なのは+『心のちから』   作:黒影翼

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記録三十一・想い出の以上の姿で

 

記録三十一・想い出の以上の姿で

 

 

 

Side~エフス

 

 

 

魔導師は資質に左右される面が大きい為、元々魔力量や魔法技術の才覚が高い人間の遺伝子を使用した方が魔導師として強い者は生まれやすい。

プロジェクトFによるクローン技術は魔導素養にばらつきが生まれたが、元々クローンと言うのは完全に成功すれば一卵性双生児と同じ…つまり、素養が大きくばらつくなどおかしな事態なのだ。

俺が元居た研究機関で進めていたのは、そのクローン技術の完成。

 

CAシリーズはその中でも、歴代最強とまで謳われたリライヴの遺伝子をベースに、保有魔法含め複製学習させた完成形。

 

 

CAシリーズ…クローンエンジェルシリーズ。

 

 

堕天使の量産を目指したそれは、保有魔法、魔力量共にほぼ理想的な形に辿り着き、記憶転写によって戦術や陣形のインプットも可能な代物だ。

さすがに絶対数こそ少ないものの、それでも複製されるには十二分に脅威なのだが…見習い含めた5人でそれを倒しきるとは…さすがに手練が多い。

 

 

 

感心しながら俺達が倒したクローンや、CAシリーズについての説明をする。

旗艦が動いている状況で会話をしている場合ではないのだが、そんな中で話をするのには訳がある。

 

「そんなの…放ってもおけないよね…」

 

倒したCAシリーズをどうするか…と言う問題があったから。

一応生命体としての体をなしているクローンだが、裁判にかけるも何も意思が存在しない。

殺して放っておくと言うのは、倫理問題と、この遺伝子を更に広めかねないという問題から却下。

とは言え、連れていって目を覚まされれば危険なため、結局殺すことになりかねない。

 

「とりあえず連れて帰っておけばいいだろ。起きて暴れるようなら俺が倒すさ。」

 

…と、扱いに困っていたと言うのに、あっさりと言うフォート。

敵うはずがないだろうに…と言いたいが、同じく敵う筈のない薊をコイツは破っている。

 

呆れ混じりの微妙な空気が漂うが、誰も何も言えないあたりはフォートの功績か戦力か。

 

 

とにかく、方針が決まった以上ゆっくりはしていられない。

 

 

俺と召喚師のルーテシアの次元転移魔法で、ミッドチルダの局施設近辺へ転移し…

 

 

 

 

転移した先で、火の手が見えた。

 

それは、局施設…特務の隊舎があるはずの方角で…

 

 

 

「さ…せるかぁっ!!」

 

 

 

条件反射か真っ先に飛び出したフォートを追う形で、俺も飛び立った。

同行する事を選んだ以上、襲撃を受けているのを見過ごすわけには行かない。それに…

 

狙われているのがフェアレならば、俺だけ助かるなど本末転倒もいい所だ。

 

 

「こら馬鹿男共!この子どうすんのよー!!!」

 

 

ルーテシアの抗議の声に傍らを見れば、槍使いの男も一緒に飛び立っている。

確かに放置も出来んが…

 

 

 

「「フェアレが先だ!!!」」

「こ、この色ボケ共ー!!!」

 

 

 

少々耳障りな罵声が聞こえてきたが、無視した。

俺はそのためだけに来たのだから他の事など知った事ではないし、フォートにしても二度も三度も悲劇を繰り返すつもりも無いだろう。

 

 

 

Side~フェアレ=アート

 

 

 

何が出来る訳でもなかった。

ただ攫われて、改造されて…

同じ改造を受けた子が何人も死んでいる中、私は適合したらしい。

理由は分からないけれど、私は適合者として必要らしかったから、素直に従う代わりに他の子をこれ以上襲ったり改造したりしないように、と取引した。

 

それから、アンチエクリプスって機能を使うと、私の記憶が消える事が分かった。

その量は少ないけれど、学生時代の友人や、両親との思い出が少し消えてしまった事に、私は不安を覚えた。

 

