この素晴らしい世界に祝福を! このぼっち娘と冒険を!   作:暇人の鑑

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はい。今回はオリキャラを1人、原作から1人出しますので、よろしくお願いします。


第4話 この鍛治師と契約を!

「新聞配達のバイトって、バイクなしだとクソきついな……」

「ばいく…?なんだいそりゃ?まあ良い、これが日当だ。受け取りな」

 

 クリスさんの服を剥き、アルハラを受けてから2日。

 二日酔いから何とか回復した俺は、金策の一つとして新聞配達のアルバイトを行い、早速給料を受け取っていた。

 

 渋る彼女に1000エリスを無理矢理返し、二日酔いを止めるための薬を買った事で、いよいよ残金が1000エリスになってしまったのだ。

 

 

 だから、二日酔いから回復した体を休める間もなくこうして労働に励んでいるってわけだ。

「にしても兄ちゃん偉いね。こんなに早く仕事をしてくれるバイトは初めてだよ」

「あはは……これでも僕、鍛えてるので」

 

 配達屋のおじさんに笑い返すが、勿論チート能力でスピードアップしているおかげである。

「じゃあご苦労さん!明日も頼むよ!」

「了解でーす」

 おじさんに手を振りかえし、姿が見えなくなるまで歩いたところでもらった日当を改めてみると、中には10000エリスが入っていた。

 

「すげえ、結構な金額じゃん‼︎」

 円換算して10000円。

 日本でもこんなにもらったことはないぞ……。

 

 何に使おうかと考えたか……考えてみたら、必要なものが多すぎる。

「とりあえず毛布と剣を買うか。そして後は食費や風呂代に…ロープとか盗賊に必要なものは、金が貯まってからで……」

 

 

 転生してからこんな世知辛いことばかり考えてるなと落ち込みながら、もらった日当の用途の優先順位とブツブツつぶやきながら歩いていると。

 

 

「だから、何でこれを店で取り扱ってくれないんだよ!そんじょそこらの武器より遥かに強いぜ!」

「てめえ、俺の武器にケチつけようってのか⁉︎鍛治貴族の落ちこぼれが、とっとと出てけ!」

 

 

「なんだ?」

 突然のやり取りに首を傾げていると、口論の後に目の前の鍛冶屋から1人の男が追い出された。

 

「いってえ……クソッ、どいつもこいつも家のこと持ち出してきやがって。あんな飾りばっかの剣のどこが良いってんだ」

 そう言って鍛冶屋の建物を睨んでいるのは、俺より少し年上そうな青年といった感じの人で、追い出された時にカゴの中身が地面に落ち、剣や防具などが落ちてしまっている。

 

 俺がそれを拾おうとすると剣を包んでいた布がはだけ、その剣の姿が露出されると…………

 

 

 

「すっげえ……綺麗」

 その剣は、片刃のショートソードとロングソードの中間のような長さの片刃の剣でどことなく、日本の刀を思わせる。

 また、鞘の部分に埋め込まれた石くらいしか装飾はないものの、緑色に煌めく刀身はそれを気にしなくするほどの美しさだった。

 

 

 その剣に思わず目を奪われていると。

 

「俺の剣の魅力に気づくとは、見る目があるじゃねえか」

 落ちていたものを拾い終えたその人が、俺に目線を合わせて話しかけてきた。

 

 すこしビックリしたが、気を取り直してその剣を返しながら立ち上がる。

「はい、すごく綺麗でした。今はまだ買えませんけど、お金があればすぐに買いたいくらいですよ」

 

 

 少しお世辞をこめながら感想を言うと、俺のことを観察するように見て。

「ん?剣を買おうとしてるって事は、冒険者か?」

「はい。まだお金もなくて、武器も揃ってないんですかね」

 

 

 質問に答えると、しばらく考え込んだ後。

「成る程な………よし。お前、この後用はあるか?」

 今日は正午にゆんゆんとモンスターを狩りに行くくらいで、その前にある用事と言えば、当面の武器を調達するくらいだ。

 なんでも、レベリングにうってつけの方法を知っているので教えてくれるとのことらしい。

 

