに行きましょう!」

 

 素っ頓狂なことを言い出した。

「八百屋?腹減ってるんなら、ここでなんか買ってけば良いじゃんか」

 財布を片手に何か買おうとした俺をゆんゆんは顔を赤くして引き留めた。

「そういうわけじゃないです!北の大地で育てられた野菜は美味しいっていうじゃないですか。だから、もしかしたら……」

 

 北の大地での話は知らないが、考えとしては理解した。

 

 つまり、野菜の名産地について知っている人達からウォルム山に関しての情報が得られるかも……って、ところか。

 

「他に思いつかないし、それで行ってみるか」

 

 という事で、俺達は商店街に出向くことにした。

 

 

 十数分後。

 俺たちは商店街の八百屋や果物屋に足を運び、聞き込んで回ったのだが……

 

「分かったことといえば、サムイドーって言うところで作られた農作物が美味くて、ウォルム山はその近くにあるってことだけか」

「そうですね……すごいですよこのリンゴ。いつも食べてる果物より美味しいです」

「……たしかに、モロコシも美味い」

 ウォルム山がどういうところかという情報と、大量の果物や野菜を手に入れたくらいだった。

 

 リンゴを食べているゆんゆんに頷きながら、とうもろこしを齧ると、地球のものよりも甘みが強い上に歯応えがすごい。

 

 小腹が空いてたからとても……じゃなくて。

 

「問題はウォルム山への行き方がわからないことだよな。アクセルのギルドに地図はないらしいし」

 

 つまり、肝心の行き方が分からないのであり、そこに俺たちは頭を悩ませる。

 

 

「リアさん達が何か知ってるかもだけど……あの3人にはコンテストが控えてるしな」

「連れ回すのは、躊躇しますよね…」

 自分のせいだからって、私も行くと言い出したリアさんを説得したばかりなのだ。

 

 行き方が分からず、応援もそこまで期待できない。

 そんな、なかなかにくそったれな状況にどうするかを悩んでいると。

 

 

 

「ウォルム山って、あのウォルム山か?」

 と、突然声をかけられた。

 少しびっくりしながら後ろを振り向くと、そこには小さな女の子が。

 

「ああ、そうだけど……そちらさん、一体?」

 背丈はめぐみんより少し小さいくらいで、服装はオーバーオール。

 

 どことなく、農家の子供みたいな感じの子だが……頭には大きな獣の耳があった。

 いわゆる獣人ってやつか。

 

 そして、その獣人の子は無邪気そうに笑い。

「ミーアはミーアだ!よろしくな!」

 と、胸を張った。

 

「ああ。俺はナギト。こっちの女の子がゆんゆんだ」

「よ、よろしくね!ミーアちゃん……ところで、ウォルム山について知っているみたいだけど……!」

 逆に、緊張気味のゆんゆんが話を振ろうとすると、ミーアの後ろからもう一人の人影が現れた。

 

「こんなところにいたのねミーアちゃん……あら?その子達は?」

 その人は、おっとりとした美人で……雰囲気はどことなく母性的だった。

 

 背丈は俺より少し高いくらいで、年は一回りくらい向こうのほうが高そうである。

「俺はナギトって言います……み、ミーアさんにはウォルム山についてちょっと聞きたいことがございまして……」

 見た目、声共になかなかのストライクなそのお姉さんに、少しドキドキしながら応答すると、その人は微笑んで。

 

「そうだったの……私はエイミー。ミーアちゃんと一緒にこの街にお野菜を売りにきたわ。よろしくね?ナギトくん」

 名前を呼ばれて、顔が赤くなってないかと考え始めた俺の隣で、どこかもやついたものを抱えていそうな顔のゆんゆんが。

 

「私はゆんゆんです。その…ウォルム山って知ってますか?」

 

 と、単刀直入な質問をしているからこそ、その表情の意図がわからなかった。

「……どうしたん?」

「な、なんでもないですよ?」

 その顔でなんでもないわけないと思うんだが………まあ、いいや。

 

「ウォルム山は、北の大地にある大きな火山のことだな。ミーアのところのもんなら、みーんな知ってるぞ!

