なのは+『心のちから』   作:黒影翼

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記録四十四・『兵器破壊組』~新品の欠陥~

 

 

記録四十四・『兵器破壊組』~新品の欠陥~

 

 

 

Side~シグナム

 

 

「はあっ!」

「ふっ!」

 

私の打ち下ろしを左手に持った小太刀で受けるセイリュウ。

ち…こっちは両手持ちだと言うのに押し切れんか…

 

軽いステップで後退したセイリュウは、右手で再び鞘に納めた小太刀に手をかけ…

 

「ソニックセイバー!」

『硬化装甲!!』

 

抜き放つ。

ユニゾンしていたアギトが咄嗟に防御を展開するも、速射の風刃だと言うのに一撃で装甲が割れた。

抜けなかっただけでも幸いなのだろう。

 

「へぇ、いいじゃないか!」

 

駆けてきたセイリュウは左手で刀を抜き放つ。

私はそれをレヴァンティンで受けとめて…

 

「はっ!」

 

重ねて振るわれた右の一閃によって、レヴァンティンが中程から『切断』された。

 

これは…速人達の扱う貫通斬撃…確か、徹とか言っていたもの…か。

 

斬れたレヴァンティンの先端を左手に一度後退する私を見て、セイリュウが笑う。

 

「直していいよその棒切れ。私ももう少し慣らしをしておきたいからね。」

『あんだとこら!』

 

融合状態で内部から叫ばれてもまるで届かないと言うのに、セイリュウの挑発とそれに乗るアギトの怒りにはさまれて軽く息を吐く。

私は特に反応を見せる事なく魔力を通してレヴァンティンのリペアを済ませる。

 

「慣らしと言ったな?何故他のOAシリーズと共に出て来なかった?」

「さぁね、最近生まれたばっかりだし色々聞いてない。ま、私抜きでもほとんどが一瞬で落ちたらしいし、最高の素材で出来た私まで加わったら他の皆の慣らしも出来ずに終わっちゃうからでしょ。」

 

得意げに留める事も無く語るセイリュウ。

その様子に、大体を察した。

 

と、丁度その時…

 

「む…」

「っと…コレは、結構な力だね。」

 

下層から、激しい力の衝突を感じた。すさまじい衝撃が響く。

…OAシリーズの試運転も予定しているからか、それなりの強度があるらしいこの施設だが、それでも不安を覚える衝撃だ。

 

一方で、何の懸念もなさそうなセイリュウ。

その様子を見る限り、備えか戦力か、何かあるのを知っていて素通りさせたのだろう。

これだけの力を衝突させて尚不安の無いほどの何かが。

 

 

「…どうやら急がねばならんらしいな。」

「急ぐと来たか。人の心配をしている場合じゃないんじゃない?」

 

 

私が勝つ前提でいるのが不満らしいセイリュウが、口調こそそのままだが表情をしかめる。

顔に出すあたり、やはり予想通りと言うべきか。

 

私は無言でレヴァンティンを鞘に収め、その柄に手をかける。

 

小さく息を吐いて笑ったセイリュウは、あわせるようにして居合いの体勢をとる。

そして…

 

「ふっ!」

 

一瞬で抜き放たれた刀から飛来する風の刃。

それを紙一重で潜るように接近する。

 

セイリュウは二刀。振りぬいた右の勢いで出来た溜めを伴い既に左手が納めた刀にかかっていて…

 

続いて抜き放たれた左の小太刀『そのもの』を狙って、私はレヴァンティンを抜き放った。

 

本人を狙わず刀狙いで振るった一撃は、彼女の左手から刀を弾き飛ばす。

 

「っ!」

 

ついで右手の小太刀で突きの構えを取るセイリュウ。

私はレヴァンティンを振り切った直後の為、左手に持った鞘の方で突きの軌道を逸らし…

 

 

 

右後ろ回し蹴りを彼女に叩き込んだ。

 

 

「ぶっ…」

 

 

顎の先端を捉えた鎧付きの足による回し蹴りはさすがにちゃんと脳を揺らせたようで、体勢を整えようとした彼女の足はおぼつかない。

 