「正午に狩りに行くので、とりあえず安い剣を買おうとしてたくらいですね」

 素直に答えると、決まりだと言わんばかりに歩き出し、なにをする気だと身構える俺に。

 

「ちょっと俺に付き合え。お前の防具を用意してやる」

 

 そう、白い歯を出して笑うのであった。

 

 

 

 

「すげえや。武器ばっかりだ」

「そりゃあ、鍛冶屋の工房だからな」

 街の外れにある小さな建物に招かれた俺は、その中にある大量の武器や防具を前に目をむいていた。

 

「それで、話って何ですか?えーっと…」

「おっと、自己紹介がまだだったな。俺はライト。さっきのやつも聞いてたんだしもう隠す必要もねーな……鍛治師で、一応元は鍛治貴族のボンボンさ。それで、お前は?」

 

 そういえば、さっきも鍛治貴族の落ちこぼれって呼ばれてたっけ。

なんて呼べば良いのか悩んでいると、それを察して名乗ってくれたので名乗り返す。

 

「僕はナギトです。一昨日冒険者になったばかりですが、一応盗賊職に就いてます」

「盗賊か……それなら、あんま重い防具にしないほうがいいな」

 名乗っただけなのに、何故か防具を選び始めるライトさん。

 

「あの…俺、お金が」

「ないのはわかってるよ。金は取らねえ……そもそも、ここにあるやつは追い出された腹いせに、実家からかっぱらってきた素材から作ったヤツだからな」

 俺の言葉に、選びながら不穏な返しをしてくるライトさんを前に、適当に理由つけて逃げようかとも考え始めたが時すでに遅く、ピックアップしたいくつかの防具を俺の前に並べていた。

 

 

 

 そして、並べ終わったところで腰を下ろし俺の目を見据えて。

「さて。こうして来てもらったのには訳があってな……俺と契約をしてくれねーか?」

 

 

 おっと、やっぱりこれ学校で言ってた悪徳商法ってやつじゃね?

「契約………内容は?」

 

 武器につられるんじゃなかったと内心頭を抱えつつ、内容を聞くと、ライトさんは口を開き、契約の内容を語り始めた。

 

 

 

 

 

 数分後。

「成る程……それなら問題ないです」

「だから悪徳商法じゃないって言ったろ?」

 

 詳しく聞くと、こう言うことだった。

 

・実家から持ってきた素材が底をつきそうだから、鉱山へ行きたいのだが、モンスターが蔓延っている中、戦う力もない自分が行くのは危険すぎる。

 

・また、作った防具を置いてもらおうにも鍛治貴族から追い出された落ちこぼれというレッテルが貼られた奴の防具を置いてくれる店はなく、冒険者ギルドで頼むと手数料がかかる上に確実に受けてくれる保証はない。

 

・そこで自分の武器を褒めた俺を見込んで、防具や武器をかなり安く提供・メンテナンスを行うから、必要な素材や鉱物などをダンジョンで見つけて来て欲しい。

 

 まとめるとこんな感じだ。

 

「でも、良いんですか?俺みたいななりたてのペーペーより、熟練の冒険者に頼んだ方が……」

「いや、熟練冒険者は他の街に行っちまうし、お前みたいな駆け出しに頼んだ方が、お前の成長に合わせやすくなる。それに、ファンのために作った方が、モチベーションが上がる」

 

 勝手にファン認定されてるし。

 この世界の住人は、勝手に認定するのが好きなんだろうか?