 

 獣人の村はその近くにあるんだからな!」

「へー…」

 ミーアがそう答えてくれたので、相槌を打っていると。

 

「ひょっとして、ナギト達はウォルム山に行きたいのか?」

 と、耳をピコピコさせて聞いて来た。

「ああ。でも、行き方が分からなくてな……」

 

 この場にケモ耳やらモフモフやらに目がないメリッサがいなくてよかったと思いながら答えると、ミーアが分かった!と手を叩き。

「分かった!丁度ミーア達も野菜の仕入れに村に帰るところだから、案内してやってもいいぞ!」

 と、願ってもない提案をして来た。

「あらミーアちゃん、道案内してあげられるなんて偉いわね。

 

 でも、ウォルム山になんのご用かしら?」

 

 エイミーさんにそう聞かれ、すこしドキッとしながらも。

「実は、そこに安置されている魔道具が、世界の命運を握りかねないことが分かって……それを魔王軍に取られたら、大変なことになっちゃうんです。

 

 だから……お願いします、俺たちをウォルム山に案内してください!」

 と、ゆんゆんと一緒に頭を下げると。

 

「お前、なんか凄いな……ミーアにはよくわかんないけど案内してやるぞ!」

「私も良いわ。でも……」

 

 ミーアに続いたエイミーさんの言葉に頭をあげると、

 

「モンスターも沢山出る、とっても危険な場所だから。

 

 

 ちゃんと準備しないと「めっ」よ?」

 

 実に破壊力のある念押しをして来た。

 

 そして、そんな感じでエイミーさんのお姉さん力にドキドキしっぱなしな俺は、その後ろで誰かがこっそりと聞いて来た事など知る由もなかった。

 

「ナギト……ゆんゆん………。やっぱり、私も……!

 

 

 2日後。

 カズマさんにも頼もうかと思って訪問したところ、なんとカズマさん達パーティーは王女様との会食を行う予定が近いことから、断られてしまった。

 

 アクセルハーツに声をかけるわけにはいかないし、メリッサも先日先手を撃たれている。

 仕方がないので、俺たち2人と獣人姉妹で行こうかと考えてたんだが……。

 

 

 ギルドのお姉さんが、懐かしい顔を応援として連れて来ていた。

 

 ウォルム山の入り口付近。

「劇場で会ったと思うけど……改めて。

 

 僕はミツルギキョウヤ……ソードマスターだ。

 

 世界を揺るがしかねない魔道具の回収……僕も協力させてもらおう」

「俺はナギトだ。宜しく頼むぜ、魔剣の勇者さんよ」

「ああ。この僕とグラムに任せてくれ」

 そう、前に小劇場で一緒に戦った魔剣使いことミツルギである。

 

「私はゆんゆんと言います……短い間ですが、宜しくお願いします!」

「ミーアはミーアだ!宜しくな!」

「エイミーよ。怪我したら手当てしてあげるから、いつでも言ってね?」

「ええ……よろしくお願いします」

 

 自己紹介を軽くしながら登り始めているが……厚着をしていても寒い。

「とんでもねえ寒さだな……もっと着込んでくればよかったぜ。ミツルギはよくいつもの格好で平気だよな」

「見ているこっちが寒くなりますよ……。初級魔法覚えようかしら…」

 

 ミーアやエイミーさんはここの環境に慣れてるだろうから、普段着でも平気というのは理解できる話だが……こいつまで平気そうにしているとはどう言う事だろう?

 

「なあ、その防具の中にカイロとか仕込んでるのか?」

「カイロなんてここにあるわけがないだろう?防具に防寒のエンチャントをかけてるのさ」

「マ○クラかよ!」

 思わず突っ込んでしまったが、今度服屋で頼んでみようかな……

 

 ちなみに、俺の格好は軽装状態からコートを着てマフラーと手袋をつけ、その上からマントを羽織っており、ゆんゆんも似たようなものだ。

 

「かいろ…?」

「マ○クラってなんだ?カマクラの仲間か?」

「カイロは故郷にあった使い捨ての防寒アイテムだよ。マ○クラってのは……」

 俺のツッコミに怪訝な顔をしたゆんゆんとミーアの質問に、どう答えようか迷っていたとき。

 

 

「……敵感知に反応あり!お前ら、戦闘準備だ!」

 

 何かの気配を感じた俺がそう声をかけ、みんなが武器を構えたのとほぼ同タイミングで……

 

「キャベキャベー!」

「トウモロコオオオオオオン‼︎」

 何かが鳴き声と共に突っ込んできた‼︎

 

 数分後。

 突っ込んできた奴らとの戦いは、ようやく終わろうとしていた。

 

「『ライトニング』!……ナギトさん、今です!」

「ああ!まとめて薙ぎ払ってやるぜ!

