なのは+『心のちから』   作:黒影翼

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余録・道具からの脱却

 

 

 

余録・道具からの脱却

 

 

 

Side~スザク

 

 

町の中、私はただ宛てもなく彷徨っていた。

 

 

…宛てもなく。

 

 

当たり前だ、そんなものある訳がない。

 

 

捨てられた道具に場所などある訳がない。

 

私は目を閉じて、先の情景を反芻する。

 

 

 

 

 

 

「な…なんだよっそれは!!!」

 

突きつけられた現実が理解できないと言わんばかりに机に両手を叩きつけて叫ぶセイリュウ。

対して、彼…クロノ提督は冷めた表情のままで繰り返した。

 

「君達は解雇する。ただそのままの意味だ。」

 

局員として登録自体はされていて、事の全てを終え未だ健在であったなら管理局員として治安維持の為の戦力とされる予定だった私達OAシリーズ。

しかし、告げられたのは解雇などと言う言葉だった。

 

「…セイリュウじゃありませんが、確かに意味が分かりませんね。罪状を突きつけるのなら、解雇ではなく逮捕でしょう?そして、それを避ける為にランド少将は負わなくても良い責も負って我々の手綱を貴方に握らせたはずです。資格試験であれば正規に取得する能力はありますが?」

 

あくまでも冷静を装って言葉を紡ぐのはゲンブ。

だが、何処か舌が弾んでいるのはきっと動揺のせいだろう。

 

「資格を剥奪するわけじゃないが、此方もバタバタしている。再度局員になろうというのなら一月ほどしてから話を通してくれ。」

 

結局、一方的にそれだけ告げられて、私達は局を出た。

 

 

 

 

 

確かに正規に就職できているわけではないのだが、大した無茶振りだ。

一応雇い手の都合と言う事でそれなりの金額を貰ってはいるから、借りるだけなら家を借りる事も出来なくもないが…

 

 

「まるで浮浪者だな。」

 

 

呟いて目を開く。

空の青さに心が洗われるなどと言う事もなく、かえって現状を突きつけられるようで虚しかった。

 

 

する事がない。

 

 

この世界を襲う危機に対する力として生み出されたOAシリーズ。

だが、その『危機』には高町速人やオリジナルが立ち向かう事になり、我等は自身が使用している強化用の融合素体をオリジナルに預けただけになった。

何もする事なく世界は危機から救われ、後は…

 

どうしろと言うのか。

 

こんな力で大会にでも出ようものならレギュレーション違反もいい所だ。

地道に力をつけて切磋琢磨とやらをしている所に化物を放り込むような物だ、邪魔極まりない。

普通の企業にしたってそうだ。こんな物がたまたま協力した企業だけが潤えば…逆に言えばライバル会社にとっては良い迷惑になる。

 

何も出来はしない。していい訳がない。

だからこそ平和、治安維持の為に使われるべき存在だと言うのに…

 

 

 

 

 

 

呆けて空を眺めている間にいつの間にか眠っていたらしく、目を開くと夜になっていた。

存在が存在だけに一応警戒の為の感知魔法をかけてはおいたが、それに人の接近を感知したためだ。

 

「ようお嬢ちゃん、こんな所で何してんの?」

「暇してんなら俺らと遊ばね?」

 

よってきたのは20前後、未成年か青年か位の二人の男子だった。

 

一般人に通報されるのを避けるためにあえて人波を外れたベンチに腰掛けていたせいか、どうやらそういう所にたむろする類の不良に見つかったようだ。

 

これでも20代後半…と思ったが、リライヴの細胞を使用していると言うだけで、生まれてからの年数だけの話をするならお嬢ちゃんどころか赤子である事に気付いて自嘲気味に笑う。

 

目つきが悪く、しまりのない表情を見ている限り、歳相応の下心を満たすために丁度よく見つけた一人座っている女を見つけて声をかけた…と言う所だろう。

 

 

「別に構わないんだが…」

 

 

自棄になって…とかではなく、存在価値のないまま呆然としているよりは、道具としては使う気のある人の足しになる方がまだいいと言うだけの話。

だが…

 

私は単発の誘導弾を形成して放つ。

 

彼らの傍を通り過ぎるようにして背後の木に着弾した低威力の魔力弾が破裂音だけを響かせる。

振り返った彼らは、木に隠れていた人影に気付いた。

 

「公僕に捕まりたくなければなかった事にして帰っておいたほうがいい。」

「げ…」

 