 

 だが、提案が魅力的なのもまた事実だし、この人も悪い人って訳じゃなさそうだ。

 

 

「気に入らなければ契約を取り下げてくれてもいい……どうだ?」

「……分かりました。その契約を受けましょう」

「決まりだ。これからよろしくな。ナギト」

 

 

こうして、当面の課題だった武器問題を解決したのと同時に、新たな知り合いを1人増やしたのであった。

 

 

 

 

「色々貰って、これでようやく冒険ができるな……さて、ゆんゆんは……いたけど、あれ……」

「まずは、これで俺の武器を使ってみてどうか確かめてくれ」とのご厚意の下、ライトさんの鍛冶屋で武器や防具を貰った俺は、待ち合わせの場所にやって来たのだが、ゆんゆんは誰かと話しているようだった。

 

 

 

 

「ゆんゆん。女として格上の私に対抗しようとして、見栄を張ったのでしょう?大丈夫。私はわかっていますよ」

「違うわよ!本当に冒険者、それも男の人と待ち合わせしたもん……」

 

 ゆんゆんと話していたのは、ザ・魔法使いといった感じのローブと帽子、魔法の杖を持った女の子だった。

 背丈はかなり小さいが、なかなかの美少女だ。

 

 

「赤い瞳に黒い髪……ゆんゆんの妹かな?その割にはなんだかゆんゆんの方が手玉に取られてるような気もするけど」

 まあ、それは兎も角そろそろ待ち合わせ時刻だし、ゆんゆんも待ってるみたいだから行くか。

 

 

「ゆんゆんお待たせ。……そっちのお嬢ちゃんも、お姉ちゃんとクエストに行くのかい?」

と、片手を上げて挨拶すると、ゆんゆんはパァっと顔を輝かせ。

 

「ナギトさん!来てくれたんですね、お待ちしてまし「おい。ゆんゆんの方を見てお姉ちゃんといった意味をちゃんと聞こうじゃないか?」

 

なぜか額に青筋を立てた小さい方に、胸倉を掴まれた。

 

「ちょ、めぐみん⁉︎」

「ええ⁉︎だって、ゆんゆんと比べたら幼く見えたもんだから…や、やめろ!首を絞めようとするな……てか、なんでそんなパワーあるんだよ⁉︎」

 

どうやら容姿に関する言葉は禁句らしいが、まさか……たしか、こう言うんだっけ。

 

「ロリババア?」

「この子と同い年ですよ!いきなり失礼な男ですね!」

 いやだって、ゆんゆんを見た後に見たら……まあ、ここは謝っておくべきだな。

 

「俺とあんま変わらなかったのか……悪かった悪かった」

 両手を上げて降参の意思を示すと、ようやく放してくれた。

 

 

「それで……妹じゃないなら誰なんだよ?お前は」

 

服のシワを直しながら聞くと、その子はフフンと笑い。

 

 

「我が名はめぐみん!紅魔族随一の魔法の使い手にして、爆裂魔法を操るもの‼︎」

 

 と、ポーズをとりながら名乗りを上げたが、ふと気になるフレーズが。

 

「紅魔族?なんだいそりゃ……」

 なんというか……中二くさい種族名だが、実在するのだろうか。名前?いや、ゆんゆんで耐性がついたからそこまで驚きはしなかったよ。

 

 まあ、それはいいとしてだ。

 ひょっとしたら妄想設定かもしれないと思い聞いてみると、めぐみんはなんで知らないんだと言わんばかりに。

「紅魔族とは、赤い瞳と高い魔力を持つ誇り高き種族なのですよ……でも、それはゆんゆんが名乗り上げで言っていたのでは?」

 

 つまりは、魔法使いのエリート集団みたいなもんか……でも。

 

「ゆんゆんからは普通の自己紹介しか聞いてないけど……ひょっとして、ゆんゆんにもこういう妙な名乗り上げがあるのか?」

「今、妙って言いました…?まあ、ゆんゆんは紅魔族の中でも名乗り上げを恥ずかしがる変わり者ですからね。族長の娘だというのに……」

 

 いや、どっちかっていうとゆんゆんの方が普通な気が……もしかしたら、この紅魔族は中二くさいのが普通なのかも?

