この素晴らしい世界に祝福を! このぼっち娘と冒険を!   作:暇人の鑑

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第5話です。

主人公の武器についてまだ悩んでたりします。


第5話 このダンジョンにガサ入れを!

 「見なかったことにしないでください、ちゃんと説明しますから!」

「いやいいよ、おまえがいじめっこなのは今更だし」

 

 そっと閉じられたドアを開け、めぐみんが慌てて出て行ったのでついていくと、そこには3人の男女がいた。

 

「……お、お邪魔してます…」

「あ、これは丁寧にどうも…」

互いにぎこちない挨拶をしていると、めぐみんが慌てたように杖を振りまわして。

 

「違いますよ!むしろ私は学生時代ゆんゆんを……!いや、その事は今どうでもいいのです!ゆんゆんのことで騒いでる場合では……」

「どうでもいい!どどど、どうでもいい……!私のことで騒いでる場合じゃないって……!わ、わあああああーっ!」

 

「おい、なんかさっきのトラウマになってんぞ?」

「ああっ!なんて面倒くさい……!ちょっとすいません、しばらく2人にしてくださいね!」

 

 めぐみんがそう言いながらドアを閉めたので、当然外にいるのは俺と例の3人だ。

 

「あんた、見ない顔だな。めぐみんやゆんゆんとなんかあったみたいだけど、知り合いか何かか?」

 

 どうしようか悩んでいると、緑のマントを身につけた男が話しかけてきた。

 

……日本人な顔立ちからして転生者なんだろうけど、チートを持ってる割には装備が貧相だ。

 

 何か嫌な予感を感じつつ。

「まあ…そんなところですかね?後、俺はマトイナギトです。以後お見知り置きを」

 

 怪しまれないようにすぐに名乗ると、その男は俺の顔を懐かしいものでも見るような目で見てきた。

「その名前とその顔立ち、どう考えても……まあいいや。俺はサトウカズマだ、宜しくな」

 

………まあ、考える事は同じか。

 

 

 そうしてカズマさんに続いて、青髪の女性がフフンと髪を払い。

「私はアクア。水の女神にして、アクシズ教団の御神体よ!」

 

 自信満々に言ってくるが、若干痛い。

「すいません。宗教には興味ないんで……」

「なんでそんな胡散臭い目で見るのよー!」

 確かに女神と言われても文句がつかないほどに綺麗だが、なんというか………この世界に送り出してくれた天使さんの方がよほど女神っぽい言動をしていると思う。

 

 

 やけに騒がしいアクアさんを尻目に、この中だと1番背が高く、また派手なドレスを着た金髪のお姉さんに目を向けた。

「で、あなたは?」

「うむ…私はダクネス。クルセイダーを生業としている…宜しく頼むぞ」

「因みに本名はダスティネス・フォード・ララティーナだぞ」

「そ、その名前を教えるのはやめろぉ!」

「ライトさんと同じだ……て事は、貴族だったりするんですか?」

 

 この世界では、基本的に苗字はない。

 大体がそのまま名前で、苗字があるのは俺やカズマさんのような転生者や、貴族くらいなんだとか。

 

「おう。しかもこいつは、この街の領主よりも偉い貴族だぜ」

「そんな人……じゃないや。そんなお嬢様が冒険者なんてやって大丈夫なんですか?」

「そ、それは………あ、アレだ!父が、私が冒険者稼業を行うのにそこまで否定的ではないから……あ、あの…できればそのお嬢様というのはやめてくれないだろうか」

 

 照れたように頼んでくるダクネスさんを見ていると、なんと言うか………いや、これ以上考えるのはよそう。これは自覚しちゃいけない奴だ。

 

 そうして話しているとドアが開き、そこにはようやく泣き止んだらしいゆんゆんが。

 

「お、お騒がせしました……」

 そう言いながら、ペコリとお辞儀をして去っていった。

 

 

 哀愁漂うその背中を放っておくわけには行かないと俺も後を追おうとしたが、時を同じくして疲れたような表情のめぐみんが出てきた。

 

「ナギト!先程検査官が何かを言っていたと言っていましたが、それについてもう少し詳しく……」

「え?でも俺ゆんゆんを追いかけないと…」

「そんなの、カズマ達に話した後で、好きなだけ追いかけてください!紅魔族の勘と言うか、なんだか嫌な予感が……!」

 と、俺を揺さぶっていたその時。

 

 

「サトウカズマ!サトウカズマはいるかああああ!」

 

 スーツに身を包んだ黒髪の美女が、かなりの剣幕で捲し立てながら扉を開けていた。

 

 

 

「なな、なんだよ!またカエルか⁉︎それとも、別の問題でも起こったのかよ!」

 

