なのは+『心のちから』   作:黒影翼

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余録・解散打ち上げトーナメント開幕

 

 

 

 

余録・解散打ち上げトーナメント開幕

 

 

 

Side~高町速人

 

 

 

皆の怪我も癒え、事件関係者の処遇なんかも含めた事後処理なんかが大体一通り片付いた為、特務六課の解散が決定した。

そして…

 

 

「特務六課解散記念パーティーアーンドヒーローチーム公式活動開始記念パーティーっ!!!」

 

 

アクアが高らかに宣言すると、皆から歓声が沸き起こった。

 

 

文字通り、割と『皆』って言う数が揃っていた。

龍重要施設及びヒドゥンの退治に関わったメンバーに加え、各人が連れてきたい知人を呼ぶことを許可されている。

無論事件の話やらは内密にって事になってるが、俺達に友人を会わせる事ができるとヴィヴィオやジークリンデが連れてきた子供達が多い。

理由は…

 

 

「今回限り滅多な事じゃ叶わない英雄さん達とのバトルトーナメント!見る子もやる子も全力で楽しんでってねーっ!!!」

 

 

完全に今回司会に徹するつもりのアクアが派手な衣装で叫ぶのに合わせて、皆が再び歓声をあげる。

ともあれこれが理由。

ヴィヴィオ達が連れてきた子供達…魔法戦技者及びその観戦マニア達にとってはまたとない機会らしい。

 

「しっかしトーナメントにする必要あったのか?適当に試合組めばいいだろうに。」

 

世界を救った部隊の解散と言う事もあって、全員ではないが3日も休みを纏めて貰った上で予定を組んでいるんだ。

他の皆はどうか知らないが、試合しろと頼まれたら全員相手できると思うが…

 

「集団戦もあるけど、競技選手にしてみれば一対一がいいからね。それに、試合…『試し合い』じゃ納得いかない人も何人かいると思うよ。」

「あぁ…なるほど。」

 

傍で楽しげに微笑むリライヴのコメントに合わせて、俺は視線を移す。

こっちを見ていたなのはと目が合うと、なのはは笑みを浮かべて握り拳を突き出してきた。

 

やる気満々だな…そういえばJS事件終わりの乱闘以来競うなんてあまりやらなかったし、対でとなると相当久しぶりかもしれない。

 

ただ…俺は俺で倒しとかなきゃならない奴が一人。

 

結構多くが騒いでいる中から何処にいるのかと視線を彷徨わせると、割とすぐにその姿を見つけることが出来た。

 

 

トーマ達と集まっているフォート。

俺が…一度とは言えトリを任せた挙句、俺より先に限界を超えて見せた、最強の無能。

 

 

直接戦って倒すだけなら大した相手じゃない筈なんだが、既に別の大した事のある相手、ハーディス=ヴァンデインやヒドゥンを破るのに一役も二役も買ってる以上、この見立ては参考にならない。

 

 

「張り切るのはいいけど、子供達が見ててもいいような程度にしておいてよね?フォートも速人も死に物狂いじゃ血戦になっちゃうし。」

「…楽に捌けりゃ…な。」

 

リライヴの心配は普通の観客である子供達もごろごろ着ている今当たり前と言えば当たり前だったが、正直約束できる気がしなかった。

それが楽しみなんだけど…な。

 

 

 

Side~高町ヴィヴィオ

 

 

 

事件も終わって後は楽しく…って、すんなり行かない理由が一つあった。

睨むようにしている競技選手の皆の視線の先に…

 

 

薊さんが涼しげな笑みを浮かべて立っていた。

 

 

再三問題を起こした彼女のパパ、氷村遊さんは、開放されたら地球側の人に狙われかねないし、開放できる人でもないって理由で管理世界の牢で終身刑の扱いになっている。

クローンの為の材料集めといい、その方法の非人道性といい、もうとっくに大人であることといい、庇ってあげる必要のない人だったんだけど…

 

薊さんたっての頼み、そして功労者勢からの願いと言う事もあって、薊さんを戦力として局員にすることと引き換えに遊さんの命を保障するという形になっている。

ただその…エルスさんが遊さんに襲われてるわけで…当然ながら皆いい顔は出来てない。子供の薊さんには関係ないって言っても、その薊さんだって同じ事件に協力してた犯罪者。

 

