なのは+『心のちから』   作:黒影翼

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記録五十二・『イデアシステム破壊組』~英雄の剣~

 

 

 

記録五十二・『イデアシステム破壊組』~英雄の剣~

 

 

 

Side~フォート=トレイア

 

 

 

 

俺は廃棄都市区画に隣接する比較的人の少ない地域、その一角にある…今回俺達担当になった、『イデアシステム研究施設』を見ながら少しばかり呆れる。

 

「襲撃施設がミッドチルダって…地上本部もあるってのに、世も末だ。」

「世も末って言うなら管理局にテロリストが混じってるって話の方がよっぽとでしょ。」

「二人ともそれ位に…」

 

俺が思わず漏らした感想に乗っかるアイシス。

それに続くようにトーマが苦い表情で静止に入る。

 

で、気付く。

 

局の執務官であるティアナさんが苦い表情で俺達を見ていた。

 

俺は単に『ご近所がテロ組織』って状況やだなーって程度の感想だったんだが、管理局としてはそんな程度の話で済ませてハイお終いってわけには行かないんだろう。

否定も出来ずに困ってるティアナさんを見てると少々申し訳ない。今は同じく嵌められてる側な訳だし。

 

「気を使うこたぁねぇよ、俺等を潰しにかかってきて別の問題に今やっと取り掛かってるこいつ等の怠慢だ。」

「貴方達が許されるって訳でも無いんですけど…」

「はいはいそこまで、ヴェイロンはともかく局員の貴女が私より喧嘩っぱやくてどうするの。共闘中でしょ?」

 

局に対していい顔できないだろうヴェイロンとニルにボロボロに言われてますます眉を顰めるティアナさん。

あー…なんて言うかホントごめん。

 

「で、どう攻める気だ?」

 

フェアレの改造に関わっている施設とあって、エフスが張り切っている。

落とすは落とす訳だし、俺だって放置する気は全く無い。

 

けど、攻めるっつっても正規の手順を踏んでる訳じゃない。

襲撃になるなら何回かやってるし俺が…

 

「私が強行するから、ハズレだったら私を逮捕するって名目で入ればいいよ。」

「な、ちょ、勝手に」

 

ティアナさんが止めるのに耳も貸さずに、ニルが射撃魔法を放って扉を破壊する。

勝手にやらなきゃ強行にならないから、気を使ったつもりなんだろうが…

 

「もう乗り込んで証拠漁ってぶっ壊すでいいんじゃないか?どうせ半分以上犯罪者だし。」

「ククッ…とんだヒーローだなオイ、分かりやすくておもしれぇが。」

「あぁもう!…ヴェイロンさん先行願います!ニルに追いついて施設を制圧します!!」

 

やけくそ気味のティアナさんの叫びに応じて、ニルの射撃によって砕かれた扉から俺達は施設内に駆け込んだ。

 

 

 

 

「なっ…何だ!?CAシリーズ!?」

「語るに落ちたな。」

 

入り口付近にたまたまうろついていた研究員っぽい服装の男が、飛び込んだニルによって殴り飛ばされて壁に叩きつけられる。

魔導師相手ですら一撃で殺しかねないくらいのニルが非戦闘員殴り飛ばしたのに若干心配になる。下手したら死んでるぞあのもやし。

 

とは言え、リライヴのクローンがいる程度の話はともかく、『CAシリーズ』として知ってる研究員がいるこの施設。音声だけとは言え、ニルの呟いた通り語るに落ちたと言っていい。

 

先に入ったニルと並走するように先行してるヴェイロンがディバイダーを抜いて、エネルギー弾を放とうとする中、ティアナさんが声をかける。

 

「死なせないように!出来なきゃサボってなさい!」

「ちっ…言ってくれる。」

 

絶対にやれではなく、出来ないならサボれと言われれば、実戦経験積んでる身なら簡単に引っ込めない。

 

通路に何人かいる人を、戦力なのか研究員なのかに拘らずに適度に加減して撃ちこむヴェイロン。

それで吹っとんで転がる程度の連中なら、戦闘員でも戦力とは呼べないだろう。

 

「っらぁ!」

 

と、通路の脇から護衛役か飛び出してきたごろつきのような服装の男が俺に向かって杖を振り下ろしてくる。

ごろつきらしく戦力外もいいとこで、かわして手にした剣の峰で顔面を殴る。

あ、鼻の骨折れたっぽい。結構加減したんだが…

 

