なのは+『心のちから』   作:黒影翼

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記録二十八・良くも悪くも後継者

 

 

 

記録二十八・良くも悪くも後継者

 

 

 

Side~トーマ=アヴェニール

 

 

 

フォートに任せたとか言われて、正直今までの俺の結果を考えるとこの人の相手なんて任されていいものかとちょっとおっかなびっくりの部分はあったんだけど…

 

結論から言うと、そこまで心配もなかった。

 

「いっけえぇっ!!」

「ち…ぃっ!!」

 

俺が振るうディバイダーの一撃を手甲で防御する遊。

だけど、留まることは出来ずに吹っ飛ばされた。

 

詳しい原理はよく分からないが、あれだけの力を使いっぱなしではいられないらしい。

しばらく交戦を続けていると、だんだんと最初の時との差が明確になってきたばかりか、顔色まで悪くなっているように見える。

 

『トーマ!』

「桜吹雪!」

「いっ!?」

 

いつの間に接近してきていたのか、薊が攻撃射程に入っていた。

遊に集中しすぎたらしい。リリィの声で気付いても遅いし、そもそもまともに遣り合って勝てる相手じゃ…

 

 

間に割って入った金色の閃光が、迫ってくるガラス片を伴う風を遮った。

 

 

「大丈夫トーマ?」

「エリオ君!」

 

割って入ったのはエリオ君だった。

魔法陣の上に立って、旋回させていたストラーダを一振りすると電気で張り付いていたのか小さなガラス片の残りがストラーダから舞って落ちた。

 

「限定空戦なんじゃ?」

 

確かエリオ君は、地上戦が主で空戦は限定的にしか出来なかった筈だけど…

 

「彼を女性に近づけられないらしいから。フッケバインの応援も来てる以上あまり人は裂けないし…」

 

言いつつエリオ君は、少し遠い地面を見る。

地面に映る、小さな桜色と赤色の…キャロちゃんとウェンディ姉の姿。

 

「いい加減、君はとめる。」

 

薊に向けてストラーダを構えて、少し怒りが見える口調でそう告げた。

対して薊は微笑んで俺たちから遊の姿を扇で一瞬隠すと…

 

 

「「なっ!?」」

 

 

魔力反応も何もなかったのに、次の瞬間には遊の姿が消えていた。

開いたままの扇で口元を隠した薊は、小さく笑い声を響かせる。

 

笑い声にしては、余裕が感じられなかった。

それは、顔や着物にちらほらと見えるダメージの跡のせいかも知れない。

フォートがあれだけやったのか?隊長達誰も歯が立たなかった彼女に?

 

「今日は見逃して貰うた身…失礼させて貰い…ます!」

「っ!う…く…」

「エリオ君!?」

 

薊の瞳が赤く光ったと思ったら、エリオ君が突然固まって苦しそうな声を漏らし始めた。

その隙に飛び立つ薊。俺は追おうとも思ったけど、元々『ゼロ』が狙われたなら独断で特攻かける訳には行かないと思って射撃で打ち落とそうとしてみる。

けど、さっき俺の弾幕を捌いた傘に切り替えた薊は直撃を避けるように逸らしながら飛び去ってしまった。

 

 

「っ…そおぉっ!!!」

 

 

突然、エリオ君が大声と共に槍を一振りした。

一体どうしたのかと思ってみてみると、深呼吸をするエリオ君。

 

「強い洗脳は強い意志で払えるんだ、本人が自覚してる必要があるし、ものにもよるけどね。」

 

どうやら、あの時薊に『動くな』と命じられたらしい。

全力で逆らったものの、一瞬では解けなかったようだ。

 

 

唐突に空に爆音が響き渡る。

 

見れば、遠くの空が燃えていた。

爆発の中から抜け出すいくつかの影が見える。離脱したならフッケバインの皆か。

…どっちみちここからじゃ遠すぎるな。

 

 

「トーマはアイシスとキャロ達を!いくよ、ストラーダ!」

 

 

ストラーダを構えたエリオ君は、思いっきりブースターを吹かすと一瞬で小さくなっていった。

自衛が一番大事ってなのはさんからも聞いているし、俺とリリィ…ってかゼロの力は狙われてるみたいだから、深追いは出来ないんだけど…歯痒いな。

 