雫さんが薊さんを助ける側だった事もあって、私とアインハルトさんは薊さんと競技者の皆の間に入る感じで様子を見守る事にしていた。

 

「テメェ…何がおかしくて笑ってんだよ。」

「こないに楽しいパーティーの席、そない顔やとしょーもないかんなぁ…」

 

傍にいるだけなのに緊張感を感じるくらいに敵意をむき出しにしている番長に睨まれているのに、薊さんは何処吹く風。

神妙にする様子も謝罪の様子も見られないその姿に怒ったのか、薊さんに詰め寄ろうとする番長を押し留めたミカヤさんが、交代とばかりに前に出て口を開く。

 

「君からは全く反省している様子が感じられないが、それでよむっ?」

 

途中で言葉を止められたミカヤさん。

薊さんがいつの間にか手にしていた串焼きの鳥を口に突き出されたからなんだけど…いくら敵意が無いからってミカヤさん相手にあんな事をあっさり出来るなんて、やっぱり凄い人だ。

貫…だったっけ?雫さんが扱う防御や見切りを抜けてくる動作に近い。

 

 

「この場の誰一人、『その鳥の家族や友人』に謝罪などしまへん。半分人間のウチにとってすらソレと同じ事やのに…お父様が反省する訳ありまへん。」

 

 

鳥を租借していたミカヤさんが固まって、静かに薊さんを睨む。

睨まれた薊さんは、それでも笑みを崩さな…

 

…あれ?

 

「とはいえ、ソレが此方の理屈なんは分かってます。気に入らんければ奇襲もリンチもご自由に。」

 

雰囲気の変わった…優しげになった笑み。

その意味する所を、続けて告げられた薊さんの言葉から察した。

 

謝らないけど、憤りの全てには応えるつもりなんだ。何をされたとしても。

 

なんだか、雫さんに似てるなぁ…

 

余裕を装いながら去っていく薊さんの背中を見送りながら、私は苦笑いしていた。

 

「私達は競技選手です。おあつらえ向きの舞台も用意されている事ですし、正々堂々叩き潰しましょう。」

 

睨まれている薊さんと競技選手の皆の間に入ったアインハルトさんが告げた宣戦布告と共に、皆が拳を突き上げて歓声を上げた。

 

 

 

Side~フォート=トレイア

 

 

 

Pチームにエフスとフェアレと俺。

集まるメンバーとして定着しつつある中で、今回試合の準備をしているのは俺だけだった。

 

「お前も出ないんだな?」

「当たり前だ、必要に迫られ戦闘技能を身にはつけたが興味など無い。バトルマニアが勝手にやっていればいい。」

 

特に参加に問題のないはずのエフスは、俺の問いかけにつまらなそうに答える。

何だ、仮にもフェアレを任せかけた奴だし白黒つけるいい機会だったんだが。

 

「ってゆーか、あのメンバーと一対一って普通やる気にならないでしょ。」

 

疲れたように漏らしたのはアイシスだった。

さんざんしごかれた上で、その自分達をしごいたメンバーが頼りとしている人まで参加する。確かに明るく混ざる気にはなれないか。

それに、使用施設が魔力を使用したシミュレータ上って関係でトーマが参加できないのもやる気を削ぐ理由になっているんだろう。

 

「フォート。その…頑張って…ね。」

 

時おりふらつきながらも自分の足で立ってそう言ってくれるフェアレ。

本当は俺が無意味に頑張る…無茶するのは望んでないだろうに。

 

 

「サンキュー、行ってくる!!!」

 

 

俺は明るく返すことでフェアレの優しさに応えた。

負けられないからな。絶対。

 

何しろ…

 

 

この一戦、俺にとってはヒドゥンや世界なんてどうでもいい最終目標なんだから。

 

 

Side~トーマ=アヴェニール

 

 

 

3日の期間中に全てを済ませる必要があって、トーナメントの人数は16人。

初戦が初日の午後、二、三戦目が2日目、決勝が最終日って日程になっている。

 

結構な参加人数が集まっているのに16人って制限があるのは…

 

『それではこれより、予選を行いたいと思いまーす!!』

 

予選で振り落とされるから。

 

死力を尽くした試合になるだろう事は想像に難くないのに、そのダメージを抜く期間だってそんなに用意できない三日間。

参加人数全員でトーナメントなんてやってる余裕はない。

 

