アイルーの女神   作:にゃはっふー

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ギルド長「ふむ、ヘルメス・ファミリアは予想通りだが、ヘスティア・ファミリアからも多く罰金を支払われたな」

受付さん「アイルー個人の資金もあると聞きますが」

ギルド長「猫の資金などたかが知れている、無視していいだろう」


第4話・アイルー

 罰金、ペナルティーで現在ヘスティアがヘスティア・ファミリアの財産として管理しているお金を半分ギルドに渡している頃、ちなみにヘスティアはアイルーたちが管理している資金もあるけどと聞いたが、ロイマンはそんなものはいらんと言った日。ある日の事、ベルがケンカをしたらしい。

 

 正確には嫌みやヘスティアたちの悪口を言われ、鍛冶師ヴェルフが代わりに殴った。ヘスティア・ファミリアの事を悪く言われて、頭に来たらしい。それを聞きアイルーたちもにゃおにゃおと怒り心頭である。

 

 それでも穏便に話を終わらすとヘスティアは裁定を下し、神の宴があるらしいので、パートナー同伴なのでベルを連れて出向くことにした。

 

 アイルーたちはもしもの事を考えて準備をする。子供たち非戦闘員は地下の隠し部屋にいるようにして、戦える者は準装備を装備する。本気を出さなくていいだろうと彼らは考える。

 

 おはぎも双剣を腰に下げて、その日は備えて寝ることにした。

 

 ヘスティアたちが帰ると、やはりと言うか戦争遊戯、ウォーゲームなるものを挑まれたが無視してきた。だけど注意するようにみんなに通達。そして事は起きる。

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

 ホームに攻撃された時、アイルーたちはにゃおにゃお言い始めるが、おはぎが一括して黙らした。地下にいるのなら非戦闘員たちは無事だし、全員恩恵持ちだ。問題ない。

 

「いたぞっ!」

 

「たかが猫だ、やれっ!」

 

「ふっ」

 

 視界に入った瞬間、何匹かが高速に動き、武器を叩き壊した。

 

 詠唱を唱えている魔法使いがいたので、弓矢やスリンガーを使うアイルー。詠唱阻止した後、ヘスティアとベルを抱えて、高速でギルドへと走り出す。

 

「よし邪魔をする奴はおはぎたちが蹴散らす、ボクらはギルドに逃げ込むことに集中するんだ」

 

「分かりました神様っ!」

 

 彼らを止められる者はいない。

 

 だがリリが攫われたと知り、ヘスティアは激怒した。アポロンに戦争遊戯(ウォーゲーム)を叩き付け、完膚なきまでに潰す事を宣言する。

 

「おはぎ、クレープ、ミルフィーユ、だいふく、せんべえ、みんな」

 

『『『にゃッ』』』

 

「君たちの力を最大限に使う、完膚なきまでに叩き潰してくれ」

 

 返事をするアイルーたち。それに青ざめる者は一人いた。カサンドラだ。

 

 猫たちに近づいてはいけない。彼らの爪が、牙が、武器が自分たちをズタズタにすると言う夢を何度も見る。兎が太陽を飲み込み、猫たちは人間を一狩りする。そんな悪夢をこれからずっと見続ける。

 

 彼女の悪夢は終わらない。

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

 最初にアイルーたちに戦慄したのは、リリルカを攫ったソーマ・ファミリアであった。

 

「なんだこいつらッ!?」

 

「猫の分際で!!」

 

「にゃ」

 

 夜遅く、タケミカヅチとミアハ・ファミリア。ヴェルフと数匹のアイルーを筆頭に、おはぎが攻め入った。門を一薙ぎで破壊するおはぎに目を見開く者がいたが、おはぎたちは気にせず、中へと進んで行った。

 

 轟音が響く。ただ一振り、大剣を振るうおはぎの一撃に、塵のように吹き飛ぶソーマの団員達。遠くに離れていた団員も剣風に乗り吹き飛ばされ、近くにいたソーマの団員は腕が軽々と吹き飛んだ。

 

「………撫でただけニャよ………」

 

 彼はこれでも本気を出していない。そう宣言しながら向かってくる団員にやれやれと首をすくめ、一薙ぎ払う。

 