ともあれ、気絶してる皆を放って置けないのは確かで、俺はとりあえず容態を見るために降りようとして…通り過ぎようとする人影に気付いた。

 

「フォート!」

「トーマ?」

 

咄嗟に声をかけたお陰か、どうにかフォートは止まってくれた。と言うのも…

 

とにかくボロボロだ。

 

頭から顔を伝って血が流れてるような状態だし、例によって風の刃を受けたのか、全身に裂かれたような跡も見える。

打撃跡に関しては視認できないけど、見えてるだけがダメージな訳が無い。

 

「薊達もフッケバインの皆も撤退に入ったから、無理して追撃には出なくていいって。」

『アイシス達と一緒に手当てするから。』

 

リリィの声も届いたのか、フォートは俺達の方を見て口を開く。

 

けど、声が出てなかった。

 

嫌な予感がした直後、前のめりに傾き落下を始めるフォート。

 

「だあぁ!やっぱりいきなり気絶するような無茶してたのかよっ!」

 

慌てて抱えてゆっくりと降りる。

少し見た限りでは、眠っているだけで命に別状は無かった。

 

はぁ…助かったけど、もうちょっと安心もさせてくれ。

 

呑気に寝息を立てるフォートを見ながら、俺は小さく息を吐いた。

 

 

 

Side~高町なのは

 

 

 

トーマが狙いだったらしい、あの遊って新手を含めた三人組。

けれど、重体からあっさり復帰して見せたフォートの乱入によって、大事にならず解決…

 

したと言えればよかったんだけど。

当のフォートは襲撃したフッケバインが逃亡したと聞かされて倒れたらしく、晴れ晴れした表情ですーすーと寝息を立てるフォートを伴っての護送になった。

薊に気絶させられたキャロとウェンディは幸い大したダメージもなく意識を取り戻してくれたから護送任務は成り立ったけど、アイシスは深く洗脳されてた事もあってあえて覚醒に持っていかず拘束したままで帰ってきた。

 

 

 

 

で…その翌日。

 

「何だこの物々しさ、まるで尋問だな。」

「尋問やね。」

「尋問だよ。」

「ふ、二人とも…楽しそうに言う事じゃ…」

 

点滴に繋ぎなおされたフォートを囲むようにして、私とはやてちゃん、回復したフェイトちゃんが揃っていた。

 

当然、聞きたい事が山ほどあるから。

 

「…気持ちは分かるけどさ。言っとくけど、CW社の襲撃失敗以降の事は殆ど知らないからな。」

「そうなの?」

 

思わず聞いた私に頷くフォート。

速人お兄ちゃんの行方、生死について位分からないかと思ったけれど、どうやら知らないらしい。

隠し事くらいはあっても、今更こんな所で嘘を吐かないだろう。

 

「それじゃ、改めてフォートが行方不明になってから今までを聞かせて貰えるかな?」

「あぁ。」

 

はやてちゃんの問いに、フォートは躊躇いなく頷き、話を始めてくれた。

 

 

家を出て、半死半生の拷問じみた訓練受けてるなんて一般人に見つかれば間違いなく止められ家に帰される。だから管理局にも他の人にも所在を明かせなかった。

 

一緒に暮らしてた…とかなら生活感なんかを隠し切れないだろうから、私達も疑問の一つも持ったかもしれないが、フォートはキャンプというか、休憩の取り方まで含めて殆ど訓練のみで過ごしてきた為、お兄ちゃんの家にフォートの痕跡がなかった。

 

私達にその経歴を明かさずにいたのは、ただでさえ手配中のお兄ちゃん達と関連があると明かせば、局的に懐には入れづらくなるし情報も教え辛くなるから黙ってる事を薦められたかららしい。

訓練場所から離れ、動くようにって伝えに来たのはシュテルだったらしく、CW社襲撃に行った速人お兄ちゃんとリライヴちゃんが失敗したのを聞いて、そこから一人でアンチエクリプスと、エクリプス関連情報を集めるために伝え聞いた情報を元に施設襲撃やらなにやら行っていた…との事だった。

 

 