『予選のルールは簡単!シミュレーターにて擬似生成されたこの…』

 

アクアの傍らで、今回のシステム監修を勤めているアリシアさんが自慢げに機材を操作し、フィールド上に機体を出現させる。

 

『私と忍さんの現在持ちうる全ての技術を使ってもし予算と時間が無限なら作れる最強人型機動兵器を破壊する事!』

 

肩から胸から、角ばったフォルムが多い、図形を人型にしたような機械。両腕にブレードをつけている。

そんな機体が16体、フィールド上に生成されていた。

 

フィールドは、予選と言う事もあってか癖がないものにするためか、草原を擬似再現した物になっている。

16機が無機質に横一列に並ぶ中、参加選手達も横並びにそれぞれ構えを取っていた。

 

 

 

『準備オッケー?それじゃ…レディー…ゴーッ!!!』

 

アクアの開始宣言と同時に競技者の娘が何人か駆け出す。

 

「予選で手こずってられっか!一撃で沈めてやらぁっ!!」

 

勇んで飛び出したハリー選手にミウラ選手、アインハルト。

近づかなきゃ話にならない娘達。

 

けど…

 

「は?ぐぁぁ!」

「かわっ…うわぁっ!!」

 

殴りかかったハリー選手と遠間から一気に詰めて蹴りを仕掛けたミウラ選手がそれぞれかわされて反撃を受ける。

 

アインハルトは…

 

「っ…断空拳っ!!」

 

同じ流れで敵機から放たれた蹴りをガードしながら作った溜めで得意の拳を放つ。

機体胸部に直撃して吹っ飛んだけど、倒れすらしなかった。

ちょっとへこんでるけどダメージと言えるかは微妙だ。何て硬さなんだ…

 

『はーっはっはっ!ヒーロー側近技術者の本気を見たか!!作れたらリライヴだって倒してやる気で設計してあるんだからそう簡単にはいかないよ!!』

『ちなみにシミュレータだから再生出来るけど、一体が戦艦2、3隻分の値段になるらしいので局員さんはご安心を!!さぁ人間には荷が重すぎる予選、そもそも誰が突破できるのか!!!』

 

自慢気に叫ぶアリシアさんの説明に続けるようにアクアが恐ろしい解説を入れる。

…いや、ディバイド使わなきゃどうしようもないんじゃないかこれ?

あんなの予選とか、どうかしてる。

 

 

とか思った直後…

 

 

リライヴさんと速人さんが飛び出した。

迎え撃つように腕のブレードを構えて飛び出す二機の機体。

 

 

「バーストセイバー!!」

 

 

内一体をリライヴさんが透明の剣の直撃で叩き斬って…

 

 

「壊舞踏『ブレイクダンス』。」

 

 

速人さんが、右の袈裟斬り、左の横薙ぎ、蹴りによる打ち上げ、浮いた相手に二刀の重ね斬りと連続で叩き込んだ。

 

綺麗に両断されたリライヴさんの一撃を喰らったほうはともかく、速人さんの四撃を喰らったほうは傷一つついていないんだけど、何故か攻撃が当たった箇所から次から次へと煙を吹いて爆発した。

 

斬れたにしても、斬らずに破壊したにしても…どっちにしてもなんなんだこの二人。

 

『…ってさぁっ!ちょっと位手こずってみせたりしてくれないの!?』

「いや、忍さんとアリシアで組んだAIをあんな高性能機にのせられたら一撃で決めないと…」

「俺もとてもじゃないけど斬れない装甲だからな。ノンビリしてて16人決まっちゃっても困るし。」

 

自信があったのか無かったのか、とにかく不満気なのを隠そうとしないアリシアさんのコメントに、リライヴさんと速人さんがちょっと困ったように返事を返す。

 

『こんなのが予選でまかり通るのか!?なーんて疑問に思った知らない諸君!この馬鹿さ加減がこの人達の当たり前だぁっ!リライヴさんと速人さん、当たり前のように予選突破あぁっ!』

 

アクアがすっごい楽しそうにコメントを響かせる。

司会似合うなぁ…それにしても…

 

「こんな反則級に強い人達だったんだね…一応クローンとは戦ったのに、なんか全然違う。」

 