 

「……ん?て言うことはゆんゆんってお嬢様なのか?」

「そ、そんなことありませんよ。普通の家庭の子です」

 

 もしそうなら対応を変えようかと思ったが、この反応を見る限り、町内会の会長の娘程度のものなのだろうか。

「ふーん……まあ、いいや。めぐみん、俺はナギトだ。よろしくな」

「こちらこそ……ところで、もしかしてあなたがゆんゆんの?」

 

 めぐみんが審査でもするかのような目を向けてくる……アレかな?友人が悪い男に引っかからないかのチェックみたいなもんかな?

 

「うん。ゆんゆんがレベル上げにいい方法を教えてくれるって言うから……」

「それってもしかして「養殖」……」

「だから言ったでしょう?ちゃんと男の人との待ち合わせだって」

「駆け出し冒険者を、レベル上げという餌で釣っただけではありませんか……まあ、ぼっちにしてはよくやったと思いますが」

「ちょっと!ナギトさんの前で何を言うのよ、私ぼっちじゃないから!」

 

「養殖」と言う単語は気になるが、ゆんゆんがめぐみんに対するなんらかの対抗策の一つとして、俺との待ち合わせを使ったって解釈でいいのだろうか。

 

「まあ、ゆんゆんがぼっちか否かはそこまで気にしないから、早く行った方がいいんじゃね?あんまり遅いと日が暮れちゃうよ」

「そ、そうですね!じゃあめぐみん、またね?」

 と、ゆんゆんがギルドを出て行こうとしたので後をついて行こうとすると、めぐみんが引き留めてこう告げた。

 

 

「それなら、私もついていっていいですか?友人のあなたに相談したいことがあるのです」

 

 

 

 

 

「なあ、そう言えば冬のモンスターって強いのが多いんだろ?レベリングで死んだりしないよな?」

「それは大丈夫ですよ。最近あることが起こって、そこまで強くないモンスターも出て来てるので。それに、強くても私が足止めして弱らせますから、ナギトさんはトドメを刺しちゃってください」

 

 冬の寒空にすこし震えながらも、隣を普通に歩くゆんゆんに聞くと、何故かめぐみんをチラ見しながら返事をしていた。

「………」

 それを受けためぐみんは目を逸らす。

「おい、何をやらかした?」

「何もやってません……それより!ゆんゆんに相談したいことがあったのです!」

 こいつ絶対なんかやったろと言う俺の視線から逃げるように、ゆんゆんへと話を振った。

「そう言えばそうだったわね。………それで、相談ってなんなの?承諾しちゃった後に聞くのも変な気がするけど…」

 

 ゆんゆんからの質問を受けためぐみんが、ゆっくりと話し始めた。

 

 

 

「つまり、国家転覆罪の冤罪をかけられたパーティーメンバーを助けたいから、何か知恵はないかって事か」

「そういう事です。ゆんゆんと……この際あなたにも聞きましょうか。何か良い案はないですか?」

 

 簡潔にまとめると、話の流れとしてはこうだ。

 

「機動要塞 デストロイヤー」の襲撃を阻止したが、その時に領主の屋敷に爆発寸前のコアを転送してしまい、結果として領主の屋敷が爆発。

 

 その後、屋敷を壊された領主がめぐみんのパーティーのリーダー……「カズマ」を国家転覆罪および魔王軍のスパイだとして逮捕した。

 

 その裁判が行われたが、前々から評判の悪い領主が圧力をかけた事と周辺人物からの心象により死刑になりかけたが、もう1人のメンバー、「ダクネス」の計らいにより判決を保留されている。しかし、領主の屋敷の弁償金やらなんやらで国家予算並みの借金を負わされた。

 

 で、それの解消と無罪を立証したいから力を貸してくれ。

 

 

 まあ、こんな感じだろう。

 

「うーん。カズマさんって魔王軍幹部を倒すのに貢献してるんでしょ?魔王軍のスパイならそんなことしないと思うんだけどなあ……」

「ただ、たまたまとは言え領主の屋敷をぶっ壊したのがなぁ……しかもその領主は悪徳なんだろ?絶対これ憂さ晴らしだろ」

 

 まあ、人権なんて特権階級にしかないような中世がベースの世界だから、圧力も通ったんだろうな。

 