私の言葉にあからさまに嫌な顔をした二人は、早足で去っていった。

その背をちらりと見送る、木の陰から出てきた局員。

確かチンク=ナカジマとか言う、八神関係者の一人だったはずだ。

特務六課がらみの人間の簡易データは事前に一通り把握していたから覚えている。

 

「気付いていて無視していたのか。」

「見張られた所で別に隠す事もないからな。眠っている人間の見張りなどと言う無駄な時間を過ごさせたのは悪かったがな。」

 

さすがに無条件で放置されるとも思っていなかったし、これでもあのリライヴをオリジナルとした身だ、余程隠蔽技術に長けている者でなければ追跡者の反応くらい感知可能だ。

 

「しかし、こんな辺鄙なベンチで眠っているのはどうなんだ?家賃程度は持っているはずだろう?」

 

呆れた様子の彼女。

だが、正直此方から苦情の一つも言いたかった。

 

「…私達は道具、使用用途を以って造られたモノだ。放り出されたはいいがする事もない。」

「やれやれ…」

 

呆れながら私の腕をつかむチンク。

彼女がひっぱるままに私はベンチを立ち上がる。

 

「そんなだから、お前達を町に放したんだ。私達は罪状があって更生施設で教育を受けたが、お前達は逮捕にならなかったからな。」

「…そう言えばお前達は元犯罪者だったか。」

 

馬鹿にする気ではなかったが、思ったことをそのまま口走ってしまい気を悪くさせたかと思う。が、当の彼女は私の懸念を余所に、振り返ると笑みを見せた。

 

「元人形の先輩として、お前が人間になるまで付き合おう。」

 

意気揚々と人の手を引く彼女だったが、拒む理由も特に無かったので付き従う事にした。

 

 

 

 

 

 

で、引き連れられた結果…

 

「揃いも揃って…」

 

私を見たノーヴェが額を押さえて呟く。

少しはその気持ちが分かる気がした。

 

何しろ、見張りを任されたのが全員彼女等ナカジマ家の面々だったせいか否かは知らないが、ゲンブもビャッコも見事に揃っていたのだ。

 

 

「迷惑になるなら出るが、する事なく外にいたせいで引き連れられたのだ。呆れられてもどうしようもない。」

「どちらにしても世話をかけたのですから御礼から入るべきでしょう、スザク。」

 

 

勝手知ったると言わんばかりに座った席でティーカップを傾けるゲンブ。

その有様で礼も何もあるか。

 

「お前達は何で連れてこられたんだ?」

当然放置できない有様だったから連れてこられたのだろうとは分かるのだが、揃いも揃って一体何をしたのか。

 

「ゲームセンターに居座ってたら引きずってこられた。」

「海中に氷結魔法で空間を作って隠れていようかと思ったのですが飛び込んだ所で捕まりました。」

「…頼む、こいつらと一緒にするな。」

 

私は額を抑えて心の底から呟きを漏らした。

OAシリーズとしてあまりに情けないビャッコの回答に、どう考えても捕まるだろうゲンブの滅茶苦茶。

私が最後になったのは、私が一番マシだったからだと思いたい。

 

「大体何故家位借りないんだ?」

「『堕天使』については多少なり放送されている。隔離施設や離れの一軒家ならともかく、低価格の…集合住宅前提の家になど住める訳がない。」

「あぁ…一応はそんな理由があったのか。」

「この馬鹿は知らんが。」

 

ある意味当たり前とも思われるチンクの質問に答え、よりにもよって人波のど真ん中に向かって遊び倒していたらしいビャッコを軽く睨む。

 

ベースとなったリライヴと殆ど大差ない姿に、変換資質を加えた調整によって髪色や魔力光に多少の違いがある程度の私達が街中を堂々としていては、町民も心中穏やかではないだろう。

何しろあのデッドコピーが感染者を追いまわして各地で殺傷兵器や大魔法を使って来たのだ。

本物もJS事件まで危険人物なのを高町速人管理下に置いただけだし、一般人としてはこんな我々がうろついていては落ち着くまい。

 

だが、当のビャッコはソファに思いっきり背を預けてあくびをした。

 

「今更いいでしょ別に。どうせオリジナルだって釈放されてるんだし。」

「だな。騒がれるかもしれんが別に手配されている訳じゃねぇ、生きるのに不都合な生活までする事はねぇさ。」

 