アイシスが呆れ混じりに呟きを漏らす。

俺も戦ってる様は殆ど飛んだ意識の中で見たヒドゥン戦位だったから、こんな桁外れだなんて初めて知った。

 

「バーストセイバーだけならOAシリーズも扱えるだろうが…戦闘経験の類が足りない為、おそらく当てられないだろう。薊も同じ理由でCA、OAシリーズを破ることが出来る。」

「そっか…『性能』は同じ位…スザクさん達の方が高いかもしれないって聞いてたけど、やっぱり細かい所で違ってきちゃうんだね。」

 

エフスの解説を聞いてリリィが何かを考えるように真剣に呟く。

俺の補助に色々『学習』しようと頑張ってくれてるリリィにしてみれば、色々見れるのは貴重な機会なんだろう。

俺もディバイド頼みにならないようちゃんと肥やしに変えておかないと。

 

 

会話に意識を傾けていた数瞬…唐突に衝撃音が響き渡る。

 

 

「英雄さん達ばっかにやらせれんよ、ウチも目標あるからな。」

『あぁーっと!続いて攻め手に出たジークリンデ選手も一瞬でけりをつけたぁっ!さすがはチャンピオン!!』

 

 

ガイストを使ったらしい手を一振りして予選場から出るジークリンデ選手。

はは…さすがヴィヴィオやアインハルトが望む大会のチャンピオン…すっげぇ…

 

 

Side~フェイト=T=ハラオウン

 

 

 

何人かがあっさり突破した事によって、混戦模様を見せる予選。

倒さなきゃならない以上人にやらせておくわけにも行かない、倒しにいってもそう簡単に倒せる相手じゃない。人数的には参加者の方が多いから同時にかかれば有利だけど、それはそれで撃破判定の奪い合いになる。

攻め手に回る度合いの調整に、皆戸惑っていた。

 

そんな中、予想通りと言うべきか、フレアが踏み込みからの突きで一体を貫いて破壊して、雫も続くように斬り込んで一体を破壊した。

 

フレアはいつも通りだけど、雫は今さっき速人がやった連続攻撃をそのまま真似てみせた。初見のはずなのに…速人の所で修行してると魔法関係はともかく、技量が凄い事になるなぁ…

 

ともあれ感心している場合じゃない、予選で手こずるなんてごめんだ、私も…なのはも。

 

前衛型のメンバーが戦っている中、中距離から様子を見ているなのはの横に一旦引いた私は、アイコンタクトを取る。

 

強打を単発で打っても余程上手くない限り回避され、強打でないと装甲に傷もつかないこの機体。一人で倒しきるのは中々手間だ、だから…

 

 

「アクセルシューター…シュートッ!!!」

 

 

意を汲んでくれたなのはが即座に誘導弾を放つ。

リング状に…直撃コースを外して二機を囲むように。

 

動かずとも回避できるそれらを見送る機体二機…見送る…動かず止まる二機。

 

 

ソニックムーブ。

 

 

着弾にあわせるようにそのリングの中央を追いつき構える。

 

 

ブレードを振りかぶった二機に対し、アクセルドライブに入って飛び込む。

回避しながら踏み込み、足へ斬撃。

膝裏関節部に叩き込むことで姿勢を崩させ…

 

「なのはっ!!!」

 

二刀を大剣に変えて纏めて二機を吹っ飛ばした。

 

「エクセリオン…バスターッ!!!」

 

打ち合わせも無くその二機に直撃するように高威力砲撃を叩き込むなのは。

上空で二機が魔力砲撃によって更に吹き飛ばされ…

 

 

私はその内一機の真上にソニックムーブで移動して、全力で斬撃を打ち下ろす。

元々吹き飛ばされて姿勢も何も無かった機体は、ライオットザンバーによる全力の斬撃が食い込んで、魔力の電気変換によって感電爆発した。

 

対して、砲撃を撃ったなのははACSでもう一機に突っ込んで、レイジングハートの先端に展開した魔力刃を突き刺した機体に対して零距離砲撃を叩き込んだ。

 

…完全威力重視の大振りでようやく食い込む程度の装甲相手に一撃で両断とか貫通とか、リライヴやフレアの一撃がどれだけ鋭いのかよく分かる。

 

『管理局が誇る星と雷の二大エースも綺麗なコンビネーションで撃破!これで七人が決定したぁっ!!』

 