 気圧されたようなカズマさんがたずねるとその人は顔を赤くして。

「ダンジョンだ!貴様、ダンジョンで一体何をした!街の近くのキールのダンジョン!あそこで、謎のモンスターが大量に湧き出してるそうだ!」

 

「いや待てよ、それは俺たちには関係ないぞ?確かにあのダンジョンに潜った事はあるけど、何でもかんでも俺たちのせいにされちゃ敵わないよ」

 その言葉に他の3人が頷くと、その人は俺にも視線を向けた。

 

「俺?3日くらい前に冒険者になったばかりで、そんなのわかりませんよ」

 一応冒険者カードを見せると、確かにそうですねと頷く。

 

  

「しかし、あのダンジョンに最後に潜ったのはあなた方だと言う話なのですが。前例から言って、あなた方以外がやったとはとても……」

「そんな理不尽な!心当たりなんて全くないぞ………なあ、お前ら今回こそ大丈夫なんだよな?」

 

 カズマさんの言葉に一応は納得の表情を見せるお巡りさんっぽい人は、何故か急に視線の種類を変えた。

 

「しかし、そうなると困りましたね……。てっきりあなた達がまた何かやらかしたと思っていたもので。となると、誰か人を雇って調査しなくてはならないのですが……」

 

 そう。

「誰か都合のいい人はいないかな」とでも言いたいかのように……。

 

 勿論、俺でも感じ取れるものが他の人にわからないわけもなく、めぐみんとカズマさんがそれぞれ断っていた。

 

 すると、その視線はこの中で唯一、これと言った断り文句のない俺に集中した。

 

「えっと……俺ですか?まだレベル3のへっぽこなんですが…」

「今はレベルに糸目は付けませんし、あなた以外の冒険者も雇いますので、どうかご協力をお願いします」

 

 正直まともに役に立たないとは思うが……困ってるようだし、無碍にするのは良心が痛むよな。

 

「分かりました。俺でよければ協力します、えっと……」

「私は王都より派遣された検査官のセナと申します。ご協力感謝します………サトウさん、もし気が変わったらご協力をお願いします。私達は冒険者ギルドへと向かいますので。

 

 では、いきましょう。マトイさん」

「分かりました。じゃあカズマさん、お邪魔しました」

 

 

そうして屋敷を出た俺とセナさんは冒険者ギルドへと駆けていくのであった。

 

 

 

 冒険者ギルドにたどり着いた俺は、同じように謎のモンスターの調査を引き受けた他の冒険者と共に、キールのダンジョンへと向かっていた。 

 因みにゆんゆんは見つからなかったが、もしもの時のために援護に来てくれるようにと書置きをギルドのお姉さんに渡してある。

 

 

 

「あの、キールのダンジョンってどんなところなんですか?俺、始めたばかりでよく分からなくて…」

 

 近くを歩いていた前衛職らしき男に聞くと、地図を広げて教えてくれた。

「この近くにある、キールっていう魔法使いが作ったとされるダンジョンだよ。もう中身のお宝は取り尽くされていて、今じゃあ初心者パーティーの腕試しの練習場みたいになってんだ……なあに、心配すんな坊主。こんなに数がいるんなら楽勝よ」

 

「ですよね〜」

 そうして男2人で笑い合っていると。

 

「お二人とも。情報交換は結構ですがあまり気を抜かないように……それとこれを」

 ジト目のセナさんから一枚のお札を渡された。

 

 

「これは?」

「強力な封印の魔法が込められた札です。先ほどもお話ししましたが、モンスターが湧き出している原因として最も濃厚なのが、何者かが召喚しているという線です。

 なので、召喚者を倒した後に召喚の魔法陣にそれを貼ってください。

 魔法陣の中には術者を倒しても効果を発揮するものがありますので…」

 

 そう言って他の冒険者達にも札を分けていくのを見ながら進んでいくと、例の「キールのダンジョン」にたどり着いたが、そこには意外な先客がいた。

 

 

 

「あれ?ダンジョンには来ないんじゃありませんでしたっけ?」

 

 気づいた俺が声をかけると、先客はビクッとしてこちらを振り向いた後、もう来たのかと言わんばかりの顔をしたが、すぐにその表情を隠す。

 

「サトウさん………!こんな所でどうしたんです?もしや、モンスターの調査に協力してくれる気になったのですか?」

 

「え、ええ…!よく考えたら、謎のモンスターが発生しているというのは俺たちにとっても他人事じゃないと気付きましてね。

 それに、モンスターに怯える街の人を守る。これは、冒険者の義務ですから」

 

 なんて胡散臭さだ、絶対なんかやらかしたろ。

 

「これほどまでに、この場に嘘を見抜く魔道具があればと思ったことはありませんが、協力してくれるというなら感謝します。

 