フォートの事は忘れたくなかったから。

 

ノートを借りて、フォートの事を中心に思い出せる事を書き綴っていく。

そしてそれを見返す。そんな日常を繰り返して…

 

フォートが、私を助けるために奔走しているという事実を知ってしまった。

 

頭に繋がれた機械、片目を失ってケーブルが突き刺さった醜い有様に、麻痺を抱えた身体。

フォートはきっと、こんな私でも助かったら支えてしまう。

そもそも…フォートに薊やその仲間の人と戦えるような力なんてない。

 

死なせたくなくて、未来の見えない自分の為に無理をして欲しくなくて、エフスにあんな演技をさせてしまった。

被害者じゃなく裏切り者なら、助けようなんて思わないだろうって、そのために…

 

 

なのに…フォートが何一つ得られなくても私との約束を選んだって聞かされた。

そして、エフスは私を連れて逃げてしまった。

 

多段転移まで使って、私だけを逃がして囮になって。

生きる為に犯罪者になるしかなかったって、そう言ってたエフスが何でか私を逃がすために命がけの戦いに挑んでしまって…そのままどうしても死なせたくなくて…

何一つ伝えられていないのに、フォートに縋ってしまった。

 

『あのねっ!ソレあんまりでしょっ!!』

 

私を睨んでいた女の子の厳しい声が耳に痛かった。

 

『任せろ、俺はお前の為のヒーローだ。エフスは必ず助ける、だから泣かなくていい。』

 

真相の一つも伝えていないのに、本当に私の為にエフスを助けると少し寂しそうに言い切ってしまったフォートの言葉が胸に突き刺さった。

 

 

そして今…彼等の拠点が襲撃を受けている。

 

 

私のせいで…皆…

 

 

お母さんもお父さんもフォートもエフスも管理局の人達まで皆…

 

 

「帰ります!だから…もうこれ以上皆さんに危害を加えないで!!」

 

 

私は外に飛び出してそう叫んだ。

何人も探して見つかった素体、だから私は必要らしい。

 

それである程度融通を利かせてくれていたんだ。

だから…

 

 

ナイフを手に、自分に向けて立つ私を前にこれ以上の攻勢はとれない筈だ。

 

 

 

「被検体の保護を最優先、回収します。」

 

 

 

ただ…襲撃に来ていたのが話の通じる人じゃなくて、エフスが少し話してくれていた人形…クローン体の人だったせいか、自害を装う私すら行動不能にしようと魔力砲撃を撃ってきた。

 

 

抵抗なんて出来る筈も無い。

 

 

迫る光を何も出来ずに眺め…

 

 

 

「だぁっ!ったぁくよぉ…本当にここには馬鹿ばっかり集まりやがるなオイ!!」

 

 

 

バンダナを巻いた男の子が、私を庇うようにして砲撃を消した。

彼は私を見て笑う。

 

「時間は稼ぐから信じて待ってろ。フォートの馬鹿はお前以上だが…あの馬鹿強ぇぜ。」

 

なんでもないことのように言うと、彼は空のクローンに向かって武器を構えた。

 

 

 

Side~カート=グレンデル

 

 

 

特務への襲撃。

正直な話、このごたごたに紛れてアジトに逃げだすってのが良案で、特にマリーヤはそれがいいって散々っぱら言ってんだが…

 

単純に、このチーム化物をまた敵に回して鬼ごっこってのも面倒ってのが一つ。

フッケバインの追撃を任されてるチームらしいが、担当案件がエクリプスである以上、俺等がお尋ね者の間はコイツらに追われるのが確定だ。修行に参加させられてしみじみと思ったが、そりゃ絶対ゴメンだ。

 

もう一つ…丁度本隊が離れているところに起こったこの襲撃事件。

確かにアンチエクリプスの検体を取り返しに来ただけって見れば自然なんだが…どうにも嫌な気分だ。

ヴァンデインのとっつぁんは無抵抗で捕まってる容疑者…まだ裁かれてねぇ訳で。

局に捕まったのがとっつぁんの予定通りなら…ちと厄介だ。

 