アクアの熱の入った司会を聞きながらなのはの元へ降りた私は、示し合わせたようにハイタッチを交わした。

 

とにかく、ここからだ。

今回一対一のトーナメントになってるのにはそれなりに理由がある。

精一杯やりきらないと。

 

 

 

Side~高町ヴィヴィオ

 

 

 

「でえぇぇいっ!邪魔すんなくそっ!」

「貴女が言いますか!最初に見事にやられたくせに!」

 

番長とヴィクターさんの喧嘩が聞こえる中で、私はどうしたものかと前線に立っていた。

と言うのも当然で、突破者が7人も出ると機体の数も減る。

 

奇襲気味に何度か仕掛けては見たものの、私の一撃じゃ強打でもへこむのが精々。

装甲の厚いだろう部分とは言え断空拳に耐えたこの機体はどう壊せばいいか検討がつかない。

 

と、唐突に強大な魔力を感じて視線を移す。

そこには、抜剣の形態をとったミウラさんが蹴りを構えていた。

遠間から一撃を狙ってる。

 

「…今だ!!!」

 

あぶれた一機に対して蹴りかかるミウラさん。

ブレイカーによる打撃。ただの蹴りとは訳が違う。

 

ガード体勢をとった機体の腕に直撃した一撃は、ブレードごと腕を砕き、胴体にまでダメージを通した。

 

「これでっ!」

 

トドメとばかりに左拳を振りかぶるミウラさん。だけど、片腕を潰されたのに素早く反応した機体は拳をかわして右のブレードを振りかぶる。

 

まずいっ!

 

咄嗟に飛び込んだ私は、左腕のセイクリッドディフェンダーでブレードを止める。

さすがに左腕を潰された機体の脇は防ぐものも何も無く、また、ボディまでダメージが貫通したのか罅が入っていた。

 

「はああぁぁぁっ!!!」

 

アクセルスマッシュW。

全力で攻撃に集中して強度の落ちた箇所に追撃を加えた為、さすがに拳がめり込んだ。

バチバチと音を立てて動かなくなった機体が爆発して、消える。

 

 

 

 

…あ。

 

 

 

し、しまったつい。

 

『さすがの見切りの達人高町ヴィヴィオ選手!弱った狙い目の機体を逃さず撃破!予選突破だぁっ!!!』

「あ、あはは…」

 

ルール上OKだから謝りづらいけど…完っ全に横取りだったからガッツポーズとかもしづらい。

背後にいるミウラさんに首だけ向けて顔を見合わせ、互いに苦笑い。

 

「な、なんかすみません…」

「あ、あぁいえ…下手したらやられてましたし…他を狙うのでこれで。」

 

気まずさを払拭するように飛び出すミウラさんを見送りながらフィールドから出ると、先に突破して予選を眺めているジークさんを見つける。

 

「おめでとヴィヴィちゃん。」

「やー…なんかたなぼたで…」

「この予選だけは競技者向きやないかも知れんなぁ…皆でわいわいやるんもあの強い機体の相手も楽しかったけど。」

 

言いつつ、ジークさんが私の目を真っ直ぐ見る。

…あ、そっか…予選だけ…皆でわいわいやる。

つまりここからは…

 

「いつか出来んかった決勝、当たったら今度こそ全力で。」

「…はい!」

 

いつか出来なかった一対一が出来る可能性がある事も含めて思い出した私は、ジークさんと拳を打ち合わせた。

 

『あーっと今度は氷村薊さんの横取りの一撃だぁっ!予選枠も少なくなってきてるから喧嘩しながらだと厳しいかーっ!?』

『やかましい解説!』

『大体貴女も出なさいよまったく!』

 

アクアさんの解説に対して二人で一機を取り合う感じで戦ってた番長とヴィクターさんが怒る。そんな二人を笑うかのようにひらひらと扇を振ってフィールドを去る薊さん。

 

人数とか、今回ママ達がお休み取れる期間とか色々都合はあるんだろうけど…やっぱり真っ直ぐ戦うには向かない予選だなぁ。

 

 

 

SIDE OUT

 

 

 

 




世界を救ったメンバーの休みが3日(しかもはやて他前線以外は基本事後処理中)ってのが少ないのか、いちいち部隊解散事に休めないのか…実際どうなのか決めかねますが、作者的にはさすがにこれ位やらせてあげて欲しいものです(苦笑)。
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