「さすがに硬いなコレ。」

 

俺は手にした剣の感触とコイツを託された意味を思い返した。

 

 

 

 

 

「フォート、コレ持って行け。」

 

出撃前に速人に投げ渡された一振りの剣。

普段俺が片手剣を使っている時のサイズより一回りほど細いそれは、そのくせやたら硬かった。

指先で横から軽く叩くとこっちの指が痛くなる。音もまともに響かない所を見る限り、まともに振動をこの剣の金属に伝える事もできてないんだろう。

 

「俺の禍喰乃太刀と同じ素材、オリハルコンで出来ている剣だ。」

「それ空想金属じゃねぇか。」

「ヒーローの剣の素材と言ったらコレだろ。新素材だし、名前は必要だしな。」

 

『教材』として少しゲームも見せられたか少しは無駄知識もあって知ってる。

見せられたゲームじゃ魔法と剣を併用するような主人公装備で使われてたな。

 

「ただの洒落でつけた名前じゃない。リライヴやユーリが全力で横から叩いても壊れない強度と、物理的な力以外のあらゆる力を蓄積放出する性質を持つ。力の蓄積放出が影響してるのかディバイドによる分断破壊も出来ない。」

「おいおい…どっからそんな代物が沸いて来るんだよ。」

 

本気で名前がぴったりの効果に手にした剣を見ながら若干引く。

 

「沸いては来ないさ。加工がとんでもなく大変で、俺が寝てる間にリライヴが用意しといてくれたんだが、それでも俺の刀とその剣の二本しか作れなかった。」

「そんな希少品を俺が使っていいのか?」

 

基本難題ばっか投げられてた身としていきなり待遇激変したようでちょっと気分がついていかない。

 

「フォースドライブで勢いよく魔力消費するお前が武器の再構成にまで魔力消費してたらあっという間に枯れるからな。それに…」

「それに?」

「オリハルコンの剣はヒーロー用だ、お前の方が装備に並べ。」

 

明るく言う速人。

まぁ…だよな。厚遇するかはともかく、楽になる事なんて速人が俺に薦める訳がない。

コレやるから同じだけ役に立って来いって事か、上等だ。

 

「終わったら手伝いに行ってやるよ。」

「言ってろ馬鹿弟子。」

 

 

 

 

約束を思い出して小さく笑う。

 

「とっとと片付けないとな。」

 

少しの物思いを終わらせ、現状に意識を向ける。

CAシリーズがうじゃうじゃうろついてたりするような状況を想定してたんだが、敵の質がコレだけ悪いなら尚更時間かけてられない。

 

ちょっと駆け足を速めてヴェイロン達に並ぶと同時に飛び出してきた、蜘蛛のような多足機械が出てきたので斬りかかる。

すさまじく硬い金属と言っても、鉄だろうと木だろうと棒で殴って折れないなら大体近い威力になるのと同様で、同じ鋭さの刃で斬れない強度のものなら斬れない。

硬い分刃自体を鋭く作れるだろうけど、加工そのものが大変な金属を使ってるからか倭刀程は鋭くなく、蜘蛛機械にめり込んで止まる俺の剣。

 

でも、ますます納得は出来た。

この状態が魔力も何も要らずに維持できるなら、俺にとっては折れては作り直すより質がいいし、高位魔導師が魔力刃を精製するよりは質が悪い。

 

めり込んだ部分から煙を噴いて止まるのを確認した所で、俺は再び先頭の一団について駆け出した。

 

「地下がある。隠し壁の中から下ればいいようだ。」

 

施設の制圧にかけ周りながら、周囲の分析に勤めていたらしいエフスが俺達全員にマップを渡してくる。

地下の状態までは載ってないが、地下への入り口っぽい空間の記載があった。

しかし、壁の中から行くような感じになってるな。まともな通路がないって事は狭い上に罠を仕掛けられたら回避するスペースも無いって事になる。

 

「真下にぶち抜くか?」

「私がやります。」

 

普通に行く必要がないと言わんばかりにヴェイロンが案を出すが、ティアナさんがソレを制して砲撃準備を始める。

 

 

「クロスファイア…シュート!!!」

 

 

魔力弾の発射体を纏める事で形成されたティアナさんの砲撃魔法は、床に対して斜めに放たれ、綺麗に坂道をくり抜くように通路を作る。

 

「ほぉ…」

「お見事。無理して地下を埋めたら、下の人全滅しちゃうからね。」

 