と、一応二つも理由があって残っただけで、決してこの部隊の空気に呑まれた訳じゃねぇんだが…

 

 

 

『だからって堕天使2体も相手にしてられっかよォ!!!』

 

 

 

マリーヤから悲鳴じみた通信が届く。

無理も無かった。

何しろ、あの堕天使がぴっちぴちに張り付いたスーツみたいな服を着て二人襲い掛かって来てやがる。

 

初っ端から二人掛かりで大魔法を行使されて施設の殆どがいきなり倒壊した。

現場が混乱極まっているところに他の連中が何人か。

空き家襲撃には過ぎた戦力のせいで、いくらか備えに残っていた連中もボロボロにされている。集団行動能力を失ったラプターが一番マシなほどだ、戦力は期待できねぇ。

 

俺がハケりゃ他んメンバーとぢりぢりになっても俺の取り寄せで全員回収できるんだが…

 

…ま、しゃーない。時間稼ぎするだけしてやばそうならとんずらすっか。

 

 

 

「ほいや!」

 

 

右手の指先から不可視エネルギー粒子の放出による斬撃。

放たれた一閃を、掌から展開した防御魔法で受け止める堕天使。

とめたのも一瞬、チカッと光ったと思ったら不可視の砲撃がすっ飛んできた。

 

「ディバイ…どぉっ!?」

 

一応中距離だったって言うのに、単純砲撃が消しきれなかった。

身体強度も相まってさすがに一撃で消されるような事は無かったが、吹っ飛ばされて地面を転がる羽目になる威力って時点でキチガイだ。

 

だが、もう一体はクインとマリーヤが二人掛かりで抑えてくれてる。

俺がどうにかコイツを捌いてさえおけば、他の雑魚は局の残りに任せ…ぇ?

 

 

「っておいおいおい!」

 

 

雑魚とか思ってた連中の中、確かの聖王の血筋で格闘戦技者の高町ヴィヴィオとか言う有名人、そのクローンと思われる奴が混じっていた。

わざわざクローン兵士として作ってるくらいだ、雑魚な訳が無かったか。

 

どーすんだおい、こりゃ逃げるっきゃ…

 

 

「バレットスコール!」

「セイクリッドクラスター!」

 

 

直後、空から赤と虹の魔力弾が雨のように振り注いだ。

空を見れば、待ってた馬鹿野郎が二丁の銃を手に空に居た。

 

来るならもっと早く来いっての。ったく…

勝てるならそのほうがいい、もう一頑張りしてみっか。

 

 

 

Side~フォート=トレイア

 

 

 

とりあえず適当に奇襲って事でぶっ放してみたが、喰らったヴィヴィオのクローンが一体ぶっ倒れただけに終わった。

 

同時に散弾をぶっ放したエフスを少し見る。

コイツ、虹の魔力光って珍しいな。…クローンヴィヴィオが二体とも虹色だから今日だけで結構見てるが。

転移魔法の時にはこんな色じゃなかったが、魔力光の彩色は無駄に手間を踏むだけで出来ない芸当じゃないから多分隠してたんだろう。

まぁ俺は特に興味ない、ほっとくか。それよりも…

 

「お前研究職のサポーターだろ?フェアレの護衛役譲ってやるから引っ込んでろ。」

「馬鹿も休み休み言え!一人二人でこの状況がどうにかなるか!」

 

戦闘力は無いフェアレをこんな惨状の中で一人にはしておけない。

丁度コイツなんか妙な防御膜持ってたし、クローンが片付くまで護衛についといてもらえれば丁度いいだろう。

 

「コイツら片付くまで下がっとけ!」

「待ておい馬鹿!!」

 

エフスの声を無視して、俺は翔けた。

カートが相手にしていたリライヴのクローンを引き受ける。

他のもそれなりなんだろうが…一番厄介な二体が片付けば他はまだマシだ。

 

本物のリライヴ相手に四六時中修行してた俺がきっとこのクローンの相手に適してる。

 

 

それに…丁度いい前哨戦だ。

 

速人の奴を越えるため、アイツと肩を並べるリライヴ…そのクローン…

まずはコイツを片付ける!