「『火龍…一閃!!!』」

「っ!?」

 

ふらついたままの彼女を、アギトと二人掛かりで乗せた炎の一閃で吹き飛ばした。

炎熱によって焦げた壁に、腕を交差させた状態でめり込んでいるセイリュウ。

 

「っ…中…々っ!」

 

めり込んだ周囲の壁を吹き飛ばすように壁から出てきたセイリュウは、着地と同時に右の刀を振り下ろす。それと同時に放たれる風の刃。

居合いに乗せたほうが速いが、別に普通に振るっても放つことは可能。特に驚く事では無く、軌道を軽く外す。

 

落ちた刀に向かって跳躍した彼女がそれをとって体勢を立て直す中、レヴァンティンを腰打めに構えて接近。

踏み込みから思いっきり横薙ぎを振り切るが、左手に握った小太刀で受け止められる。

 

振りかぶられている右の小太刀。…徹だ。

 

軽く下がって振りぬかせた私は、カートリッジをロード。

 

 

「焔乃大蛇!!」

 

 

炎を伴うシュランゲフォルムにしたレヴァンティンを弧を描く軌道で飛ばし、彼女の鳩尾に叩き込んだ。

さすがに見えたか、フィールド防御は展開するセイリュウ。

だが、その加速と長さを広域殲滅でなく、短距離高速攻撃とした焔乃大蛇は、速度からの貫通能力も高い。

貫通まではしなかったが、串刺しのようにフィールド防御ごと彼女を押していって、再び壁に叩き付ける。

 

 

「ぐっ…な…?」

 

 

負っているダメージそのものより、今起こっていることが信じられないといった様子のセイリュウ。

私はレヴァンティンを鞘に納めると一息吐いた。

 

「弱い。」

「な、何…っぐ…」

 

抗議しようとした彼女は、壁から離れ地面に立つと少しふらつく。

既に戦闘不能のようだな。戦えない…と言うほどではないが、まともに動くには厳しいだろう。

 

『なぁ…どういう事だ?』

 

仮にもOAシリーズ相手にこうも余裕が残っている理由が分からないのか、アギトから疑念の声が上がる。

確かに、シリーズ上他の連中だけ彼女より特別強いという訳でも、彼女が明らかな失敗作と言うことでも無いだろう。だが…

 

「リライヴのクローン体は散々生成していながら、速人のクローンを作らん理由を知っていればこうなる事くらい想像はつく。型そのものやその使い所の知識までは複製で修得できても、『感覚』で『体得』するには結局修行、実戦を重ねる必要がある。魔導師、人間として特に異能も高位の能力も持たない速人は、大した素体ではないんだ。」

 

無論、あくまでも『素体としては』の話。

その身体に叩き込んだ戦闘勘や文字通り体得する事によって何の思考もはさむ事無く流水のように動く身体の反応速度は、技の型を学習してそのまま動けるだけのコピーには存在しないものだ。

同じ作業を辞書を引きながら行うのと暗唱する位の差だと思えばいいだろう。

 

「生まれが遅く、組織内での最低限の慣らしも間に合わなかったから、埋め込まれた知識を元に、自分が近接戦闘も行えると判断してこうなったのだろう。徹が何を狙っているか私でも分かるほど明らかな打ち込みだったからな。」

 

更に言えば、速人達が使う、防御や攻撃をすり抜けるように飛んでくるような意味不明な斬撃は全く無かった。

型で成すだけのものではない、相手や状況によって変化するようなものになればなるほど、再現できないのだろう。

 

薊か誰かと事前に試していたのか分からないが、他のOAシリーズの戦いを見る限り、オーバースペックのリライヴの『高出力』を生かして戦っていた。

それに、距離があれば、埋め込まれた知識を使う時間もある。

秒も無いような間で連続で攻撃を交わす近接戦闘と違い、体得まで行かずとも戦術知識を使う事で力の運用が可能だ。

 

確かに高い魔力を更に刃一閃に収束させた斬撃は脅威で、武器でも盾でもほぼ防げない斬撃になっているが…

 