傍にいたヴェイロンとニルが感心する声を上げる。

砲撃で空けた穴の周囲にあまり罅割れが伝染してないし、丁度通るのに都合のいいサイズの穴だ、結構な技術なんだろう。

 

上に目立ったものが無いのは、地下から別路でも引いて脱出でも出来るようにしてあるのか、それともいざって時に施設丸ごと消滅させるためか…何にしても、急がないといけない。

 

開いた穴から降りて、斜め下に続く階段を今まで通りニルとヴェイロンが戦闘突っ走って下っていき…

 

 

「っ、ヴェイロン分断!」

「命令すんじゃねぇ!」

 

 

ニルがヴェイロンに声をかけ防御魔法を展開すると同時、その障壁の前方に魔力分断用の障壁を重ねるヴェイロン。

直後、二羽の炎の鳥が二人の展開した障壁に直撃した。

 

さすがに分断とニルの障壁だけあって防ぐは防げたが、通路が燃えて熱が上ってくる。

 

元々熱は上に伝わるもんだし、下り坂のここで張ってやがったのか。

 

 

「死にたくなければ引け、次は無い。」

 

 

先の見えない暗がりからゆっくり階段を上がってきたスザクが、短く一言だけ告げて手にした武器を構えた。

 

 

 

Side~ニル

 

 

 

「…しょうがない、一度引いておいたほうがいい。」

「は!?いきなり何を」

 

私が切り出した提案にティアナが驚いて抗議の声を漏らす。そんな中、私はスザクが手にしている武装を指差した。

発射口のついた砲のような武装。その中身。

 

「あれ、強可燃物。爆薬の爆発はアイシスが防げても、炎熱変換で直接火をつけられたらこの通路纏めて燃え溶けるよ。防御で耐えても息できないし。」

 

透視って訳じゃないけど、認識分析系の魔法で分析した中身。

ヴェイロンが装備してるクローグラブに搭載されているものと同等の強可燃物。

トーマの腕が焦げる以上、そんなもの噴出されて着火されたらこんな通路一瞬で終わる。

感染者のヴェイロンとトーマ、聖王の鎧の擬似を持つらしいエフスは持ち堪えても、真人間が防御魔法だけでどうこう出来るものじゃない。

 

 

ただ…スザク自身も無事で済む保障はない。

 

 

尤も、だからこそ交渉に顔出してくれたんだろうけど。

 

「っ…」

 

少し逡巡するティアナだったけれど、フォートとアイシスを見て踵を返す。

通路丸ごと燃え溶ければ、攻撃魔法を防御するなんて話じゃ終わらないんだから。

 

「賢明だ。」

 

一応指揮を任されてるティアナが踵を返したのと、全員の命がかかった話と言う事もあって、戸惑いながらも皆それに習って引き返し始め…

 

 

 

「凍て付け!!!」

 

 

 

私は皆と距離が少し離れた所で、通路を遮断するように氷結魔法を放った。

 

「貴様…っ!」

「命がけなら初手で撃つべきだったね。」

 

氷だろうと、道を塞いでいる間は可燃物の『散布』が出来ない。

今スザクが可燃物を放って通路を焼いても、氷は解けても私と相打ちが限界だ。

 

『ちょ、何考えて』

『コイツは私『達』が引き受ける、貴女達は別に道作って行って。』

 

スザクを引き受ける旨だけをティアナに伝えて、私はスザクに集中する。

逃がして別ルートで張られたら厄介だ、今度はさすがに自殺覚悟で宣告もなしに撃って来る事だろう。

 

「私…達?」

「通信傍受ね。分かってたから短く済ませたんだけど…ねっ!」

『はい!!!』

 

困惑するスザクを前に、中の彼女と同時に種明かしに入る。

わざわざユニゾン状態の上から軽い変身魔法で彩色していつもの色にしていた服を、変身を解除する事であらわにした。

灰色を基調にしていたドレスは少し明るいものになり、髪は少しだけ青みがかる。

 

ユニゾンしている彼女…リインのメインカラーが混ざっている感じだ。

 

「デバイス置いてきた私の見張りと戦力補強の為に着いて来てくれたんだ。自棄起こして死なないように見張る意味もあるらしいけどね。」

「味方にまで自殺志願者扱いされているような奴が何故こんな…」

 