 では、サトウさん達もこれをどうぞ」

 

 と、同じような目を向けつつもセナさんはカズマさんに札を渡しているが、何故かそれを拒否する。

 

「いや、わざわざモンスターが蠢くダンジョンに行かなくても、俺には考えがある……めぐみん!」

「任されました、バッチリです」

 

 そして、代わりにと言わんばかりに呼び掛けられためぐみんが杖を構えてズイと出た。

 

「何をする気ですか⁉︎…………ま、まさか!」

「ピンと来たか?そう、入り口に爆裂魔法を食らわせて、ダンジョンごと閉鎖してしまおうと……」

 

 これ、絶対この先に見られたくないもんがあるから証拠隠滅しようとしてんだろ。

 

 疑ってくれと言わんばかりの行動に違和感を覚えていると、セナさんは慌てたようとそれを止めていた。

 

 

 

 

「何故かしら……私、あの人形の仮面が生理的に受け付けないわ」

 そこから少し離れた所でアクアさんが不愉快さを隠そうともせずに石ころを投げようとしていた。

 

「成る程……確かに、ちょっと可愛いのが逆に不気味だな」

 俺は改めて謎のモンスターを見ると、ソイツはピエロみたいな仮面をつけたタキシード姿で、その小ささ的にはぬいぐるみを思わせる。

 

 そんな見てくれもあってか、カエルやアースウォームみたいな典型的なモンスターっぽさがないので逆に不気味だ。

 

 

 そしてそいつは、石ころを投げようとしたアクアさんに向かって突然猛ダッシュし、あっという間にアクアさんにしがみつく。

 

「ん?この動き………カズマさん、俺なんだか嫌な予感が」

「だよな……下がるぞ」

 

 

 そして、俺とカズマさんがコソコソと距離を取ると、まもなくその人形型モンスターは閃光と共に爆発を起こし、その爆心地には爆発に巻き込まれたアクアさんがヤ○チャを思わせるような倒れ方をしていた。

 

「成る程、栽○マンみたいなもんか」

「栽○マンとは何かはわかりませんが、このモンスターは動いているものに取り付き自爆すると言う習性を持っておりまして。冒険者ギルドでも対処に困っている状態なんです」

 俺の呟きに首を傾げながらも頷くセナさん。

「そりゃあ厄介だな」

 

「3人とも、なんでそんなに冷静なのよー!」

 心配するでもなく分析を始めた俺たちに突っかかってきたアクアさんには、心配はいらなかったらしい。

 

「致命的な威力はなく、攻撃手段も自爆しかありませんが、ちょっとでもダメージを受ければ自爆、ダメージはなくても動くものには引っ付いて自爆。

……つまり、遠距離から一体ずつ倒していくしかない状況なのです」

 

「ゆんゆんなら後方から強力な魔法でまとめて倒せたんだろうけど……まあ、無い物ねだりしても仕方ないしな…」

 めぐみんに視線を向けると、フィッと逸らされる。

 

 そもそもこのモンスターで何をしようとしてるのかも分からない状況に頭を悩ませていると、ダクネスさんが突然人形をゲシっと殴りつけた。

 

 

「ダクネスさん⁉︎」

「ちょ、お前何してんだよ⁉︎」

 その奇行に慌てふためく俺達や周囲の冒険者を尻目に、殴られた人形は先ほどと同じようにしがみつき、やがて爆発する。

 

 だが、その跡にいたのは……

 

「うむ。これなら行ける、問題ない」

 大したダメージを食らった様子もなく、ピンピンとしたダクネスさんだった。

 

「な、なんて硬さ……しかも、さっきの殴りも相当強い力だったぞ」

 

 まさかの怪力キャラだったダクネスさんにドン引きな視線を向けていると、そのダクネスさんは露払いを申し出た。

 

「私が前に出よう。カズマは後ろからついてこい」

「おう……それなら、ダンジョンに潜入する組と地上に出てきてるのを倒す組で分けようぜ。地上にもそれなりに湧いてるんだからさ」

 

 

 そしてカズマさんの一声で、この場にいた冒険者達でチーム分けをした結果、高レベル、前衛職の冒険者がダンジョンに。

 めぐみんを筆頭にした魔法使いや、俺のような低レベル冒険者はセナさんの護衛も兼ねて地上の人形を駆除することになった。

 

 

 因みに、高レベルかつ上級職の聖職者なアクアさんは本人の強い希望によりこっち組だ。

 

 

 そして、ダンジョン組が地下へと潜ったのを見計らって。

「それでは皆さん、駆除の方をよろしくお願いします!」

 

 セナさんの号令と共に、地上組が戦闘を開始した!

 




いかがでしたか?

次回は原作3巻編のラストバトルですのでお楽しみに!
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