ビャッコの適当な発言に、よりにもよってゲンヤさんが賛同してしまう。

星斬りの結果『白い堕天使』等と称されるようになったあのリライヴをオリジナルとした我等が街中をうろついている光景が普通であっていいのか甚だ疑問だが、公務員の彼があっさりこんな事を承諾してしまうと反論も出来ない。

一般人にしてみれば戦車や爆弾が町を彷徨っているような物だろうに。

 

「しかし、ビャッコが問題ないというなら何故連れて来られたんだ?」

「ゲーセンで10万使い倒すような常識知らず放っておけるか?」

「…なるほど。」

 

街中にいてもいいなら問題なかったのではないかと思ったが、ノーヴェの回答に納得がいった。常識外れた行動が原因なのは変わらなかったらしい。

生活費他どうする気なんだこいつは…

 

「私達も一人で決めた訳ではないからな、手伝うから先の事をきちんと考えるといい。」

 

チンクの言葉に、JS事件に関わっていたらしいメンバーが頷いて同意を示す。

…仕事でもないだろうにわざわざ私達を連れ込んだのには自分達の経歴もあったという訳か。

 

 

確かに、特に目的があるわけではない。

だが、自殺志願者の如く捨て身でかかってきたニルの事を思い出すと、捨て鉢にもなれず、結局大人しく彼女達の指示に従う事になった。

 

 

 

 

 

 

それから数日。

それぞれに仕事のある局員の彼女達に対して、私達はする事もないので家事を捌いてする事もなく生活しているしかない日々を過ごす。

 

時間を無為にしているが…一般常識に関しては『データ』として持っているし、そういう問題ではないのだ。

 

ビャッコとゲンブはそれぞれに出かけて何かをしているようだったが、私は特に何も思いつかず…

 

休日に、チンクとウェンディに引き連れられて町に出てきていた。

 

「夢、仕事、目標って段階ですらないからな、お前は。」

「人生楽しむとこからッスね!」

 

先導する二人の言葉は、何を言い返せるものでもなかった。

確かに夢も仕事も目標もなく、楽しみを求めている訳でもない。

 

 

あのリライヴの力が、制御不能、無秩序に欲求通りに動く事を避ける為の弊害。

 

やりたい事が出来てしまえば、全力を振り絞り命がけで戦う事が出来なくなる。最悪、その欲求に従って星すら切り裂くこの魔力を振るえば生きた災害となるだけ。

 

だったら話は簡単だ、望みがなければいい。

 

ここ数日、彼女達と食卓を囲んで何の気なしに番組を眺めている時間は心穏やかな物だったから、根こそぎ全てを破壊された訳ではないのだろう。

けれど、調整程度にはなくしている欲求…心。

 

器の中身が空なのは埋められるかもしれないが、心そのものが希薄な状態で何かを見つける事な

 

 

「っ!?」

 

 

突然、顔面を覆うやわらかい感触。冷たさがゆっくりと伝わってくる。

反射的に下がると、胸元に何かが当たって落ちた。

 

口に入った甘く冷たい感触から、ソフトクリームを顔面にぶつけられたのだと察する。

しかもチョコレートだ。茶色に汚れた服は普通のソフトと違って洗うのが少し手間だ。

目元だけ親指で拭い、犯人であるウェンディを睨む。

 

「何のつもりだ?」

「そりゃこっちの台詞ッスよ、天下無敵の強化堕天使さん。遊びに来てるのにこんな一撃あっさり食らうくらい考えこんで何やってんすか。」

「む…」

 

返す言葉が無かった。今のが銃弾なら死んでいただろう。

口を噤んだ私を見て、ウェンディは楽しそうに笑う。

 

「けど、怒るって事は無感動って訳じゃないって証拠ッスよ。楽しい事もこの調子で探してくッス。」

「それを試すのはいいが、食べ物を粗末にするものじゃない。」

「はーい。」

 

チンクに注意されて素直に反省するウェンディ。

してやられた…な、まったく。

 

 

 

 

その後も策略と言うべきか、遊び回りながら、着替えを新調する為に服屋に入れば自宅警備員と書かれた茶色一色の服を薦められたり、食事に入れば正体不明の深海魚の姿焼きを薦められたりと、『なんでもいい』と言い辛い状況を作られ続けた。

荒療治だと思わなくも無かったが、居候の上進路も選べていない状態ではそれに文句も言えず、選択を繰り返す。

 