歯軋りが聞こえてきそうな強張った表情で、手にした強可燃物を放つ砲を投げ捨てるスザク。

私とリイン相手だけに捨て身なんてする気はないから手放したんだろうけど、可燃物の取り扱いとして放り投げるってどうなのやら。

 

「…ま、優秀な執務官とヒーローが一仕事終えるまで、ちょっと遊んで行きなよ。」

「付き合って…いられるか!!」

 

炎剣を抜いたスザクが飛び掛ってくる中、私は格闘の構えを取った。

 

 

 

Side~ティアナ=ランスター

 

 

 

OAシリーズの一人をその旧作の身で引き受けたニル。

敵を欺くにはまず味方から…って事で、私達の足を止めないためにこんな真似をしたんだろうけれど、時間稼ぎならいざ知らず勝利は困難なはずだ。

 

「他に穴開けられそうな程薄い場所あるか?」

「今の所見つけたのはこの下り坂だけだ。」

 

フォートが地形検索を主について回っているエフスに聞いてみるが、予想通りエフスからは否定の声。

 

「地下から別に脱出路は用意しているだろうが…一旦出てソレを探すのは」

「そんな暇無いわね、ここから下に抜きましょう。」

 

エフスの説明を遮って宣言すると同時に私は下り坂に向かってクロスミラージュを構える。

崩落や、地下の人の状況がちょっと心配ではあるけれど、命の危険と言うなら既にニルが危ない。

幸い、私達が完全に下り坂から抜けられないように、深くで張っていたスザク。その分下の空間までの距離は近くなっている。

 

とは言っても、クロスファイアじゃ無理だ、なら…

 

「ティア姉、それ…」

「貫通特化に調整して撃つから…何とかなるでしょ!」

「俺より管理局のが無茶苦茶じゃん。」

 

トーマとフォートの呆れ声を無視して、私は魔法の準備を終える。

 

 

 

「スターライト…ブレイカーっ!!!」

 

 

 

威力だけなら私最強の、性質上なのはさんとも撃ちあえる手札。

そんなに戦闘も無かった為魔力も少なかったが、かえって丁度いい威力で下り坂に大穴が開いた。

 

降りた所が丁度大部屋になっている。…丁度いいわね。

 

「エフスはここから誰も逃がさないように見張りつつ地形検索、脱出口があれば報告して。私達は散開して被験者保護、証拠品の押収と施設の破壊。強敵遭遇したら連絡。トーマはアイシスと一緒に。」

「OK!」

「「了解!」」

 

 

強敵が上にいなかったのと、絶対に誰も逃がせない施設なのを考慮して散開を選択する。

危険はあるけど、誰も彼も別に弱くはない。むしろ、単騎なら私が一番気をつけたほうがいいくらいだ。

対感染者用にオクスタンも持ってきてるけど、キツイようならちゃんと皆を頼らないと。

 

とは言え、まさか施設内にそれなりの戦力を抱えた状態であのスザクを捨て身に使うとは思えない。

 

別々に通路に飛び込むと同時、一応の戦力として置かれているらしい機兵が槍だの銃だのを手にこっちに向けてくる。

 

 

クロスミラージュを両手に集中…そして…

 

 

近接機兵のカメラアイと銃火器機兵の銃口、その全てを撃ちぬいた。

いつか映像教材で見たクイックドロウ…五体くらいならもうどうとでもできるわね。

 

近場の部屋を開いて確認、慌ててもぬけの殻にしたかのような様子があった。

まだ近場にいるかもしれない。人の反応は…

 

近隣を探っていると、エフスから長い通路の情報が届いた。

丁度今私がいる場所から近い。

他の皆は行き止まりがある箇所に散っている、一番近い私が向かうべきだ。

 

他は全て行き止まりになってる以上、この長い通路が外と繋がる道だ。

扉を開いて飛び込むと、丁度車両が動き出した。

このまま走っていって外に出れるようにでも設計されているんだろう。

間に合ってよかった。

 

クロスミラージュを構え、車両のマフラー目掛けて狙撃。

 

煙を上げてコントロールを失った車両が止まるのを確認しつつダッシュ。

車から降りだした人達に向けてクロスミラージュを向けて魔力を溜める。

 

制止して、止まるようなら捕縛しようかとも思ったけれど、拘束具もなければ拘束権がちゃんとでているわけでもなく、他にも内部の人間や資料を運ばなければならない事を考えると…気絶させたほうが早い。

 

ちょっと悪い気もしたけれど、こんな場所の研究員相手に遠慮する必要は無いと判断して、全員昏倒させる。

 