 

 

 

こっちを視認するなりシューティングスターをぶっ放してくるクローン。

面で潰してくる上に一つ一つの威力も高いから本物にもよく使われたが…

 

 

「おおぉぉぉっ!!!」

 

 

避けてられない数だから、なんとなく薄そうなところに盾二つを展開して突っ込んだ。

まともに受けたら盾ごと潰されるが、斜めにしながら受ければ全弾直射の弾幕だから避弾経始効果を持てるんだが…

 

 

さすがは堕天使と言うべきか、それでも盾が砕かれた。

 

とは言え、接近は出来…

 

「っ!」

 

接近と同時に振るわれた斬撃をどうにか回避する。

 

高い魔力を薄く薄く密集させた、超高密度刃。

斬れない物はないと言うほどに折りたたまれた刃は、俺が受けても…所か、並以上の防御魔法でも一振りで切断されるほどだ。

 

受けはない。

俺は両手に剣を手にして、振るわれる剣を捌く。

 

受けとめたら武器ごと斬られるが、魔力刃の横から叩いて逸らすならさすがに問題はない。

 

 

が…そもそもそんな剣才があるわけでもなく…まともに受け止める事も出来ない一閃を捌き続けられず、袈裟切りで左肩から右脇腹に向けて斜めに斬られ…

 

 

「っざ…けるなぁっ!!」

 

 

剣を消した左手を伸ばして剣を振り切ったクローンの右腕を掴む。

右腕にブースターを展開、剣を突き出すと同時に全力で吹かす。

 

下へ。

 

停止制御なんか一切考えず、重力の力も借りて加速。

剣を胸元に突き立てたままで着地…と言うか、墜落した。

 

地面への衝突と突きの衝撃に耐え切れなかったのか、俺の剣が砕け…

 

 

クローンは地面に仰向けにされたままで、掴まれていない左手を俺に向けてきた。

 

 

「スパイラルバスター。」

「っ!」

 

二重構造盾を展開して防御するも、盾を砕かれながら空に吹っ飛ばされた。

貫通力の高い砲撃魔法だ。種類や効果が多種多様って訳じゃないが、単発で見るならなのはさんのそれより危険だ。

 

空に飛ばされた俺が体勢を整えると…既に背後に。

高速移動魔法か。

 

「知るかっ!」

 

振り下ろされた剣を、振り返りながらの裏拳で逸らす。

最近多対一やってて良かった。一人で同じような真似するかコイツ。

 

 

仕切りなおしとばかりに向かい合うと、先の地面との衝突の時、フィールド防御に受けられていた刃の先端が抜けていたらしく、ボディスーツが僅かに裂けて少しだけ血が見えた。

 

俺は思わず笑みを浮かべる。

 

「クローンとは言えダメージ通したぜ、あいつ等の背中も見えたかな。」

『…致命傷には浅いとはいえ思いっきり袈裟切りを受けているのをお忘れなく。』

 

デバイスの癖に溜息が聞こえてきそうなリベリオンの声を無視して、俺は再度剣を手に構えた。

 

 

 

Side~マリーヤ=ラネスカヤ

 

 

 

アホから堕天使二体相手に防衛戦をやれとか無茶苦茶言われた時は本気で放り出して逃げてやろうかとも思ったが…

真っ先に戻ってきた男二人も揃って化物だった。

 

大した戦力判定出てないはずのフォートとか言う馬鹿ガキはウチのアホが相手にしてた一人で真っ先に一体引き受けるし、こっちに来た黒い魔力光の槍使いは、クロスレンジであの化物と互角所か押している。

クインの奴は即行で大ダメージ食らって回復待ちだってのに…

 

アホ首領は特務に追われるより罪状片付けたほうがいいっつってたが…コレを見ると納得せざるを得ない。ゆりかご事件の英雄八神はやての部隊だしな…

 

 

「あたしは他に回っぞ!」

「好きにしろ。」

 

 