「当たらなければ無意味だ。」

「っ…」

 

今の戦いの最中から自覚はあったのだろうセイリュウは、目に見えて表情を歪める。

 

「…それならなんで追撃もせずに剣をしまってるの?」

 

さすがと言うべきなのかとりなおした彼女は、私が武器を納め、完全に戦いを切り上げるつもりでいることに疑問を投げかけてくる。

だが…彼女がレヴィに似ていると思った段階で、私はある一つの事が頭に引っかかっていた。

 

 

「生まれてしてそれほど経っていないと言うなら、まともな犯罪歴など無いのではないか?」

 

 

かつて、速人が宵の…紫天の騎士達を救い出した際の理由。

敵に生み出された身だが、それは同時に、敵の常識を植え付けられ、まともにも育つことなく使われているという事になる。

 

私達が手順を踏めているわけでもない今、下手をすれば彼女は責める対象ですらないだろう。

 

だが…当然の事ながらその敵に都合のいいように作られた彼女があっさり頷く訳も無く、鼻で笑って肩を竦めた。

 

「勝った気になるのは…まだ早いんじゃない?」

 

言いつつ両腕を開くセイリュウ。

その手に集まった魔力が風となって吹き荒ぶ。準備の余波だけですでにすさまじい力だ。

 

「リライヴ由来の出力は別にそのまま…降伏勧告なんて偉そうなこと…龍の風を凌いでからにしてもらう!!」

 

宣言と同時に私に向かって放たれる二対の竜巻。

砲撃さながらに向かってくるそれに向かって私はレヴァンティンを振りかぶり…

 

 

 

「紫電…一閃!!!」

 

 

 

斬撃を以て迎え撃った。

 

頭をたちきられた風の龍は、二つにさけて周囲を薙ぎ払い破壊して…

私はそこに無傷で立っていた。

 

「なっ…馬鹿な…そんな馬鹿な!!」

 

明らかに狼狽えるセイリュウ。

魔法で圧倒されるなんて思っていなかったのだろう。

 

事実、難なく凌いだが、それは私達の方が強いからではない。

 

変換資質は、対応するものへの変換が行いやすくなる反面、単純魔力の行使に関してはどうしても不得手になりがちだ。

 

そして、風は言わば『指向性』への自動変換。熱量や電力と違い、変換後に特徴の無い、言わば欠陥資質。魔導師としての利点は、魔法無効系に通じやすいこと以外は存在しないと言っていい。

にも拘らず速人があれだけ強いのは、魔導師として戦っていない事は元より…風に…『自然』に長けている事が主だった理由だ。

山に篭り、生の気配を感じながら修行してきた奴のような人間が持っていて初めて意味を成す変換資質と言っていい。

 

単純に高い魔力を効率よく振るいたい人間にとっては、部屋中に勝手に広がる変換資質など邪魔以外の何物でもない。

 

だからこそ、剣一本に纏めた力で部屋中を薙ぎ払う力を斬って逃がせたのだ。別に私の力の総量が彼女を上回っているわけではなかった。

が、そこまで教える義理は無い。強敵に見えてくれているのなら好都合だ。

 

「今止めれば捕まえる気はない。今のお前は…ただの被害者だからな。」

 

正直管理局として手順を踏んでいないだけで決まりが悪いと言うのに、生まれて使われているだけの彼女までこのまま叩き伏せる気にはなれなかった。

勝ち目がないと思って降伏してくれれば楽でいい。

 

 

だが…譲歩はここまでだ。

 

 

逆に言えば、その決まりの悪い手順を選ばざるを得ないほどの巨悪が相手なのだ。

 

「それはありがたい話だね…笑わせるなよ。」

 

ふらつく身体でこちらを見据えたセイリュウの全身から風が吹き荒れる。

…バーストモードか。

 

 

「お前たちに力があったなら…お前たちが正しいなら、私達は産まれなかったんだ!!!」

 

 