 

『突風』………そして、『ウインド・リーパー』!」

 

 ゆんゆんが放った落雷に驚いたのか、動きを止めたそいつらに風の刃を振るって仕留める。

 

「キャベキャベ……!」

「トマァ⁉︎」

「コオオオン‼︎」

 

 断末魔と共に動かなくなったのは………もう、通算何体目になるか分からないが、キャベツとトマトととうもろこしだった。

 

 この山では、一撃熊なども出るがそれより厄介なのはこの野菜達だとのこと。

「俺はサラダを作りに来てるわけじゃねえ……」

「野菜……昔、めぐみんと畑仕事をしてた時に散々揶揄われたことを思い出しますよ」

 

 ここまで来ればもうわかるだろう。

 

 ウォルム山の頂上にある祠を目指して登っていた俺達に襲いかかったのは、この野菜達の集団だったのだ。

 

 信じたくはなかったが、この世界の野菜達は有り余る生命力から飛んだり鳴き声をあげる。

 そして、食べられまいと攻撃をしてくると言う厄介な性質を持っていて、普段店に並んでいるヤツは農家の手によって締められた後のものなんだとか。

 

「しかし、ミーアやエイミーさんは手慣れてるな……普段からこう言うのやってんかな」

「そうですね……紅魔の里でも、農家の人たちってレベル高いんですよ?」

 

 農家に足を向けて眠れないのは、どこの世界も一緒らしい。

 

 そんなことを考えていると、ミツルギがこちらにかけて来た。

 

「大丈夫か?」

「ああ………あの野菜が意外に強くて驚いたけど、大したことはなかったさ」

「なら良いがよ……登り始めてまだ1時間も経ってないのにこの乱戦だ。思いやられるぜ」

 ミツルギの返答を聞きながら、山の頂上を見上げる。

 

 ウォルム山の頂上は、入り口から登って1日くらいかかるらしく、今は始めの始めと言ったところ。

 

 だと言うのに、出てくる野菜はかなりの数かつかなりの強さ………正直、しばらく野菜が嫌いになりそうだ。

 

「マナタイトは多めに持って来てありますけど……ちょっと不安です」

「疲れた時はここの野菜を食べれば、あっという間に元気になるぞ!活きの良い野菜ほどなまら美味いからな!」

「そ、そうなんですか?えーと……」

 俺のぼやきに首肯したゆんゆんが、ミーアに野菜を勧められてキョドっている……俺たちの中でぐいぐい来るタイプがいないから、慣れてないんだろうな。

 

 そんな光景にどこかほっこりとしたものを感じていると、エイミーさんが空を見上げて。

 

「あら?

 ねえ、ナギト君。あそこで空を飛んでいるのって……」

 気になることを言い出したので俺も空を見上げると。

 

 

 

「行きましょうダニエル様!

 

 古代兵器を操れる力を手土産に、魔王軍へと戻る為に!」

「ええ。

 

 そして最終的には、踊り子も手に入れる為に!」

 

 

 ダニエル達が、ワイバーンに乗って空から行こうとしていたのだ。

 

「くっ!小型竜に乗ってショートカットするとは、卑怯な!

 

 こうしてる場合じゃない、急いで追うぞ!」

…………その手があったかと思ったのは内緒にしておこう。まずい状況には変わらないんだし。

 

 しかし、アイツらは俺たちが下にいる事には気づいてない……いくら上空にいても注意散漫じゃなかろうか。

「ま、待ってください!走ってもワイバーンには追いつけません!」

「だけど、それ以外に手が……!」

 急いで向かおうとするミツルギと、それを止めようとするゆんゆん。

 

 そんな相対する意見を持った2人が、俺に視線を向けて来たので。

「いや、手ならある……ゆんゆん、エイミーさん。力を貸してもらうぜ」

 

 俺は、ふと思いついた作戦を実行に移す事にした。

 

 

「『パワード』!」

「ありがとうございます……ゆんゆん、心の準備はいいか?」

「は、はい……あの、重くないですか?」

 

 エイミーさんに、筋力増加の支援魔法を掛けてもらった俺がゆんゆんに声をかけると、背後からゆんゆんがボソボソと返事をした。

 

「筋力増加の支援魔法がかかってるんだ。軽いもんだぜ……」

「なら良かったです…」

 

 そうして、今から行うことに備えるように、首に回している腕の力が強まり……!