家にいるよりは経験になるのかも知れないが…

 

「何と言うか、楽しむというより必死で喰らいついてるって感じだな…」

 

苦笑いのチンクが告げる通り、どうにも無理をしている感が抜けなかった。

 

「まぁ初めはこんなもんでもしょーがないッスかねぇ。」

「…そうだな、少なくとも深海魚を食して妙なシャツでうろつくのは望んでない事は分かった、一応収穫だろう。」

 

多分余程奇特な趣味でもない限り誰でも嫌だろうが。

少しずつでもこうして行く先を絞ることが出来れば…

 

そんな気で休日を楽しむ二人に付き添って試行錯誤を重ねていると、泣いている子供を見つけた。

 

「…どうした?」

「ママが…ママがいなくなっちゃったの!」

 

よくよく話を聞いてみると、迷子だと言う事は分かったのだが…

その迷子のなり方が問題だった。

バーゲンか何かに急いでいたらしい母親が飛び乗った車両についていけずに置いてけぼりになったというのだ。

 

ショッピングモール内などなら放送一つで済む話だが、町規模での迷子となると、放送と言う訳にも行かない。下手をするとニュースに顔と名前を出しての捜索になるらしい。

 

「仕方ないッスね、とりあえず局に連絡」

「任せろ。」

「何?」

 

こんな細事でも『お巡りさん』足ろうとする二人が局に連絡を繋ごうとするのを止めて、私は迷子の子から髪を一本取った。

 

そして、念話を繋ぐ。

 

『…貴女のお子様をお預かりしています、連れて行きますので聞こえたら現在地をお答え下さい。』

「え?え?何?」

「あぁ、君はいい。少し待っていてくれ。」

 

迷子が届いている念話に困惑する中、私は呼びかけを繰り返しつつ念話を制御する。

私達CA、OAシリーズが各所で生産されても連絡が可能なように、個体識別でなく遺伝子単位で繋ぐようにした念話。

親子となると応用にはなるし、遺伝で繋いでいるため傍らの迷子本人にも聞こえてしまっているが、特に問題はない。

 

しばらくして、子供の言う通りバーゲンにつられて突っ走った事を後悔した母親からの焦った声が返って来た。

幸いにもそこまで遠くじゃなかったので、局員が二人いることもあって此方から迷子を連れて行くことにする。

 

「しかし見事だな…会った事もない個人相手に念話を絞るなんて。」

「それが出来るのがリライヴの遺伝子と言う事だ、身に付けたと言うほど何かしたわけでもないから下手に使う気になれないんだがな。」

「データ共有で勉強サボろうと考えるウェンディとは天地の差だな。」

「ありゃ冗談ッスよぉ…ちゃんと執務官補やってるでしょ?」

 

戦闘機人の力を随分安い使い方をしようとしていたらしい話を聞いていると、若干頭が痛くなる。

オールマイティのSS級魔導師のリライヴほどでないにしろ、知識と経験がコピーで得られるなんて十分に一般人を嘲笑う能力だろうに…まぁ、管理局に勤め治安維持の為に使っているのなら、別に問題ないのだろうが。

 

そこまで時間もかからず母親との合流を果たし、迷子を帰す。

 

 

「お姉ちゃん、ありがとう!」

 

 

笑顔でお礼を告げて帰るその子の背を眺める。

ありがとう…か、力になれたらしいな。

 

「今ようやく笑顔になられると今日一日なんだったんスかねぇ…」

 

ウェンディの呟きに私は自分の頬に手を当てて笑っていることに気付き、肩を竦めた。

 

「本当そのようだ。どうやら結局、私はこの力を人や世界の為に使えれば一番嬉しいらしいな。」

 

人形を卒業して望みを手に入れろと局を一度止めさせられ、こんな手間までかけさせたというのに、結論が変わらないとは。

 

「…いいんじゃないか?」

「何?」

「一番望む事だからやるのだと自覚していれば、それでいいだろう。」

 

操り人形ではなく自らの望みとして。

同じ事をするのでも、そこが違うだけで決定的な違いになるのだろうか?

