なのは+『心のちから』   作:黒影翼

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閉じた記録、残されぬ秘録

 

 

 

閉じた記録、残されぬ秘録

 

 

 

『管理世界を震撼させたテロリスト集団龍の存在発覚から現在まで、その殲滅が進められる中、現在までにほぼ全ての管理外世界との交渉を済ませ、その捜査及び殲滅への協力を取り付ける事に成功しました。大小全ての把握が困難な龍の構成員を徹底排除すべく、管理局では現在予算編成、法案の議決等を』

 

淡々とした口調で語られるニュース番組を切って、椅子の背に体重を預ける。

 

まぁ…表沙汰にできるのはこんなものだろう。

 

 

エクリプスウイルスの発見を発端とした一連の事件は、様々な思惑、人々を巻き込みつつ幕を閉じた。

 

龍と呼ばれているテロリスト集団及び、彼等が戦力や情報を掻き集めるために世界各地の犯罪組織に紛れ込ませている構成員の壊滅の為、地球の国際警察部隊と管理局の交渉の末、『次元警防部隊』が設立される。

 

何処かの世界、国家の味方とならないために龍の殲滅含め、今回のエクリプスのような通常の海の部隊ですら扱わない凶悪案件にだけ使用される事が条件な代わり、動くとなったら管理世界内外問わずで動く危険な部隊。

 

あらゆる事柄に対して動くことが可能な代わり、戦争のように『奪ったものを得る』と言う事を基本許可されていない。

こうする事によって、力任せに動く事によって利益を得る事が出来ない部隊となっているため、秩序の為にしか動けない部隊となっている。

 

構成員に元フッケバインのメンバーが組み込まれたりと、設立から運用まで危険な経緯を持つ部隊であり、また、何処の世界にも所属しないと言う性質上、管理局下という扱いでもない為、一般には存在自体非公開である。

 

事と次第によっては管理局の闇すら屠る為に動くという事もあって、今回の一件でも彼等の手によって処罰を受ける対象として、幾人かの局高官が逮捕されている。

 

廃艦されたはずのアースラを英雄、高町速人一行に横流ししていたクロノ=ハラオウン提督に関しては、彼等と事前に対話をなして局内潜伏の脅威を排除するとの判断の元の行動とされたものの、『そもそも耐用年数を過ぎている代物を使用させた』と言う管理面での指摘を受けてプラマイゼロのような扱いになった。

当人は処罰なら処罰で受ける覚悟は十二分にしていたが、単なる『若手の英雄』を嫌う古参の確執がこじれたような微妙な結果に、かえって局内の問題が残っているんじゃないかと苦い顔をしていた。

 

エクリプスの関連の主犯として、今度こそ完全に証拠も提示できたハーディスは、彼との交戦の結果把握されていた力の全てを失っていた。

肉の塊と化した左腕もそのままで残り、エクリプスに関する力の一切を失って完全にただの人間となっているようだった。

潔いと言う訳でも無いんだろうけれど、計画が完全に潰れた今抵抗する理由もないのか、ただ大人しく罪人としての日々を送っている。

 

局内部の龍の手引きでいつの間にか組み込まれていたOAシリーズ達は監視対象となったものの、ごたごたの結果混乱極まる局内の最高クラスの戦力として働く事となった。

強制的に組み込まれた知識、保有魔法の量、その出力や精度など、普通の部隊がかすんで見える彼女達だけれど、常識や感性の面で少々ずれているため、監督役無しではしばらく動かせそうに無いらしい。

 

氷村親子の扱いについては…一番の難題となった。

氷村遊に関して殺害と決定している夜の一族の方々に対して、遊の命さえ保障されればなんでもすると懇願する薊。

氷村遊自体は人間…と言うか、この状況を作った月村家や地球の人間を未だに憎んでいるようだったが、一方で自身の為に身を粉にしている薊には心を動かされたようで、ただ沈黙を続けていた。

管理局としては、更生の余地がある薊の将来まで閉ざしかねない為、遊を終身刑とする案を出していて、次元警防部隊はこの一件には関わらないスタンスの為、立場的に夜の一族が押されている。

また、月村雫を中心に一部が薊の味方につくと明言している為、そのうち遊の身柄については局での逮捕に確定することになりそうである。

 

 

 

検索魔法で手当たり次第に集めた関連情報を纏め終え、一通りの確認が済んだ所で僕はその『憎悪の種事件』の書を閉じて棚に収める。

 

一般はおろか、非常時以外局員でも閲覧が禁じられる区域。

局内外の問題の秘匿と言う意味もあるけれど、エクリプスに関する技術をこれ以上あちこちに回される訳には行かないから。

とは言え、一般企業にもそれなりに対策研究なんか行って貰っていた関係もあって、全て技術をなかった事にとは行かない。

 

 

それでも…『封じなければならない』わけがある。

 

 

憎悪の種事件の本をしまい、散っている残った文献を掻き集めた僕は…

 

 

 

 

結界の中で、それらを火にかけた。

 

 

 

炎に飲まれて消えていくのは、英雄の本当の活動履歴。

この戦いの本当の理由で、世界に残せない伏せられた真実と戦い。

 

 

…まぁ、今更だ。

 

 

きっと、現代に伝わっている話だって捻じ曲がった真実の一つや二つあるだろう。

意図的に消し去るのに少し思う所が無い訳でもないけれど、これを未来に…人の手に残しておくほうが不安だっていう見解は僕にだってよく分かる。

 

 

未来を繋ぐために未来に残せないものもあるんだ。

 

 

真実を知る数少ない身の一人として、せめて今だけはと、燃え盛る資料を見張る間に

、今回の事件を思い返す事にした。

 

 

 

 

 




という訳で…もうちょっとだけつ(以下略)
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