車両の走った跡は見る限りこの一台分。

後はここから誰も逃がさず内部の人の救助、施設の破壊などを済ませれば…

 

 

 

…なんだか、いい匂いがする。

 

 

 

咄嗟に薬を警戒して息を止めるも、特に軽快すべき成分は検出されない。

一体コレは…

 

「貴方…は…っ!!!」

 

いつの間にか現れた人影に向かってオクスタンを抜いて…

 

 

 

意識が途絶えた。

 

 

 

Side~フォート=トレイア

 

 

 

エフスから送られてきた地図を見る限り、ティアナさんが向かった方が脱出口っぽかった。

連絡は強敵が現れたりしたらって話だったので、俺はとりあえず近場の仕事を済ませる事にした。

 

手術室みたいな奇妙な部屋にいくつものコンピュータが置いてあるこの部屋の殲滅を。

資料は誰に漏れても困るため、技術関連以外だけを証拠にするらしい。

リベリオンのカメラ機能を使って、俺の見てるものをそのまま記録する。

こうしておけば後から人体実験やってたって証拠にはなるだろう。細かい技術情報は残せないから…

 

「とりあえず派手にぶっ壊すか。」

 

事前に受け取っておいた爆弾と薬剤をプットアウト。

感染者に聞くほどの火力はないが、機材や資料を誰にも確認できない状態に変えるには丁度いい。ただ適当に魔力弾を乱射しても資料の破片とか残るかも知れないし。

 

剣で棚の書類なんかを棚ごとぶった切ってバラバラとした破片に変える。

機材やなんかも出来るだけ壊した状態にして、薬剤を撒いて部屋を出る。

そして、外から部屋に爆弾を放り投げて扉を閉めた。

 

扉が閉まり、直後爆発。

 

「うぉ!」

 

扉が変形して内から少し火が漏れてきた。

あの馬鹿、あくまで書類や機材の破壊用だから其処まで威力無いっつってた癖に何だこれ。

 

きちんと資料を消さなきゃならない事を考えるとちゃんと威力あったほうがいいんだろうけど、威力あるならあるでそう言っとけっての。

 

「…ん?」

 

なんとなく、違和感。

ティアナさんが向かった方から。

音や魔力の反応がするのしないの、正直詳細が完璧に分かるほど鋭いって訳じゃない、ただの感。

でも、様子を見に行く程度なら別に問題ないと思い、足を向ける。

 

「どうした?」

「ティアナさんは?」

「特に戻っては無いが…」

 

分かれた大部屋まで戻って来て、エフスにティアナさんを知らないか聞いてみるが、やっぱり戻った様子は無いらしい。

念話は敵が多分傍受できるし、直接様子を見に行こうかと思って…

 

 

 

ティアナさんが、丁度そこに戻ってきた。

 

 

 

「戻ってきたな、退路らしい道はどう」

「はっ!」

 

エフスが話しかける中、俺はティアナさんに峰打ちで斬りかかった。

が、右の銃から伸びた魔力刃に防がれる。

 

左手の銃を抜き打ちで胸元を撃たれるが、咄嗟に左手の盾で受けてバックステップ。

魔力値が教官達程の化物で無くたってやっぱ腕はいいな。

 

「何を」

「アイシスと同じ目だ、洗脳されてる。」

 

驚くエフスに短く答える。

元々嫌な予感がして顔を出した為、ちょっと想定してたけど、退路を塞いでるなら俺達に他全部潰して回ってから集合かけるなりしないと誰かに逃げ出される可能性がある。

それなのに何の連絡もなしに顔を出したティアナさん。よく見てみれば怪しい目。

 

エフスも薊達と長くいたから、言われて見直せば気付いたのだろう。

 

「…成程、よく気付くな。」

「希望を持って修行した事無かったからろくでもない事態に察しがいいのかもな。」

 

女性洗脳ってなると、遊の奴がどっかにいたか来たか…とにかくアイシスやニルにあわせるわけにはいかない。とりあえずサクッと気絶させて遊の奴まで止める。

 

俺はエフスと並んで、剣を構えた。

 

験担ぎだろうけど、このオリハルコンの剣もアイツに託されたヒーローの証。

皆無事に帰れなきゃな。

 

 

 

SIDE OUT

 

 

 




対人相手だと折角の剣が折れない金属棒と化してしまう不殺戦(笑)。
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