素直に話してくれたフォートだったけど、確かに今回の一件、お兄ちゃん達の動きについて何か直接分かるって言うようなことはあんまりなかった。

しいて言うなら、近年お兄ちゃん達の付き合い悪かった理由が分かった位か。

エクリプスについて知れる程度には捜査や調べ物に出てて、フォートの訓練にここまで付き合って、自分用の修行も多分してて…

そんな日程で合同合宿とかやるって言っても来れる訳がない。

雫ちゃん鍛える時ですらほとんど顔出さなかったのはそんな理由だったのか。

 

 

「ま、大方予想通りやな。」

「はい?」

 

さらっと爆弾発言のようなものをしてくれるはやてちゃんに、私は思わず目を丸くして硬直する。

予想通りって何?はやてちゃん元々関係者だって知ってたの?

 

「リベリオンの馬鹿性能、フォートの歪な鍛え方に不屈ですまん位の桁外れの精神力、その鍛錬にかける時間や予算を気にしない一団。そんなん限られとるからな。」

 

あっさり言われて、気が回ってなかったことに今頃気付く。

エクリプス対策の施された高性能デバイス作って、許可を取る程度には悪党でもないのに人体実験まがいの事をするのに躊躇いがなくて、才能不足の子相手でも修行に付き合ってあげる人なんてそういない。

 

それだけでも希少なのに…

 

「こんな馬鹿が無関係で二組も三組もいても困るやろ?」

「確かに。」

「あんた等人指差して馬鹿呼ばわりとは随分だなおい。」

「あ、あはは…」

 

はやてちゃんと揃って馬鹿扱いすると、フォートは拗ねたように表情を歪ませる。

無理もない。

けれど、この扱いは速人お兄ちゃんのせいなのでしょうがないと思って欲しい、同類だし。

フェイトちゃんだけが苦笑いしてる。

 

「それじゃ、フォート自身について確認しておく事は…」

「後一つかな。」

 

少しでも速人お兄ちゃん達の状況が見えたのはプラスと言ってよかったし、フォート本人の話はこれで終わりかと思って次に入ろうとした私をさえぎるように、はやてちゃんが切り込んだ。

 

 

 

Side~八神はやて

 

 

 

今回、フォート君と襲撃者のお陰で色々と判明した情報によって、やる事が増えた。

 

まず夜の一族の事。

今事件の中核に関わっとると思われる二人…リベリオンから貰えた情報によれば氷村遊とその娘らしい薊、この二人は夜の一族という事になるらしい。

感染者となっていた氷村遊にいたってはその固有能力を強化されているようで、女性全般の天敵と化していた。

武器として振るっていた紅い爪のついた手甲は、手甲の防御、爪の攻撃力は勿論の事、アイシスが傷跡もなく『出血多量』に近い状態に陥っていた為、爪にも吸血効果があるようだ。

血を交わすと、血の洗礼という通常の視線洗脳と別物の、まるで契約のような強力な洗脳状態に陥らせる事が可能らしく、アイシスの検査は少々手がかかっている。

 

しかも、イレインという自動人形。

あれはノエルさんと同じく夜の一族に伝わる機体で、『分隊指揮能力』を所持している最終後継機らしい。

ケインズストリートにて、急に機能停止したCW製のラプター。

『リアルタイムで情報伝達共有』を行っているシステムにて、頭脳は一つ体は複数、という様な扱い方が出来るのが特徴だったのだけれど…

あの場にイレインがいたのは、その伝達共有能力に割り込み指令を出した為と思われる。

 

イレインも氷村親子も夜の一族というキーワードから外せない存在、放ってはおけない。

私が個人的に頼んでいる地球の調査、それを効率よく詳しくする為に情報を絞って調べて貰う必要がある。

 

ただ…速人君達が私達にフォートとの関わりを明かさないほうがいいと言ったのには理由があるはず、地球の調査をしとる事はおおっぴらには伏せといたほうがいいだろうから、どうにか内密に頼まないといけない。フッケバインに局の動きを多少なり知られとるようやし、上手くやらんと。

 

…地球が魔導事件の中心なんて事になったら、無力な市民への被害のレベルが管理世界と桁違いや。第一、故郷壊されてたまるか。

 

 