刹那、距離を詰めるセイリュウ。

魔法の行使そのものは上手くテスタロッサに勝るとも劣らぬが…

左の横薙ぎをレヴァンティンで受け止める。右の小太刀が振りかぶられているのが丸見えで、徹を打ち込もうとしているとあっさり読めた為、こちらから踏み込みつつレヴァンティンの角度を変える。

 

刀身を切断しようとしていたのだろう一撃を柄で止められたセイリュウは、驚きで表情を歪める。

 

速人たちが扱う業は、完全に成らなければ成立しないものも多く、実戦で動く相手に的確に使用するのはある種の神業と言えた。

いくら使用法を『知って』いようが、この程度だ。

 

足払いで体勢を崩して軽くバックステップ。シュランゲフォルムに変化させたレヴァンティンで彼女を拘束する。

左拳に魔力を集中させ…

 

「紫電…一閃っ!!」

 

蛇剣に巻きつかれ動けなくなったセイリュウの顔面に、燃え盛る拳を打ち下ろした。

 

床に叩きつけられたセイリュウは…

 

「っ…ぁああぁぁっ!!!」

「何…っ!」

 

転がったままバーストモードを伴う魔力放出と共に全身を縛る刃を無理矢理引き千切り、立ち上がりながら腕を振るう。

砲撃の体すら成さない単純に変換された魔力放出。

 

屋内に吹き荒れる風に飲まれ、咄嗟にレヴァンティンの鞘を持って防御の姿勢をとるが、吹き飛ばされて壁に叩きつけられる。

 

…広域で回避もままならんと言うのに、防御魔法を風の刃で抜いてくるか。

やはり一筋縄ではいかんな。

 

 

しかし解せない。

作られたと言っても忠誠心を植えつけられている様子も見られないと言うのに、何故肩で息を吐きながら、傷だらけの身体で尚立ち上がる必要がある?

 

「道具は…求められる機能がある…用件を満たさない道具に…価値は無い…」

 

俯いて、誰にでもなく消え入りそうな声を漏らすセイリュウ。

だが、顔を上げて私を見据える瞳には、『仕方なし』と言った様相は無かった。

 

「OAシリーズは…歴代最強と呼ばれる、白い堕天使リライヴを上回る為に製造されたんだ。こんな程度で…負ける訳には行かない…」

「…何故だ?」

 

思わず、問いを投げかけていた。

信念や意地を抱えて戦うような…製作者や所持者に仕えるといった感じでもあるまいに。

事実、最初は呑気だったはずだ。何故この段階になって意地を張るのか。

 

 

「何故って…貴女は騎士である事に…例えばシスターやコックじゃ無い事に理由を聞かれて…答えられる?」

 

 

彼女は心底不思議そうにでそう言った。

あぁ…馬鹿な話だ。

 

世界最強の生命体と言う道具として作り出された事を、彼女は誇っているのだ。

そして、そう在りたいと願うから…今こうして意地を張っているのか。

 

馬鹿げている。馬鹿げているが…

 

 

素材二人を思い返して、私は笑ってしまっていた。

 

 

あぁ…馬鹿で当たり前か…と。

 

 

「…わかった。」

 

柄だけ残ったレヴァンティンにてカートリッジをロード。

増幅した魔力を無手に集中させる。

 

 

「『火龍…一閃っ!!!』」

 

 

全力で放った炎熱砲は、ふらついているセイリュウ目掛けて直進し…その身体を飲み込ん…

 

 

「っはああぁぁぁぁっ!!!」

 

 

一本残った小太刀を左の鞘に納めたセイリュウが、炎の中から飛び出してきた。

計算か偶然か、バーストモードにて周囲に散っている風が、熱を周囲に散らし逃がしている。

運がいい。だが…左に納まっている刀を抜き放つのなら右で受ければいい。

例え速くとも軌道さえ見えたなら…

 

 

 

「っ!?」

 

 

左腰の小太刀は、セイリュウの『左手』で逆手に抜き放たれた。

抜刀の横薙ぎをまともに受けて硬直した私に向かい、彼女は…

 

 

 

「聖十字っ!!!」

 

 

 