私にはよく分からないが…

 

「人形の先輩がそう言うなら…そうなんだろうな。」

「そういうことだ。」

 

私がチンクを見てそう言うと、彼女は微笑んで頷いてくれた。

 

 

 

Side~クロノ=ハラオウン

 

 

 

『あーあ、勿体無いことしちゃって。』

「そんな詐欺師みたいな事言わないでくれ…」

 

 

通信ごしに呆れる母さんに、僕は重い息を吐いて応える。

確かに任務に従事しようとする彼女達をそのまま管理局員として運用すれば、SS級4人と言うだけですさまじい戦力となっただろう。

 

けれど…操り人形の如く自分の意志を持っていなかった結果、今回の一件で使用されたというのなら、放置と言う訳には行かなかったし、何よりそんな『使い方』をしたくなかった。

 

『それで、結局皆はどうしたの?まだ考え中とか?』

「皆進路は決めたみたいで、わざわざ教えてくれた。手土産までつけてね。」

『あらあら、律儀なのね。』

 

なんだかんだで進路を決めたと聞いて嬉しそうな母さん。

造られた身と言うのは他人事じゃないし、自分で決められたと聞けばやっぱり嬉しいんだろう。

 

「ビャッコが、『面白い奴か楽な生活』が確実に手に入るからと言う理由でプロの魔法戦技選手になると…」

『あらら…確かにどっちか片方なら確実に手に入るわねソレ…計算高いって言うかお気楽って言うか…』

 

リライヴをベースに作られた彼女達を超える魔導師などそうはいない。

賞金のある大会に出回れば大金が手に入るか、滅多にいない強敵と出会えるか。

少なくともどちらかは保障される。

…ゲンブもスザクも存在自体がレギュレーション違反だと止めたがったらしいが、ノーヴェが競技選手を舐めるなと二人を一喝したらしい。

確かに舐めているかもしれないが…本当に誰もビャッコを倒せなかったら魔法戦技の歴史がある意味ひっくり返りかねない。現役の人にはなんとしても彼女に楽させないで貰いたいものだ。

 

「それで、ゲンブとスザクの二人は結局管理局員として平和の為に尽力したいとそれぞれに。」

『自分の意志で二人も戻ってきてくれたなら上出来じゃない。…って、まだ何かあるみたいね?』

「まぁ…」

 

確かにありがたい。が、母さんが察したように少し勿体無い話があった。

 

「ゲンブが救助隊員になりたいと希望しているのはいいんだけど、スザクの方が…」

 

ゲンブは氷結系の変換資質をオーバーS級で扱える。

となると、水害火災ととても重宝するのは確かだ。

守る力の使い手として、救助の仕事に着きたいとの事だったし、それはいいんだが…

 

『スザクちゃんが?』

「…地域警邏と。」

『…はい?』

 

スザクの方が大問題だった。

 

各地に駐屯して地域の治安維持等に勤める地域警邏。

決して侮辱するつもりはないが…どう考えてもSS級魔導師が着く職じゃない。

 

「人の傍で人の力になりたいと。」

 

自分で決めた、素晴らしい理由だとは思うのだが…宝の持ち腐れ感は否めない。

 

とは言え、『いらない』と言う形で追い出したのだ。

彼女達の意志を尊重するためだったにしても、今更部署にどうこう言える訳もない。

 

『また超豪華なボックスねぇ…』

「全く。」

 

それぞれに確かな理由が出来たのはいいが、頭の痛い話だ。

 

『セイリュウちゃんは?一番問題そうだったけど…』

「彼女は…速人達の元へ。」

『あら…』

 

彷徨った結果の他三人と違い、彼女は一番分かりやすかった。

局がいらないって言うなら誰より戦ってる大変な所の力になると、真っ先に迷わず速人達の元に向かったらしい。

人を任せるのに一番不安なところに一番危ない子を送る事になってしまったが、少なくとも彼女が自分で決めた場所だ。本当に災いになるまでは此方から口出しは出来ない。

 

 

速人なら上手くやるだろう、多分。

 

 

僕は椅子に背を預けて天井を仰ぎ見る。

 

事件が終われば後はどう幸せに過ごすか…か。

 

それだけを理由にニルやOAシリーズの関わっている騒動の責も負った速人。

 

 

正直、ソレは君に一番言いたいよ。

 

 

セイリュウが『誰より戦っている』と判断した、そしておそらく間違ってないだろう場所に立って笑ってる馬鹿の顔を思い浮かべながら、僕は願うように目を閉じた。

 

 

 

SIDE OUT

 

 

 




エレミアみたいな特殊能力持ちでも公式戦出るのに問題ないので、彼女達でも出て大丈夫でしょうが…正直ビャッコには自重しろと思わなくもないです(汗)。
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