次にCW社について。

フォートが気絶しとる間にこっちも調べに回ってもらった結果出た結論として、『CW社に』やましい点はなかったものの、参考文献として利用した物にイレインの情報に似たものがあった。

市販されてない文献を入手できたラプター開発のリーダーが、その知識を応用してラプターを作ったようだが…その文献がイレインに使用されている技術と同種のものが載っていた…つまり、地球から文献を上手い事回されたのが原因と思われる。

 

急停止だったからまだ良かったものの、一斉に誰かに操られ、いきなり暴走されたら被害は桁外れなものになったろう。トーマだってケインズストリートで既に誘拐されていたはずだ。

 

事前に『この機能』の破壊を速人君達が狙ったのは…まぁ間違いなく事前に情報を持っとったんやろう。

 

Cw社は、信用を売ると言うべきか、事情を伝えるとすぐさまラプター全機の回収及びデータリンク機能のロック処置を施して再配置してくれた。

リアルタイムで情報共有通信制御して、脳が一つのような使用方法をしている事が問題なのであって、情報共有は手動でやる必要が出てくるものの戦闘用としては普通に使えるのだ。

対感染者の戦力なんて局員でも数えるほど、AEC装備使うにも重さの負荷を緩和する為の慣性制御機能を上手い事すぐ使える天才なんてなのはちゃんクラスやし。トーマは結構振り回されて、フォートはそのままでぶん回そうとしたので取り上げたくらいだ。

小隊としての運用効率こそ落ちるものの、その性能は頼りになる。

 

フッケバインがAEC装備をドサクサ紛れにいくつか強奪してったからその補充も含めて手早く手配せなあかん。

 

状況から、どう考えても特務より先に動いとる速人君達、誰か一人でも捕捉して、色々聞きたいところやけど…

グレンデル一家のような、ヴァンデイン氏が仕立て上げたと思われる擬似感染者達の活動を止めたような事例が数件報告された程度で、一向にまともにその姿が捉えられん。

一体何処で何をしているのか…

 

 

最後に…フォートの馬鹿。

 

医務室で、最後に聞いたフォートとの話を思い出す。

 

 

 

 

 

「立って、あのマントを纏って…君はこの先何する気や?」

 

聞く『情報』を聞いた後、フォートに確認しなければならなかった最後の一つ。

救うべき幼馴染に拒まれた彼が、立ち上がって一体何をするのか。

 

「フェアレが抱えてる問題を解決する。記憶が削れる事を受け入れてるんじゃこのままだと何もかもなくなって終わる。」

 

全く迷いなく言うフォート。

彼女が抱えてる問題を解決する…そう言うつもりなら、エフス達も救い出す気やろう。何しろあの馬鹿の後継なんやから。

 

「彼女達を逮捕する…言うたら?」

「出来れば言うな、あんた等を怪我させずに止めるのは面倒だ。」

 

倒してでも助ける…と、返って来るかと思ったら、予想を軽く上回られた。

 

「ふっ…あはははは!」

 

真面目に話してられず、私は思いっきり笑った。

 

 

 

 

 

思い出して笑みを漏らしつつ肩を竦めた。

早くフェアレ達を止めて調べを進めないと、最悪フォートとも戦う事になりかねない。

 

状況は確実に明らかになってきとる、そろそろ終わらせる。

書類の積まれたデスクで私は決意を新たにした。

 

 

 

Side~アイシス=イーグレット

 

 

 

人の気配に意識が戻ってくる。

えっと…どうなったんだっけ…確か…

 

 

 

知らない男に抱きつく自分の姿が、唐突に頭に浮かぶ。

 

 

 

嫌悪感しか沸かないその光景に、なんだか無性に身体を洗いたくなった。

起きようと思ったんだけど…

 

「あ、あれっ?」

 

身体が拘束されていた。

周囲を見れば、見知らぬ場所…でもなく、管理局の医務室。

何で拘束されてるの?