縦の拳を鳩尾目掛けて全力で振りぬいた。

咄嗟にアギトが展開した硬化装甲を一撃で打ち砕き、風を纏った拳が内臓を押し上げるように私を天井に吹き飛ばす。

 

 

 

一瞬、意識が消えた。

 

 

 

次に気付いた時、丁度天井から剥がれ落ちそうになっているところだった。

 

手には何もない。

腰に鞘が残るのみ。

 

なら…

 

鞘を両手で握る。天井から重力にしたがって引き剥がされ、体が自由落下を始める。

 

「見たか…コレがOAシリーズ…っ!」

「知った…事か!!!」

 

ふらつく身体で上を見上げたセイリュウの顔面に向かって、自由落下に合わせて鞘による打ち下ろしを叩き込んだ。

 

鼻先から響く鈍い音と共に、頭から地面に叩きつけられたセイリュウ。

だが、私の方も姿勢を立て直す余裕もなく、ついでとばかりに倒れる彼女の上に墜落する。

 

少しの間をおいて、私は鞘を杖代わりに立ち上がった。

 

『わりぃ、防ぎきれなかった。…大丈夫か?』

「すまん…無理をさせたな。」

『い、いやあたしはいいんだけどよ…』

 

アギトの心配を拭おうと、無理矢理立ち上がり鞘を腰につけながら、思い出す。

古い技で失念していたが、元々アイツはこういうモノを使いこなして戦っていたんだったな。

 

彼女にも抜かれるようでは、奥義まで体得した今の速人達に届く訳も無い…か。

 

しかし…

 

『強かった…な。』

「…あぁ。」

 

無論、生まれたてにしては…と言う話だし、成熟しているとは到底言えなかったが…

 

ふらつく身体をおして戦い、覚悟を決めたそのままにかかってきた姿は正直賞賛に値する。

大した義理がある訳でもあるまいに…

 

「CAシリーズに意識を残しておけなかったのも頷けるな。こんな我の強さで何人も生まれられては事前に対策を施しておいても統制が取れまい。」

 

千切れたレヴァンティンの刀身を集めながら苦笑する。

この馬鹿さ加減が、もし元になった馬鹿二人のせいかと思うと苦笑いしか出てこない。

 

全てを集めた所で、魔力を通して再構成。

幸い、ワイヤー部を引きちぎられただけで刀身を砕かれた訳ではない為大した消費も無く修復は済む。

 

直ったレヴァンティンを鞘に納め、ヴィータ達が向かった先に行こうとして…

 

 

膝から崩れ落ちた。

 

 

咳き込む口元に手を添えると、粘ついた感触が手に広がる。

…血が混じっているな、多少とは言え内臓をやられたか。

戦えない訳でもない…が、下方からの強大な力の反応を見るに、足手まといになりかねない。

 

「すまないアギト、最前線は厳しそうだ。彼女の事も含め一度戻って弓華さんどう動けばいいか指示を。」

『動けばって…ったく!』

 

文句を言いつつも分離してくれるアギト。

素直に従えばとりあえずここで待機する…休む事を察しての事だろう。

 

「大人しく休んどけよっ!」

 

自分も全力を尽くしたろうに、人の心配ばかりして飛んでいくアギトを見送り、私はずたずたになった部屋の壁に背を預けて座り込む。

 

 

『お前たちに力があったなら…お前たちが正しいなら、私達は産まれなかったんだ!!!』

 

 

倒れたセイリュウを見ながら、彼女の言葉を思い返す。

…やれやれ、組織を万能扱いしてくれるのはありがたいが…実際此方も主も不完全な人間の集まりなのだ。

少しはその辺りを察して、できれば素直に力を貸してくれれば…もう少しばかりやりやすいんだがな…

 

正直な話彼女が意固地にならなければ戦う理由自体なかったのではないかと思うと、文字通りの骨折り損に疲れる。

痛む肋骨を押さえながら咳き込んだ私は、ゆっくり目を閉じた。

 

 

 

SIDE OUT

 

 

 

 

 




『私、道具なんだよ!(喜)』…って、結構な変わり者ですね(汗)。
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