 でも、これなら……。

「その領主こそが魔王軍のスパイってでっち上げられるんじゃないか?魔王軍の幹部を倒したやつを殺そうってんなら、そっちの方が考えられそうだぞ」

 

「でも、裁判には嘘を見抜く魔道具があるので、でっち上げはできないと思いますよ」

 

「まあ、できなくてもそうかも?って言う疑惑を持たせることが出来るのはでかいと思うが……」

と、考えていた俺に、敵感知スキルが敵の接近を教えてくれる。

 

「敵感知に反応あり!2人とも、お話はここまでだ」

反応した方を向くと、そこには……。

 

 

 

「でっかいアマガエル⁉︎……でも、なんでカエルがこの時期に出てくるんだ?」

 

 小さい民家程度のサイズの緑色のカエル1匹が、こちらに近づいて来ていた。

 

「アレはあまがえるじゃなくて、ジャイアントトードです!最近この辺りで頻繁に不審者による爆発騒ぎが起こっていまして、それによって冬眠から叩き起こされているのです!」

 

 めぐみんが、目の前に出て来たカエル……ジャイアントトードについて教えてくれる。

 なぜかそれをゆんゆんがジト目で見つめてるのがわからないが……

 

 

「なんたってそんな迷惑な……まあ、今言っても意味はないか!」

「ナギトさん!いけないと思ったら無理しないでください!私が仕留めます!」

「分かった……でも、アレだけ大きいなら!」

 

ここで、今回俺がライトさんのところでこしらえた武器を紹介しよう。

 

 まずは、体を守る防具は軽めのチェストアーマーとガントレット。後はアンクルガードにした。

 まあ、最低限の部位だけ一応守って、後は速さで避ければいいと言う感じだ。後は持ってる武器を傍目から見たら解らなくするのと、潜伏をした時により溶け込みやすいようにと言うことで、ゆんゆんのものと似ているが、それよりさらに長く、霞んだ色のローブを採用している。

 

 

 そして得物は、朝にお目にかかったあの片手剣だ。

 

「ジャイアントトードは、巨体によるプレスと、舌による捕食が主な攻撃手段です!」

「わかった……行くぞ、『追風』!」

 めぐみんの声を後ろに、カエルに向けて距離を詰めるべく走り出すと、同じく後ろにいたゆんゆんが詠唱を行い。

 

「ナギトさん!当たらないでくださいね………『ファイア・ボール』!」

 

魔法を唱えると、炎の球がカエルに放たれたので、いつでも振り下ろせるように構えて………

 

「連撃だ……『突風!』」

 

 ゆんゆんの魔法を避けたのと同時に一気に距離を詰め、着地したところを………!

 

「ゼェアアッ‼︎」

 間髪入れない形で、下段からの切り上げをカエルに食らわせた。

 

 

 その後後ろに飛んで距離を取ると、喉元を切り裂かれたジャイアントトードは、そのままどうと倒れ臥した。

 

「やりましたね!いい攻撃でしたよ」

「そっちこそいいアシストだったぜ!」

 

 やってきたゆんゆんとキャッキャしていると、またも敵感知に反応が。

 

 

「今度は……地下から⁉︎」

「まさか、またカエルが……」

 なぜか下から反応があったので、ゆんゆんやその隣にいためぐみんと共に、それぞれの武器を構えて警戒していると、やがて。

 

 

 地面から、やたらとでかいミミズみたいなやつが這い出てきた。

 

「な、なんだ?こいつ、すげえ気持ち悪い!」

 

「あれはジャイアント・アースウォームなのです!その名前の通り大きなミミズで丸呑みにしようとしてきますよ!」

 

 めぐみんによると、その名前はジャイアント・アースウォーム。タイヤほどの太さで、まだ全体が出てないものの、見えている範囲でもかなり大きいのがわかった。

 

「ひょっとして、さっきの戦いに引き寄せられたのか?」

「かもしれませんね……ナギトさん。丸呑みにしようと突っ込んでくるはずなので、避けられるようにしてください!さっきみたいに魔法で弱らせるので……ヒィ⁉︎」

「あれは食う気満々だなッ⁉︎」

 