 ブーメランが放たれる。壁を、盾を、防壁を、腕を切り裂き、吹き飛ばすブーメラン。あらゆる防壁は無意味となり、巨大なブーメランは触れたものを粉々に吹き飛ばす。

 

 それを持つ猫たちはグルルっとうなりながら、彼らを睨みつけた。

 

「ひ、ひぃぃぃぃ」

 

 それに初めて恐怖した団員が逃げ出すが、ふざけるなと激昂して向かってくる団員がいた。だからブーメランで斬りつけて、粉砕した。

 

 絶命はしていない、恩恵の力で死ねないのだ。そこに控えていた猫たちが外へと運んでいく。だが体半分も吹き飛ぶ様を見せられて、並みの団員たちは戦意を喪失して逃げ出す。

 

「………こいつら、こんなに強いのか?」

 

 タケミカヅチ・ファミリアの桜花は、戦慄しながらそれを見ていた。技も何も無い、ただ実力のみで引き起こす猫たちに恐怖する。

 

 おはぎを見た時、戦慄した。立ち振る舞いは明らかに自分より上と感心したからだ。ヴェルフも命も、ヘスティア・ファミリアを助ける為に改宗(コンバージョン)した。団員がベルと猫しかいないと思ったからだ。

 

 だが実際はもしかしたら必要無かったかもしれないと思いながら、先へと進みリリルカを助け出した。

 

 ちなみにここまでの惨状を引き起こして起きながら、死者重傷者はゼロ人である。

 

 ナァーザはなんでと思い、外に待機しているアイルーたちをのぞき見して、仰天したのであった。

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

 ベルは特訓していた。自分の身の丈を超えた頂にいる先輩たちの手によって。

 

「ニャて」

 

 クレープは言う、まだ倒れ込むのは早い、立てと告げる。ダンジョンの奥地、暗闇の中で小さな光が目線となり、ベルを見守る。

 

 何匹のアイルーが武器を構えながら佇む。太刀、アックスのようなソード、チャージアックス、虫を操る杖、小型の大砲等々。ベルはそれに食ってかかる、ただそれだけ。

 

「行きます」

 

「来いニャ」

 

 ベルはこうしてLvの壁に激突するまで鍛え上げた。

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

『あー、あー、えー皆さん、おはようございますこんにちは。今回の戦争遊戯(ウォーゲーム)実況を務めさせていただきますガネーシャ・ファミリア所属、喋る火炎魔法ことイブリ・アチャーでございます。二つ名は【火炎爆炎火炎(ファイアー・インフェルノ・フレイム)】。以後お見知りおきを』

 

 この戦いはヘスティア側が負けた場合、ベル・クラネルが奪われ、アポロン側が負けた場合、何でも要求を呑むと言う内容。

 

 方法はほぼ何でもあり。双方所属するファミリアメンバー、ヘスティア側のみ、助っ人一人可(ただし都市に属していない冒険者のみ)となっている。

 

 戦闘方法は攻城戦。ベル側は指定された団員、この場合アポロン・ファミリア団長を倒せば勝利。アポロン側は三日間、守り切れば勝利となっていた。

 

「アルゴノゥト君、大丈夫かな……」

 

 心配そうに祭りの様子を見守るティオナ。アイズも自分たちのホームで心配そうにそれを見ているが、不思議なことにフィンもその様子に釘付けだ。

 

「お前もこの戦いが気になるのかフィン?」

 

「ああ」

 

 リヴェリアにそう聞かれ、フィンは震える親指を握りしめながら戦局を見る。何故か戦争遊戯(ウォーゲーム)が決まってから、この親指の震えが止まらない。無関係、他派閥の戦いなのに、何があっても目を離すなと警告するように震える。

 

 もしもヘスティア側がこちらに助けを求めてきたとき、友人関係と言って良いアイズたちくらいなら、何しても目を瞑っていいかもしれない。そう思えるくらい、彼らに協力していいと思う。

 

(これはアポロン側が何かを持っていると言うより、ヘスティア側の方だな。彼らの派閥に警戒する要素、アイズたちが言っていた魔法だけじゃないな)

 

 アイズたちから話してくれた、ロキがいなければ信用できたか分からない話。それを思い返す。

 

 真剣な眼差しで、下界で許可が下りた際にしか使われない、神の鏡を見る。戦局の様子が中継され、フィンは静かにそれを見続けた。

 