 

「き、筋力が強化されたのはゆんゆんもだから、あんまり強められると首が……」

「あ!すいません……」

 首を絞められそうになったので、慌てて力を弱めるように止めた。

 

 

「その子をおぶって高くジャンプし、魔法を放って撃ち落とす……君、堂々と不意打ちをするのかい?」

「あっちがチート使ったんだから、ノーカンってやつさ…少なくとも走って追いかけるよりは現実的だろ?」

 模範的な勇者気質なコイツからしたら邪道もいいところなんだろうが……今はそんなことを言っている余裕はないのだ。

 

 ちょっと賛同しきれていないような顔をするミツルギにそう返し、俺はおぶっているゆんゆんに最後の確認をする。

「チャンスは一度きりだ……ゆんゆん、絶対に外すなよ」

「はい、どうぞ……!」

 

 少し緊張気味なゆんゆんが頷いたので……俺はスキルを発動した。

 

 

「『ハイジャンプ』‼︎」

 足に力を込め切った後に大地を蹴ると、体は高く飛び上がり……ダニエル達がワイバーンに乗っている高度よりも高い位置にやって来た。

 

 このスキルは、高くジャンプすることができるスキル。

 飛べる高さは筋力によって決まるが、今みたいに誰かをおぶっている場合はそこまで高く飛ぶことができない為、今みたいに筋力増加の支援魔法を掛けてもらう必要があるのだ。

 

「ゆんゆん、意識はあるか⁉︎」

「はい、大丈夫です!」

 急な動きにゆんゆんが気絶してないか確かめると、ゆんゆんは寒そうにしながらも大丈夫そうだった。

 

 そして、高く飛び上がると言うことは……そこから一気に地面に落ちていくと言うことでもあるので、安全に降りるにはもう一つスキルを使う必要がある。

 

「『ホバリング』!」

 

 空中にある程度とどまることができるこのスキルで、落ちるスピードを遅くするのだ。

 

 

 そうしてゆっくりと落ちながら、ゆんゆんが詠唱を終えて……。

 

「『カースド・ライトニング』‼︎」

 

 闇色の雷を放ち、ワイバーンの片翼を撃ち落とした。

 

 そうなると、バランスを崩したワイバーンはきりもみで地面に落ちていく。

 

「「うわあああああああああ⁉︎」

 

 そんな突然の墜落に悲鳴をあげるダニエル達だが、やがて地面へと吸い込まれていった。

 

 

 

 

 そんなことがあってからさらに1時間後。

 襲いかかってくる野菜を倒したり、潜伏してやり過ごしたりしていた俺たちは、疲れを軽く癒すべく休憩をとっていた。

「今頃、ダニエル達はどうしてんのかな…」

「撃ち落とされた後は、私たちと同じく歩いて登るしかないと思いますが……どのくらいのペースで来るのかしら」

 

 ライトサーベルの熱で、ゆんゆんが覚えた初級魔法によりカップに注がれた水を沸かし、そこに粉を入れて作ったお茶を飲みながら話す隣では、ミーアとエイミーさんが。

 

「みんなお疲れ様。倒した野菜はご飯にしましょう?」

「ミーア、焼きもろこしが食べたい!」

「はいはい。あとで作るから、楽しみにしててね?」

 

 なんとも微笑ましい会話をしているのを眺めていると、落ち着かない感じのミツルギが。

「なあマトイ……本当にのんびりしていていいのかい?

 

 ダニエル達がどのルートで来るかは分からないが、僕達が敵をある程度倒しているんだぞ?

 そうなると、当然ペースは僕達よりも早くなるんじゃ……」

 

 と、不穏なことを言い出していると。

 

 

 

 

「いましたよダニエル様!奴らです‼︎」

 

 そんな声と共に、あの二人組がこちらにやって来た。

 

 ゆんゆんが驚いた様子で。

「私達の攻撃から、1時間で……⁉︎」

「よもや、ワイバーンを撃ち落としてくれようとは。

 

 お陰で歩く羽目になりましたよ……!」

「ダイエットに協力してやったんだ、ありがたく思ってくれや…」

 

 そう、先ほど話題にも上がったダニエルとチャーリーだ。

 

 

 俺が軽口を叩いている間に、休息ムードから一転して戦闘態勢に入ると、一番前にいたミツルギが。

 

 

「お前がダニエルか……これ以上先へは行かせない!