 

 口らしき場所から唾液らしい液体を滴らせたソイツは、一気に距離を詰めてきたので俺は横に飛び、ゆんゆんが魔法を……って⁉︎

 

「さあゆんゆん!早くぶっ放すのです!」

「ちょっとめぐみん⁉︎私を盾にしようとしないで……い、イヤアアア!」

 

めぐみんがゆんゆんの後ろに隠れて身代わりにしようとしたらしく、魔法を打つタイミングを逃してしまっていた。

 

 てか、あいつは魔法使えるんじゃ………ああ、もう!

 

 

「作戦がめちゃくちゃじゃねーか!『突風』ッ‼︎」

 

俺は慌てて突風を使い、今まさにゆんゆんを飲み込もうとして口を開けたウォームに向けて、大上段から振り下ろす。

 

 

 横合いからの突然の攻撃に対応できなかったウォームは、頭をきりおとされながらも動こうとしたが、やがてこときれたように動かなくなった。

 

 

 

 小一時間後。

 

「うっ…………グスッ…あ、あんまりよおおお!めぐみんってばあんまりよおおお‼︎」

「謝りますからいい加減に泣き止んでください!そろそろカズマ達が帰ってくる頃ですから………ナギトも冒険者カードいじってないで手伝ってくださいよ!」

 

 よほど怖かったのかショックだったのかは分からないが、泣きじゃくるゆんゆんを連れて、俺はめぐみんが入っているパーティーの拠点にいた。

 

「いや、アレの盾にされそうになったら普通はそうなるだろうに。自業自得だろうがよ」

 レベルが2つ上がり、新たに覚えられるスキルが増えた事を、賞金と共に確認しつつもジト目でめぐみんに応対する。

「だから、あそこで撃ったらみんなを巻き込みかねなかったからと……!ほ、ほらゆんゆん!お詫びの温かい紅茶ですよ、これを飲んで泣き止んでください!こんなところを見られた日には、間違いなく私が悪者に……」

 因みにこれを巻き起こしためぐみんは1発しか魔法が撃てず、またその魔法も距離がないと味方を巻き込みかねないシロモノしか覚えてないと言う有様だ。

 

 なんとも扱いにくい魔法使いだな……。

「お前がいるパーティーって、本当に魔王軍幹部を倒してるのか?なんか胡散臭く思えてきたぞ」

「なにおう⁉︎」

 

 めぐみんに疑いの視線を向け始める俺だが、屋敷に行く途中で見たものを思い出す。

 

「あと、戻ってくる途中で検察官が「今度こそ逮捕だ逮捕!」って息巻いてたけど、アレはなんなんだろうな」

「ちょっと待ってください。そのことについてもう少し詳しく……」

 

 急に真顔で詰め寄ってきためぐみんに、その時のことを話そうとした時。

 

 

 

 

「……………」

「……………」

 

 ドアが開けられたと思ったら、そっと閉められた。

 




いかがでしたか?

ここでキャラ紹介を。

ライト
男 17歳
職業 鍛治師
本名はアーティファクト・フォン・ライト。
鍛治貴族である「アーティファクト家」の次男だったが、家の方針に反発した結果「落ちこぼれ」として追い出される。
ナギトが自分の武器を好評したことを見込んで、彼の武器を作る代わりに資材を取ってきてもらうと言う契約を結んだ。
家を出る時に資材を盗むなどのただでは転ばないところはあるものの、細かい装飾が苦手なだけで腕は確か。

今回は主人公の初戦闘回でした。
バトルスタイルは、基本的に速度を生かした一撃離脱を主とするつもりです。また、服装は「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか」のリューさんをイメージしています。

そして次回はようやくこのすばの原作に入っていくので、原作読み直しをやるため少し遅くなるかと思いますが、ごゆるりとお待ちください。


それでは失礼します。次回もお楽しみに!
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