 

「よ。」

「へっ?」

 

声をかけられて首を動かすと、フォートがあたしのベッドの横の椅子に座っていた。

 

「えーと…ごめん、どうなってるの?」

「洗脳されてたんだよ。輸血とかは済んでるんだが、そういう治療の方を急いだから洗脳の後遺症なり仕込みなりの確認がまだ終わってないんだって。」

「そっか…うん?」

 

洗脳の話が出て、さっきの嫌な記憶を引きずったあたしは素直に拘束されてる事に納得して…

そんな事より余程おかしい事があるのに気づいた。

 

 

あれ?何でフォートが起きてるの?あたしもそれに突っ込まないし何…

 

 

脳裏に浮かぶ、真紅のマントを負ったフォートの姿。

 

 

夢…じゃなく、洗脳下の記憶だからはっきりしてないだけなら…これは実際にあった…

 

「サンキュー、アイシス。」

「え?」

「拘置所の座標残しといてくれなかったら、師匠の親類酷い目にあわせる所だった。」

 

少しずつ、まばらに状況を思い出していく。

そー言えば…あたしフォートに落とされた後、なのはさんにこれでもかってくらい魔力ダメージ叩き込まれたんだっけ…

 

まぁ洗脳されちゃってたのが悪いんだけど。

 

「悪かったな、色々。お詫びって訳じゃないけど…必ず皆守りきる。」

 

ベッドに横になっているあたしの頭をやわらかく撫でるフォート。

 

「は、恥ずかしい事言ってないで鍛えてきたらっ!?その包帯見る限りじゃどーせまたボロボロだったんでしょっ!」

 

恥ずかしくて逃げたかったけど、顔を逸らして悪態をつくぐらいしか出来なかった。

こ、このぉ…人を子ども扱いできるほど大人びてもない癖にっ…

 

「そうだな。アイシスも変人に振り回されないようにちゃんと診てもらえよ。」

 

言いながら医務室を出ようとするフォート。

自分で促しておきながらこのまま一人残ることになるのが少し寂しくて、何か話がないか考えてしまう。

 

「ねぇフォート。」

「ん?」

「フォートは何で起きれたの?」

 

気にはなっていた質問を思い出して聞いてみる。

 

「フェアレとの約束を昔の約束にしたくなかったからな。アイツが抱える問題が片付くまで俺はとまらない。」

 

全く揺らぎも躊躇いもなく言い切ったフォートに、あたしはものすっごく複雑な気分になった。

大切な人、守るって決めたもの、相手が忘れようがそれを守ろうってだけの話。

それはあたしが好きになったフォートの姿で…同時に、手の届かない姿。

 

フォートが去って独りになる。聞いとくべきだったのか聞くべきじゃなかったのか。しかも、考えないようにって言ってもまだ拘束されてて動けないから他に気を紛らわす事も出来ない。

 

 

「ああぁぁぁもー!!!」

 

 

いっそ誰か来て怒られてもいいとすら思いながら、頭を抱える事すら出来ないあたしは思いっきり叫んだ。

 

 

 

Side~フォート=トレイア

 

 

 

医務室を出ると、キャロがそこにいた。

俺を見上げて、何か難しい顔をしている。

 

「フォート、ちょっと屈んで目を閉じて。」

「え、あぁ…」

 

なんだか珍しく凄みのあるキャロ。

頑張ってようが戦闘訓練してようが可愛い系のいかにも女の子の彼女にしては珍しいそのテンションに気後れしつつ、特に断る理由はなかったので従う。

 

視界が無くなってしばらくして…

 

 

 

 

思いっきり頬を叩かれた。

 

 

 

「痛…な?なんだ?」

「女の子としておしおきですっ!」

 

ぴしゃりと言い放つキャロ。

通りすがりだったのか、むくれたままそれだけ言って去ってしまった。

 

一方で、背後の医務室からはなんか八つ当たり気味なアイシスの叫び声が聞こえてくる。

 

 

俺、今回女性を助けるって面では結構上手くできたと思うんだがな…

 

 

まぁ、ヒーロー名乗るなら出来ないとは言えない訳だし、不満が募る結果になるようならきっと足りないんだろう。

修行しとくべきだな、フェアレに泣かれたり怒られたりするようじゃアイツのヒーロー失格だ。

 

 

 

SIDE OUT

 

 

 

 

 




男女事情に聡い女性がもっと多かったらフォートも大分大変になってたんでしょうが…六課はヘイワダナー(棒)。
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