「……あの子たちが負けるんでしょうか?」

 

 レフィーヤはそう考える。アイズは心配しているが、ベートはそんな事は思っていなさそうに鏡を見る。

 

 彼女は思い出す、24階層でたまたまいた彼らに助け出された。その時の魔法やスキルを目の当たりにした彼女は、この程度で覆られるとは思えない。

 

 様々な人たちが鏡を、戦いの行方を見守っていた。

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

「アポロンめ、私たちの恩人に対しての仕打ち、このまま天界に送還されると良い」

 

「にゃにゃっ!」

 

 槍を持つメラルーたちが怒りながら神の鏡を見るアルテミスの言葉に賛成する。アルテミス・ファミリアも少し苛立ちながらそれを見て、中には賭け事にされているヘスティア側に賭ける者もいる。

 

 彼らが負けるはずがない。自分たちを救い、絶望を討ち倒した彼らを信じるアルテミス・ファミリア。

 

 ギルドはまだ知らない、アルテミスが報告に来る前にこの騒ぎの為に、アンタレスがどうなったか知らない。アルテミスはこれが終われば信じられるだろうと思いながら、静かに戦いを見守る。

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

 とある派閥はあらゆる賭け事をしている場所を漁り、ヘスティア側の勝利に賭けられるだけ金を賭けている者たちがいた。

 

「ポット、そっちはどうだ?」

 

「うん♪ だいぶ荒稼ぎできそう、恩人ならぬ恩猫さまさまね♪」

 

「アスフィさーん♪ これ終わったら俺とデートいかがですか? 臨時収入が入りそうなんですよ~♪」

 

「良いですね、みんな、キークスの奢りで宴会はいかがですか」

 

「某、あの猫たちが負けるところ想像できませんぞ」

 

 ホセはそう言いながら両手をさすり、だよな~と双子の小人族(パルゥム)は頷く。

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

 作戦は単純、まずは物量で押し込む。

 

 リリがルアンと言う同族に魔法で変身して忍び込み、ベルを中に招くように誘導。他の者たちは前線でただ暴れるだけ。ベルは団長として、相手側の団長と一対一で戦い、勝つと言う道を選んだ。

 

 それに反対する声は無く、アイルーたちを始め、みんなが武器を持つ。

 

 そのアイルーが持つ武器に、ヴェルフは驚愕していた。

 

「マジかよ………」

 

 彼らが使う武器は見たことの無い技術で鍛えられた物であり、深層のドロップアイテムなどがふんだんに使われているのを感じ取った。

 

 ベルが使うナイフなども、深層などで使われる素材である事は知っていたが、アイルーたちが提供しているとは知らなかった。まさかのアイルーが全員が全員、第一級冒険者並みの装備に身を包むのに、驚きを隠せない。

 

 そしてアイルーたちが用意した、とある最終兵器にヴェルフと命、リリやベルも驚愕した。こんなものがダンジョンの地下にあるのかと驚く。

 

「事前にヘスティア様に彼らのスキルを聞いていましたが、大丈夫なんですよね?」

 

「モンスターじゃないらしいですから、問題は無いようですけど」

 

「ははっ、これリリたち必要でしたか?」

 

「まあ、僕があの人と戦うには、みんながいないとだめだから………」

 

 そう彼らは納得して、戦いが始まろうとしていた。それは魔石を喰らい、出陣の時を待つ。アイルーたちも気合いを入れて、戦いの場、要塞を睨みつけた。

 

 迷宮都市(オラリオ)よ、これが彼らの真の実力だ。それを知るのは、あと少し先である。

 

 ちなみにカサンドラは半泣きで待機していて、もう負けるのは確定だから、大切な友達であるダフネが危険な目に遭わないことを必死に祈りながら、部屋の隅で震えあがっていた。

 

『さあみんな』

 

 おはぎが宣言する。戦いは始まる。

 

『一狩り行こうぜ』

 

『『『にゃおにゃおッ!!』』』

 

 こうして戦争が開幕する………




次回無双回ニャ。アルテミス・ファミリアは誰も死んでないニャ。

メラルーは美しい女神にメロメロニャ。

とりあえず、アポロン戦を最終回に設定しているニャ。その先はダイジェストが多いですからニャ。

お読みいただき、ありがとニャ。
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