強いは強いでいいんだが…とてつもなく無愛想な奴だ。

好きにしろとか言うから距離を取って施設全域を見渡せる位置を探そうとしたんだが…

 

 

爆音がした。

 

 

見れば、槍男は複数の砲撃魔法を前に捌くので一杯になっていた。

 

「っておい!全然大丈夫じゃねぇじゃねぇか馬鹿!」

 

どうやら槍男は完全に近距離専門らしい。

さすがに単独で堕天使の偽物相手の遠距離攻撃を凌ぐのは無理がある。

 

「くそっ…」

 

放っておいても構いやしない、構いやしないんだが…

アイツが負ければ、他に堕天使なんて抑えられる奴なんてそういねぇだろう。

離脱するんで無けりゃ、補助するっきゃねぇ。

 

「っざ…っけんなよっ!!!」

 

ロックオンマーカーを全部堕天使に集中、全身余す所無く狙いをつける。

 

あたしの固有能力である、摘めるサイズの物ならどんなものでも撃ち出せる能力。

それを使って、弾帯から直接銃弾を射出する。

 

普段なら複数人狙うんだが…アレ相手で加減なんざ出来る訳が無い。

弾帯丸々一つ分フルに使いきる。

 

ガトリングガンすら余裕で上回る弾幕と轟音。

だが…プロテクション一つであっさりと全弾とめられた。

 

距離取ったら取ったでディバイドが効かない為魔法障壁で実弾は止められてしまう。

その程度は驚かねぇよ、畜生…

とはいえ、狙い通りに槍使いを接近させる事は出来た。

 

 

『感謝する。』

 

 

接近を図れた槍使いから念話が届いた。

…ふん、結局甘ちゃんか。

 

ともあれ、クインが復活するまで粘るなりアイツを落とすなりしねぇとここ一帯壊滅させられる。誰であれ戦力になるなら上手い事やるしかねぇか。

 

 

 

Side~フェアレ=アート

 

 

 

空を舞うフォート。

白い服の背にあるのは、真紅のマント。

都市伝説のように語られた英雄も着けていた、ヒーローの証。

 

子供の頃の喧嘩と全く違うフォートの戦い。

私は狙われている筈なのに、その戦いを呆然と眺めていた。

 

実験以外に何も出来ない環境になってから、少し薊とかの練習を眺めていたからちょっとだけ詳しくなった。

普通にやってたら絶対に辿りつけないほど強くなってる。

だったらきっと、普通にはやって来なかったんだ。

 

「大丈夫か?」

「っ…エフス…」

 

ただ逃がして貰っただけの私なんかより無茶をしたはずのエフスから大丈夫かなんて聞かれて、申し訳なくて悲しかった。

 

なのに…

 

 

「どうして…かな…」

 

 

力が抜ける、緊張が紐解けたみたいに身体の震えが止まらない。

手酷い裏切りをしたはずなのに、散々な迷惑をかけているのに。

一番大切な人が身を削って、クローンとは言え誰もが知るくらい有名な堕天使を相手にしているのに…

 

 

「嬉しくてたまらないの…喜んでいい筈無いのに…そんな状況じゃないのに…私にそんな資格ある訳ないのに…っ!!」

 

 

涙が止まらない。

 

この状況を喜んでしまって、そんな自分を嫌な子だと思って、そんな子の為にフォートが頑張ってるのかと思うと余計に申し訳なくなって。

気持ちがぐちゃぐちゃになってどうにかなりそうだった。

 

「自分の未来を諦めても諦められない程大切な者に、ああも想われて嬉しくない訳がない。」

 

エフスは言いながら、ハンカチを差し出してくれる。

 

「資格が無いとすれば、悲しむ資格の方だ。…アイツを笑顔で出迎えてやるといい。」

「…うん…っ!!」

 

私はそれを受け取ると、笑顔を思い出すように笑ってみた。

ごめんなさい、だけでなく、ありがとうと伝えられるように。

 

 

 

SIDE OUT

 

 

 

 

 




現状について一番考えてるのがグレンデル一家のように見える色ボケ回(苦笑)。
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