 

 この魔剣の勇者、ミツルギが相手だ‼︎」

 

魔剣を抜いて構えたと同時に高く飛び上がり。

 

「『ルーン・オブ・セイバー』‼︎」

 

 ダニエル達に斬りかかったが、間一髪で避けられていた。

 

「いやはや、確かに中々の太刀筋……」

「こんなのをまともに食らったら………ん?」

「まだまだ行くぞ……ん?なんだ、地面が揺れて………!」

 

 

 ミツルギが、更に追撃をしようとした時……地面が揺れだす。

 

「ナギトさん!これって……」

「地震か……⁉︎伏せるぞ!」

 

 俺とゆんゆんが地面に伏せると、ミーアが。

「なあ。この辺は崩れやすいから、あんまり派手な技は使わない方が良いぞ?」

 と、なんて事ないように言い出すと同時に。

 

 

 

「そう言う事はもっと早く言ってほしかったかなあああああああああ⁉︎」

「のわあああああああ⁉︎」

「こ、これは一本取られましたねえええええええ⁉︎」

 

 魔剣を振り下ろした先の地面が崩れ、ミツルギ、ダニエル、チャーリーは麓の方まで転がり落ちていった!

 

 

 とりあえず、落ちていった方向へ呼びかけてみる。

「ミツルギ⁉︎………大丈夫か⁉︎」

「ぐっ………皆んな!僕は大丈夫だから、先に進んでくれ‼︎」

「ナギトさん!どうしましょう……」

 

 どうやら無事みたいだ。

 ゆんゆんの思惑通り、できれば助けてやりたいが……今はそれよりもヤールングレイプルを手に入れる方が先。

 

 ならばせめて………

「ミツルギ‼︎骨は拾ってやるからなああああああ!」

「心配の方向が間違ってるんだけどおおおおおお⁉︎」

 

 

 一応声をかけて、俺たちは急いで頂上を目指すことにした。

 

 

 

 数時間後。山の中腹にまできた俺たちは今度こそ休憩をとっていた。

 

「エイミー、おかわり!」

「おいおい、まだ食うのかよ……」

「みているこっちがお腹いっぱいになる食べっぷりですね…」

 

 エイミーさんが作ってくれた野菜炒めや焼きもろこしは、かなりの絶品で、戦いで持っていかれた魔力がだいぶ戻ったようだが………俺たちの2倍近い量の食事をモリモリと頬張るミーアには、ある意味脱帽ものだ。

 

「あらあら……!たくさん食べられて、偉いわね……」

「偉いんですか……?それより、ミツルギさんは大丈夫なんでしょうか」

「本人は死んではいないみたいだけど……早く頂上に登って、ヤールングレイプルを取ったらとっとと探しに行こうか」

 

 

 と、料理を食べる作業に戻った俺たちの前に。

 

 

「………良かった!追いついた…………」

「「リアさん⁉︎」」

 

 

 ここにいないはずの人が、ひょっこりと姿を表した。

 




いかがでしたか?

では、スキルの紹介を。

ハイジャンプ 消費ポイント1
高くジャンプすることができる「エアーズ・ワークス」関連のスキル。
飛距離は筋力値に左右される。
元ネタは星のカービィから「ハイジャンプカービィ」。

ホバリング 消費ポイント1
 空中にとどまることができるスキル。落下の衝撃を殺すときなどに使うことができるので、主にナギトはハイジャンプと併用して使う。


ミーア 獣人 13歳 女
獣人の子供。好奇心旺盛で活発、天真爛漫だが食いしん坊。
野菜を売り歩くエイミーの手伝いをしている。
ナギト達に声をかけ、ウォルム山までの案内をした。

エイミー 獣人 18歳 女
 ミーアの姉。穏やかで心優しく、母性的な性格と見た目をしているが、かなりのシスコン。
 獣人の村で取れた野菜を他の街に売る仕事をしている。

 次回はリアがナギト達に合流するところから始めますので、ぜひ、お楽しみに!

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